竜とそばかすの姫の紹介:2021年日本映画。2018年に公開された『未来のミライ』以来3年ぶりとなる細田守監督の長編アニメーション作品です。本作は『サマーウォーズ』(2009年)以来12年ぶりとなるインターネット上の仮想世界が舞台となり、仮想世界で歌姫として活躍する女子高生と正体不明の竜との交流を描きます。
監督:細田守 声優:中村佳穂(内藤鈴/すず/ベル)、成田凌(久武忍/しのぶくん)、染谷将太(千頭慎次郎/カミシン)、玉城ティナ(渡辺瑠果/ルカちゃん)、幾田りら(別役弘香/ヒロちゃん)、津田健次郎(イェリネク)、小山茉美(スワン)、宮野真守(ひとかわむい太郎/ぐっとこらえ丸)、森山良子(吉谷さん)、清水ミチコ(喜多さん)、坂本冬美(奥本さん)、岩崎良美(中井さん)、中尾幸世(畑中さん)、ermhoi(ペギースー)、石黒賢(恵の父)、島本須美(すずの母)、役所広司(すずの父)、森川智之(ジャスティン)、佐藤健(竜/恵)ほか
映画「竜とそばかすの姫」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「竜とそばかすの姫」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
竜とそばかすの姫の予告編 動画
映画「竜とそばかすの姫」解説
この解説記事には映画「竜とそばかすの姫」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
竜とそばかすの姫のネタバレあらすじ:起
ここはインターネットの超巨大仮想世界〈U〉。全世界に50億人以上のユーザー数を誇り、ユーザーは〈As〉と呼ばれるアバターを通じて〈U〉の世界に入るのです。
キャッチコピーは「〈U〉はもうひとつの現実。〈As〉はもうひとりのあなた。現実はやり直せない。でも〈U〉ならやり直せる。さあ、もうひとりのあなたを生きよう。さあ、新しい人生を始めよう。さあ、世界を変えよう」。
この〈U〉では、巨大なクジラに乗って歌う謎の歌姫・ベル(中村佳穂)が絶大な人気を誇っていました―――。
―――現実世界の高知県のとある田舎町。女子高生の“すず”こと内藤鈴(中村佳穂)は父(役所広司)と二人暮らしです。すずの亡き母(島本須美)は合唱団員であり、すずも母の影響を受けて音楽に興味を示すようになっていました。
ところがある夏の日、すずの母は増水した川の中州に取り残された女の子を助けるために命を落としました。すずの母の死はネット上で自殺行為だと激しくバッシングされ、すずもまた母はなぜ自分よりも他の子を救おうとしたのかと思い悩み、孤独感からすっかり大好きな歌が歌えなくなっていました。
高校に進学したすずはクラスメイトに無理やりカラオケに誘われ、〈U〉で絶大な人気を誇る歌姫・ペギースー(ermhoi)の歌を歌わさせられそうになりました。逃げ出したすずの元に親友の“ヒロちゃん”こと別役弘香(幾田りら)から連絡があり、すずは〈U〉の世界に誘われることになりました。
すずの〈As〉は吹奏楽部員でクラスの人気者である“ルカちゃん”こと渡辺瑠果(玉城ティナ)の顔の輪郭にすずの顔のそばかすが合成されたものであり、すずは自身の〈As〉に“ベル”と名付けました。
現実世界では歌えないすずでしたが、なぜか〈U〉でベルになると不思議と歌うことができました。最初はごくわずかなフォロワーしかつきませんでしたが、ベルの不思議な歌に共感を覚えるユーザーが増えていき、瞬く間にフォロワー数は2億にまでなりました。唯一ベルの正体を知るヒロちゃんは自らベルのプロデュースを買って出ました。
竜とそばかすの姫のネタバレあらすじ:承
ベルが人気になるにつて、正体を探ろうとする動きが出てきました。ベルに人気を奪われる格好になったペギースーは彼女に嫉妬心を抱くようになりました。現実世界のすずの学校でもベルは話題になり始めていましたが、すずは変わらず冴えない日々を過ごしていました。
そんなある日、ベルは全世界から集まった2億人以上の〈As〉を前に大規模ライブを開こうとしていました。その時、突然会場に“竜”(佐藤健)と呼ばれる正体不明のモンスター型〈As〉が乱入、〈U〉の自警組織「ジャスティス」と戦い始めました。
ベルは竜の身体が全身痣だらけになっていることに気付きましたが、竜はベルを拒絶しました。ライブは中止になり、「ジャスティス」のリーダーであるジャスティン(森川智之)は〈As〉を強制的に現実世界での姿に戻す“アンベイル”を行おうとしましたが、竜はその場から逃げ出しました。
竜は〈U〉では半年前に出現し、格闘ゲームの対戦相手を再起不能にまで叩きのめすことで周囲からの評判は非常に悪いものでした。〈U〉内では竜の正体は何者かという話題で持ち切りになり、貴婦人や彫り師、プロ野球選手など著名人に疑いの目が向けられました。そんな竜にも「竜はヒーローだ」と擁護する者もいました。
