性の劇薬の紹介:2020年日本映画。累計ダウンロード数100万を超えるヒット作となった、水田ゆきの電子BLコミックを『劇場版 屍囚獄』『新宿パンチ』の城定秀夫監督が実写映画化した作品です。順風満帆と思われた人生から転落し、自殺を図ったエリートサラリーマンは突然現れた謎の男に命を救われましたが、それは地獄への入り口に過ぎませんでした…。
監督:城定秀夫 出演者:北代高士(余田龍二)、渡邊将(桂木誠)、長野こうへい(遠藤)、階戸瑠李(綾香)、千葉誠樹(中島)、山本宗介(バーテンの男)、守屋文雄(作業服の男)、ほか
映画「性の劇薬」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「性の劇薬」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
性の劇薬の予告編 動画
映画「性の劇薬」解説
この解説記事には映画「性の劇薬」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
性の劇薬のネタバレあらすじ:起
桂木誠(渡邊将)は荒れ果てた廃屋らしき部屋で、全裸の状態でベッドに拘束されていました。気がついた桂木は助けを求めましたが、その声は誰にも届くことはありませんでした。
桂木が何とか逃れようともがいていると、白衣を着た余田龍二(北代高士)という謎の男が口笛を吹きながら現れ、「あんたが生きているそのことを実感させてやる」と告げると、桂木の全身にローションを塗り、ゴム手袋をつけて桂木の全身を刺激し始めました。
桂木が何度もやめろと叫んでも余田は容赦なく攻め続け、「あんた。今、最高に生きてるよ」とささやきました―――。
性の劇薬のネタバレあらすじ:承
―――桂木はかつてはエリートサラリーマンとして順風満帆な人生を送っていました。桂木は職場の同僚である綾香(階戸瑠李)と交際しており、職場でもプロジェクトリーダーを任されるなど公私ともに充実していました。
そんなある日、職場から臨時ボーナスを受け取った桂木は、両親に沖縄旅行をプレゼントしました。両親は夢みたいだと喜び、そのまま沖縄へと飛び立っていきました。そして両親が帰ってくる日、綾香とホテルで過ごしていた桂木は空港に両親を迎えに行くという約束をすっかり忘れてしまっていました。
両親は「タクシーで帰るから迎えはいいぞ」と桂木にメールを送り、タクシーで帰路につきましたが、途中でタクシーはトラックと正面衝突事故を起こし、両親は帰らぬ人となってしまいました。
病院で両親の遺体と対面した桂木は「俺のせいだ」と深い自責の念に駆られました。それからというもの、桂木はすっかり自暴自棄となり、1ヶ月も仕事を無断欠勤しては連日のようにバーで泥酔するまで飲み歩くようになっていました。そんなある日、桂木は夜の街で、綾香が職場の後輩の遠藤(長野こうへい)と浮気しているのを目撃しました。
桂木は衝動的に近くのビルの屋上に駆け上がり、投身自殺を図ろうとしましたが、そこに現れたのが余田でした。余田は桂木を止めると、「そんなに死にたいか。その命、俺によこせ」と告げて気絶させました―――。
性の劇薬のネタバレあらすじ:転
監禁生活が続き、もはや桂木は逃げる気力すらの失っていました。余田はそんな桂木を浴室に連れて行くと髭を剃り、やがて下の毛をも剃っていきました。余田は更に桂木の体に刺激を与え続け、いつしか桂木は自分の意志とは裏腹に快楽を受け止める体に調教されていきました。
そんなある時、桂木は余田の目を盗み、洗面所の鏡を拳で叩き割ると破片を自らの首に当てました。しかし、思い直した桂木は破片をベッドに持ち込み、余田を襲おうと考えましたが、現れた余田は桂木の行動を読んでおり、桂木に「やりたきゃやれよ」と挑発してきました。結局桂木は余田を殺すことができず、余田は劇薬の入った瓶を置いてその場を後にしました。
余田の職業は救命医でした。職場に戻った余田は交通事故に遭った患者の蘇生を行いましたが既に手遅れでした。余田は「なぜ命がこぼれる」と呟きました。
余田は桂木の元に戻ると、桂木は劇薬を飲んでいませんでした。余田は桂木を「死にたいんじゃなかったのか」と押し倒し、「俺が憎いんだろ。お前の代わりに死んでやる」と挑発してきました。桂木は余田と身体を重ね、余田は「熱い。あんた、生きてるよ」と言いました。
目を覚ました桂木は、いつの間にか拘束が解かれており、更には自分の衣服が用意されていることに気が付きました。桂木は服を着ると部屋の外に出ました。そこは病院の廊下へと繋がっており、余田の姿を見かけた桂木は後を追ってきました。その先は先日桂木が投身自殺を図ろうとしていたあの屋上でした。余田は桂木に、実は3回会っていたことを明かしました。
一度目は桂木の両親が交通事故に遭った日でした。余田は搬送されてきた桂木の両親の命を救うことができず、うなだれる桂木の姿を見ていました。二度目は桂木が両親の墓参りをしていた時のことでした。余田は桂木を車に乗せると、桂木の両親が眠る墓地へと連れていきました。そこは桂木のかつての恋人が眠る場所でもあったのです。
性の劇薬の結末
同性愛者である余田は、終末医療の現場で働く男と交際していました。余田はこれまで数多くの救えなかった命を目の当たりにしてきましたが、それは男も同じことでした。余田は男が次第に心を病んでいくことに気付けませんでした。そんなある日、男は余田に泊まりに来てほしいと伝えましたが、余田は夜勤を理由に断りました。
その夜、男は(余田が桂木に渡したものと同じ)劇薬を打って自殺を遂げたのです。それ以来、深い悲しみに襲われた余田は常に男の命を奪った劇薬の瓶を持ち歩くようになったのです。
三度目は泥酔した桂木が病院の屋上に駆け上がった時でした。余田は恋人を救えなかった代わりに、今度は桂木を生かそうと思い立ったのです。もう桂木が自ら命を絶つことはないと確信した余田は彼を置いて一人車で走り去り、とある浜辺に辿り着きました。
余田は浪間に微かに恋人の面影を垣間見、海に入って劇薬を飲もうとしました。その時、背後から現れた桂木が余田を抱きしめ、「あんたの命、俺によこせ」と声をかけました。劇薬の瓶は余田の手から海へと落ちていきました。
桂木と余田は海の近くのホテルに入りました。桂木は余田にこの先どうすればいいのか問うと、余田は「分からないなら、慣れないことするな」と苦笑いを浮かべました。その後、桂木と余田は体を重ね、余田は桂木の姿にかつての恋人の姿を重ね合わせましたが、桂木の「俺はあいつじゃない。桂木誠だ」との呼びかけに我に返りました。
余田と並んで寝そべった桂木は、余田に「生きてるか」と問いかけると、余田は「生きてる」と返しました。もはや二人は死を選ぶことはなく、劇薬も必要としませんでした。劇薬の入った瓶は一旦浜辺に打ち上げられましたが、すぐに波にさらわれていきました。
以上、映画「性の劇薬」のあらすじと結末でした。
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