さよならドビュッシーの紹介:2012年日本映画。第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作の中山七里作の同名推理小説を原作にしたものです。「秘めた思いは、『月の光』とともに溢れだす…」というキャッチコピーで、火事で家族を失い自らも全身大やけどを負った少女が、ピアニストへの夢を懸命に追う姿と、彼女の周りで起きる不可解な事件の真相を、美しいクラシックのピアノの調べと共に描いた作品です。
監督:利重剛 出演:橋本愛(香月遥)、清塚信也(岬洋介)、柳憂怜(香月徹也)、相築あきこ(香月悦子)、山本剛史(香月研三)、ほか
映画「さよならドビュッシー(2012年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「さよならドビュッシー(2012年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
さよならドビュッシーの予告編 動画
映画「さよならドビュッシー(2012年)」解説
この解説記事には映画「さよならドビュッシー(2012年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
さよならドビュッシーのネタバレあらすじ:1.エピローグ:発端
香月遥は、両親・香月徹也と悦子、祖父の香月玄太郎、叔父の香月研三と共に、祖父・玄太郎の屋敷で暮らしていました。ある日、遥のもとに帰国子女従姉妹・片桐ルシアがやって来ました。ルシアの両親は、ルシアを祖父・玄太郎に預け、ある発展途上国へと働きに行ってしまいました。しかし、ルシアの両親はその国で拉致されてしまい、そのまま行方不明となってしまいました。一人ぼっちになったルシアはそれ以降、遥と本当の姉妹のように、仲良く一緒に暮らすことになりました。遥はピアノを習っていました。ルシアも遥と共にピアノを習いながら、一緒に2人でピアニストになる夢を追いました。遥はルシアにピアニストになったとき、コンサートで「月の光」を弾いてほしいとお願いをしました。そんなある日、玄太郎が暮らしていた離れの屋敷が火事となり、遥とルシアもその火事に巻きこまれてしまいました。ルシアと玄太郎は全身炭化した遺体となり発見されました。遥は全身大火傷の重傷を負いながらも、着用していたTシャツから何とか遥と判別できる状態で病院に担ぎこまれ、形成外科の新条医師の幾度もの移植手術を受け、かろうじて一命を取り留めました。
さよならドビュッシーのネタバレあらすじ:2.出会い
遥は祖父・玄太郎の遺言書によって遺産相続が行われ、12億円を相続することになりました。但し、遥がプロのピアニストになることが条件でした。遥は16歳の高校生となっていました。新条先生に励まされ、遥は全身火傷の後遺症のリハビリをしながら、ピアノと再び向かい合い、プロピアニストを目指す決心をしました。しかし、通っていた音楽学校の桃山校長らは後遺症の残る遥を見切り、一般高校へ転校するように薦めてきました。またこれまでピアノ教師であった鬼塚先生も、プロへの道は無理だと言い、遥の指導を断ってきました。その時、夢への道を閉ざされかけて戸惑う遥を指導すると、名乗り出た人物が現れました。その人物は鬼塚先生の家で偶然、出会った若き天才的プロピアニスト・岬洋介でした。遥はこの洋介のもとで、プロを目指して、レッスンを開始しました。火傷の後遺症に悩む遥を気遣い、洋介はリハビリとしてピアノを弾くというふうに、遥に言い励ましました。遥は洋介の言葉を信じ、レッスンに励みました。するとみるみるうちに遥のピアノの腕は上達し、健常者と全く引けを取らない素晴らしい演奏をするようになりました。ただこの頃から、遥の周りで不可思議な出来事が起こり始めました。遥の部屋へ続く階段の滑り止めが、故意に剥離剤で剥がされていたり、遥の松葉杖が壊れたり、ついには天井のシャンデリアが落ちてきたりしました。遥は自分が何者かに命を狙われていると感じ始め、恐怖に怯え始めました。
さよならドビュッシーのネタバレあらすじ:3.真犯人
