シュウカツの紹介:2015年日本映画。「就職トラブル」をテーマに、ブラック企業の面接を受ける学生たちが様々なシチュエーション下の“圧迫面接”に臨む姿を全4話のオムニバス形式で描いた会話劇スタイルの密室型シチュエーション・サスペンスであり、後にシリーズ化もされています。映画『さらば仮面ライダー電王』の桜田通や『仮面ライダーオーズ』『科捜研の女』の渡部秀ら若手俳優陣が面接官に追い込まれる学生を演じます。
監督:千葉誠治 出演者:桜田通、渡部秀、戸谷公人(カトウシュンスケ)、横浜流星(カシワバラタツヤ)、廣瀬智紀、肘井美佳(面接官)ほか
映画「シュウカツ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シュウカツ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シュウカツの予告編 動画
映画「シュウカツ」解説
この解説記事には映画「シュウカツ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シュウカツのネタバレあらすじ:起・第1次面接『見えない相手』
某ネットIT企業の最終面接を受けるために赴いたカトウシュンスケ(戸谷公人)は、受付はおろか社内に誰一人もいないことに戸惑っていました。そんな戸谷の前に面接を終えたばかりの男が現れ、「ふざけんな、ったく」と吐き捨てて去っていきました。
「面接室にお入りください」とのアナウンスを受けて入ったカトウは、ただ机にモニターとカメラ、1台のスマホが置かれているだけの面接室に通されました。面接官は面接室には姿を見せず、スマホとカメラを通じてやり取りすることになっていました。初めてこのような面接を受けるカトウは、これが本当に最終面接なのかと疑問をぶつけてみたところ、先程の面接を受けた男は混乱して途中で退席してしまったというのです。
カトウは大学時代にネットコンテンツの制作経験があり、自身が作ったサイトやブログは1万ビューの実績があることをアピールしましたが、モニターの中に口元だけ登場した面接官は「それじゃダメなんですよ」と告げ、これからはクリエイターはユーザーたちに親近感を抱いて欲しいといいもっともらしいセリフを並べました。
面接官はカトウに対してカメラの前で抱負を語るよう命じ、その様子をネットで配信して内定者は当社の有料会員の投票で決定すると告げてきました。カトウは一介の学生が説得力のないことを語るのはバッシングや炎上につながると躊躇、何の許諾もなしに勝手に事を進める会社側の姿勢を糺し、個人のプライバシーを盾に面接形式を変更してほしいと訴えましたが、面接官は「では、あなたも離脱ですね」と聞く耳を持ちませんでした。そこでカトウは面接官は顔を出さず、自分はネットの晒し者になるのは理不尽だと反論、面接官の理屈を安っぽいネットサバイバル映画やライトノベルに例えると、大学のサークル仲間を呼んで思う存分面白おかしくやってやるとまでぶち上げました。「では、やっていただけるのですね」と喜ぶ面接官に、カトウはこの会社の業績が悪化していることを見破ったことを告げ、自分を晒し者にしてユーザーを取り込もうという魂胆だと論破、「生まれた時からのネット世代をバカにしないでください」と面接の辞退と録画した映像の無断使用禁止を告げて面接室から去っていきました。
シュウカツのネタバレあらすじ:承・第2次面接『拡散』
「海洋リゾート開発株式会社」の面接室に入ったカシワバラタツヤ(横浜流星)は、面接官がやる気もなくスマホをいじっている光景を目の当たりにしました。ようやくカシワバラの存在に気付いた面接官は「あーそうですよね」とすっとぼけ、カシラバラは戸惑いながら席につきました。面接官は面接を始める前にカシラバワに対し「あなたは当社の採用試験に合格されました」と告げてきました。先日の面接は最終面接ではなかったのかと問うカシラバラに、面接官は「私は人事部ではないのでよくわかりません」と言うと、「今日はこれを見てほしくてお越しいだだきました」と書類を取り出してきました。それは、内定を辞退しないという誓約書であり、辞退した場合は損害賠償を請求するというものでした。理不尽な条件を突きつけた面接官は内定は既成事実として決定していることであり、「当然じゃないですか、ハハハ!」と笑ってきました。カシワバラは「ちょっと待ってください!」と面接官を制すと、どんな業務内容かも雇用形態かも知らされていないのに勝手に話を進められては困ると訴え、誓約書にはサインしないと告げると「あなたは本当にこの会社の人間なんですか?」と疑問をぶつけました。
