スペシャルアクターズの紹介:2019年日本映画。『カメラを止めるな!』のヒットで2017年の日本映画界を席巻した上田慎一郎監督が、共同監督を務めた『イソップの思うつぼ』(2019年)に引き続いて贈る単独監督長編作の第3作です。売れない不器用な俳優がひょんなことから“演技”を使って依頼主の相談事や悩み事を解決していく特殊な俳優事務所に所属することになり、やがてカルト集団を巻き込んだ大騒動に巻き込まれていきます。
監督:上田慎一郎 出演者:大澤数人(大野和人)、河野宏紀(大野宏樹)、富士たくや(富士松卓也)、南久松真奈(麻奈)、北浦愛(富士松鮎)、上田耀介(田上陽介)、清瀬やえこ(清水八枝子)、仁後亜由美(丹後真由)、淡梨(大和田多磨瑠)、三月達也(大和田克樹)、川口貴弘(河田隆弘)、桜井麻七(七海)、津上理奈(津川里奈)、小川未祐(津川祐未)、原野拓巳(原田拓己)ほか
映画「スペシャルアクターズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スペシャルアクターズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スペシャルアクターズの予告編 動画
映画「スペシャルアクターズ」解説
この解説記事には映画「スペシャルアクターズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スペシャルアクターズのネタバレあらすじ:起
売れない俳優の大野和人(大澤数人)は、うだつの上がらない不器用な性格で、極度の緊張状態に陥るとすぐ気絶するという悪い癖がありました。和人はドラマのオーディションで監督(永井秀樹)から下手な演技を怒鳴られてすぐ気絶、駆け付けた救急隊員に質問されてもすぐ気絶してしまう有様でした。
和人はメンタルクリニックの原田拓己医師(原野拓巳)に相談したところ、「心の問題なのですぐ治るものではない」と指摘されました。
和人は結局ドラマを不採用になり、生活費を稼ぐために警備会社で警備員のバイトをしていましたが、気絶癖がたたってクビになってしまいます。大家からは滞納している家賃の催促を受け、電気も止められる始末でした。
そんな和人の楽しみは超人的なパワーを持つヒーローが主人公の古いアメリカ映画「レスキューマン」を見て台詞や動きを何度も間違えることなく暗記することでした。
そんなある日、和人はカップルが酔っ払いに絡まれている様を目撃しました。和人は見て見ぬふりをしてやり過ごそうとしましたが、カップルの男は酔っ払いを殴り倒すと女と共に去っていきました。その酔っ払いは何と5年も疎遠になっていた和人の弟・宏樹(河野宏紀)でした。
宏樹は“演技”を使って相談事や悩み事を解決するという何でも屋的な俳優事務所「スペシャルアクターズ」所属の俳優として活動しており、酔っ払いを演じたのも女にカッコイイところを見せたいという男からの依頼を引き受けてのことでした。
スペシャルアクターズのネタバレあらすじ:承
翌日、宏樹は和人を「スペシャルアクターズ」の事務所に連れて行きました。和人は社長の富士松卓也(富士たくや)から、「スペシャルアクターズ」の所属俳優は映画やドラマといった通常の俳優業の他にも「店に並ぶ」「映画の試写会で笑う」「葬式で泣く」などといった演技を使っての事業、そして依頼者の要望があればそれに沿ってのオリジナルシナリオを考えることも行っているとの説明を受けました。
社内では社長の娘で演技指導担当の鮎(北浦愛)とシナリオ担当の田上陽介(上田耀介)のもと、清水八枝子(清瀬やえこ)や丹後真由(仁後亜由美)、鬼塚(宮島三郎)ら所属俳優たちが、依頼主からの依頼をもとに稽古をしていました。和人は宏樹から「スペシャルアクターズ」に入るよう勧められ、金のために引き受けることにしました。
個性豊かな俳優たちに囲まれて仕事をこなしていた和人でしたが、そんなある日、「スペシャルアクターズ」に女子高生の津川祐未(小川未祐)から「詐欺集団から旅館を守って欲しい」という依頼がありました。それは亡き両親から旅館を継いで女将となった祐未の姉・里奈(津上理奈)が怪しげなカルト集団「ムスビル」に入信し、旅館を「ムスビル」に譲渡するというのです。
相手が厄介そうなことから「スペシャルアクターズ」は緻密な作戦を練り、手始めに「ムスビル」が信者集めのため開いている「能力開発セミナー」に潜入することになりました。嫌がる和人は宏樹や八枝子と共に潜入させられ、冴えない主婦の麻奈(南久松真奈)や気弱な青年の山本(山下一世)らと共に入会しました。
大和田多磨瑠(淡梨)という青年が教祖である「ムスビル」は「多磨瑠は声を失うことと引き換えに、惑星ムスビルの神ガゼウスから超能力を授かった」という触れ込みで、多磨瑠の父・克樹(三月達也)が多磨瑠からテレパシーでメッセージを受け取って信者に伝えるという役目を担っており、幹部の河田隆弘(川口貴弘)と七海(櫻井麻七)がセミナー参加者を言葉巧みに勧誘しているのです。「ムスビル」は怪しげなグッズや多磨瑠のブロマイドなどを信者に高値で売りつけていました。
