夏美のホタルの紹介:2016年日本映画。森沢明夫の同名小説が原作。監督は「ストロボ・エッジ」の廣木隆一で、プロの写真家を目指す女性が、様々な人々と交流を通して成長していく姿を描いたヒューマンドラマ。主演は有村架純。共演は工藤阿須加、小林薫、光石研、吉行和子。
監督:廣木隆一 出演:有村架純(河合夏美)、工藤阿須加(相羽真吾)、小林薫(榊山雲月)、光石研(福井恵三)、吉行和子(福井ヤスエ)、淵上泰史(河合忠男)、村上虹郎(公英)、中村優子(美也子)、ほか
映画「夏美のホタル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夏美のホタル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夏美のホタルの予告編 動画
映画「夏美のホタル」解説
この解説記事には映画「夏美のホタル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夏美のホタルのネタバレあらすじ:起
プロの写真家を目指し、写真学科に通う河合夏美(有村架純)。彼女の恋人・真吾(工藤阿須加)も同じく、写真家を目指しています。しかし真吾の実家は造り酒屋をしており、彼は家業を継ぐために夢を諦めて、故郷に戻るとことを夏美に打ち明けました。
それを知った夏美は、翌朝バイクで思い出の森へと一人向かうことにします。森の中を流れる川沿いにテントを張り、一晩ホタルを待っていた夏美ですが、その日はホタルを見ることはできませんでした。
翌日、夏美は食料を求めて小さな店「たけ屋」へ行きます。人の好さそうな店主の恵三(光石研)は、夏美のカメラと彼女の名を知ると、何か思い出したように「スイカがあるから食べてって!」と、家にあがるよう声を掛けます。
恵三の母親・ヤスエ(吉行和子)が運ぶスイカを頬張りながら、夏美はホタルが見られる場所を尋ねました。「一晩テントを張って川岸で探しても、見つからなかった…」と話す夏美に、恵三は「家に泊っていくといいよ。」と言ってくれます。しかしどうしてもホタルが見たい夏美は、誘いを断り店を後にしました。
しばらく川岸の周りを写真におさめていた夏美のもとに、恵三と地元の子どもたち、そしてヤスエも来てくれます。恵三は地元の子どもたちから“地蔵さん”と呼ばれています。そんな彼は足が悪く、杖を突かないと歩けません。
ホタルが飛んでいそうな場所に連れて行ってもらった夏美は、自分が小さい頃にこの森へ、父親と一緒に来た時のことを思い出していました。結局この日はホタルを見ることはできず、恵三の家で夕食をごちそうになった夏美は、この日から恵三の家に居候させてもらうことにしました。
夏美のホタルのネタバレあらすじ:承
翌朝、夏美の携帯に真吾から電話がかかってきます。夏美の居場所をしった真吾は、電車に乗ってやってきました。そんな彼を駅まで迎えに行く夏美。この日から、真吾も恵三の家で世話になることにします。
夏美と真吾が写真を撮って戻って来ると、店に恵三の友人である雲月(小林薫)の姿がありました。彼は仏師をしていて、少し風変わりなところがあります。夏美や真吾に「ただ飯を食う気か?」と嫌味を言う雲月。夏美は腹を立て言い返しますが、それを真吾が止めに入りました。
それからも夏美と真吾は写真を撮ってまわり、恵三たちとの生活を楽しんでいました。そんなある日、真吾が「一緒に実家のある新潟に行こう。」と夏美に言います。「写真家になるために必死になって、そのために写真撮ってるみたいで、しんどくないか?」と話す真吾。実家に戻れば仕事の心配もなく、好きなだけ写真を撮れると話す真吾に、夏美は返事をすることができませんでした。
一人になった夏美は、父親のことを思います。夏美の父親は、バイクのレーサーをしていました。しかし夏美が生まれてからは、レーサーを辞めてしまった父親。自分が生まれたせいで、父親が夢をたってしまったのだと夏美は思い、そのことでいつも悩んでいました。そんな父親は、もうこの世にはもういません。仕事で忙しく病気で亡くなってしまい、夏美が乗っているバイクは、父親が遺したものでした。
