タロウのバカの紹介:2019年日本映画。『セトウツミ』『光』『日日是好日』などを手がけた大森立嗣監督が20年にわたって構想を温め続けてきたオリジナル脚本を映像化した衝撃の青春ドラマです。社会の底辺に生きる三人の若者を通じて現代の日本社会の裏側に潜む暴力や犯罪、社会問題などを炙り出しながら「自由」「絶望」「青春」「友情」「焦燥」「刹那」「希望」を描き出していきます。。
監督:大森立嗣 出演者:YOSHI(タロウ)、菅田将暉(エージ)、仲野太賀(スギオ)、奥野瑛太(吉岡)、豊田エリー(恵子)、植田紗々(洋子)、國村隼(小田)ほか
映画「タロウのバカ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「タロウのバカ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
タロウのバカの予告編 動画
映画「タロウのバカ」解説
この解説記事には映画「タロウのバカ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
タロウのバカのネタバレあらすじ:起
廃墟のような施設。中には鎖で閉ざされた部屋があり、そこでは大勢の障がい者や老人たちが劣悪な環境のもと酷使されていました。施設を仕切る半グレ集団のリーダー・吉岡(奥野瑛太)とビジネスパートナーである元極道の小田(國村隼)は部屋を見回りに訪れ、そこで血を流して倒れているひとりの障がい者を見つけました。イラついた吉岡はその場にいたバイトの高校生エージ(菅田将暉)を殴りつけました。
障がい者は生死の判断がつかないという理由で拳銃でとどめを刺され、吉岡と小田は死体を山奥に埋めに行きました。しかし、吉岡は「調子にのるなよ」と告げてきた小田をも射殺、2体の死体を穴に埋めました。
タロウのバカのネタバレあらすじ:承
頭上には高速道路の高架が通っている大きな川の河川敷で、パンツ一丁で草むらを歩いている少年がいました。彼は生まれつき戸籍も本名もなく、母・恵子(豊田エリー)からは育児放棄を受けており、一度も学校に行ったことがありませんでした。
よく一緒につるんで遊んでいるエージとその同級生スギオ(仲野太賀)は少年のことを“タロウ”(YOSHI)と呼んでいました。タロウとエージとスギオはいつもつるんではあてもなく町を走り回り、遊び回り、自由奔放に生きていました。
エージは元々柔道の特待生として高校に入ったのですが怪我のため断念しており、柔道を続けている兄とよく比較されては先生から「お前は生きてる意味がない。世の中の隅っこで生きていけ」と罵られており、常に行き場のない怒りを抱えていました。
学校には味方は唯一つるんでいる(というよりはいつもエージに引っ張られている)スギオしかいませんでしたが、スギオは同級生の洋子に想いを抱いており、内心タロウやエージの元から抜け出そうとも考えていましたが中々実行に移せないでいました。実は洋子は援助交際を繰り返しており、スギオはいつも男の元へ通う洋子を痛々しい眼差しで見つめていました。
タロウのバカのネタバレあらすじ:転
ある日、エージは密かに吉岡を襲撃する計画を立てていました。エージはタロウやスギオと共に動物の面を被り、吉岡を襲撃してカバンを奪い逃走しました。カバンの中には1丁の拳銃が入っており、これを手にしたタロウは通りすがりの人にその銃を向けて脅し、カバンを奪っていきました。しかし、タロウが実家に戻っても、恵子は相変わらず一切口を利くことはありませんでした。
エージは吉岡を襲ったことで半グレ集団から返り討ちに遭い、兄にもシメられました。高速道路から川に突き落とされたエージはタロウに「死ぬってどんなかな?」と問いかけ、タロウは軽く「吉岡殺そうか」と答えました。やがて二人は拳銃を取り出し、ロシアンルーレットに興じていました。
一方、スギオはタロウやエージの元から離れて真っ当な人生を歩もうと考えていましたが、思わず洋子の援助交際の相手に暴行を加えた末にレイプ未遂まで犯してしまいました。
ある雨の日。河川敷ではタロウの知っているダウン症の女の子が一人でずぶぬれになりながら歌っていました。彼女はいつもなら同じダウン症の男の子と仲良く二人で行動していたのですが、その男の子は川で死体となって浮かんでいました。女の子を抱きしめるタロウの中に、これまで感じてこなかった心の痛み、そして人を好きになるという感情が伝わってきました。
タロウのバカの結末
タロウ、エージ、スギオは遂に吉岡とケリをつけようとしましたが歯が立たず、エージは頭を殴られて負傷してしまいます。その時、拳銃を取り出したタロウは吉岡を撃ち殺してしまいました。タロウにとっては初めての殺人でした。
その夜、三人はぞれぞれやり切れない夜を過ごしました。スギオは金で洋子を買おうとするも失敗、エージは頭の怪我で意識朦朧となり、タロウはなおも無視する恵子に遂にブチキレて暴れ出し、怯える恵子に初めて人を殺したことを告げて拳銃を突き付けました。
その後、タロウ、エージ、スギオはいつものたまり場に集いましたが、スギオはタロウとエージが寝ている間に拳銃で自らの頭を撃ち抜きました。
明け方、タロウはもはや歩くこともままならなくなったエージを抱えながら河川敷を歩き、やがて川辺に座り込みました。拳銃を川に投げ捨てたタロウはエージに声をかけますが、既にエージは息を引き取っていました。
タロウは生まれて初めて大切な仲間の死に悲しみを覚えました。そしてタロウは広場でサッカーをしている少年たちを見かけると、声の限りやりきれない思いを叫び続けました。
以上、映画「タロウのバカ」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する