幼な子われらに生まれの紹介:2017年日本映画。重松清の同名小説「幼な子われらに生まれ」を、かねてから映画化の約束をしていた荒井晴彦の脚本により映画化したヒューマンドラマです。子連れ再婚したバツイチ同士の夫婦とその前の家族との心の葛藤を描きます。
監督:三島有紀子 出演者:浅野忠信(田中信)、田中麗奈(田中奈苗)、宮藤官九郎(沢田)、寺島しのぶ(友佳)、南沙良(薫)、鎌田らい樹、新井美羽、水澤紳吾、池田成志、ほか
映画「幼な子われらに生まれ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「幼な子われらに生まれ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
幼な子われらに生まれの予告編 動画
映画「幼な子われらに生まれ」解説
この解説記事には映画「幼な子われらに生まれ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「幼な子われらに生まれ」のネタバレあらすじ:起
会社員の田中信(浅野忠信)は、12歳の娘・沙織(鎌田らい樹)と遊園地で楽しいひと時を過ごします。この日は、年に4度の面会交流日です。離婚した前妻・友佳(寺島しのぶ)との間にできた娘・沙織と観覧車に乗り、親子水入らずの時間を楽しむ信。
4年前、信は現在の妻・奈苗(田中麗奈)と再婚しました。奈苗には前夫との間に長女・薫(南沙良)と次女・恵理子(新井美羽)の二人の連れ子がいます。そして現在、お腹の中には信との子どもが宿っている奈苗。
家庭を最優先する信は残業もせず、同僚と飲みにも行かずに真っすぐ家に帰って家族サービスに徹していましたが、思春期を迎えていた12歳の薫は信を父親とは認めておらず、赤ん坊ができたことも歓迎してはいませんでした。
一方、まだ幼い恵理子は、信のことを実の父親だと信じておりとても懐いています。しかしそのことが面白くない薫は、恵理子にそれとなく本当の父親ではないことを伝えようとします。「小学校に上がる時には、お父さんとお母さんとできちんと説明するつもりなので、それまでは恵理子に言わないでほしい。」と薫に頼む信。
すると「口止め料をもらっちゃおうかな…」と薫が言います。温厚な信も苛立ち、ついきつい口調で注意してしまいました。すると、「本当の父親でもないくせに!命令する権利とかあるの?」と反抗的な薫。ついには「私の本当のお父さんに会わせてよ!」と要求してきました。
そんなある日、信は出向リストに自分の名前があることを知ります。給料が変わらなければ倉庫で働いてもいいと割り切る信。そして本社から倉庫への出向を命じられた信は、作業着に身を包み倉庫で働き始めました。
「幼な子われらに生まれ」のネタバレあらすじ:承
反抗的な態度をとり続ける薫に、本当の父親に会わせるべきなのかと考え始める信。しかし奈苗は、元夫と会わせることを断固拒否します。
その夜、信は倉庫へ出向になったことを打ち明けました。この先どうなるかわからないのに、それでも自分の子供が欲しいかと尋ねる信。そんな時、友佳から連絡が入ります。次の面会交流日を延期してほしいと頼む友佳。信は詳しく事情を聞くために、久しぶりに友佳と会うことにしました。
大学の准教授をしている友佳は再婚しており、相手の男性は大学教授をして裕福な暮らしを送っています。次回の面会交流をキャンセルさせてほしいと頼む理由は、再婚相手の男性が末期ガンで余命僅かと宣告されて、今は夫と沙織との残された時間を優先させたいと考えでした。
別れ際、友佳は信に、「2年半で離婚した元夫と、6年で逝こうとしている現夫と、どちらが酷い男なんだろうね?」と尋ねます。すると「俺だよ…」と、やさしく笑う信。友佳は何もわかってないという顔をして、「あなたは昔から理由は聞くのに、私の気持ちは聞いてくれない。なんで?」と怒りをぶつけてきました。
13年前、信に相談もなく妊娠した子供を友佳は堕ろしたことがありました。その時も理由は尋ねるのに、友佳の気持ちは聞こうともしなかった信。自分がどんな思いで子供をおろしたのか、友佳は今になって後悔の念をつらつらと述べ始めます。「今の夫が背中が痛いといった時に、もっと早くに病院を進めておくべきだった…」と後悔を口にする友佳は、信は何も後悔はないのかと尋ねます。
倉庫と家の往復の日々に疲れ始めた頃、薫が「やっぱりこのウチ嫌だ!関係ない人と暮らしたくない。本当のパパに会わせてよ…」と言い出します。何を尋ねても「わかんない!」としか答えない薫。奈苗は薫をなだめようとしますが、突き飛ばされてしまいます。
