疾風ロンドの紹介:2016年日本映画。2013年に発表され、あっという間に100万部を超える大ヒットとなった作品。主人公の主任研究員が働く医科学研究所で開発されてしまった、危険な違法生物兵器「K-55」が同研究所から盗みだされてしまう。それを4日間で探し出すことができるだろうか。ドキドキがとまらないスリル満点?!とコメディが交じり合う「笑撃?!サスベンス」 原作は、数多くのミステリー作品を書かれている作家・東野圭吾の長編小説「疾風ロンド」。主人公の泰鵬医科学研究所主任「栗林和幸」を演じるのは「テルマエ・ロマエ」など数々の作品に出演し個性的で存在感大な俳優、阿部寛、舞台となるスキー場でパトロール隊員・根津昇平には、関ジャニ∞の大倉忠義。その根津と共に栗林をサポートするのがスノーボード選手、瀬利千晶を元AKB48の大島優子が演じる。
監督:吉田照幸 原作:東野圭吾 出演:阿部寛(栗林和幸)、大倉忠義(根津昇平)、大島優子(瀬利千晶)、ムロツヨシ(ワダハルオ)、堀内敬子(折口真奈美)、戸次重幸(葛原克也)、濱田龍臣(栗林秀人)、志尊淳(高野誠也)ほか
映画「疾風ロンド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「疾風ロンド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
疾風ロンドの予告編 動画
映画「疾風ロンド」解説
この解説記事には映画「疾風ロンド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
詳細解説
疾風ロンドのネタバレあらすじ1:月曜日
男が雪山の木の根元にビンを埋めています。それと同時に、フラッシュバックで、研究室の冷蔵庫からシャーレを取り出し、何かを測定し、パソコンの画面には「K-55」という数値が出ています。男は、埋めた木の幹に赤い帽子をかぶり、マフラーを巻いたテディベアを引っ掛けました。
疾風ロンドのネタバレあらすじ2:火曜日
主人公は栗林和幸。泰鵬大学医科学研究所の主任研究員で、父子の2人暮らしでした。朝、出かけようとすると玄関で滑ります。息子の秀人がワックスを使い、そのまま拭き取らなかったせいでした。映画では語られませんが秀人はスキー板にワックスをかけたからだと思われます。和幸は怒りますが、秀人は軽くいなして出かけます。和幸は怒りながらも、亡き妻の位牌を拝んでから出かけます。
さて、研究所についてから、和幸は、白衣にマスク、帽子をかぶり、冷蔵庫を開けました。あるはずのものがありません。急いで白衣を脱いで、所長である東郷の部屋に駆けつけて報告すると、「やはり、本当だったか」とメールを見せます。それは、東郷が解雇した元・研究員の葛原克也からのメールでした。内容は、「俺が開発した炭疽菌K-55をある場所に隠した。返してほしくば、3億円用意しろ」というものでした。和幸は、早速、警察に通報しようとしますが、東郷に止められます。
問題が発覚したら、2人とも責任問題です。そして、東郷はコネで別研究所に移れても、和幸は潰しが聞きません。来年は秀人の受験も控えています。東郷の尻拭いをするしかありません。引き受けようとしたところ、警察から電話がかかってきました。それは、犯人の葛原が事故で死んだというものでした。警察の遺留品を引き取り、何か手がかりになるものを探します。しかし、テディベアを映した写真が何枚かあるだけです。それに、テディペアを見つけるための受信機のみ。とりあえず、分かるのは雪山という事だけです。和幸は、早々に帰宅しました。
東郷は、防犯カメラの映像から折口真奈美を呼び出しました。彼女が帰宅しようとした時、葛原が「忘れ物をした」と研究所の侵入を許したのです。折口は、葛原の死もあって動揺しており、泣きじゃくって話になりません。東郷は所長室から追い出しました。しかし、折口は、所長室に盗聴器を仕掛けていました。3億円のことも知っていて、K-55を奪おうと企んでいるのでした。
