白河夜船の紹介:2015年日本映画。自分の不倫、友人の死をきっかけに眠ることにより自分から逃げ出そうとするが、あることがきっかけで少しずつ立ち直っていく女性の物語。原作は吉本ばななです。
監督:若木信吾 出演:安藤サクラ(寺子)、谷村美月(しおり)、井浦新(岩永)、高橋義明(しおりの昔の恋人)、紅甘(公園で出会う少女)、伊沢磨紀(しおりの母親)、竹厚綾(岩永の妻)、ほか
映画「白河夜船」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「白河夜船」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
白河夜船の予告編 動画
映画「白河夜船」解説
この解説記事には映画「白河夜船」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
白河夜船のネタバレあらすじ:起
寺子(安藤サクラ)には、岩永(井浦新)という年上の恋人がいます。この日も岩永の電話で起きた寺子は、木曜に彼といつもの橋の上で会う約束をしました。岩永と会った寺子は親友のしおり(谷村美月)のことを話そうとしますが、なかなか言い出せません。その後二人でホテルへ行き、寺子と岩永は深く愛し合いました。
寺子が大学生の時に一緒に暮らしていた親友のしおりは、明るくていつも笑顔の女性でした。そんなしおりと一緒にいるのが好きだった寺子。しおりは大学卒業後、体の関係はもたない“添い寝屋”として働き始めます。そのため、約一年前に寺子とは別々に暮らし始めました。
そんなある日、しおりは睡眠薬を飲んで自殺してしまいます。自殺の理由はよくわかっていません。ただ部屋で一人ひっそり死んだしおり。寺子は、しおりの死の原因は仕事にあるのではないかと考えます。親友が亡くなり、以前にもまして不安と寂しさを感じる寺子。ただでさえ岩永との関係は普通でなく、社会との接点が断たれている状態の寺子は、以前にもましてよく眠るようになり、岩永からの電話で目を覚ますというゆがんだ生活をおくります。
白河夜船のネタバレあらすじ:承
銀行へ行った帰り道、昔の知り合いに会った寺子は、「相変わらず不倫をしているの?」と尋ねられます。そして、いい加減真面目に恋をするよう言われる寺子。知り合いと別れて部屋で一人になると、添い寝の仕事を始めた頃のしおりを思い出します。
しおりは、添い寝の途中に居眠りすることが無いよう気を付けていました。もし途中で相手が起きた時に自分が寝ていれば、相手は寂しがります。眠らずにずっと起きておいて、もし途中で相手が起きると微笑み、そして水を差し出します。すると安心して、相手は再び眠りにつくのだと説明するしおり。「人は誰でも安心するために、隣で誰かに眠っていてほしいもの」と、しおりは話すのでした。
そんなことを思い返していると、眠りに誘われる寺子。そして岩永からの電話で起こされます。晩御飯に誘われた寺子は、昼間に古い友人に会ったことを報告しました。そして中華を食べながら、二人が出会った冬を思い出す寺子。寺子は、岩永の妻の話をしました。しかし岩永は妻の話をしたがりません。岩永には妻がいますが、彼女は交通事故に遭って以来、ずっと植物状態で入院しています。
この日も寺子と食事をとった後に、岩永は妻の実家に行く予定でした。しかし、なかなか席を立とうとしない岩永を寺子は心配します。病院の費用や付き添いなど、すべてをこなす岩永の疲れが目立ち始めます。そんな岩永を冷たい人だと感じつつも、それでも彼を愛している寺子。
岩永と別れて街を歩く寺子は、寂しさがこみ上げてきました。岩永は寺子に20万円の生活費を渡して、部屋で一人ひっそり生きていくことを望んでいました。寺子はたびたび岩永のことをしおりに相談していたのですが、そのしおりはこの世にもういません。
白河夜船のネタバレあらすじ:転
以前、しおりに岩永のことを相談した時、岩永は寺子のことを「無」だと思っているのではないかと言われたことがありました。一方のしおりは、添い寝の仕事に没頭し、ベッドに入ると眠れない癖がついてしまい、困っていました。
寺子は次第に岩永からの電話でも、起きることが困難になります。深い眠りに落ちてしまう寺子。岩永から何度目かの電話でようやく起きた寺子は、次の日に会う約束をしました。二人で愛し合った後、安心したように眠りにつく岩永。その横で寺子は、しおりの夢を見ました。
それは楽しい夢でしたが、しおりのある言葉を思い出します。「影のようにその人の隣に眠っていると、影を吸い取るように心をうつしとってしまう」と、話すしおりの言葉。目が覚めた寺子は、岩永の隣にいることでそのような状態に陥っていることを理解しはじめ、深い悲しみを感じます。
白河夜船の結末
何もすることがなく、家でただ岩永からの電話を待つ寺子。眠気に襲われ、気が付けばベッドで寝てしまっています。寺子は公園のベンチに座り、眠気と戦っていました。すると一人の少女が心配して声をかけてきます。その公園はよくしおりと来ていた公園です。
寺子はその思い出を少女に話していると、また眠りかけようとする寺子。少女は「駅に行って求人雑誌を買って、今すぐバイトをしなさい」と言います。立って手や足を動かす仕事をするよう諭す少女。「このままだと取り返しのつかないことになりそうで怖いの…」と少女は心配します。少女は、「あなたは自分と近い場所にいるので、私と会ってしまったの」と説明します。心が疲れ切ってしまっている寺子。「私のせいで疲れてしまっている気がして、申し訳ない」と少女は謝りました。その瞬間、寺子はその少女が岩永の妻だとわかります。そして公園にいた少女は、姿を消しました。
少女に言われた通りに、サンプリングのバイトを始めた寺子。岩永からの電話がなくても眠りから覚めて、バイトに励みます。そして初めて給料をもらった寺子は、給料袋からお金を取り出し、笑みがこぼれました。そこへ岩永から電話がかかってきます。寺子はバイトを始めたことを報告しました。嬉しそうな寺子の声を聞いて、寂しさを感じる岩永。
その夏、二人は花火大会へ行きました。大勢の観客がいるので、花火が見える場所にたどり着けない寺子と岩永。すると「少し見えたらいい」と寺子は言い、ビルとビルとの間に見える狭い花火を静かに見つめる二人でした。
以上、『白河夜船』のネタバレあらすじと結末でした。
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