ところが、面接官は「私は冷静に話をしているのに、あなたは大声で威嚇するんですね」と開き直り、損害賠償の正当性を主張してきました。呆れたカシワバラは「あなたは僕の言ってることがわからないのですか」と問い詰めると、逆ギレした面接官は「誤解しないでください。あなたのような常識の欠落した学生に内定を出した人事部に動揺しているだけです」とのたまい、カシワバラが辞退した場合には次の内定者に連絡するまでだと内定者リストを提示してきました。あらかじめこの会社について調べてきたというカシワバラは「辞退はしません。そもそも内定はいただいていないのですから。学生をバカにしない方がいいですよ」と言うと、面接官の狙いは内定者全員に書類にサインをさせることで会社の保有するリゾート会員権をローンで購入させるのが魂胆だと論破、さらには机に無造作に置かれていた名札から面接官の所属部署がリゾート営業部であることを見破ると「こんなブラック企業からの内定、こちらからいただくのは遠慮します」と告げて退室しようとしました。
面接官はスマホ2台を使った見え透いた猿芝居を打ち、このやり取りが人事部に聞かれていると嘘をついて引き止めようとしましたが、カシワバラはあっさり芝居を見抜くと「だっさ。このことはネットに拡散しておきますから」と吐き捨てて退室していきました。
シュウカツのネタバレあらすじ:転・第3次面接『生き残り』
創業70年の歴史を持つ、地方都市に本社のある会社の最終面接に臨む廣瀬(廣瀬智紀)は面接室に入るなり、面接官(肘井美佳)は当社の伝統として最終面接に進んだ者の人間性をリサーチしていることを告げ、いくつかプレイベートな質問に答えれば採用条件を提示すると言ってきました。
どんな質問でも大丈夫だという廣瀬に、面接官は廣瀬が最初の面接を受けて帰宅する際、電車内で老婆に席を譲らなかったことについての説明を求めてきました。廣瀬は老婆と思わしき人物は足腰もしっかりしてそうであり、また慣れた手つきでスマホのLINEを操作しており、更には女性には年寄り扱いされることを嫌う人もいることから席を譲らなくてもよいと判断したと明かしました。ところが、面接官は老婆が病院からの外出を許可された身であり、孫とのやり取りのために頑張ってスマホの使い方を覚えたのではないかと反論してきました。廣瀬は面接官が老婆のLINEを覗いたのではと問うと、面接官は「かもしれません」とはぐらかす素振りを見せました。
続いて面接官は、老婆の件の翌日に廣瀬が電車でとある書店に併設のカフェに行った時の事を質問してきました。廣瀬は本を手にコーヒーを飲んだのですが、席を立った後その本にはコーヒーのシミが付いていたというのです。面接官は本をそのままコーナーに戻したのはなぜかと問うと、廣瀬は「こう言うと思ってました」と言うと、買い取っていたその時の本を提示してみせました。実は廣瀬は後日に買い取るため誰も気が付かない奥にしまっており、その時間はこの会社の勤務時間内だったと証言しました。廣瀬は自分はブラックコーヒーしか飲まず、この本のシミは別の人がつけたものだと見破ったことも明かしました。信じがたいという面接官に、廣瀬はこの本は実用書であり、この会社についても特集されたいたのでどうしても欲しかったと明かしました。
面接官は廣瀬がカフェを出た後とある病院に向かったが、病室の前で立て続けに電話に出た後、病室に入ることなく立ち去ったことについて質問してきました。病室には廣瀬の友人が入院しており、廣瀬とドライブに出かけた際に事故に遭い昏睡状態に陥ったというのです。実は廣瀬の友人は脳腫瘍を患っており、廣瀬に数少ない採用枠を譲ると申し出ていたのです。
