すくってごらんの紹介:2021年日本映画。大谷紀子の同名漫画を、本作が映画初主演となる歌舞伎俳優・尾上松也とアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子のダブル主演で実写映画化したドラマです。東京から田舎町に左遷されたエリート銀行員が金魚すくいの女性や町の人々とのとの出会いをきっかけに成長していく姿を描きます。百田夏菜子は役名『生駒吉乃』として主題歌も手がけています。
監督:真壁幸紀 出演者:尾上松也(香芝誠)、百田夏菜子(生駒吉乃)、柿澤勇人(王寺昇)、石田ニコル(山添明日香)、矢崎広(川西)、大窪人衛(三宅)、清水みさと(寛子)、辻本みず希(百合)、北山雅康(支店長)、鴨鈴女(下宿の女将)、やのぱん(通行人)、竹井亮介(香芝の元上司)、川野直輝(権太郎)、笑福亭鶴光(通行人)ほか
映画「すくってごらん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「すくってごらん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
すくってごらんの予告編 動画
映画「すくってごらん」解説
この解説記事には映画「すくってごらん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
すくってごらんのネタバレあらすじ:起
大手メガバンク・KDS銀行の東京本社に勤めていたエリート銀行員・香芝誠(尾上松也)は、ある日突然とある片田舎の町に左遷させられました。田園風景が広がる田舎道を歩いていた香芝はたまたま金魚を載せたトラックと遭遇、運転する謎めいた男・王寺昇(柿澤勇人)に半ば強引にトラックに乗せられました。
天寺に下宿先のアパート近くまで送ってもらった香芝は、古い街並みの中でたまたま出くわした赤い着物姿の女性の後ろ姿につい惹かれてしまいました。女性の後を追った香芝はいつしか「紅燈屋」という店に辿り着いていました。
香芝を出迎えたのは、あの赤い着物の女性・生駒吉乃(百田夏菜子)でした。香芝はこの店を遊女屋だと勘違いして焦りましたが、吉乃が営むこの店は“金魚すくい”の店でした。しかし、元来ネガティブな性格の香芝にとっては吉乃のことや金魚すくいのことよりも、自分が出世街道から外されたショックの方があまりにも大きすぎたのです。
香芝は異動先の支店に出勤し、支店長(北山雅康)や同僚らに挨拶しました。香芝は仕事だけに打ち込もうと決め込み、次々と新規契約を取っていきました。
すくってごらんのネタバレあらすじ:承
ある時、香芝は職場の先輩・川西(矢崎広)と共に顧客であるライブバー「Lanchu」を訪れました。バーのオーナーである権太郎(川野直輝)は経営にやる気などなく、妹の明日香(石田ニコル)が代わりにバーを切り盛りしていました。
香芝は店内のインテリアの配置や食事の価格などに対していちゃもんをつけましたが、明日香は地元に愛されている店だからと意に介しませんでした。ところが、香芝が東京から来たことを知った明日香は途端に目の色を変え、必死に猛アタックをかけてきました。
その夜、「紅燈屋」で香芝の歓迎会が開かれましたが、香芝は上司も同僚も金魚すくいを楽しんでいることがどうしても理解できませんでした。香芝は仮病を使って歓迎会を抜け出し、下宿のアパートに戻ったところ、吉乃が手作りのおはぎを持って見舞いに訪れました。香芝は癖でおはぎの単価を計算しようとし、吉乃は思わず笑みを浮かべました。
数日後、香芝は再び「Lanchu」を訪れました。明日香はかつて女優になるために故郷を飛び出して上京したのですが、結局は夢破れて戻って来たのです。明日香の弾き語りを聴きながら、香芝は思わず涙を流しました。
