パリの大晦日の紹介:2016年日本映画。異国の地で電話越しにだけ話す女性に会いたいという思いを募らせるリンデンは、ドイツ、フランス、スペインと三つの国を渡りながら彼女を探す。
監督:リンデン・ジャング、曽根剛 出演:カタリナ・ルナ、リンデン・ジャング
映画「パリの大晦日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パリの大晦日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パリの大晦日の予告編 動画
映画「パリの大晦日」解説
この解説記事には映画「パリの大晦日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パリの大晦日のネタバレあらすじ:起・電話越しの親密な誰か
異国の地、ドイツで暮らすタップダンサーのリンデンは、電話越しに女性と話し、互いの近況などを話します。彼はタップダンスのツアー公演があるかもしれない事を話すと、彼女は素直に喜んだ。しかし、タップシューズの調子が悪いと思っていると、ツアー公演ごと計画は白紙になった。恋人に追い出され、街で出会った女の子の家に寄らせてもらうが、手を出そうとすると、その女の子ははっきりとリンデンを拒んだ。
ドイツで職を失ったリンデンの恋人は、今度はパリでオレンジジュースを売る仕事を得て、パリへ移ることになることを告げると、タップダンサーでなくなってしまったリンデンは彼女を追ってパリへ行くことにした。
パリの大晦日のネタバレあらすじ:承・会えない彼女を追って
待ち合わせをしようとしても切符の販売機の故障やら、電車の遅延などでなかなか会うことができないふたり。パリにいるいとこの家に滞在する事にし、彼女と大晦日にエッフェル塔の下で会う約束をした。けれど、やはり彼女と会う事はできなかった。
リンデンはパリで写真家に出会い、写真のモデルの仕事を受け、自分と同じようにアジア系のフォイと言う女性と出会い結婚した夫婦というコンセプトで撮影をするものの、仲が進展することはなかった。
ある日いつものように電話をしていると、彼女は男友達とスペインを旅すると言って、バルセロナに行ってしまった。会える確証も無いまま、リンデンは彼女の後を追ってバルセロナへ向かった。
パリの大晦日のネタバレあらすじ:転・新しい出会い
バルセロナで立ち寄った靴屋で女性店員を口説いたリンデンは、出会って一日でその彼女と付き合うことになり、家での食事に誘われて行くと、両親と引き会わされ、出会って一日なのに付き合おうとしている事を驚かれた。
しかしリンデンがスペインに来てまだ二日だという事や、タップダンサーとして活動していない今は実質無職である事が知れ、付き合いは解消されてしまった。相変わらず電話で話している女性は、一緒に来ていたはずの男性と折り合いが合わなくなり、その男性を探しに別の町へ行くと言った。
カーシェアリングをし、運転手の女性と乗り合わせた男性に、「どうしても会いたい女性がいるのだけれど、すれ違いばかりで会えず、会いたい気持ちばかりが募る」という事を話し、途中のスーパーでビールを買いに降りると、スーパーから出て来た頃には、リンデンは街角に置き去りにされていた。
パリの大晦日の結末:放浪の果てに
一人になってしまったリンデンはバルセロナへ向かった。電話口で寒いと愚痴ると、電話越しの彼女は、男性を無事に見つけたらしく、しきりに「こちらは波の音がしてとても暖かいから来るように」と言うが、それがどこかリンデンには皆目見当がつかなかった。
リンデンは一人山道を歩いた。すると、道に迷っているという一人の女性に声を掛けられた。その彼女は「歩き疲れたから座って話がしたい」とリンデンを誘った。しかし虫の居所の良くないリンデンは、デヴォラと名乗るその女性を冷たくあしらってしまった。
思い出されるのは、電話の向こうの彼女と初めて出会った日の事。公園で寝転がる彼女の横でタップダンスを披露したのがきっかけだった。寒い山の中ではなく、暖かい日の当たる公園での事だった。
以上、映画「パリの大晦日」のあらすじと結末でした。
パリの大晦日のレビュー・考察:モノローグのような電話
電話越しに語られるリンデンと女性の関係は、友人にしては親しすぎるような気もするけれど、互いにパートナーを探している事から、この作品の中では恋人同士というような描写はなくそれぞれが異性と過ごしていても、それは普段の話題の一つと同じ位置づけで語られる。しかし、リンデンが彼女の後を追うように旅を続けている事から、二人の間に友人以上の何かがあるのでなはいかと思ってしまう。会話は所々相手方が無言でモノローグのように聞こえることもある。電話で話しているというカットはないけれど、文脈で電話越しだと自然とわかる仕組みになっていて、会えない二人の会話劇と並行して進んでいくリンデンの彼女を追う旅が上手く絡み合うように描かれている実験的な作品だと思う。
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