世界でいちばん長い写真の紹介:2018年日本映画。『武士道シックスティーン』『ストロベリーナイト』などの誉田哲也が実話を基に執筆した同名小説を映画化した青春ドラマ映画です。愛知県・知多半島を舞台に現地でロケを敢行、引っ込み思案で自分に自信が持てないでいる写真部員の主人公が360度撮影できるパノラマカメラを手にしたことから人生を大きく変えていく様子を描いていきます。
監督:草野翔吾 出演者:高杉真宙(内藤宏伸)、武田梨奈(竹中温子)、松本穂香(三好奈々恵)、水野勝(小出智也)、黒崎レイナ(安藤エリカ)、吉沢悠(宮本賢一)、小松政夫(竹中芳郎)ほか
映画「世界でいちばん長い写真」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「世界でいちばん長い写真」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
世界でいちばん長い写真の予告編 動画
映画「世界でいちばん長い写真」解説
この解説記事には映画「世界でいちばん長い写真」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
世界でいちばん長い写真のネタバレあらすじ:起
内藤宏伸(高杉真宙)は従姉の竹中温子(武田梨奈)の結婚式会場を訪れ、控室で4年前の出来事に想いを馳せていました。
4年前、宏伸は愛知県・知多半島のとある海辺の町の高校に通っていた当時3年生で、写真部の副部長を務めていましたが、引っ込み思案がたたって自分に自信を持てない宏伸は同級生から“ノロブー”とあだ名をつけられてバカにされていました。ある日、文化祭の展示会場の割り振りの際に希望していた多目的室を他の部に取られてしまい、端っこの部屋しか取れず、部長の三好奈々恵(松本穂香)から散々叱られてしまいます。
すっかり落ち込んだ宏伸は海辺で親友の舘沼敦(前原滉)や津本敬太(田村杏太郎)と写真を撮ってはブラブラと過ごしていたところ、通りがかった温子のライトバンに誘われるがままに乗り込み、温子が働く『リサイクルショップ竹中』の手伝いをさせられることになりました。
敦と敬太は温子に鼻の下を伸ばす一方、宏伸は手伝ってくれた報酬として、祖父からもらったという古い大きなカメラを譲り受けました。カメラの使い方がわからない宏伸は、これさえ使いこなせば憧れの陸上女子・安藤エリカ(黒崎レイナ)を振り向かせられると考えました。
世界でいちばん長い写真のネタバレあらすじ:承
毎月恒例の写真部の写真審査会、斬新なアイデアを提示した三好は3ヶ月連続で1位になりました。宏伸はいつものように悔しがらない素振りを見せつつ、写真室から使えそうなフィルムをこっそり拝借しました。
宏伸は早速カメラにフィルムをセットしようとしましたが上手くいかず、温子のアドバイスで近くの『みやもと写真館』店主の宮本賢一(吉沢悠)に見てもらうことにしました。すると、このカメラは一昔前のプロ用カメラを改造した世にも珍しい360度の世界が撮影できるパノラマカメラであることが判明しました。
宏伸は温子と共に早速カメラの性能を試すことにし、敦の力も借りて重いカメラを街を一望できる展望台まで運んでいきました。このカメラはフィルムを巻き取る速度と同じ速度で自動的に台座が回転する仕組みになっており、宏伸がシャッターを押すとカメラは街の風景を写し始めました。
その後、宏伸たちは宮本に現像してもらった写真を見て、自分たちが誤って写ってしまったことに苦笑しながらも出来栄えに満足していました。宏伸はこのカメラのことは三好に黙っておくことにし、温子に気のある敦は「温子さんと一緒に撮影する時は俺を呼べ」という条件を持ち掛けました。
この日以来、宏伸はすっかり360度パノラマカメラの魅力に取りつかれ、見違えるように生き生きとした表情をするようになっていきました。三好も宏伸の変わりように驚いていました。宏伸は街中を駆け回ってパノラマ映えしそうな場所を探し回りましたが、中々思うような場所に巡り合えず、宮本に相談してとある場所を教えてもらいました。
やがて夏休みに入り、宏伸・温子・敦はカメラを持ってその場所に向かいました。そこは温子の友人である農家の小出智也(水野勝)のひまわり畑で、宏伸たちは畑の中心で畑一面に咲き誇るひまわりを写し始めました。
その際、小出から将来について聞かれた宏伸は、進学はするものの写真は部活引退と共に卒業すると言いました。その後、宮本に写真を現像してもらっら宏伸らはその出来栄えに深く感激していました。
世界でいちばん長い写真のネタバレあらすじ:転
夏休みが終わり、宏伸は恒例の写真審査会に遅刻してしまいます。経費の管理を命じられ、一人部室に残っていた宏伸の元にエリカが現れ、宏伸が撮ったパノラマ写真を見て大変驚きました。二人はすっかり打ち解けあいましたが、その様子を盗み聞きしていた三好もパノラマ写真の存在に気付いてしまい、宏伸は結局三好にもカメラの使い方を教えることにしました。
