ニライカナイからの手紙の紹介:2005年日本映画。この作品は、「おかあ、いま、どこにいる?」「すりきれた手紙を抱きしめ、少女は大人になる。」「ニライカナイ それは沖縄に伝わる、水平線の彼方にある幸福の国」というキャッチコピーで、美しい沖縄の竹富島を舞台に一人の少女の成長と、その母と祖父、島の人々との心の絆を描いた感動のヒューマンドラマです。蒼井優の初単独主演映画で、監督・脚本は『心が叫びたがってるんだ。』(2017年)などを手がけた熊澤尚人です。
監督:熊澤尚人 出演:蒼井優(安里風希)、平良進(安里尚栄)、南果歩(安里昌美)、金井勇太(内盛海司)、かわい瞳(レイナ)、比嘉愛未(平良美咲)、ほか
映画「ニライカナイからの手紙」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ニライカナイからの手紙」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ニライカナイからの手紙」解説
この解説記事には映画「ニライカナイからの手紙」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ニライカナイからの手紙のネタバレあらすじ:1.プロローグ:ニライカナイ
「竹富島、かつてこの島は米も育たないやせた土地で、台風にみまわれることも多かった。そのため、島民たちがお互いを助け合う『うつぐみ』の心が、今でも強く根付いている。」。美しい海に囲まれた竹富島の浜辺で、楽しそうに遊ぶ母と娘がいました。母は娘に優しく語りました。「風希、水平線のずーと向うにね。『ニライカナイ』って呼ばれる神様が住む理想の世界があるって。ずーと、向う。」と…。娘は母の手を握りしめ、それを聞きながら、美しく広がる海を眺めていました。娘の名は安里風希、母・安里昌美と祖父・安里尚栄と3人で竹富島で暮らしていました。毎朝、カメラマンだった父の遺影に、母・昌美と手を合わせるのが日課でした。ある日、母・昌美は病の治療のため、東京へと旅立つことになりました。母・昌美は愛娘・風希に「手紙、書くからね。お利口にして待っててね」と言い、目に涙をためながら旅立っていきました。風希は母の船が見えなくなるまで、「おっかあ」と叫びながら、手を振りました。まだ7歳と幼かった風希は、母が重い病で東京の病院に入院していることを知りませんでした。祖父に風希が尋ねると、祖父は何も言わず、風希に母からの手紙を渡しました。それは母からの風希への誕生日祝いの手紙でした。風希は一年に一度、誕生日に届く、母からの手紙を励みに生きていました。風希は母からの手紙が届くと母へ手紙を書き、いつも島のポストに母に届くようにと祈りながら投函していました。そんな風希の手紙を、郵便局員の祖父が回収していました。寡黙だが優しい祖父や島の人たちに囲まれ、風希は竹富島ですくすくと成長していきました。
ニライカナイからの手紙のネタバレあらすじ:2.旅立ち
風希はある日、母がもう島には帰って来ないかもしれないと不安にかられました。風希は島のおばあに訊きに行きました。「おっかあはもう帰ってこないのか」と、するとおばあは風希に「自分が信じたいと思うことを信じるんだよ。それが風希にとって本当にことになるんだからね」と優しく諭しました。いつしか風希は父の形見のカメラで、竹富島の美しい自然の風景を写真に収めることが好きになっていました。月日は過ぎ、風希は高校3年生となり、明るく純粋で可憐な少女へと成長しました。風希は、自分の撮った写真をお土産屋さんに置いてもらい、売っていました。風希の写真は美しく、よく売れ、いつしか風希は高校卒業後、上京して好きな写真を勉強しながら、母を探そうと思い始めました。毎年誕生日には約束通り届く母からの手紙でしたが、14歳の誕生日の手紙には「風希が20歳になったらちゃんと説明する」と書かれていました。その頃から風希は、母を訝しながらも、母に会いたいという気持ちを募らせていたのでした。しかし、風希は上京することに悩んでいました。それは祖父から20歳になるまで島を出るなという言いつけを破ることであり、祖父を一人きりにしてしまうからでした。そんな風希の18歳の誕生日、母からの手紙が届きました。そこには「一度きりの人生です。決して悔いのないよう、自分の道を進んで欲しい」と書かれていました。風希はこの手紙を読み、上京すること決意をしました。風希は思い切って、祖父にお願いしますが、祖父は強固に反対しました。しかし、風希は祖父に反抗し、島の幼馴染の友人たちや島の人々に見送られ、東京へと旅立ちました。
ニライカナイからの手紙のネタバレあらすじ:3.上京して