家に帰ると、秀人がゲームをしていました。そこで和幸は「新しいウェアを買ってやる」ことを条件に、写真の雪山がどこか突き止めさせようとします。秀人はダメ元で、スキー用品の店員に尋ねます。店員もネットにUPして、聞いた方がいいというのですが、「それはダメだと言われてる」と断り、写真に写ってるリフトから、何とか知り合いの中で、どこか特定されました。そこは…
和幸は、東郷に報告します。しかし、思ったより時間がありませんでした。まず、K-55は10度になると、壊れるビンに入っています。そして、テディベアを見つけるための受信機は、後4日しか電池がないのです。
疾風ロンドのネタバレあらすじ3:水曜日
残り3日。和幸は日本最大の野沢温泉スキー場にやってきました。そこで、テディベアを探さなければいけないのです。和幸がスキーをするのは学生時代ぶりです。そして、最近の運動不足もたたり、滑り込んできた少女をよけきれず転倒します。「おじさん下手」と言われます。怒ろうとしますが、両親に取りなされます。妻「こら、ミハル。急に滑り込んだらダメじゃろ」夫「ミハル、上手な人の後ろについて行きなさいって言ったろ」和幸「じゃー、お嬢ちゃん。気をつけてね」 ミハル「オマエモナー」
和幸について、秀人もついてきていました。和幸は、「学校さぼりたいだけだろ」といって、放置していますが、秀人は、和幸の様子がおかしいことに気づいていました。しかし、その心配は伝わりません。邪険にされて頭に来ていた秀人は、スノーボーダーとぶつかってしまいました。しかし、それは女の子・山崎育美でした。そのため、素直に謝り、仲良くなり一緒に滑ることになりました。
雪上パトロール隊の山小屋に、瀬利が入ってきました。「ビールない?」「ねーよ」と根津が答えます。瀬利はスノーボードクロスの選手であり、オリンピック予選を前にナーバスになっており、元先輩の根津を訪ねてきたのです。瀬利「ねえデートしない?」 根津「予選通過したらな」 瀬利「ずるい」 外国人観光客が訪ねてきたので根津が応答します。そこに救援要請が入りました。
和幸は写真の構図から危険区域に違いないと気づき、降りて行こうとしますが、雪疵(クレバス)に落ち込みます。幸い、それを見ていた、ドドメ色の帽子の男・ワダが通報してくれました。通報を受けて雪上パトロールの根津がスノーモービルで駆けつけてきました。それで、両腕を掴み、上半身を引っ張り出されて、無事這いあがることが出来ました。しかし、起き上がったと思えば、再び、違う雪疵に落ち込みます。根津は、少々嫌な顔をしながら再度、和幸は救出されるのでした。和幸は捜索を断念し、すそ野まで下山することにします。
和幸が裾野のロッジ「カッコウ」に降りてくると馴れ馴れしく話しかけてくる男がいました。先ほど通報した謎の男ワダです。和幸は感謝はしましたが、まだ付きまとい、電話の内容を聞こうとします。何とか追い払いました。和幸は捜査は難航している報告をしている時、東郷はやけになって、ウイスキーを水割りにして飲んでいました。
その頃、秀人と育美が山頂に登った時、育美は同級生2人に話しかけられます。そして、育美も滑られないかと誘われますが、秀人の案内があるからと断り、2人は、和幸が降りようとしていた危険区域を滑り下りて行きます。そして、テディベアを見つけるのです。
秀人と育美も「カッコウ」に降りてきます。しかし、そこの女主人である高野由美子は急に体長を崩し、息子の誠也に任せて引っ込みます。それは、最近、元々病弱だった娘をインフルエンザで亡くし、同じ学校の生徒を見ると落ち込むからでした。秀人は、育美の話を黙って聞き、学校割引でおごられています。
疾風ロンドのネタバレあらすじ4:木曜日
和幸は全身筋肉痛になっていました。それでも残り2日しかないので、探すしかありません。昨日の親子連れに会いました。ミハルは元気すぎて、昨日、また他の人にぶつかったそうです。和幸は見送り、受信機を作動させた時でした。反応がありました。でも、ここは森林ではありません。壊れているのかもしれません。
再度、危険区域に向かい、今度はスキーで滑り降りて行こうとしますが、なかなか滑り出せません。その様子を瀬利が見ていました。でも、やっと滑り出したかと思うと、木に激突してしまいました。瀬利は慌てて根津を呼びます。根津は和幸を見て「また、あなたですか」と、うんざり顔ですが、仕事ですので、助けない訳にはいきません。医者の診察によると靭帯損傷をしていて、数日は動けそうにありません。それでも動こうとする和幸を不審に思った根津は、スキーも下手なのに、危険区域に入ろうとする理由を考えます。忘れ物を探すのもパトロールの仕事です。
