蠢動 -しゅんどう-の紹介:2013年日本映画。それぞれの義を貫こうとする武士の生き様を描いた本格正統時代劇。1982年に自主製作された映画「蠢動」を、三上康雄監督自身がセルフリメイクした作品。撮影・音楽・キャスト等にこだわり抜いた渾身の一本となっている。享保の飢饉から3年。ようやく落ち着きを取り戻した因幡藩は、幕府からの無理難題に頭を抱えていた。藩を守るため、城代家老の荒木は苦渋の決断を下す。
監督:三上康雄 出演者:平岳大(原田大八郎)、若林豪(荒木源義)、目黒祐樹(松宮十三)、中原丈雄(舟瀬太悟)、さとう珠緒(香川由紀)ほか
映画「蠢動(しゅんどう)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「蠢動(しゅんどう)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
蠢動(しゅんどう)の予告編 動画
映画「蠢動(しゅんどう)」解説
この解説記事には映画「蠢動(しゅんどう)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
蠢動(しゅんどう)のネタバレあらすじ:幕府の要求
舞台は享保20年冬、山陰の因幡藩。城代家老の荒木源義は、幕府からの無理難題に頭を悩ませていました。享保の飢饉から3年が経過し、藩の財政がようやく落ち着いた矢先、多摩川の治水助成金を上納するよう要求があったのです。藩としては倹約に倹約を重ねた余剰金をおいそれと差し出す訳にはいきません。しかし断れば藩の改易、取り潰しは必定。苦悩する荒木と城代家老付用人舟瀬太悟は、悩みの原因である男のもとへ足を向けました。男の名は松宮十三。幕府から遣わされた剣術指南役で、剣術師範の原田大八郎と共に若い藩士に稽古をつけています。舟瀬の調べによると、松宮は幕府の密命で因幡藩の内情を探っているらしいのです。彼に隠し田などを発見され、幕府に報告されてしまっては一巻の終わりです。何食わぬ顔で荒木達に挨拶をした松宮は、藩士の木村と草加に手合わせを披露するよう命じます。剣術より頭脳に秀でた木村は草加に手酷く打ち負かされてしまいました。それを見ていた木村の幼馴染香川廣樹は、木刀を取り代わりに草加に挑みます。実戦を想定した香川の剣術に、草加はあっさり倒れてしまいました。しかし礼節を重んじる松宮は、野生的な香川の剣術を嫌悪し厳しく叱ります。
蠢動(しゅんどう)のネタバレあらすじ:剣術修行
木村を連れ帰宅した香川。香川の姉由紀と木村は、春に祝言をあげる予定です。香川姉弟は12年前相次いで両親を失いました。父は藩を守るため罪を被って切腹し、後を追うように母も亡くなったのです。遺された姉弟の面倒をみてくれたのが木村の家でした。香川は父のことを、ただ藩に使われただけだと考えています。そのために、剣術に励み強くならなくてはと思っていました。香川は他藩へ剣術修行に行きたいと願っていましたが、それには松宮の推挙が必要です。香川の師でもある原田が何度も頼み込んでいましたが、松宮はなかなか許可を出しません。その話は荒木や舟瀬にも届いていました。内情を全て知られる前に松宮を殺害すべきだと考える舟瀬は、ふと何か思いついたような表情を見せます。
蠢動(しゅんどう)のネタバレあらすじ:藩の企み
ある夜、荒木のもとに松宮の書状が届けられました。松宮が秘密裏に幕府へ渡そうとしていたもので、舟瀬の配下伊藤が奪ってきたのです。書状には、松宮が因幡藩の内情を全て調べ上げたことが記されていました。更に幕府の使者が江戸を出発し、因幡藩に向かっているという情報も入ります。もはや一刻の猶予も無い状況。使者と接触する前に、松宮の口を塞がなければなりません。その松宮は、香川と草加の喧嘩を目撃し、やはり素行に問題のある香川を推挙する訳にはいかないと断言します。項垂れて去る香川は、由紀手製のお守り袋を落としたことに気付きませんでした。お守り袋は伊藤が密かに回収します。荒木はついに松宮殺害を決断しました。松宮と渡り合える者として、原田が殺害を命じられます。原田は動揺を見せますが、藩を守るためと引き受けました。しかし、原田に計画の全てが伝えられた訳ではありません。荒木達は藩に責任が及ぶことを防ぐため、松宮殺しの罪を香川に着せようと画策していました。剣術修行の許可を出さない松宮を恨んだ香川が、彼を殺害して逐電した、ということにするのです。翌日、香川を呼び出した舟瀬は剣術修行の許可が下りたと嘘をつき、すぐに出立するよう言い渡しました。突然の話に香川は別れを惜しみつつ、意気揚々と出発します。
蠢動(しゅんどう)のネタバレあらすじ:加速する計画
原田は草加達と酒を呑んだ帰りの松宮を襲撃し、その命を奪います。原田が去った後、伊藤が現れ香川のお守り袋を置いていきました。不審な物音に駆けつけた草加達は、松宮の遺体とお守り袋を発見します。すぐに藩士が集められ、舟瀬から松宮を殺害した香川を討てと命令が下りました。荒木から計画の全容を知らされた原田は、拒むことも出来ず討伐隊を率いることになります。木村は香川の無実を信じ、それを確かめるために討伐隊に加わりました。夜明けを迎え、雪の中香川を追いかける討伐隊。原田は木村と伝令係を連れて寺へ向かい、草加達は別の道を捜索します。寺で香川を見つけた木村は松宮が殺害されたこと、その下手人として香川が追われていることを話しました。香川は当然否定し木村も信じますが、伝令係の藩士が話も聞かず斬りかかります。香川を庇った木村が殺害され、激高した香川は伝令係を斬り殺して走り去ります。そして自分が藩に騙されたことを理解し怒りに震えました。
蠢動(しゅんどう)の結末:それぞれの義
雪原で草加達に見つかった香川は多勢に無勢ながら奮闘し、全員を殺害。そこに現れたのは原田です。「何故このようなことに」と問う香川。原田は答えず、無言で刀を抜きました。極限の緊張の後、それぞれの刃は相手の体に深く突き刺さり、香川は雪の上に崩れ落ちます。夜、瀕死の原田は城に戻り、討ち取った証拠として香川の髷を差し出しました。そして討伐隊が全滅したことを報告します。驚愕する荒木の横で、既に到着していた幕府の使者西崎隆峰が感心したように話し出しました。西崎は荒木達の謀に気付いている様子です。大勢の者の命を犠牲にしてもの忠義、よく分かったと伝える西崎。皆が去り1人になった荒木は、涙を浮かべながら「許せ」と呟きました。――月光の下、雪原で髷を切られた香川が蠢いています。原田は結局、香川を殺すことは出来なかったのです。香川が夜の闇の中絶叫し、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画 蠢動 -しゅんどう-のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する