廣瀬はこの会社が身体障害者を積極的に雇用していると知ったうえで、自分がまず入社して認められることで、友人が回復して脳腫瘍を克服した際には雇用してほしかったと打ち明けました。廣瀬の話を聞き終えた面接官はこれで質問は終わりと告げ、次は社長自ら直々に質問がしたいと伝えると、廣瀬はぜひ社長に認められたいとの決意を明かして退室していきました。
シュウカツの結末:最終面接『控え室』
とある会社の面接を受ける渡部(渡部秀)は控え室で待機するよう告げられました。渡部が待機していると、控え室にもう一人の男・桜田(桜田通)が入り、スマホをいじり始めました。桜田は唐突に「今日は最終面接かな?」と問いかけてきたので、渡部は「曖昧なことは言えないんで」と言葉を濁しました。桜田は「最終面接ってどんな面接をするんだろうな? 今までの面接は意見交換らしいよ」などと言っていると、桜田のスマホのアラームが鳴りました。それは明日の面談のためにセットしていたというのです。
桜田は渡部にコーヒーを注ぐと、面接で緊張しないためにはどうすればいいのか問いかけました。いつも緊張のせいで最終面接に落ちると言う桜谷に対して渡部は「緊張しない人なんていないんじゃないですか」と返し、20社も受けて内定ゼロだという桜田は渡部に内定は受けたのかと問うと、渡部は「僕もまだなんですよ」と答えました。それを聞いた桜田は「嘘つくなよ」とボソっと呟き、動揺する渡部に「知ってるぜ。お前は他の会社の内定もらってるんだよな。でもここの内定もらったらここにしようと思ってるんだよなあ」と揺さぶりをかけてきました。桜田は前もって渡部が内定をもらった会社の面接グループから連絡先を聞き出しており、ピックアップした合格しそうな人物の中から渡部の個人情報を割り出していたのです。そこまでして内定がほしいのかという渡部に、桜田は「念には念を入れてさあ。僕もどうしても入りたいからね」と答えました。
渡部は互いにペナルティをもらっては元も子もないと、最終面接は始まるまでは互いに黙っておこうと持ち掛けましたが、桜田は「内定を譲ってくれないか? なあ頼む!」と持ち掛け、焦る素振りを見せて「お前は内定コレクターだろ?」と迫ってきました。渡部は二人とも受かるじゃないかと言って断ると、桜田はこの会社は内定者を二人に絞ったうえで競わせて一人を選ぶのだとして引き下がりません。渡部は「さっきは意見交換型と言ったよな? それなら二人の採用もあるだろう」とすると、桜田は「うっせえなあ!細かいことはどうだっていいんだよ。こっちは確実に内定もらいたいんだよ!」と取り乱す素振りを見せたかと思うと、入院している母のためにどうしても内定が欲しいと緩急織り交ぜた揺さぶりをかけてきました。
渡部は落ち着き払った表情で、桜田の母はどこの病院に入院しているのか尋ねると、医学部に通う友人からもっと良い病院を紹介してもらえると告げました。「マジ!?」と喜ぶ桜田に渡部は就活には情報交換が必要だと話し、病院名を聞き出すことに成功しました。その病院はメンタルクリニックであり、桜田は「お前も面接官と同じだな。俺から内定を奪おうたってそうはいかないぜ。面接官に言うんだろ?」と恫喝すると、渡部の彼女の個人情報を掴んでいるとして更に揺さぶりをかけ、「言い訳なんかするな!」と声を荒上げました。社員が様子を見に来たことに気付いた渡部は、桜田が密かにコーヒーに下剤を混入させていたことも見破ったことを告げると、あらかじめ友人たちとの情報網を使って桜田の情報を仕入れていたことを打ち明け、他人の弱みに付け込んでくる者がいるから気をつけろと忠告されていたことまで明かしました。綺麗事を言うなという桜田に、渡部は「どうせ入社しても嘘はすぐバレるさ。綺麗事と思うかはアンタ次第だな」と告げると、桜田が昨年もその前の年もこの会社の面接を受けたことを知っていると逆に揺さぶっていると、控え室に社員2名が入り込み、二人に「あなた、今回の受験者ではないですね。警察を呼びますよ」と通告しました。驚く渡部を尻目に、桜田は勝ち誇った様子で「また来年会おうな」と告げて退室していきました。
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