サンゴレンジャーの紹介:2012年日本映画。作家・鬼塚忠と劇作家・足立拓也が結成した環境問題提言ユニット「さかいたまき」の同名小説を映画化した社会派ドラマです。サンゴ礁を破壊する橋の建設計画に揺れる沖縄・石垣島を舞台に、サンゴを守るため「サンゴレンジャー」を結成した環境省自然保護官が巻き起こす騒動をコミカルに描きます。
監督:中前勇児 出演者:青柳翔(矢島隆)、田中圭(岸谷博人)、佐々木希(島袋リサ)、菅原大吉(中山一平)、水橋研二(平田浩二)、池田鉄洋(木崎豊)、坂田聡(田辺真人)、田中律子(屋良時子)、藤木勇人(屋良賢二)、小日向文世(速水裕樹)、高畑淳子(島尻洋子)、夏八木勲(与儀)ほか
映画「サンゴレンジャー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サンゴレンジャー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サンゴレンジャーの予告編 動画
映画「サンゴレンジャー」解説
この解説記事には映画「サンゴレンジャー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サンゴレンジャーのネタバレあらすじ:起
青い海に広がる美しいサンゴ礁を擁する沖縄県・竹富島。そこから約4km離れた石垣島では、環境省の自然保護官として島に派遣されている岸谷博人(田中圭)と先輩の萩村和也(鈴木拓(ドランクドラゴン))が車を走らせていました。萩村の愚痴を聞きながら、岸谷は島の自然が開発によって失われていく光景を思い出していました。
石垣島では今、石垣島と竹富島を結ぶ新たな大橋「ラグーンブリッジ」建設を巡り、生活の利便性を求める賛成派と環境保護を訴える反対派が真っ二つに分かれて激しく対立していました。この日もラグーンブリッジに関する住民説明会で賛成派と反対派が乱闘沙汰を起こし、パネリストとして出席していた岸谷と萩村は乱闘を止めようとしましたが、萩村は殴られて流血してしまいます。
数日後、萩村は本土に戻ることとなり、代わりの自然保護官として新たに矢島隆(青柳翔)が赴任することになりました。同期でありながら岸谷はまだ矢島と会ったこともないのですが、どうやら矢島は以前にもこの石垣島に赴任していたらしく、要注意人物としてマークされていました。矢島を石垣島に送り込んだ環境省の国立公園課長・速水裕樹(小日向文世)はなにやら思惑を内に秘めている様子でした。
空港に迎えに出向いた岸谷の前に姿を現したのは、空港内で堂々とマウンテンバイクを乗り回すような破天荒な矢島の姿でした。
サンゴレンジャーのネタバレあらすじ:承
石垣島に到着早々、矢島が向かった先はサンゴ礁を見渡せる立入禁止の断崖でした。その頃、海岸では子供たちが竹富島の小学校教師・島袋リサ(佐々木希)の引率のもと遊び回っていました。その時、リサの存在に気付いた矢島は足を滑らせて海に転落、駆け付けたリサと岸谷に対して自分は橋の建設阻止のためにやってきた“サンゴ防衛レンジャー1号”だと一方的に宣言しました。帰り際に「頑張ってくださいね」というリサに惚れ込んでしまった矢島は勝手に岸谷を“2号”に指名しました。
保護官事務所でスタッフらに挨拶した矢島は、頑ななまでにラグーンブリッジの建設を阻止するために来たのだと主張するのですが、建設反対の理由については明確に語らず、具体的な対案については何一つ持ち合わせていませんでした。それでも矢島は休日にも関わらず岸谷を呼び出し、サンゴ礁付近に現れたダイビングショップの客を追い返そうとするのですが、その場に駆け付けた地元の漁師・与儀(夏八木勲)からよそ者呼ばわりされて追い払われてしまいます。岸谷の知人であるダイバーの木崎豊(池田鉄洋)は、竹富島はスーパーも高校もない不便な場所であることから橋の建設には賛成しており、地元漁師を束ねる与儀にとってはよそ者に何がわかるという心情なのだろうと語りました。しかし、木崎がサンゴの養殖をしていることを知った矢島は強引に彼を“3号”に指名しました。
サンゴレンジャーのネタバレあらすじ:転
岸谷の心配をよそに、矢島は保護官の同僚・平田浩二(水橋研二)を仲間に加え、やがてリサも矢島の活動に協力するようになりました。矢島らは竹富島の子供たちのために演劇を開き、改めてサンゴ礁の保護を訴えていきました。そんな矢島の情熱に岸谷やリサも心を打たれ、やがて矢島とリサは本格的に交際を始めるようになりました。
ところが、矢島を尾行してスクープを取ろうと目論む八重山日報の記者・田辺真人(坂田聡)は彼をしつこく追い回し、ラグーンブリッジ建設反対集会の様子を偵察に行った矢島たちを煽り、職業上本来ならば中立の立場でなければならないはずの矢島は思わず「個人的には建設反対です」と言ってしまい、翌日の日報の1面トップになるという失態を犯してしまい、保護官事務所に与儀ら建設賛成派が殴り込むという事態まで引き起こしてしまいます。更には矢島が目をかけていた車椅子の少年が嵐の夜に海に一人で向かって事故に遭い、余計に矢島の立場を悪化させてしまうこととなりました。
追い打ちをかけるようにして、間近に控える竹島町の町長選挙では建設賛成派が勢いを増していきましたが、そんなある日、リサは日報の記事で、建設会社社長であるリサの父・勝が橋の建設を巡って国会議員の西垣和彦から賄賂を受け取っていたという疑惑を知ります。田辺は早速矢島とリサを直撃、リサの父は賄賂をもらって娘は色気で公務員をたらし込んだのかと冷やかしたことから矢島は思わず田辺を殴ってしまい、翌日の新聞で1面になったことから、遂に矢島は環境保護官の職を辞めることになってしまいました。
サンゴレンジャーの結末
矢島が辞職した後、事務所を整理していた同僚たちは矢島がこれまで事細かに石垣島周辺を調査していたことを知り、その働きぶりに感銘を覚えました。一方、すっかり心の折れてしまった矢島に岸谷は激を飛ばし、今までやってきたことは何だったのかと問いかけました。
折しもこの日は建設賛成派と反対派がデモで衝突、警官隊も駆け付ける騒ぎとなっていました。リサから入院中の車椅子の少年の日記を受け取った矢島は情熱を取り戻し、子供たちを「キッズレンジャー」として引き連れてデモに突入、子供たちは改めてサンゴ礁と環境の保護を訴え、矢島は少年の日記を読み上げて人々に訴えかけました。日記には少年が生まれて初めて海に潜った日のことが綴られており、矢島は失われた自然やサンゴ礁は二度と戻らないと賛成派・反対派問わず投げかけました。いつしか賛成派も反対派も、駆け付けた与儀たちも演説に聞き入り、拍手を送っていました。
その後の町長選挙は建設反対派の候補が当選、ラグーンブリッジの建設は正式に中止が決まりました。そして矢島は速水の尽力もあって保護官に復職しましたが、石垣島を離れることとなりました。
そして10年後。岸谷は相変わらず石垣島で保護官として働いており、かつてのリサの教え子たちもボランティアとして島の環境保護を手伝っていました。そして与儀も今ではサンゴレンジャーの一員として活動していました。その頃、矢島とリサはサンゴ礁を望む浅瀬で二人だけの結婚式を挙げていました。
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