王妃の館の紹介:2015年日本映画。名だたる有名人の泊まった王妃の館。そこへやって来たツアーには社運をかけたトンでもない計画が隠されていた。直木賞作家・浅田次郎の長編小説『王妃の館』を、橋本一監督(「相棒」シリーズ)が映画化。笑いあり涙ありの人間ドラマを描く。
監督:橋本一 出演:水谷豊(北白川右京)、田中麗奈(朝霧玲子)、吹石一恵(桜井香)、尾上寛之(戸川光男)、青木崇高(近藤誠)、ほか
映画「王妃の館」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「王妃の館」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
王妃の館の予告編 動画
映画「王妃の館」解説
この解説記事には映画「王妃の館」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
王妃の館のネタバレあらすじ:セレブツアーと称して実は?
ヴォージュ広場のホテルに迎えられた作家の北白川右京とセレブツアーの面々、そこは王妃の館という超有名人が泊まったホテル。鍵を渡されると北白川は二間ある部屋の一つを執筆机としてを整えるとツアーのパリ観光へ。一行がホテルを出ると、ホテルの従業員総出で各部屋の荷物をと一掃し、もう一つのツアー客を向かえた。このツアーは夜のパリを周り、昼は部屋で休むというツアーだった。低価格のこのツアーは一見怪しげな面々で中には北白川を探す二人組もいた。市内観光中、ルーブルに入りたいという北白川にの頼みに、コンダクターの朝霞は美術館スタッフに頼みこみ入館を許される。ルイ14世の肖像画の前で北白川は幼くして王になった彼の本当の顔に思いを馳せる。もう一つのツアーは戸川に率いられ大衆食堂で自己紹介を始めた。警察官近藤、二丁目のスタークレヨン、出版社の二人、そして怪しげな丹野。このツアーは、朝霞が経営する旅行会社の倒産を掛けて、抱き合わせツアーを企画したものだった。戸川は朝霞の元旦那で部下。このツアーは双方の団体行動と現地ガイドも勤める彼らの手腕に掛かっていた。朝霞はさっそくペースを乱す北白川に団体行動必須だと釘を刺した。一方、戸川は、二件目で既に自棄酒で酔っ払っていた。
王妃の館のネタバレあらすじ:北白川の描く小説世界
インスピレーションを受け、原稿を始める北白川。ヴォージュ広場の一角、王妃の館に住むディアナと片脚の息子のルイ。しかし、ルイは心根が優しく、ヴォージュの市場の片隅に倒れていた男に声をかけ、水を与えた。名前を聞かれると、ルイ・ド・ソレイユ・ド・フランス、フランスの太陽ルイ、皆はプチ・ルイと呼ぶとこたえた。そんな場面を書いていた北白川にOLの桜井はスイーツの差し入れをした。戸川が飲み屋で起こされるとツアー客は既に王妃の館に戻っていた。朝霞は戸川に連絡がつかない事から察して自分のツアー客を朝食クルーズに連れ出していた。セーヌ川から見るパリの街並みの美しさに、この街が戦禍から守られた理由を語る北白川と朝霞。その頃、戸川のツアーではホテルに他の客のものがあることがあることに不審がる面々が次々に夜のツアーをキャンセルする事態に、戸川は何とか外に連れだそうと奮闘していた。朝霞の方も、カツラを間違えたから取りに帰りたいと言う実業家と、化粧品を取りに帰りたい実業家の恋人を宥めていた。戸川は、王妃の館は重要文化財だから、フランス革命時の幽霊が出るからと理由をつけて、夜は客室で眠る事はできずその代わり屋根裏に眠る事ができるとツアー客を言いくるめた。さっそく屋根裏に移動した出版社の部下の方が北白川はスランプではないのかと疑い始めると、担当をしている上司はそれを一蹴した。二人が探しているとも知らず、北白川はヴォージュ広場の回廊で再びインスピレーションを受け机に向かった。広場の子どもたちに、名前を理由にいじめられるルイ。止めたのは以前ルイに助けられた男ムノンだった。戦争ごっこをしていただけだとかばうルイは、ムノンに父の事を聞くと母は悲しむが、いつか父が迎えに来てくれると信じていると言った。そして母のディアナはなぜ今になって現れたのかとムノンを問い詰めた。筆を置いた北白川が桜井の部屋を訪ねお茶をしていると、婚約破談金をパッと使うためにこのツアーに参加したと彼女は打ち明けた。
