牝猫たち(めすねこたち)の紹介:2016年日本映画。日活ロマンポルノの45周年を記念した“ロマンポルノ・リブート・プロジェクト”の一環であり、『日本で一番悪い奴ら』などの白石和彌監督による作品です。ネットカフェ難民、シングルマザー、不妊症とそれぞれの事情を抱えた3人の風俗嬢と、彼女たちに群がる男たちとの人間模様が描かれます。
監督:白石和彌 出演者:井端珠里(雅子)、真上さつき(結依)、美知枝(里枝)、音尾琢真(野中)、郭智博(高田)、村田秀亮(とろサーモン)(谷口)ほか
映画「牝猫たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「牝猫たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
牝猫たちの予告編 動画
映画「牝猫たち」解説
この解説記事には映画「牝猫たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
牝猫たちのネタバレあらすじ:起
欲望渦巻く東京・池袋にある風俗店「極楽若奥様」に勤める風俗嬢の雅子(井端珠里)はこの仕事を始めて約1年、この日も送迎の車に乗って“仕事先”へと向かいました。運転手の堀切(吉村界人)と他愛無い話をした後、とあるマンションの一室に入った雅子は、今回が3回目だという引きこもりの不愛想な男・高田(郭智博)から金を上積みされて“本番”を要求され、そのまま高田に抱かれました。ことが終わった後、高田はいつものようにネットの書き込みを冷めた目で見ながら、雅子に今晩この部屋に泊まっていくよう誘いましたが、雅子はこの日は帰ると言い出し、訳あってホームレス状態の雅子はいつものように寝床にしているネットカフェへと戻っていきました。
雅子の同僚である結依(真上さつき)は小学生の息子ケンタを抱えるシングルマザーです。この日も結依は神社で待ち合わせた三上(松永拓野)という男に金を払ってケンタのベビーシッター代わりを依頼すると、とあるレストランで雅子や同僚の里枝(美知枝)と“気持ち悪い客”について語らい合い、店に呼び出されて向かいました。
「極楽若奥様」店長の野中(音尾琢真)から常連客の老人・金田(吉澤健)の元に手配された里枝は、金田は何のプレイも要求してこないことを伝えると、野中は “おとなのおもちゃ”を里枝に渡して「サービスしちゃってください」と頼みました。金田と待ち合わせた里枝はタクシーの車内で“おとなのおもちゃ”を使って“感じ”始めましたが、それでも金田は性的なことに一切興味はない様子でした。
牝猫たちのネタバレあらすじ:承
店に残った結依は、雅子や里枝と違ってなかなか自分に指名の来ないことにゴネだし、野中は客にもっとサービスすべきだとアドバイスしましたが、気性の激しい結依はキモい客とプレイするのも本番行為も嫌がり、運転手にも八つ当たりする始末でした。
金田の家に入った里枝は、仏壇に金田の亡き妻の位牌が置かれていることに気付きました。金田は里枝に金の入った封筒を渡すと、仕事とは関係なしに会ってくれないかと頼んできました。里枝はせっかく金をもらっているのだからと服を脱ぎ、何もしなくていいという金田をリードしてプレイに応じさせました。
お笑い芸人の谷口(村田秀亮)に指名された結依は、イケメンな彼と会話が弾み、そのまま本番行為に応じました。その頃、ケンタを託された三上は、ケンタが結依から虐待を受けていることに気付きました。
ある日、雅子は高田にネットをみせてもらい、堀切が密かに有料動画サイトに雅子の会話の様子を「薄汚い娼婦」というタイトルでアップしていることを知ります。高田は「俺、嫌いなんだよな、そんな奴」と言いながら堀切をネット上で炎上させてやることにし、改めて雅子に泊まっていかないかと誘いました。
谷口と一夜を過ごした結依はケンタを迎えに行き、ケンタが三上から怪獣のソフビ人形をもらったことを知ると「余計なことをしないでください」と三上を一喝しました。
里枝は金田と食事に行き、自らのプライベートは語らずに金田のプライベートを聞き出しました。金田は妻に先立たれ、子供もおらず、寂しい老後を送っていたのです。