和幸は閃きました。自分の身分を明かし、明日までに奪われて隠されたワクチンを捜さないと、その薬を待っている患者が死んでしまうと。瀬利は疑っていますが、根津は使命感に燃え、受信機を受けとり、和幸の代わりに捜索を手伝うことになるのです。和幸は、東郷に連絡し、それを折口が盗聴し、ワダに連絡します。「その2人についていけばK-55のありかが分かるんだな?」 しかし、雪上パトロール隊員の根津とオリンピック候補の瀬利の2人をしても見つかりません。しかし、リフトに乗っている時、おかしな反応が一度ありました。森林ではなく、ロッジ側で反応したのです。また、ワダにつけられていることにも気づいていました。
秀人は昨日のお礼に、育美にフランクフルトをおごろうとしますが、育美の元気がありません。それは、裕紀や誠也の母・由美子に変な噂があり、裕紀にインフルエンザを伝染し、それが娘に伝染ったので、学校の連中を由美子が恨んでいるという物です。秀人はそれを否定し、一人でフランクフルトを食べ、残りは持ち帰るのでした。
その晩、根津と瀬利はバーで飲んでいました。瀬利は「かつてのような情熱がない」と言います。「1人で頑張っても誰かを助けられるわけでもない」と、27歳と言う年齢もあり、自分に限界を感じ、根津のように雪上パトロールになりたいようです。でも、根津は瀬利に夢を持っていました。明日も手伝うという瀬利に「朝6時半集合」と言って別れます。
疾風ロンドのネタバレあらすじ5:金曜日
とうとう最終日です。和幸は、昨日、さらにこけて、片足を折り、松葉杖がないと歩けなくなっていました。和幸は、またミハルたちに会いました。朝だけ滑って、昼には帰るそうです。そして、根津と瀬利は再び、ロッジ方面で受信機の反応を感じます。その時、ミハルが裾野でこけていました。その報告を和幸にし、漸く、ミハル達が持っていることに気づきます。ですが、既に昼です。もう帰っているかもしれません。根津と瀬利は監視カメラの映像から、ミハル達がカッコウとは違う食堂で昼食を食べていたことに気づきます。
和幸はフロントで、ミハル達の住所を聞き出そうとしますが、フロントはプライベート情報なので教えません。そこで和幸は奥さんの方言を思い出します。フロントにかまをかけ、方言から名古屋方面から来てたことが発覚するのです。
食堂の店員からの情報から両親がビールを飲んでいたことが分かり、根津が自動車ではなく、高速バスに乗ったと気づきます。しかし、既に名古屋行きのバスは発車していました。根津は、駐車場で洗車していた軽トラを借りて、バスを追いかけます。そして、車内にあったスプレーで、軽トラの車体(タンク)に「名古屋行バス止まれ」と書いて道をふさぎます。バスは止まり、根津が乗り込みます。そして、ミハルを探し当て、テディベアに受信機をあてると反応がありました。
しかし、ミハルはぶつかった地元の中学生からお詫びに貰ったと分かります。今度は秀人が育美に頼んでLINEで緊急連絡網を回してもらいます。「女の子にテディベアを上げた人は誰?」全員に心当たりがありませんでしたが、1人だけ反応がありません。それは1人だけ、ガラケーだからでした。和幸は東郷に見つかりそうだと連絡します。でも、その電話の内容を誰かに聞かれていました。しかも和幸はその時に、「有毒ウイルス」と口走っていたのです。場所を知っている同級生は、「カッコウ」の前で待ち伏せしていたワダに確保され、万策尽きたように思われましたが、一緒に危険区域を滑り降りていた裕紀が知っていました。
裕紀に根津が同行し、無事発見することが出来ました。しかし、ワダが同級生を人質に取り、奪われます。そこに瀬利が現れました。ですがワダもスキーだけはうまいので、なかなか捕まりません。でも、瀬利がスティックでワダの股間を強打します。それでもワダは逃げます。ですが、根津がショートカットで追いかけてきて、ラリアットを食らわせて無事、回収できました。