王妃の館のネタバレあらすじ:ベルサイユで鉢合わせ?綻びを直せない計画。
ロンンシャン競馬場へ行くはずが北白川の提案でベルサイユを訪れた朝霞一行、その時戸川たちもベルサイユに来ていた。鏡の間で無理に明るくしているように感じた桜井に、ルイ14世は闇を恐れたのではないかと北白川は答えた。連日の出来事に胃腸が持たなくなった戸川が中座した間に、彼のツアー客は自由行動を始め、朝霞のツアー客とすれ違う。一人待っていた丹野も実業家たちと行動することに。ベルサイユで件を思いついた北白川。ムノンは実は宮廷調理人で2555のメニューを作り上げた。この中からベストを選んで作って欲しいと頼む王に、それなら陛下がのぞむ者と一緒の晩餐をしてほしいと、ベルサイユの王と、ヴォージュ広場の母子に同じ料理を出した。王は「ディアナ、ルイ」と呟き、ルイは「パパ」と、呟いた。豪華な晩餐をしていた朝霞のツアー客。恋人にプロポーズしようと悩んでいた実業家は、中座していた北白川に壁越しに話しかけた。無視して音声記録を残している北白川の言葉に、プロポーズの意思を固めた。晩餐の後、無人の教会の懺悔室に入った北白川の所へ、ツアー客から胃薬と労わりの言葉を掛けられ良心を苛まれた戸川がやってくる。そして、彼が罪を告白する前に北白川は本当に大切な物を守るように言った。そしてホテルに帰ると、転寝をする桜井にブランケットをかけ、原稿を始めた。 ルイ14世からの使いがルイを迎えにやってくる。母親はそこでルイの脚不自由なのは王妃が赤ん坊のルイをバルコニーから落としたからだと明かす。それでもベルサイユに行くと決めているルイは、パリに住む人が好きでその人たちを守れるかも知れないのならベルサイユに行くと決めていた。 戸川は朝霞にこんな詐欺のツアーはよくないと伝える。社長としての意地があるものの、翌日、元気の出ない朝霞にツアー客は自由行動を申し出る。実業家とその恋人は、丹野に教えられたパリの下町を満喫し、そこで丹野に再会。そこは先立った丹野の妻との思い出の場所だった。意気投合した彼らは自分の泊まっているホテルに丹野を招いた。そして北白川と同じ部屋を使っている出版社の二人は、偶然文机から北白川の原稿を発見する。そして、二つのツアーはホテルで鉢合わせし、朝霞と戸川に問いただす事態に。一度は開き直った朝霞も、取り乱し北白川が宥めていると、最後のインスピレーションがやってくる。
王妃の館のネタバレあらすじ:二つの物語の収束
書きあがった原稿用紙をツアー客たちが順々に読んでいく。ベルサイユに行くと決めたルイは、着替えるようにいわれるが、母が何度も縫い直した服だけは脱がせないでと言い募る。母は奥の部屋へ身を隠し、出てこない。広場の入り口で、子どもたちや民衆はもし行くのなら、もう二度と会えないと、ルイを止めた。しかし、衛兵たちがルイを囲み近寄れない。馬から下りた王はルイの前へ行くと、ルイは上着を脱ぎすて、迎えに来てくれたことは嬉しいけれど、この場所で、母親や皆を守れるような英雄になると告げた。王と衛兵が去り。それまで姿を隠していた母が、やってきてルイを抱きしめる。民衆は拍手。屋根に居るツアー客も光景を見ていた。そして、二つのツアー客たちは旅行会社の二人を許す事にした。
以上、映画『王妃の館』のあらすじと結末でした。
王妃の館のレビュー・感想:交錯する現代と過去
この物語に出てくる王妃の館は実際に存在する。ツアーの場面と北白川の物語の場面は同じ場所を舞台にしながら平行して進行していくが、その切り替わりに違和感はない。作中にパリの街が幾度の戦火に見舞われようとも、民衆によって守られ美しいまま残されているという件がある。そうやって残されてきた街だからこそ、この作品の舞台にはふさわしいのだと思う。
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