見かねた信は仕方なく、「前のお父さんに会わせてあげるから…」と言いますが、「前も今もないから。パパは一人しかいない!」と言って薫は聞きません。これに奈苗が怒り出し、いつもは冷静な信もついに声を荒げてしまいました。
「幼な子われらに生まれ」のネタバレあらすじ:転
自衛隊の基地で食事を作っている奈苗の元夫・沢田(宮藤官九郎)に会いに行く信。6年前、奈苗と沢田は彼の家庭内暴力が原因で離婚しました。「今更会ってほしいと頼まれても、困る…」と、薫との対面に消極的な沢田。
夏祭りの日、奈苗と恵理子は出かけて行きます。お腹が痛いと部屋に閉じこもっている薫に話しかける信。沢田には会ってほしくないと信が話すと、なぜ自分は沙織と会っているのかと尋ねられてしまいました。しかたなく信は、家庭内暴力の末に両親が離婚した経緯などを説明しますが、薫は聞く耳を持ちません。
夏祭りから帰ってきた奈苗に、薫は自室に鍵をつけるよう要求してきます。「鍵がないと怖くて眠れない。」と言い出す薫。子どもの頃に父親に殴られて、それからは大人の男性を拒否するようになっていた薫。しかし初めて信と会った時は、久しぶりに薫に笑顔が出て一緒に遊ぶことができました。それでも思春期を迎えた薫は、信を拒否し続けます。
「このままだと家族がおかしくなっちゃう…」と嘆く奈苗。信は「もともとおかしかったんだよ…」と言ってしまい、奈苗に沢田に会ったことを伝えました。薫のことで口論となり、今の家族に息苦しさを募らせた信はついに「子どもを堕ろして別れよう。」と言い出します。
さらに自暴自棄になった信は、勢いに任せて「慰謝料も養育費も払うから、赤ん坊を堕ろして離婚しよう」と切り出し、薫の部屋に鍵を付け始めました。それを必死で止めようとする奈苗。必死になっている信は、つい奈苗を突き飛ばしてしまい、それを見た薫は、「その人も同じじゃん!だったら本当のパパがいい!」と告げるのでした。
「幼な子われらに生まれ」の結末
信は、「薫に会ってほしい。」と、改めて沢田に頼みに行きます。「手間賃くらいはもらえるんでしょ。」と、金を要求する沢田。銀行へ行きそのまま10万円をおろした信は、沢田にその金を渡して、後日薫とデパートの屋上で会ってもらう約束を取り付けました。
その日、自宅の帰り道に沙織が信を待っていました。義理の父親が亡くなるかもしれない事実に、全く悲しさを感じないと打ち明ける沙織。そこへ、母親の友佳から義理の父が危篤状態に陥ったことを知らされます。信は車で迎えに来てくれた奈苗と運転を変わり、急いで沙織を車に乗せて病院に連れて行くことにしました。
車には恵理子も乗っており、もうすぐ妹が生まれると嬉しそうに話してしまいます。それを聞いた沙織は、「親子なのに水くさいな…」と言って落ち込みます。恵理子は「親子って?」と不思議がりますが、誰も何も説明しません。
病院に着くと、お礼を言って車から降りる沙織。その後を信が追います。これまで義理の父親が亡くなると思っても泣けなかった沙織ですが、大粒の涙を流していました。信は「これまで沙織を育ててくれて、ありがとうございます。」と、危篤状態の友佳の夫に何度も礼を言うのでした。
その帰り道、車で恵理子に真実を話す信。以前に自分は結婚していたことがあり、沙織と言う娘がいること、しかし今は恵理子と薫と奈苗が、一番大切な家族だと信は伝えました。
そして数日後、薫は沢田と会うためにデパートへ向かいます。心配になった信は恵理子と奈苗を連れてデパートにやって来ました。屋上へ行くと、沢田が一人でベンチに座っているのが見えて、信は急いで駆け寄ります。「薫はまだ来ていない…」と話す沢田。少し離れたところから久しぶりに恵理子の姿を見た沢田は、成長の早さに驚きます。
沢田は薫へプレゼントを用意していました。しかし用意していたプレゼントは薫には幼すぎるので、恵理子に「渡してください」と話す沢田。沢田はプレゼントを信に渡すと帰っていきました。
家に帰ると薫は先に帰っていました。薫は信に「本当のパパに会えて楽しかった。」と嘘をつきます。信はあえて何も言わず、沢田から受け取ったプレゼントを薫に渡しました。
中には「かおるちゃんへ」と書かれたメッセージカードと人形が入っていました。信は静かに薫に話しかけます。泣き出す薫をそっと抱き寄せる信。
そしてクリスマスになり、出産間近の奈苗の病院に走る信の姿がありました。そして恵理子と薫も来て、新たな生命の誕生をみんなで祝うのでした。
以上、『幼な子われらに生まれ』のネタバレあらすじと結末でした。
ネタバレ。新たな生命の誕生をみんなで祝うのでした。さて本当。最後の暗転。身籠り産んだら奥さんどうなるか医者が何か言ってたよな〜さてあなたはこの結末どう解釈します。そしてその先をいろいろ想像すると面白いよ〜どんな家族が生まれるんだろう。