空の青さを知る人よの紹介:2019年日本映画。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』に続く秩父アニメ三部作の三作目となる『空の青さを知る人よ』。脚本岡田麿里、監督長井龍雪、キャラデザ&総作画監督田中将賀と、ヒット作を生み出してきたスタッフが再々集結した。前2作と違うのは、主要キャラをつとめるのが俳優だということ。18歳と31歳という年代の違う同一人物慎之介役に吉沢亮、彼を思い続ける同級生あかねに吉岡里帆と、声優初挑戦ながら違和感のない演技で観客の涙を誘う。
監督:長井龍雪 声優:吉沢亮(金室慎之介/しんの)、吉岡里帆(相生あかね)、若山詩音(相生あおい)、松平健(新渡戸団吉)、落合福嗣(中村正道)、大地葉(中村正嗣)、種崎敦美(大滝千佳)、ほか
映画「空の青さを知る人よ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「空の青さを知る人よ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
空の青さを知る人よの予告編 動画
映画「空の青さを知る人よ」解説
この解説記事には映画「空の青さを知る人よ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
空の青さを知る人よのネタバレあらすじ:起
高校二年生の相生あおいは、今日も秩父橋のベンチでベースの練習をしています。
あおいは13年前に両親を事故で亡くし、親代わりとなった14歳年上の姉あかねとふたり暮らし。今日も市役所の仕事を終えたあかねが、橋のたもとまで車で迎えに来てくれました。
あおいがベースを弾くようになったのは、幼いころにあかねの同級生、慎之介たちがやっていたバンドをずっと見てきたから。あかねとつき合っていた慎之介に、大きくなったら俺のバンドのベーシストな、と言われたことを今もおぼえているのです。
あかねは高校卒業後、慎之介と東京の専門学校へ行く約束をしていましたが、両親が死んでふたりきりになってしまったあおいと離れることができず、そのまま地元で就職しました。
一方あおいは、卒業したら東京に出てバンドで天下をとる、と豪語していますが、自分の面倒を見てきたあかねに対しては複雑な思いを抱えています。そんなふたりを見守るのは、元バンドメンバーで今は市役所で働く正道です。バツイチでひとり息子の正嗣を育てる正道はあかねに思いを寄せており、結婚したいと思っています。
空の青さを知る人よのネタバレあらすじ:承
自宅の裏山にあるお堂でいつものようにベースの練習をするあおい。しかし、突然そこに18歳の慎之介(しんの)が現れます。なぜか、見えない力によってお堂から出られないしんの。驚いて自宅に駆け戻ったあおいでしたが、あかねにうまく話すことができないまま、正道にイベントの手伝いへと駆り出されてしまいます。
西武秩父駅で大物演歌歌手の新渡戸団吉の到着を待つ正道たち。ド派手にトレーラーで現れた団吉のバックバンドには、慎之介の姿がありました。正道は町おこしのため団吉にご当地ソングを依頼し、そのバンドメンバーに慎之介がいることも知っていたのです。
あおいは弟分の正嗣を連れて再びお堂へ。そこにいるしんのは、あかねに東京へ行かないと言われてショックを受けた翌日のしんのだということがわかりました。しんのは、ビッグなミュージシャンになって早くあかねを迎えにいきたいと言います。31歳の慎之介とあかねがくっつけば、18歳のしんのは無事に本体である慎之介のからだに戻れるんじゃないか、ということで、あおいはキューピット役を頼まれてしまいます。
そのころあかねは団吉の接待につき合わされていましたが、慎之介が体調を崩したため車で送っていくことに。あかねが独身だとわかり、俺のこと待ってたんじゃないかと慎之介はたずねます。答えをはぐらかすあかね。ホテルの部屋に入ると、慎之介はあかねに抱きついてきました。酔った勢いの慎之介にあかねは怒り、「がっかりさせないで」と出ていくのでした。
空の青さを知る人よのネタバレあらすじ:転
大人の男との恋愛に憧れるあおいの同級生千佳は、あおいにそういう彼氏がいると思い込んでつきまとってきます。しかし、あおいを車で迎えにきたのは姉のあかねでした。がっかりしていると、団吉のバンドメンバーふたりが食あたりで入院したとの連絡が。
そして、参加できなくなったドラムとベースの代わりに、正道とあおいが代役としてステージに立つことが決まってしまいました。
しんのに背中を押され練習を始めるあおい。しかし、リハーサルは何とかこなしたものの、慎之介にきつい言葉を浴びせられ傷ついてしまいます。その様子を動画でみたしんのは慎之介に怒りをおぼえ、もっとあおいがうまく弾けるよう練習につき合うのでした。