遥のピアノの演奏の素晴らしさに驚いた音楽学校の桃山校長らは、掌を返したように、遥への全面協力を約束し、愛知県ピアノコンクールへの出場を薦めてきました。遥はまだ自分の指が3本しか動かない状態で、出場を悩みました。しかし、洋介はそんな遥に、コンクール出場は夢への第一歩と言い、遥を励ました。実際、目指す愛知県ピアノコンクールで優勝すれば、一躍脚光を浴びることになります。遥はショック状態になると、指が硬直して動かなくなるというトラウマを抱えつつ、洋介のもとでコンクール出場に向けて、猛レッスンを続けました。遥は自由曲をルシアと約束したドビュッシーの「月の光」にすることにしました。2曲ともドビュッシーの曲にすることに、洋介は疑問を抱きますが、遥の願いを叶えるためのレッスンを続けました。そんなある大雨の日、母・悦子が近所の教会の石段から転落、そのまま意識不明の重態となってしまいました。警察の榊間刑事は、かつての火事とこの転落事故を関連付けて、第三者が関与した事件として再捜査することにしました。榊間刑事の疑惑の目は、屋敷に出入りしている全員に、向けられました。それは洋介にも例外なく向けられました。遥はそんな中、かつての火事のときのフラッシュバック、指の突然の硬直に悩まされながらも、コンクールに向けて、必死でレッスンに励みました。そんな遥に、洋介は自分も左耳が突発性難聴であるというハンディがあることを告白し、遥の心を和らげ、励ましました。洋介が遥の手を温かく掌で包むと、その硬直はなぜか魔法のように解けました。遥に洋介はピアノを弾く心構えを教えました。そんなある日、遥の命を狙った一連の不可思議な出来事の真犯人が分かりました。それは長年玄太郎のお世話係だった綴喜みち子でした。みち子は、顧問弁護士で新社長の加納から遺産目当てで遥が祖父・玄太郎を殺したのだと偽りを耳打ちされ、遥の命を狙った一連の出来事を起こしていたのでした。みち子は良心の呵責に耐えきれず、自首しました。
さよならドビュッシーのネタバレあらすじ:4.真相
愛知県ピアノコンクールの当日、遥の指はなぜか硬直し、全く動かせませんでした。遥は洋介に泣きながら「ここでピアノが弾きたいの。また魔法をかけて」と懇願しました。そんな遥に洋介は指が硬直するのは「君が君ではないからじゃないか」と静かに語りかけました。実は、遥の正体はルシアでした。あの火事の日、仲良しだったルシアと遥は、偶々Tシャツを交換して眠っていました。その時、火事に遭ってしまい、着ていた衣服でルシアは遥と勘違いされてしまったのでした。意識を取り戻し、目が覚めたとき、悦子らに「遥が生きていてよかった」という言葉を聞いたルシアは、自分が遥ではないという事実を告白できずに、その事をずっと苦しんでいたのでした。あの大雨の日、ルシアはそのプレッシャーに耐え切れず、とうとう悦子に真実を告白したのでした。その真相を聞き、動転した悦子は石段から転落してしまったのでした。洋介はかつての遥の手の大きさと、今の遥(ルシア)の手の大きさの違いから、薄々感づいていたのでした。ルシアはすべてを洋介に告白しました。罪悪感に駆られるルシアは、「遥の想いを叶えたかった…なのに、肝心なときに…」と涙を流し、洋介に助けを求めました。洋介は、かつて遥がルシアに贈った美しい石をルシアに渡し、ステージへと臨ませました。ルシアは遥として、そして遥の夢を叶えるために、ステージへと上がりました。ルシアは1曲目を弾きながら、遥との美しく切ない想い出を走馬灯のように思い浮かべていました。ルシアは見事に1曲目を弾き終えました。そして、いよいよ2曲目の「月の光」となりました。しかし、中々始まらない2曲目に会場の審査員や聴衆はざわつきました。ルシアは靴を脱ぎ、息を整えると静かに「月の光」を弾き始めました。ルシアはこれまでの全ての想いを、この曲に載せました。途中、ルシアは体力の限界を感じ折れそうになりましたが、立ち上がり、渾身の力と想いで、遥との想い出の曲・ドビュッシーの「月の光」を見事に弾き切りました。弾き終えたルシアは、その場で意識を失い、倒れてしまいました。
さよならドビュッシーの結末:5.エピローグ:拍手喝采
ルシアが目覚めると、そこに洋介がいました。自分の罪を償うことを決心したルシアは、洋介に「キス」を求めました。その時、遥の母・悦子の意識が回復したという知らせが入りました。「よかった」と安心するルシアは、見事に優勝を勝ち取りました。観客から盛大な拍手が上がりました。洋介は恥ずかしそうに、ルシアに「キスは晴れて君がルシアになってときに、改めてさせてください」と言いました。そんな洋介にルシアは笑顔で応えると、ステージへと向かいました。ルシアは香月遥との約束を果たし、優勝して、観客の拍手喝采とスポットライトを浴びたのでした。
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