上京した風希は、厳しいカメラマン・崎山のもとで、助手として働きながら母の居所を探すことにしました。しかし、助手の仕事は想像以上に過酷なものでした。また、風希は慣れない東京で、母の手紙に押された消印だけを頼りに、母の居場所を探しましたが、手がかりはつかめませんでした。風希は、どんどん生気を失っていき、写真を撮ることもできなくなりました。そんな風希、19歳の誕生日、幼馴染の内盛海司が島からやって来ました。海司は風希に、祖父から託された母からの手紙を渡しました。風希は自分の誕生日も忘れかけていました。風希は海司に「島、帰ろっかな。東京いても時間だけがあっという間に過ぎていく…」と心のうちを吐露しました。そんな弱音を吐く風希を、海司は優しく励まし、島から持ってきた大きなガラス浮き球を風希に贈りました。それは風希がよく島で写真のモチーフに使っていたものでした。風希への母からの手紙にはこう書かれていました。「夢をかなえるのは、とても大変なことだけど、諦めずに続ければ、きっと夢はかなう」と…。そして、来年の20歳の誕生日に会いましょうという言葉が綴られていました。風希はこの母の言葉と海司からもらった浮き球で、ようやく生気を取り戻すことができました。多忙を極める仕事の合間をぬい、風希は浮き球を人に持ってもらい、自分のカメラで写真を撮り始めました。来る日も来る日も、風希は撮り続けました。そんな風希の姿を見た元助手だった相葉幸子は、崎山に風希が自分の写真を懸命に撮っていることを知らせました。崎山は風希にカメラ雑誌を渡しました。その付箋のページには、写真コンテストの記事が載っていました。風希は自分の写真をこのコンテストに出しました。母に会う日を楽しみにしながら、風希は日々、仕事に励みました。
ニライカナイからの手紙のネタバレあらすじ:4.悲しき真相
そして20歳の誕生日、待ち合わせ場所に、風希は胸を弾ませて向かいました。しかし、そこにいたのは、母ではなく、祖父でした。風希は驚きました。風希は祖父に、コンテストで佳作をとった自分の写真「夢」を見せ、「これが撮れたのは、おかあのお蔭なの」と語りかけ、母についての真相を聞き出そうとしました。しかし、祖父は何も語りませんでした。風希は寡黙な祖父に憤り、「もういい、自分で探す」と言い、母の手紙の消印の郵便局に駆け込み、母の住所を聞き出そうとしました。するとそこの局長・田中が出てきて、風希に事の真相を語り明かしました。風希はそれを聞き、驚きました。母・昌美は既にこの世にはいませんでした。毎年、送られてきていた母の手紙は、すべて生前に母が書き溜めていたものでした。それを祖父が、局長の田中に無理を頼み、毎年1通ずつ配達していたのでした。それはすべて、母と祖父の風希への思いやりからでした。風希は祖父を探し周りましたが、祖父は見当たりませんでした。風希は祖父が帰郷したと思い、祖父のあとを追い、竹富島へ急いで帰郷しました。その頃、祖父・尚栄は田中のもとにいました。田中は祖父に風希が来たこと、そして事の真相を全て話してしまったことを告げました。祖父・尚栄は、田中にこれまでのお礼を言いました。祖父は迷っていました。風希に母・昌美からの20歳の誕生日の手紙を渡すべきかを…。しかし、祖父は田中から「この手紙、渡すべきです。手紙を届けるのが、我々の仕事じゃないですか」という言葉で、郵便局員としての務めを果たそうと思いました。また、それが真相を知った風希のためになると、尚栄は信じました。祖父・尚栄は風希の職場を訪ねましたが、風希はいませんでした。祖父は風希が急遽帰郷したことを知り、急いで帰郷しました。
ニライカナイからの手紙のネタバレあらすじ:5.ニライカナイからの手紙
20歳になれば母に会えるということを生きる希望にしてきた風希は、まだ母の死を信じられずに、竹富島の実家に帰りました。しかし、実家に帰った風希は、母の遺影が父と共に部屋に飾られているのを見つけました。風希は母の死が真実であったことを悟り、泣き崩れました。風希が真相を知り帰郷したことは、すぐに竹富島の人々の間に広まりました。実は、竹富島の人々は母・昌美と祖父・尚栄の思いをくみ、風希のことを思いやり、母・昌美のことをずっと隠していたのでした。何も知らず、ただ失意にくれる風希のもとに、島の人々が次々とやってきて、彼女を温かく励ましました。風希はそんな島の人々の温かい「うつぐみ」の心に、感謝し、涙を流しました。その夜遅く実家に帰ってきた祖父・尚栄は、風希に母からの最後の手紙を手渡しました。その手紙には、自分の余命がもう幾ばくもないことを悟った母からの最期の告白が綴られていました。「今、この手紙を病院で書いています。…お母さんは子供の頃、言ってほしかった言葉を全部、風希に伝えたいと思っていました。でもそれが叶わぬと知ったとき、泣きくれました。そんな時、おじいがお前が伝えたい言葉を手紙に書け、そしたら風希の誕生日に儂が届けてやると。…お母さんのたった一つ夢は、あなたが大人になるまで、あなたの中で生きて、応援してあげることだから。…お母さんはもうすぐニライカナイに行きます。でもこれからもずっと、風希のことを見守っています。海の向こうのニライカナイからずっと…」と。その手紙からは母・昌美の風希への深い愛と、寡黙な祖父の風希や母・昌美への愛が記されていました。風希は毎年貰った誕生日の手紙を、改めて読み返し、涙しました。
ニライカナイからの手紙のネタバレあらすじ:6.エピローグ:夢に向かって
翌日、風希は美しい海に面した島のポストに、祖父・尚栄へ感謝の意を綴った手紙を送りました。祖父はそれを見て、微笑みました。遥か海の向こうの理想郷・ニライカナイから届いた母からの愛の言葉を胸に、風希は再び夢に向かって、人生を歩み始めました。
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