和人は宏樹や八枝子らと共に克樹に対面しますが、克樹が入会理由を尋ねようとすると和人は気絶してしまいます。やがて気がついた和人は、河田や七海ら幹部が信者に原価ゼロの石などを売りつける話をしているのを盗み聞きしました。
克樹は里奈の旅館を手に入れたら本部にし、全国に支部を作って幹部たちに“裏教典”を渡すと語っており、和人からの報告を受けた田上は裏教典を手に入れるためのシナリオ作りに着手しました。
スペシャルアクターズのネタバレあらすじ:転
克樹は里奈の旅館に信者たちを集め、正式に旅館の「ムスビル」への譲渡が決まったと発表しました。和人は祐未に里奈がなぜ言葉を発さないのか問うと、祐未は「ムスビル」の修行の一環である“断口”をさせられており、家族と旅館について話さないようにするためでした。和人は里奈に自分が緊張を和らげるために使っている柔らかいボールを見せ、旅館を譲る経緯を聞き出そうとしました。
「スペシャルアクターズ」は入念に裏教典のデータを盗み出す作戦を立て、和人が「ムスビル」のパソコンからデータを盗む役目を担うことになりました。「ムスビル」の集会に潜入した「スペシャルアクターズ」の面々らを前に、克樹は来週水曜日に“ガゼウス生誕83億9682万5800周年“を記念する式典を開くことを発表しました。
その後、「スペシャルアクターズ」の面々は潜入者が潜り込んでいたとして乱闘の振りをし、まんまと事務所に入り込んでデータをコピーすることに成功しました。和人は途中で気絶しながらも、宏樹や仲間たちと共に何とか脱出することに成功しましたが、その様子を何者かが盗み撮りをしていました。
裏教典を確認した「スペシャルアクターズ」は、次の作戦として旅館で行われる式典の当日にお化けの話で多磨瑠を怖がらせてやろうと計画しました。リハーサルには祐未や旅館の番頭・廣瀬(広瀬圭祐)も加わりました。大役を任されて怖じ気付く和人は原田医師から自分自身と向き合えとのアドバイスをもらい、「レスキューマン」のビデオを見て自らを奮い立たせました。
ビデオの中で主役のレスキューマン(ド・ランクザン望)は悪党のボス(イアン・ムーア)を倒し、ヒロインのキャサリン(ピロイなおみ)とキスをしていました。
スペシャルアクターズの結末
作戦当日、旅館に集結した「スペシャルアクターズ」や祐未らの元に、和人が遅れてやって来ました。「スペシャルアクターズ」は「ムスビル」の幹部たちに裏教典のDVDを渡し、丹後は霊媒師に扮して雰囲気を作りました。そして祐未と廣瀬は、近頃深夜に人らしき声が聞こえ、物が動いたりすると「ムスビル」幹部に話しました。そして旅館の照明が点滅し、丹後は何かに憑りつかれたフリをして「出て行け! 汚い詐欺集団め」と叫びました。
小心者の多磨瑠は震え上がり、克樹はお化けがいないことを証明するために旅館に、泊まると言い出しました。そこに麻奈が包丁を持って現れ、「和人、宏樹、八枝子はグルだ」と言うと、包丁で和人の胸を刺してしまいます。丹後は麻奈を石の置物で殴って気絶させ、宏樹は包丁を幹部たちに向けました。幹部たちが逃げていった後、押し入れに隠れていた富士松、鮎、田上が姿を表しました。
実は麻奈の正体はは鮎の母親であり、包丁も石の置物もただの小道具であり、全ては「スペシャルアクターズ」が仕掛けた芝居だったのです。克樹が旅館は諦めることを知った「スペシャルアクターズ」は更に追い打ちをかけるべく、血糊まみれの和人を式典に乱入させて滅茶苦茶にしていきました。
これまで言葉を発さなかった多磨瑠も思わず「パパ」と叫んでしまい、とどめとして裏教典の映像を会場の皆に見せつけました。それは「ムスビル」の詐欺を証明する内容でした。やがて警察が駆け付け、幹部たちは逮捕されていきました。克樹に「お前たちは何者だ?」と聞かれた和人は「役者です」と答えました。
それからしばらくして、またしてもドラマのオーディションに落ちた和人が道を歩いていると、背広姿の宏樹が何と多磨瑠や克樹たちと親しそうに過ごしているのを目撃しました。不審に思った和人は「スペシャルアクターズ」の事務所に忍び込み、依頼ファイルを探したところ、まさかの驚愕の事実を知ることとなりました。
それは多磨瑠、克樹、祐未、里奈ら「ムスビル」関係者全員が俳優であり、実は俳優ではなく実業家として成功していた宏樹が和人の気絶癖の治療のため「スペシャルアクターズ」に依頼した壮大な芝居だったのです。全てを知った和人は思わず気絶してしまいました。
以上、映画「スペシャルアクターズ」のあらすじと結末でした。
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