三好とエリカはこのカメラを使って文化祭の後の卒業記念イベントの目玉として何か撮ろうと考えていましたが、そこに宏伸と温子の祖父で『リサイクルショップ竹中』店主の竹中芳郎(小松政夫)が現れ、このカメラには持ち主がいることを明かしました。
このカメラの持ち主は世界で最も長いパノラマ写真を撮ってギネスブックにも載ったという人物で、その写真はこのカメラ“1号機”よりも特殊な“4号機”で13回転しながらその間に被写体の人々が様々なポーズを取って楽しんだものであるといい、その長さは1号機の約1mをも遥かに超える145mだというのです。芳郎は早速持ち主に連絡を取り、東京の博物館に寄贈する予定だった4号機を特別に貸してもらえることになりました。
三好ら部員は早速のカメラを使って、校庭で学校中の全ての部活動の集合写真を撮ろうという案を思いつきましたが、相変わらず引っ込み思案な宏伸はまたしてもやる気をなくしてしまいます。そんな時、宏伸は温子にひまわり畑に連れて行ってもらい、既に萎れかけたひまわりの花のように残り少ない青春時代を思う存分エンジョイすべきだと励まされました。
三好たちは各部活の部長たちを集めてパノラマ写真の計画を説明しましたが、どうしても乗り気ではい部長たちを説得させられません。そこで宏伸はその場の全員にひまわり畑のパノラマ写真を見せ、みんなで“世界でいちばんの写真”を見たくないかと呼びかけました。
三好は「世界一長い写真実行委員会」を立ち上げ、委員長に宏伸を指名しました。こうして“セカ長”となった宏伸は自らまとめ役となり、部員やエリカ・敦・敬太と共にとことん語り合って計画を練り上げていきました。そして学校中の部活も宏伸たちの呼びかけに応じ、撮影当日までの準備を進めていきました。
『みやもと写真館』での打ち合わせの後、宏伸は帰り道でエリカと交わした握手の感覚が忘れられませんでした。
世界でいちばん長い写真の結末
文化祭の最終日。これで部活引退となる三好は自ら撮った写真を見て感傷に浸り、その場にいた宏伸に希望していた美大を親の反対で断念したことを打ち明けました。宏伸は試し撮りしたパノラマ写真を部室に掲げながら、「普通の写真って一瞬を切り取るものだけど、このパノラマ写真だと1枚の中に時間が流れるっていうか…。良い時もあったり、悪い時もあったり…人生に似ているのかも」と語りました。
そして撮影当日。各部活は校庭に割り振られたスペースに集い、温子や小出も訪れました。宮本と共に4号機カメラをセッティングした宏伸は自ら音頭を取ってその場を仕切り、そしてカメラのシャッターに手をかけました。部員たちはカメラの動きに合わせてそれぞれ思い思いのポーズを取り、温子・宮本・小出も生徒たちの輪の中に入りました。1週目が終わると三好は校庭を離れ、急いで校舎に駆け込むと写真審査会で1位になった時に使った鏡を持ち出しました。
11周目に突入したところ、温子は宮本に「私と結婚しませんか? 返事は13周目まで待ちます」と唐突に告白しました。そして最後の13周目、宮本は温子のプロポーズを受け入れ、敦はまさかの展開にあっけに取られてしまいました。いよいよ撮り終えようとしたその時、三好は大きな鏡を宏伸の前に掲げ、宏伸も写真に写るように取り計らってくれました。大役を果たした宏伸は感無量になり「終了です! お疲れ様でした!」と声を張り上げました。生徒たちの間からはいつしか“宏伸コール”が沸き上がりました。
そして4年後の現在。温子と宮本の結婚披露宴が盛大に執り行われていました。宏伸は東京の大学に進学しており、カメラは続けていました。式場にはカメラマンとなった三好も駆け付け、宏伸はサプライズとしてあのパノラマカメラで集合写真を撮ろうと呼びかけました。敦と敬太が式場にカメラを運び入れ、宏伸は笑顔でシャッターを切りました。
翌日、宏伸は久しぶりに母校に足を踏み入れ、思い出の写真部の部室を訪れました。そこには三好の姿がありました。宏伸は三好からカメラを続けている理由を聞かれ、「写真を見た人の顔を想像したら撮りたくなるからかな。カメラがあって、写真ができて、それを見る人がいるんだろうって。“あの日”初めて気付いた」と答えました。
あの時、完成した“世界でいちばん長い写真”は、宏伸の仲間たちや多くの生徒たちの心を打ちました。憧れのエリカには新しい彼氏ができ、三好からそのことを問われた宏伸は「悔しくないよ」と答えました。宏伸の背中には三好が貼った“1位”の証のリボンがありました。
以上、映画「世界でいちばん長い写真」のあらすじと結末でした。
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