さよなら渓谷の紹介:2013年日本映画。ごく普通の子どものいない夫婦には誰にも言えない秘密があって「一緒に不幸になる」という奇妙な約束をしていた。モスクワ国際映画祭で審査員賞を受賞した。
監督:大森立嗣 出演:真木よう子(尾崎かなこ、水谷夏美)、大西信満(尾崎俊介)、鈴木杏(小林杏奈)、鶴田真由(渡部の妻)、大森南朋(渡部一彦)、井浦新(夏美の元夫、青柳亨)、木下ほうか(刑事)、立花里美(薬袋いづみ)、木の花(かなこ、夏美の母)
映画「さよなら渓谷」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「さよなら渓谷」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
さよなら渓谷の予告編 動画
映画「さよなら渓谷」解説
この解説記事には映画「さよなら渓谷」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
さよなら渓谷のネタバレあらすじ:起
渓谷のとあるアパートに尾崎俊介とかなこ夫妻が暮らしていました。隣で近所付き合いがあった立花里美が愛息子の萌(めぐむ)を殺した事でマスコミの標的になっています。里美はマスコミに追われながら警察へ連行されていきました。里美の取材に来ていた記者の渡辺一彦は後輩の小林杏奈に仕事を任せて帰宅しました。彼は妻と折り合いが悪く、乱暴な接し方のせいで溝が出来ていました。ある日、警察が里美と尾崎俊介に男女関係があった事を取り調べ、邪魔になった子どもの萌を殺したと決めつけますが、俊介は関係ないと話しました。それを知った一彦は俊介の履歴書を見つけ出し、彼が高校と大学を中退していることに気付きます。俊介の母校を訪ね、彼が表彰されるような評判の良い学生であったことを知り、彼が就職していた証券会社を訪ねました。その会社にて、俊介をコネ入社させた先輩の男と接触すると、俊介は過去にレイプ事件を起こしていたという話を聞いたのです。
さよなら渓谷のネタバレあらすじ:承
一彦はかつてラグビーをやっていましたが体を痛めてから辞めてしまった為、その事についても妻に責められていました。居酒屋にて、後輩の記者、杏奈からレイプ事件の被害者「水谷夏美」のその後の人生を聞いて自身の考えに疑問を感じます。水谷夏美は就職先で知り合った男と結婚しようとしますが、相手の親が夏美が過去の事件の被害者だったと知って結婚は破断となりました。会社に言いふらされて噂になり、辞職した夏美は次の就職先で知り合った男と結婚します。夏美が過去を話すとそれを受け入れてくれましたが、夏美が大学時代の女友達と遊んだにも関わらず彼女の浮気を疑い、暴力を振るうようになりました。夏美は自宅で母の目の前で自殺未遂を起こして入院します。かなこが俊介と里美が不倫関係だったと警察に証言しました。かなこが言った事だと知った俊介は暫く拘置所にいることとなりました。その間、彼は過去に起こした事件の事を思い出します。夏美と俊介が仲間達といる間、少しいちゃついていると俊介の友人達が2人を茶化します。俊介は夏美を庇おうとしますが、友人達は夏美を押し倒し、酷い暴力的な行動に出てしまいました。この時、夏美の他にもう一人の女の子がいて、その子は夏美の友達でしたが、暴行を受けている夏美を恐怖心から見捨ててその場を去ったのでした。一彦は大学時代の後輩に話を聞きに行きます。彼は俊介と成人後も会っていて、レイプ事件の事を店で言いふらします。株を彼に買ってもらった事もあり、俊介はその場で何も言えませんでした。後輩から夏美のことを聞くと彼女は生きていて、男性と暮らしているのを見たという人がいたのです。その男こそ俊介だと気付きます。そして、彼と一緒に夫婦生活をしている女性「かなこ」こそ、水谷夏美だったのでした。
さよなら渓谷のネタバレあらすじ:転
俊介は入院している夏美に手紙を届けていました。夏美に連絡をし、手紙には「なんでもする」と書かれていたので、待ち合わせた公衆電話ボックスにて、夏美は「何でもしてくれるって言ったよね?!」と激しい怒りを俊介にぶつけます。拒絶する夏美を追いかけて民泊に泊まった2人。その際に夏美は自分の名前を「かなこ」と記します。かなこはレイプ事件の時に自分を見捨てて逃げた友達の名前でした。翌日も変わらず、夏美=かなこ。を追いかけて「お腹が空いた」という彼女とラーメンを食べたり、橋の上から自殺しようとする彼女を寸での所で追いついて止めました。その後、渓谷を訪れた2人は気持ちが惹かれ合い、お互い「不幸になる」事を約束して疑似夫婦として暮らす事にしたのでした。
さよなら渓谷の結末
これらの事実をかなこは自分の正体を知って家を訪ねてきた一彦と杏奈に対し、自分の元夫の事と俊介とのこれまでから現在について洗いざらい話しました。一彦は俊介の記事にかなこの事を書かない事にして杏奈と共にかなこの家を後にするのでした。やがて、かなこは証言を撤回して、里美も俊介との関係を否定したおかげで一度容疑を認めた俊介が釈放されました。俊介はかなこにチャーハンを作り、一緒に銭湯へ入ってビールを飲むと、のんびりと帰り道を歩きます。一彦は自宅で妻から離婚しないと言われます。俊介とかなこの関係を知って胸に何かを感じ取った一彦は出かける寸前の妻を優しく抱き締め、これまでの自分の妻への態度を反省しました。一彦が俊介を訪ねると、彼はお気に入りの渓流にいました。かなこが置手紙一つ残して出て行った事、その手紙には「さよなら」としか書いてなかった事、俊介は幸せになれそうだったから出て行ったと言います。一彦が本当にそれでいいのかと問いかけた時、俊介はかなこを絶対に探すと答えます。更に、事件があってかなこと出逢えた人生か、罪を犯さずにかなこと普通に出会えた人生のどちらが良かったか俊介に聞いた一彦。俊介が答えようとした時、物語は幕を閉じました。
「さよなら渓谷」感想・レビュー
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歪な形で結ばれている夫婦の物語。
夫婦がどんな思いで一緒にいるのかが映画の大切な部分であると思うけれど、その部分の掘り下げが足りない。
一緒に暮らすまでに何が起きたかは描写されているけれど二人の心の揺れ動きがイマイチ伝わらなかった。
面白かったのですが、さよなら渓谷と言うよりモヤモヤ渓谷な映画でした。
原作だともっと掘り下げられているのかな?と思いました。
映像は緑と青にこだわりを感じましたが渓谷が舞台だから木々の『緑』と川の水の『青』で表現しているのかな?と感じました。
映画『光』でも感じましたが大森立嗣監督は色で表現するのが好きな監督な印象です。
今やお騒がせ女優!?真木よう子の演技が光る作品。レイプ事件の加害者と被害者が、夫婦として暮らす。それは二人にしか理解できない世界。決して幸せになるために選んだ形ではなく、不幸になるための。ラストシーンが心に突き刺さって、涙が止まらない。さよならの意味を、いつまでも考え続けることになるでしょう。