おいしい家族の紹介:2019年日本映画。小説『えん』で第40回すばる文学賞を受賞した映画監督・小説家のふくだももこが、「若手映画作家育成プロジェクト2015」で製作した自らの短編作品『父の結婚』を長編映画としてリメイクした作品です。母の三回忌のため故郷の離島に戻ってきた女性が父の再婚とまさかの再婚相手を知らされて驚きながらも、島の住人たちとの交流を通じて自分らしさを発見していくヒューマンドラマです。
監督:ふくだももこ 出演者:松本穂香(橙花)、笠松将(翠)、モトーラ世理奈(ダリア)、三河悠冴(瀧)、栁俊太郎(エビオ)、浜野謙太(和生)、板尾創路(青治)ほか
映画「おいしい家族」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「おいしい家族」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
おいしい家族の予告編 動画
映画「おいしい家族」解説
この解説記事には映画「おいしい家族」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
おいしい家族のネタバレあらすじ:起
銀座のコスメショップで働く橙花(松本穂香)は夫との関係が上手くいかずに別居生活を送っており、都会の生活にも疲れ切っていました。そんなある日、橙花は母の三回忌のためフェリーで故郷の離島へ帰郷しました。弟の翠(笠松将)に出迎えられた燈花は彼の運転する軽トラックで実家へと向かいました。
その頃、島の教会では生意気な女子高生・ダリア(モトーラ世理奈)が祈りを捧げていました。ダリアはその後、海で同級生の瀧(三河悠冴)と遊び、そしてキスをしていました。
実家では翠の妻でスリランカ出身のサムザナ(イシャーニ)が出迎えてくれました。ところが、そこに現れたのは何と亡き母の形見のワンピースを着た父・青治(板尾創路)でした。唖然とする橙花でしたが、更にこの家には調子の良い中年男の和生(浜野謙太)とその娘だというダリアが居候していたのです。
そして青治はこともあろうに「父さん、お母さんになろうと思う」と発言したかと思うと、何と和生と再婚すると言い出しました。全く事情を飲み込めない燈花と対照的に全く気にも留めない翠。燈花は動揺しながらも一家と一緒に食卓を囲みますが、どうしても父の再婚を受け入れられない燈花は家を飛び出してしまいました。
おいしい家族のネタバレあらすじ:承
燈花がスナックで飲んでいると、そこにかつての同級生で今は漁師をしているエビオ(柳俊太郎)が現れました。エビオはかつて燈花に想いを寄せていましたが、燈花は全く彼のことを覚えていませんでした。
青治はこの島の高校の校長をしており、ダリアや瀧はこの学校に通っていました。瀧は燈花の亡き母の服を着て仕事している青治を快く思っておらず、そのことに気付いた燈花は瀧のことを自分と同じ“普通”の反応を示しているとして意気投合する一方、なぜ島の人々は青治を受け入れているのか不思議でなりませんでした。瀧はこの島から出たいと願っていました。
島の小さなスーパーで働くことになった燈花は、和生から青治との出会いの経緯について聞かされました。和生はかつて福島で漁師をしていたのですが訳あってダリアと共にこの島に流れ着き、便利屋を始めるも貧しい生活を強いられていたところに青治に助けてもらったのです。青治が振舞ってくれたおはぎの味は和生にとって忘れられないものとなったのです。燈花は、和生とダリアは父を利用しているのではと疑いを持ちましたが、和生は笑って否定しました。
おいしい家族のネタバレあらすじ:転
母の三回忌の日、青治は亡き母の喪服を身にまとって法事に出席しましたが、誰一人何も言いませんでした。一方、学校に向かったダリアは髪を金髪にした瀧を見かけました。早く大人になりたいという瀧の話を聞いたダリアは互いに鮮やかな衣装を身にまとい、メイクをし合って楽しみました。
法事が終わった後、燈花は翠になぜ父の結婚に反対しないのかと問いかけてみました。翠はただ人それぞれだからと答えるのみでした。果たして母はどう思っているのかと思い悩みながら夜道をあるいていた橙花は、ゴムボートで沖に向かって漕ぎ出そうとしていた瀧とダリアを発見しました。橙花は慌てて海に入り、二人を引き留めました。
その時、燈花は瀧もまた自分が“普通”ではないことで苦しんでいることに気が付き、二人を教会に連れて行くと、自分の職業を活かして二人にメイクを施し、ダリアの手作りの衣装をまとって教会で三人だけのファッションショーを開きました。そこに三人を心配した青治や和生たちが現れ、瀧の父は我が子の姿に衝撃を受けながらもそのままでいいと諭しました。滝は女装しても堂々と振舞う青治が羨ましかったと心境を打ち明けました。
その後、燈花たちはスナックで語り合い、橙花は母を失った清治と家族を欲しがっていた和生の結婚は互いに利用してるだけで本当の結婚ではないと主張しますが、和生は全てを失った自分たちに青治は愛だけをくれたと答えました。燈花はその場に何か母の面影があったような気がしました。
おいしい家族の結末
家に戻った燈花は、おはぎを作り始めた青治に本当に母になりたいのか尋ねてみました。燈花は父が母の格好をすることも結婚することも認めましたが、父が母になってしまったら父はどこに行ってしまうのか、父までいなくなったら自分はどうすればいいのか思い悩みました。青治は実は自分は甘い物は嫌いでおはぎも苦手だったのですが、母が喜んで食べているのをみて打ち明けられなかったこと、そして母の格好をして作ったおはぎは美味しかったと燈花に打ち明けました。
一旦東京に戻った燈花は正式に夫と離婚、再び島に戻って自分は出来損ないだったと青治に語ると、青治は生きていればそれでいいと応えました。
そして青治と和生の結婚式の日が訪れました。式には生まれたばかりの我が子を抱く翠とサムザナ夫婦、ダリアと瀧、そして島の人々が訪れて二人を祝福しました。エビオはどさくさに紛れて橙花にプロポーズしましたが燈花は断りました。しかし、どうやらまんざらではなかったようです。こうして“家族”となった燈花たちは全員で記念写真を撮りました。
以上、映画「おいしい家族」のあらすじと結末でした。
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