竜に興味を持ったベルは彼がとある城にいるとの情報を聞き付け、早速城を訪ねてみました。竜は相変わらずの狂暴性を見せてベルを追い払おうとしましたが、同時に竜が垣間見せた優しさに戸惑いました。「あなたの本当の姿はどっち?」
竜とそばかすの姫のネタバレあらすじ:転
現実世界では、すずの亡き母が在籍していた合唱団のメンバー(森山良子、清水ミチコ、坂本冬美、岩崎良美、中尾幸世)が沈んでいるすずを見かね、すずは悪い男に恋でもしているのではないかと心配しました。すずは竜はきっと胸の中にしまい込んでいる本当の姿を見られたくないのだろうと考えました。
そんな時、学校ではすずがクラスの人気者である男子の“しのぶくん”こと久武忍(成田凌)との根も葉もない噂話を流されていました。すずはカヌー部の“カミシン”こと千頭慎次郎(染谷将太)と一緒にいたしのぶくんに直接話を聞こうとしましたが結局できませんでした。
一方、ベルは竜との接触を試みようとしましたが、ジャスティンに見つかって捕らえられてしまいました。ジャスティンは“アンベイル”をちらつかせてベルから竜の居場所を吐き出させようとしましたが、ベルが駆け付けた竜に助けられました。このことをきっかけに、ベルと竜は心を通わせ合うようになっていきました。
〈U〉の住民の間では、竜の正体探しと共にベルが全くライブをしなくなったことが話題になっていました。そんな時、ベルはまたしても「ジャスティス」に捕まり、ジャスティンから竜の居場所を吐くよう迫られましたが、ベルは「あなたは正義じゃない」とジャスティンを非難しました。ベルは竜の側につくAIに助けられて窮地を脱しました。
現実世界に戻ったすずは、竜の身に危険が迫っていると焦りをみせました。そんな時、たまたまルカちゃんに出くわしたすずは彼女がカミシンに想いを寄せていることに気付き、ルカとカミシンの仲を取り持ちました。ところが、すずはしのぶくんにベルの正体を暴かれてしまいました。
そんな時、すずはヒロちゃんから竜の危機を告げられ、ベルとして〈U〉に入り込みました。〈U〉では「ジャスティス」によって竜の城が焼き討ちに遭っていました。ベルはAIの導きで竜に会い、一緒に逃げようと諭しましたが、竜は「僕が退散すればいいんだ。本当のことを言えずにごめん」と告げて去っていきました。
すずはヒロちゃんの協力を得て竜に関する情報を集めました。すると、ベルが竜に一度だけ歌った歌を口ずさむ少年・トモのライブ動画が見つかりました。トモは父(石黒賢)から酷い虐待を受けており、トモの兄・恵(佐藤健)がトモを庇っていました。竜の正体が恵であることに気付いたすずは彼にコンタクトを取り、自分がベルであることを告げましたが、恵は信じようとしませんでした。
竜とそばかすの姫の結末
すずはしのぶくんから、恵の心を開くためには〈U〉内でベルの正体を公表するべきだと助言しました。ヒロちゃんは反対しましたが、すずは決意を固めました。
すずはベルとして〈U〉の人々の前に姿を現しました。そこにジャスティンが現れ、再三ベルに竜の居場所を吐くよう迫りましたが、ベルはあえてジャスティンの“アンベイル”を受け、すずとしての正体をさらけ出しました。
すずは勇気を振り絞って人々の前で歌い始め、その歌声は人々の感動を誘いました。すずの胸中には、見知らぬ女の子を救うために命を落とした母の姿、そして川に入ろうとしたすずを止めてくれたしのぶくんの姿がよぎっていました。
〈U〉の様子を見ていたトモが恵に声をかけ、恵はベルの正体が本当にすずだったことを知りました。恵はすずに自分の住所を教えようとしましたが、恵の父は通信を遮断してしまいました。それでもすずはルカちゃんやカミシン、しのぶくんの助けを借りて恵が東京都大田区に住んでいることを突き止め、児童相談所に助けを求めましたが断られてしまいました。
すずは自ら東京に乗り込む決意を固め、父や合唱団員たちに背中を押されて東京行きの夜行バスに乗り込みました。
翌朝、すずは父の下から逃げ出してきた恵とトモを発見しました。恵は「ベル、来てくれたの」と言うと、そこに兄弟を追ってきた父が襲い掛かってきました。すずは兄弟を庇って父から暴行を受けましたが、すずは怯むことなく立ちふさがり、すずの気迫に押された兄弟の父は断念して去っていきました。
恵はベルから勇気をもらったと感謝し、父の暴力と戦う決心を固めました。すずも“竜”と出会ったことで自分は変われたと感謝しました。高知に戻ったすずは父や同級生たちに出迎えられ、すずはしのぶくんからの告白を受け入れました。そして合唱団員から歌ってくれと頼まれたすずはにこやかな表情で了承しました。
以上、映画「竜とそばかすの姫」のあらすじと結末でした。
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