ロッジで、和幸が小型アイスボックスに入ったK-55のビンを受けとりますが、箱の締めが甘く、ビンは床に落ち、中身がこぼれ出ました。思わず和幸は叫びます。「生物兵器だ。全員、息を止めろ」でも、根津はクシャミをしただけでした。中身はコショウでした。誰かにすりかえられていたのです。万策尽きたかに思えましたが、誠也が気づきます。「これ、うちのピクルスのビンだ。」その時、気づきます。裕紀がいません。裕紀は、自分が学校でインフルエンザにかかり、妹を殺し、母を苦しめていると。だから、学校で誰か病気になり死ねば、母の苦しみは終わると。
瀬利が言います。「今日、スキー教室が行なわれていて、終了後に豚汁がふるまわれるはず。」根津と和幸が駆けつけます。既に豚汁を飲んでいるようですが、普通に飲んでいました。裕紀は雪上車の前で佇んでいました。結局、裕紀にはできなかったのです。「カッコウ」に帰り、親子のわだかまりは解けました。和幸も無事K-55を回収でき、今度こそ、めでたしめでたしになりませんでした。秀人もK-55のことを知ったからです。
自主しろと進めますが、和幸は、メンツや地位にこだわります。結局、親子喧嘩になり、和幸は頭を冷やすためにロビーに降ります。するとフロント係から、秀人が「ミハル達の住所を教えてくれ」と頼んでいたことが分かりました。
疾風ロンドの結末:土曜日
翌朝、和幸は、寝ないで考えた末に、目覚めた秀人に自首することを伝えます。ミハルの父親の言葉を思い出したからです。「ミハル、スキーを上達するには、上手な人の後ろについて真似することだ。」和幸も研究職についた時は理想がありました。しかし、いつのまにか利権や保身を考える人間になってしまったと。「すまんな。秀人、当分、新しいウエア買ってやれなくて」すると東郷から連絡が入りました。
和幸からK-55を回収したはずの折口が帰ってこないというのです。折口はワダと合流していました。2人は実は姉弟でした。偽造パスポートで成田に向かいます。和幸は呆然としていますが、秀人が「相談してよ」と言います。実は秀人がすり替えて、窓に本物をつるしていたのです。
根津は「SNOW WARS」というタイトルの動画を見ていました。瀬利は入って来るなり「あー消して消して」と騒ぎます。たった一晩で、既に10万再生された、その動画に映っているのはワダ(折口弟)と瀬利の追跡劇でした。根津も捜索のために葛原のデジカメを持っていましたが、動画は加工されています。なので、途中から、2人のスノーボーダーが追跡していたので、そのどちらかが撮ったのでしょう。
「謎の黒い戦士VS謎の女戦士」と銘打たれ、謎の女戦士のスティックはジェダイ(正義)の緑、謎の黒い戦士のステッィクはシス(暗黒)の赤という凝りようです。そして、謎の女戦士は叫びます。「オリンピック候補の私の実力をなめるんじゃないよ」瀬利は動画を消して叫びます「もうお嫁にいけない」根津は「そん時は俺が責任取ってやるよ。ま、冗談だけどな」瀬利「言ったな。じゃ、引っ込みつかなくなったから、オリンピック選手になったらデート」 根津「頑張れよ」
秀人は見送りの際、育美が裕紀ではなく、兄の誠也が好きなことに気づいて失恋しながら東京に帰ります。研究所では和幸に回収ボックスを渡された東郷が追いかけてきます。中はK-55の報告発表会のお知らせでした。偽造パスポートで成田で捕まった折口姉弟が大事に持っていた中身は、フランクフルトでした。木曜日に秀人がおごろうとして、育美は裕紀(実は誠也)の心配をしていて食べて貰えなかった失恋の思い出です。
●オマケ(原作との違い)
・野沢温泉スキー場ではなく、原作では黒沢温泉スキー場。
・原作では秀人はスノーボーダーではなく、スキーヤー。
・迫力ある雪上決戦は、カメラマンもスキーを履いて滑りながら撮影していた。
・秀人はすり替えたK-55のビンを根津に預けていた。
・和幸の会見エピソードは映画オリジナル
東野圭吾×阿部寛でおもしろくないはずがない!
ほどよいコメディ感と疾走感で、家族愛にほっこりする場面もあり。
どの世代にも楽しめる内容だと思います。ムロツヨシの怪しさとうさんくささが絶妙。
最後のオチまで見逃さないで観てほしい。