そんな中、あおいはこの町を出たい理由をしんのに話し始めます。それは、あかねに好きに生きてほしいから。自分のせいであかねがこの場所にしばられている、とずっと負い目を感じてきたのです。そしてあおいはしんのと心を通わせるうち、彼に惹かれ始めている自分に気づき動揺します。お堂をあとにしたあおいはあかねのため、しんののため、ふたりをちゃんとくっつける、しんのを好きになっちゃダメなんだと自分に言い聞かせるのでした。
しかしうまく自分の気持ちをコントロールできないあおいは、イライラして「あかねみたいになりたくない!」とあかねに言ってしまいます。その言葉を困ったような笑顔で受け取るあかね。
一方ひとりでお堂にやってきた正嗣は、あおいが好きだとしんのに宣言します。あおいがしんのに惹かれていることに気づいた正嗣の告白に、しんのは「こんな俺を好きになったってどうしようもねーだろ」とつぶやくのでした。
空の青さを知る人よの結末
音楽祭の会場裏。ひとりギターを奏でる慎之介のもとへあかねがやってきます。なりたい自分になれていないと感じる慎之介にあかねは、以前慎之介が唯一ソロでCDを出した曲が聞きたいと言います。
その曲のタイトルは「空の青さを知る人よ」。それはあかねが高校の卒業アルバムにも書いた、好きな言葉の一節です。
モノマネを交えながら歌う慎之介に、あかねは楽しそうに笑っています。その様子を遠くから見つめるあおい。あかねとの時間に安らぎを感じた慎之介は、いまの生活をやめて戻ってこようかな、と言い出します。あかねはふと寂しそうな顔になり、自分たちは若い、まだまだこれからだ、と慎之介を励まします。
慎之介はリハーサルに戻り、残されたあかねはひとり、大粒の涙をこぼして泣いていました。あおいは、あかねの涙を初めて見たことに気づきます。
自宅に戻ったあおいは偶然、あかねが書いた「あおい攻略ノート」を発見します。幼いあおいの目に完璧だと映っていた姉の姿は、妹のため懸命に努力した結果だったということを知ったあおいは、あかねにひどいことを言ってしまったと後悔し、そのままお堂へと向かいます。
あおいはしんのに自分の気持ちをぶつけます。そして、あかねも大好きだというあおいはどうしたらいいかわからない、とその場から走り去ってしまいます。追いかけられないしんのは、なぜ自分はここにいるのか悩みます。
音楽祭当日。団吉はお守りのようなペンダントがないと騒ぎ出します。スマホに残された写真を見直すと、どうやら古いトンネルを見に行ったときに失くしたようです。あかねがそれを探してくるといってトンネルに向かいました。
あかねがひとりでトンネルに入ったそのとき、地震が起こり、トンネルの入口が一部崩落してしまいます。
あかねを心配するあおいは、いても立ってもいられず会場を飛び出しました。
そのころ慎之介はお堂を訪れていました。そこで過去の自分と鉢合わせし、錆びついた大切なギター「あかねスペシャル」を今さら取りにきたのか、と非難されてしまいます。
そこへ駆け込んでくるあおい。あかねを心配するしんのは動かない慎之介にイラ立ち、自分が助けにいくためお堂から出ようと試みます。外からあおいも手を引っ張り、ついにしんのはお堂から出ることに成功しました。しんのはあおいの手を取ると山道を駆け下り、勢いでふたりは空へと飛び上がります。秩父の真っ青な空を飛びながら、あおいはしんのと慎之介のため、自分の気持ちにケリをつけることを決意します。
トンネルの中、ペンダントを見つけたあかねの前にしんのが現れます。31歳の顔を見られたくなかったあかねですが、もう2回見たと言われちょっと慌ててしまいます。
ふたりが外に出ると、ちょうど慎之介が到着したところでした。安堵する慎之介を尻目にあかねはあおいと抱き合い、無事を喜び合うのでした。
あかねの車で会場へ戻ろうとするとあおいは、自分は乗らないから3人で行ってと立ち去ってしまいます。後ろに乗ったしんのは眠ってしまいますが、慎之介はあかねに「いまはまだ途中。お前のこともあきらめない」と告げます。しんのやあおいが望んだとおり、慎之介は再び前向きに進み始めたのです。
気づけば後部座席にもうしんのの姿はありませんでした。
ひとりで歩くあおいのそばを、まるで別れのあいさつをするかのように風が吹き抜けていきます。あおいはその場にしゃがみこみ、泣いてしまいます。
「泣いてないし」
再び歩き始めたあおいの上には、青い空が広がっていました。
(エンドクレジット)
しんのが持っていたバンドメンバー全員とあかね、あおいが写った写真。それといっしょに飾られていたのは、あおいの成人式の写真と、慎之介・あかねの結婚式の写真でした。
以上、映画「空の青さを知る人よ」のあらすじと結末でした。
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