最初の晩餐の紹介:2019年日本映画。 サザンオールスターズのドキュメントムービー『FILM KILLER STREET-Director’s cut-』などを手掛けた常盤司郎の長編監督デビュー作となるヒューマンドラマです。父の死を受けて集結した子供たち。通夜に振舞われた料理は亡き父が遺した思い出のレシピでした。レシピを巡り、いままで家族が知ることのなかった父の秘密が明らかになっていきます…。
監督:常盤司郎 出演:染谷将太(東麟太郎)、戸田恵梨香(北島(東)美也子)、窪塚洋介(東シュン)、斉藤由貴(東アキコ)、永瀬正敏(東日登志)、森七菜(東美也子(少女時代))、楽駆(東シュン(青年時代))、牧純矢(東麟太郎(少年時代))、外川燎(東麟太郎(少年時代))、池田成志(東盛一)、菅原大吉(木村善男)、カトウシンスケ(北島康介)、玄理(小畑理恵)、山本浩司(井住)、小野塚勇人(小野寺法正)、奥野瑛太(拓二)、諏訪太朗(床屋のおじさん)ほか
映画「最初の晩餐」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「最初の晩餐」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
最初の晩餐の予告編 動画
映画「最初の晩餐」解説
この解説記事には映画「最初の晩餐」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
最初の晩餐のネタバレあらすじ:起
ある夏の日。東京に住むフリーカメラマンの東麟太郎(染谷将太)は、65歳になる直前だった父・日登志(永瀬正敏)の訃報を受けて田舎の九州に帰ってきました。姉・美也子(戸田恵梨香)らと葬儀の準備を進めていた麟太郎たちでしたが、通夜ぶるまいの弁当がまだ到着していないという些細なトラブルが発生しました。
困惑する美也子が弁当屋に電話を入れると、何と弁当はキャンセルされたとのことでした。キャンセルしたのは何と一家の母・アキコ(斉藤由貴)であり、アキコは日登志の遺言として自分が料理を作ると言い出しました。
まず麟太郎や参列者たちの元に運ばれてきたのは、何と目玉焼きでした。この目玉焼きは日登志が初めて作ってくれた思い出の料理であり、目玉焼きを食べた麟太郎は今から20年前、自分たちが初めて“家族”になったあの日のことを思い出していました。
最初の晩餐のネタバレあらすじ:承
20年前のあの日、当時登山家であり山岳ガイドだった日登志とアキコは再婚同志でした。日登志の連れ子だった麟太郎(外川燎)は当時7歳、美也子(森七菜)は当時11歳でした。そしてアキコが連れ子として連れてきたのは当時17歳だったシュン(楽駆)でした。こうして父母と三人の子供はひとつ屋根の下に収まりました。ところがこの日、突然アキコが虫垂炎で倒れ、緊急入院してしまいます。その時、日登志が子供たちに振舞ってくれたのがあの目玉焼きだったのです…。
…続いて運ばれてきた料理は合わせ味噌の味噌汁でした。これはかつて親子が赤味噌か白味噌かに分かれた際、妥協案として出した味噌汁でした。
続いて出されたのは骨の抜かれた焼き魚でした。これは結婚後に近くの工場で働き始めた日登志が仕事のため美也子の参観日に行けず、代わりに行くことになったアキコが美也子との距離を縮めるため苦手な小骨を全て抜いておいてくれたものでした。その後も兄弟が焼いた焼き芋、日登志が山で焼いてくれたキノコ入りのピザなど次々と思い出の料理が運ばれ、麟太郎と美也子は家族が平凡な日々を送りながらも確かに絆を強め合っていった記憶を思い出していきました。5人はあの時“家族”になれたはずでした。5人が出会ってから5年後のあの日までは…。
最初の晩餐のネタバレあらすじ:転
次に出された料理は餃子でした。これは家族が一緒になってから5年後のある日、アキコの元に1本の電話がかかってきた時のことでした。電話を受けたアキコはその場に泣き崩れ、そのまま家を出てしまいます。数日経ってもアキコは戻ってこないまま、日登志も家事に手が付かず、何とか家族で作ったのが餃子でした。
1週間後、アキコは家族の元に戻ってきました。アキコは電話の件やなぜ家を出たかについては語りませんでしたが、日登志だけはその理由を知っていました。そんなある日、いつもと変わらず山登りに出かけた日登志はシュンだけに真実を打ち明け、衝撃を受けたシュンは翌日、自身の22歳の誕生日にそのまま家を飛び出してしまい、二度と戻ってくることはありませんでした。そして日登志やアキコはシュンを引き留めようとはせず、家族の間に亀裂が入ったまま時間だけが流れていきました…。
やがて通夜も終わりに近づき、最後の一品が振舞われようとしていたその時、15年もの間家族の前に姿を見せなかったシュン(窪塚洋介)が子供を連れて葬儀場に現れました。
最初の晩餐の結末
海外で登山家となっていたシュンはアキコに代わって最後の料理の支度を始めました。そして最後に出されたのはすき焼きでした。実はシュンは密かに死の直前の日登志と再会しており、すき焼きは日登志がシュンに頼んで最期に一緒に食べたものでした。
全ての品が出し終り、麟太郎と美也子はアキコから真実の全てを打ち明けられました。それは、日登志とアキコの出逢いが不倫によるものであったということでした。アキコには当時、結婚している夫がいましたが、出版社のパーティーで出逢った日登志と恋に落ちてしまい、アキコは日登志には夫の存在を伏せたままにしていたのです。
しかし、アキコの夫は妻の浮気に衝撃を受けて自殺未遂を起こし、それから長らく意識不明の状態にあったのです。あの日、アキコが受けた電話とは元夫の訃報であり、アキコはその時初めて日登志に夫の存在を伝えました。日登志はこの秘密を固く守る決意をしましたが、シュンだけには真実を伝えていたのです。
全てを知った美也子はアキコの身勝手さに激怒し、麟太郎は動揺を隠せませんでしたが、アキコは「後悔はない」と語り、血は繋がってなくとも“家族”を作ることができて幸せだったと話しました。アキコの強い思いを受け取った麟太郎と美也子は彼女と和解しました。
日登志は末期ガンを宣告されてもなお山に登り続け、家族のためにこれまでのレシピをノートに書き残していました。翌日、出棺の時、一家は日登志の同僚だった井住(山本浩司)から思いもよらない事実を打ち明けられました。実は日登志が作ってきた料理の中で、魚やキノコなどは実は日登志の嫌いなものだったというのです。
火葬場から戻ってきた一家は全員で写真を撮りましたが、そこに麟太郎の恋人・小畑理恵(玄理)が現れました。理恵はおはぎを持参してきており、麟太郎はそこで初めて日登志の本当の好物がおはぎであったことを知り涙ぐみました。
以上、映画「最初の晩餐」のあらすじと結末でした。
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