夏美のホタルのネタバレあらすじ:転
ある夜、ヤスエに浴衣を着せてもらった夏美は、雲月や恵三と酒を飲みかわします。その時に、恵三も雲月もバツイチだと知る夏美。雲月は、家庭よりも仕事を優先して離婚。恵三は、工事現場の事故で足を怪我してすぐに離婚しました。「まともに働くことができず、養育費も送れなかった…」と、恵三は自分を責めます。
恵三には、一人息子の公英(村上虹郎)がいます。家族への熱い思いを語る恵三は、その翌日、店で倒れてしまいました。動脈瘤破裂で病院に運ばれた恵三のためにも、離婚した元妻たちに伝えるべきだと雲月がヤスエに言います。しかしヤスエは、頑なにそれを拒否。
夏美も連絡したほうがいいのではないかとすすめましたが、ヤスエは全く聞こうとしません。真吾は、「これ以上自分たちは介入しないほうがいい。」と夏美に諭しますが、夏美は「そんなんだからだめなんだよ!」と声を荒げるのでした。
しばらくすると、恵三が目を覚まします。ヤスエが息子に会いたいかと尋ねると、「息子には違う父親がいるので、呼ばないでくれて良かった…」と、恵三は笑って言いました。しかしこれは本心ではないことを悟ったヤスエは、夏美に恵三の元妻のところへ一緒に行ってほしいと頼みます。
久しぶりに元妻に会ったヤスエは、ケガをして働けなくなった恵三が一方的に離婚を切り出したことを謝り、恵三が予断を許さない状況だと伝えました。元妻は恵三の見舞いに行くことを約束しますが、「今の父親を慕っている公英は、たぶん行かないと思います…」と話します。
しかし、公英が病院に来てくれました。久しぶりに息子を見た恵三は感極まり、涙が止まりませんでした。
夏美のホタルの結末
恵三が無事に息子と再会できたのを確認した真吾は、帰ることにします。駅で見送る夏美に、真吾は「別れよう…」と伝えました。何も言えない夏美を置いて、真吾は電車に乗って行ってしまいます。夏美はバイクで電車を追いかけますが、結局二人はそれっきりになってしまいました。
恵三の家に戻った夏美は眠れず、ふとこれまで撮った写真を現像することを思いつきます。一心不乱に写真を現像する夏美の元に、雲月がやってきました。「結果が出そうか?」と聞かれた夏美は、「雲月さんは結果が出たんですか?」と尋ねます。「100年早いんだよ!」と言う雲月は、夏美の写真を見て「恵三さんのこんないい顔を見たことはないけどな…」と言って去っていきました。
その後、夏美は恵三やヤスエにも写真を見せることにします。写真を見た恵三は、「何にも思い残すことはない…」と、うれしそうに笑っています。恵三は、実は夏美の父親と会ったことがあると打ち明け、その時の話をしました。
恵三が離婚してすぐの頃に、夏美の父親がバイクでこの地へと来たことがありました。レースで仲間を失っており、今後のことで悩んでいた夏美の父親。その時に三つの恵みについて、恵三が話して伝えていました。
一つ目の喜びは、産まれてくる喜び。二つ目は、親に愛される喜び。三つ目は、親になって子どもを愛する喜びです。夏美は自分が父親に深く愛されていたこと、そして他人と自分とを比べる必要がないことを恵三から教わります。
病院を後にした夏美は、思い出の川へ行き、涙を流しながらシャッターを切り続けました。そこには、これまで見ることができなかったホタルが飛んでいました。
それからしばらくして、恵三の葬式の場に駆けつける真吾の姿がありました。久しぶりに夏美と再会した真吾は、地元に帰り感じたことを伝えます。それを聞いた夏美は、恵三に似せた地蔵菩薩像を雲月に彫ってもらうことにしました。誰かを笑顔にしたり、心を動かす写真を撮りたいと思うようになった夏美。それを気付かせてくれたのは恵三です。
その三年後、真吾が運転する車に乗った夏美がいました。大きなお腹を抱えた夏美は、シャッターの閉まった「たけ屋」の写真を撮ります。店の近くには、夏美が作った祠があり、そこには恵三とヤスエの地蔵菩薩像がありました。その後、思い出の川へ真吾と行った夏美は、ホタルを探すのでした。
以上、映画「夏美のホタル」のあらすじと結末でした。
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