動画サイトを炎上させられ、身元までネットに上げられてしまった堀切は野中に締め上げられて店から逃げ出しましたが、その直後に動画サイトを見たという人から雅子たちに指名が殺到してきました。高田は「制裁を受けるべき人が制裁を受けたんだ。俺って正義の味方だな」と自らの行為を正当化、かれこれ10年も引きこもり生活を送っていることを語ると「不自由ではないよ。かえって世の中のことが見えるようになった」と語りました。雅子は「それって、ただネットの書き込みを見てるだけじゃないの? 肝心なことは見えてないんじゃない?」と返しました。雅子はそのままいつもの寝床のネットカフェへと戻っていきました。
牝猫たちのネタバレあらすじ:転
結依はこの日もケンタを三上に預けて仕事に向かいました。一方、密かに里枝の後をつけていた金田は、彼女がサラリーマン風の男と一緒に歩いている姿を目撃しました。
谷口からお笑いライブの誘いを受けた結依は雅子と里枝を連れて店を抜け出し、谷口のコンビのステージを楽しんだ後、雅子と里枝は余興の“緊縛ゲーム”に興じていました。結依は谷口に連れられて楽屋に行き、谷口は結依の手を鎖で縛り、クスリを飲ませて行為に興じました。その時、結依は思わず子供がいることを告白しましたが谷口は意にも介さず、その間に雅子と里枝はそそくさに帰っていきました。帰り道、なぜこの仕事に就いたのかという雅子の問いに、実は既婚者である里枝はかつて病を患ったために不妊症となり、夫が若い愛人を作ったことがきっかけだと打ち明けました。里枝と別れた雅子はその足で高田のマンションに向かい、「しようよ」と誘いましたが高田は乗り気ではありませんでした。
翌日、里枝はいつものように金田に指名されて家に向かい、金田は妻が死んだ時のことを思い出して涙に暮れていました。その一方で三上はいつまでもケンタを迎えに来ない結依に何度も電話を入れましたが通じませんでした。ところが、三上が目を離した隙にケンタは姿を消し、母を探しているかのように街の中へと繰り出していきました。
時間を迎えた里枝が野中から電話を受けたその時、突然金田が「一緒に死んでください」と里枝の首を絞めてきました。野中は再び電話をかけると、金田は「警察を呼んでください」と言ってきました。金田は里枝を殺すことができず、逆に自分の首を絞めるよう里枝に頼んできました。
雅子は高田のマンションを訪れ、彼から動画サイトに「極楽若奥様は本番を強要する真っ黒デリヘル」という動画が投稿されていることを知ります。一方、野中は金田の家に向かおうとしたその時、「極楽若奥様」に警察のガサ入れが入ってきました。高田は「極楽若奥様」はもう終わりだと言うと、雅子が他の店に移ってもまた指名すると言いました。
牝猫たちの結末
里枝は金田の首を絞めながら行為をする一方、雅子は高田を連れてマンションの屋上に上がり、「あなたのその態度が嫌い。セックスしよ。逃げないで」と言うと二人は東京の街並みを見ながら激しい行為を始めました。
里枝は駆け付けた警察に逮捕され、里枝の夫が駆け付けるなか連行されていきました。一方、ようやく連絡が取れた結依に「あんたは最低な親だな」と吐き捨てていた三上はようやくケンタを見つけ、「お前の母ちゃんは帰ってくるって。嫌だったら無理に帰らなくてもいいからな」と言って結依の元に引き合わせました。三上は「親らしいことをしてやれよ」と言うと、去り行くケンタの後姿を見てやり切れない気持ちになりました。
「極楽若奥様」に戻った雅子は、何かあったのかと問う野中に「色々ありますよ。泣きたいことと辛いこと、楽しいことと不安なことと。人間だから」とこぼしました。雅子は店をたたむという野中に、この世界に入る前は普通に大学を出てOLになったものの借金を抱えてしまったことを明かし、野中は最後ということで雅子に金を払って行為をすることにしました。全てが終わり、夜の街をさまよっていた雅子の元に偶然にも堀切と出くわしました。小説家になるために風俗の運転手や動画サイト運営をしていたという堀切は新たな仕事に雅子を誘い、雅子は受け入れて彼の車に乗り込み、夜の街へと消えていきました。
以上、映画「牝猫たち」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する