種まく旅人 ~華蓮のかがやき~の紹介:2020年日本映画。農業や漁業などの第一次産業に従事する人たちを描いてきた『種まく旅人』シリーズの第4作です。加賀れんこんの名産地・石川県と大阪・堺を舞台に、れんこん農家を営む父が倒れたことを機に家を継ぐか畑を手放すか決断を迫られる銀行員の葛藤と決断を、石川県に出向してきた農林水産省の女性官僚の視点から描きます。
監督:井上昌典 出演者:栗山千明(神野恵子)、平岡祐太(山田良一)、大久保麻梨子(伊藤凛)、木村祐一(良一の上司)、永島敏行(太田忠志)、綿引勝彦(山田竹市)、吉野由志子(良一の母)、柴やすよ(高津美紀)、駒木根隆介(谷)、小久保寿人(石橋)、平山祐介(高津)ほか
映画「種まく旅人 華蓮のかがやき」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「種まく旅人 華蓮のかがやき」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
種まく旅人 ~華蓮のかがやき~の予告編 動画
映画「種まく旅人 華蓮のかがやき」解説
この解説記事には映画「種まく旅人 華蓮のかがやき」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
種まく旅人 華蓮のかがやきのネタバレあらすじ:起
大阪府堺市の泉北信用金庫で働く山田良一(平岡祐太)は堺市役所職員の伊藤凛(大久保麻梨子)と付き合って3年になります。良一は凛との結婚を考えており、彼女に婚約指輪をプレゼントしました。
そんなある日、良一は上司(木村祐一)から、取引先のとある製作所への融資の打ち切りを告げられました。良一は何とかしてほしいと懇願しましたが、上司は既に何度も融資をしていることを理由に却下しました。良一は融資打ち切りを伝えるため製作所を訪れましたが、製作所の社長は妻子と共に土下座までして融資の続行を訴えました。
良一が困り果てていたその時、故郷・石川県金沢の実家の母(吉野由志子)から父・竹市(綿引勝彦)が倒れたとの知らせが入り、良一は急遽金沢へと帰省しました。
その頃、東京の農林水産省では日本の農家の深刻な後継者不足についての会合が開かれていました。会合では農家に嫁ぐ女性の減少も議題に上がりましたが、出席していた女性官僚の神野恵子(栗山千明)は今時“嫁”や“嫁ぐ”というのは時代錯誤であり、農業の魅力を高めて女性にアピールすることの重要性を唱えました。次官の太田忠志(永島敏行)は、恵子を「加賀レンコン」の産地である金沢へ出向させ、現地で取材してレポートを提出するよう命じました。
種まく旅人 華蓮のかがやきのネタバレあらすじ:承
金沢に到着した恵子は、金沢市役所職員の谷(駒木根隆介)に案内されて地元のレンコン農家「高津農園」へ向かいました。高津(平山祐介)が身重の妻・美紀(柴やすよ)と共に営んでいる高津農園は業績好調で、恵子は農園の女性従業員や高津からレンコン栽培のコツなどについて教わりました。
一方、帰郷した良一は竹市の見舞いに出向きました。竹市は一命は取り留めたものの左半身に麻痺が残ってしまっており、農作業への復帰は絶望的でした。良一の一家は農園を存続するか否かの瀬戸際に立たされました。
堺に戻った良一は、融資を打ち切られた製作所の社長が自殺したことを知って強い衝撃を受けられました。上司からも社長の妻子からも責められた良一は精神的に追い詰められましたが、竹市は4年前の台風に伴う被害と不作により3000万円ものの借金を抱えていました。
良一は地元の銀行に借金の返済計画を出すことにし、金沢で旧友の石橋(小久保寿人)と再会して居酒屋で飲みました。たまたま居合わせていた恵子は良一と石橋の会話に興味を持ち、良一に声をかけました。
良一は恵子に、自分は父の農家を継ぎたくないがために今の仕事に就いたこと、恋人の凛には実家のことは何も話していないことを打ち明けました。恵子は泥酔した良一を彼の実家に送り届け、良一の両親とも交流を持ちました。
種まく旅人 華蓮のかがやきのネタバレあらすじ:転
実家を継ぐべきか迷っていた良一は、平日は堺で働き、休日に金沢に向かって竹市の農園を手伝う二重生活を始めました。しかし、凛から今の仕事と実家の両立ができるのか問われた良一は答えることができませんでした。
そんな時、高津農園で働いていた若い女性従業員が忽然と失踪しました。離婚歴のあるベテラン従業員は農家の女には自由な時間などないことを恵子に語り、農業の上っ面だけを取り上げて取材するのはやめてくれと忠告しました。
思い悩んだ良一は恵子に今後の身の振り方を相談しました。良一の話を聞いた恵子は、良一の母は根っからの農業女子であり、農園で働くのが何よりの生き甲斐なのではと指摘しました。恵子の話を聞いた良一は実家の農園を継ぐ決意を固め、信用金庫に退職願を出し、竹市に頭を下げて農園を継がせてほしいと懇願しました。
良一は凛に実家を継ぐことを伝え、一緒に金沢に来てほしいとプロポーズしましたが、凛は農業には全く興味がなく、農家の嫁になるつもりはありませんでした。凛と破局した良一は想いを断ち切るかのように一生懸命仕事に励み、慣れない農作業に悪戦苦闘しました。
一方、未だに良一に未練が残る凛は日本の農業の現状を学び、もう一度良一と向き合おうと金沢に向かいましたが、農作業に励む良一の姿を見た凛は怒りに任せて婚約指輪をレンコン畑に投げ捨ててしまいました。
種まく旅人 華蓮のかがやきの結末
体調不良をおして働いていた良一が倒れてしまい、収穫期を迎えていた良一の農園は人手不足に陥りました。恵子は凛が良一のことが嫌いで別れたのではないと知ると、実際に農業を知ってから判断してみるべきだと助言しました。
恵子の勧めでレンコンの収穫作業の体験をすることにした凛は良一の農園のレンコンの収穫に励み、高津農園の女性従業員たちとも交流を深めていきました。
凛は恵子に、自分は公務員の職を選んだ経緯を話しました。早くに父を亡くし、女手一つで自分を育ててくれた母の苦労を間近で見てきた凛は安定した仕事に就きたかったのだと話し、自分はいつかちゃんとした家庭を持ちたかったのだと打ち明けました。
恵子から「ちゃんとした普通の家庭って何?」と問いかけられた凛は改めて自分自身の気持ちと向き合う決心をしました。凛は自分が収穫したレンコンの出来の良さを竹市に褒められ、農家の嫁と作業着デザイナーの仕事を両立させている美紀の生き方にも感銘を覚えました。
やがて体調の戻った良一も農作業に復帰しました。凛が畑に投げた婚約指輪は偶然にも収穫したレンコンにはまっており、これを見た良一は恵子が見守るなか改めて凛にプロポーズしました。凛も普通の農家の家庭を作りたいとこれに応えました。
良一は収穫したレンコンを製作所の社長妻子のところに持っていき、改めて謝罪しました。社長の妻子は社長が生前良一に感謝していたことを知っており、良一を許しました。
金沢でのレポートをまとめた恵子は太田次官に提出しました。レポートの内容に満足した太田次官は恵子に東京に戻るよう命じ、恵子は良一と凛たちに別れを告げて金沢を後にしました。
以上、映画「種まく旅人 ~華蓮のかがやき~」のあらすじと結末でした。
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