香芝は自分が左遷された時の状況を思い出していました。東京本社時代の香芝は当時の上司(竹井亮介)に新規取引先の融資を提案したのですが、全く聞き入れてもらえませんでした。感情のコントロールが上手くできない香芝は反論よりも先に暴言の方が出てしまい、上司の怒りを買って左遷へと追いやられたのでした。
すくってごらんのネタバレあらすじ:転
そんなある日、香芝は古い蔵の中からピアノの音が聞こえてくることに気付き、蔵の中へと足を不見れました。ピアノを弾いていたのは吉乃であり、香芝は思わず彼女に心を奪われてしまいました。
その後、香芝は試しに金魚すくいにチャレンジすることにしました。吉乃から「逃げたのは追ってはいけない。来るまで待つ」とのアドバイスを受けた香芝は初めて1匹の金魚をすくうことに成功、いままで味わったことのない高揚感を味わいました。
香芝は金魚を持って町を見下ろす高台に行くと、そこには天寺の姿がありました。天寺は金魚は大きな水槽で泳がせれば大きく育つとアドバイスし、香芝に水槽をプレゼントしてくれました。
それからしばらくして、香芝は「Lanchu」でライブイベントが開かれることを知りました。店内は見違えるようにインテリアが洗練されており、香芝はぜひとも吉乃にピアノを弾いてほしいと考えました。その時、明日香が香芝にキスをし、取り乱した香芝は店を飛び出してしまいました。
香芝が仕事に手がつかない状態でいると、職場でも「Lanchu」のライブのチケットが配られ始めました。思い立った香芝は吉乃にぜひともライブに出演してくれないかと依頼しましたが、吉乃は断りました。
実は吉乃、以前に幼馴染と一緒にピアノの発表会に出演したことがあるのですが、観客を前にして怖気づいてしまい、それ依頼人前で弾くのがすっかり怖くなってしまっていたのです。それでも香芝は、吉乃がピアノを弾いている時の表情は金魚すくいをしている時と同じく楽しそうだと語り、改めて吉乃をライブに誘いました。
そしてライブ当日。香芝は仕事が入ったため予定より少し遅れて「Lanchu」に到着しました。店内では天寺がピアノを弾き語り、踊り出すなどのパフォーマンスを繰り広げていました。香芝は天寺を見つめる吉乃の眼差しから、彼女が天寺に想いを寄せていることを悟り、静かに店を後にしました。ライブ終了後、吉乃と天寺の元に明日香が歩み寄り、2人の仲を取り持とうとしていました。
すくってごらんの結末
翌日。香芝は吉乃への想いを断ち切ろうと仕事に没頭していました。そんな時、珍しく飲みに行きたいと呟いた香芝は支店長や同僚たちと「Lanchu」での飲み会に出席し、その席上で支店長から営業成績優秀につき何と東京本社への復帰が決定したと知らされました。これには香芝も喜びを爆発させましたが、香芝は東京に戻る前にやるべきことがあることに気付いていました。
香芝は吉乃の元へ向かい、夏祭りでピアノを弾いて欲しいと頼みました。それでも頑なに断る吉乃に、香芝は東京へ戻ることを伝え、夏祭りの金魚すくいで天寺よりも多く金魚をすくったらピアノを弾いて欲しいと頼みました。実は香芝は吉乃に会う前にあらかじめ天寺と話をつけていたのです。
そして迎えた夏祭りの日。勝負服の背広を着込んだ香芝は天寺との金魚すくい対決に臨みましたが、余裕な表情で次々と金魚をすくっていく天寺とは対照的に全くすくうことの出来ない香芝は焦りの表情を浮かべました。
その時、ようやく金魚をすくい上げた香芝は「金魚すくいは数じゃない。数字が全てではない」との心境に至り、祭り会場のステージに駆け上がると思いの丈を込めた歌を歌い始めました。天寺もピアノとコーラスで盛り上げ、いつの間にか天寺の隣には吉乃が座って一緒にピアノを弾き始めました。
香芝は楽しそうに見つめ合いながらピアノを弾く吉乃と天寺の姿に笑顔を浮べ、静かにステージを降りていきました。程なくして香芝は静かにこの町を去っていきました。
以上、映画「すくってごらん」のあらすじと結末でした。
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