てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~の紹介:2010年日本映画。「愛は大きく。夢はまっすぐ。」世界で初めてサンゴの移植産卵に成功するという快挙を成し遂げた金城浩二氏の実話を基にした感動のヒューマンドラマです。サンゴを再生することに尽力する夫を信じて支え続け、ようやくその奇跡を実現させた夫婦の、10年にも渡る愛と絆を描きます。
監督:李闘士男 出演:岡村隆史(金城健司)、松雪泰子(金城由莉)、吉沢悠(佐加伊保)、伊藤明賢(屋宜啓介)、赤堀雅秋(大城真人)、児玉絹世(金城加那)、國村隼(比企連平)、長澤まさみ(美ら島沖縄大使)、渡部篤郎(緑川靖治)、原田美枝子(金城花江)、高橋長英(不動産コンサルタント)、ほか
映画「てぃだかんかん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「てぃだかんかん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~の予告編 動画
映画「てぃだかんかん」解説
この解説記事には映画「てぃだかんかん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~のネタバレあらすじ:綺麗な海を作る!
金城健司が幼馴染の由莉を連れて故郷・沖縄に帰ってきました。「由莉と結婚したい」健司の言葉を聞くやいなや、母・花江は健司の顔をグーで殴り飛ばしました。「悪いことは言わん。やめときなさい。家の息子は欠陥商品なわけよ。製造元の私が言うんだから間違いない」花江は由莉に言います。健司は子供の頃から、海が大好きで、虫や魚を見てばかりいました。当然、勉強もできません。大人になってからも色々な仕事に就きましたが、どれもうまくいった試しがなく、どれも中途半端で辞めてしまいます。結局、なんやかやの失敗で抱えた借金を返すため、名古屋の自動車工場で働きますが、沖縄の海が恋しくなった健司は由莉と結婚するために帰ってきてしまいます。
「半人前が結婚なんて百年早いんだよ。借金返して、男が一生かける仕事を見つけてからだろ」母はそんな健司の結婚を反対します。「仕事なら~なんだってあるよ~」健司はのほほんとしています。ある日、健司は何を思いついたのか、友人・屋宜啓介が経営するダイブショップの倉庫を勝手に改装し始めました。「沖縄の綺麗な海をバーの中に作る。水槽でサンゴ礁を作る。サンゴ礁の美しさをお客さんみんなに知ってもらう」と言い、健司はサンゴのあるバー「BAR BLUE」を開店します。「それで食べていけるの?ちゃんと稼げるのかね…?」「お金を稼ぐだけが幸せじゃないよ。沖縄の海は特別なわけ。なんくるないさ~」心配する周囲をよそに恋人・由莉はあっけらかんとしています。そして数日後、思いのほか、お店は大繁盛し、健司は晴れて由莉と結ばれます。
てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~のネタバレあらすじ:綺麗な海を見せたい!
健司と由莉は2人の子供に恵まれ、お店も2号店、3号店と順調に支店を増やしていきます。新居にも引っ越し、健司もようやく安定します。しかし、借金完全返済と4号店オープンの祝賀会で、突如、健司は宣言します。「今日で店を全部やめる」健司の言葉を聞いた母・花江は激怒し、健司を殴り飛ばしました。「店辞めて、今度は何をする!」「養殖よ。サンゴの養殖さ。ボクは子供たちが大人になったときに、ボクらが見てきた綺麗なサンゴを見せてやりたいわけよ」健司は言いました。その頃、沖縄の美しい海は、開発や温暖化の影響を受けて悲鳴をあげ、海の生き物の多くが生息するサンゴ礁は死滅状態に陥っていたのでした。
「もう待ったなしさ。ボクは沖縄の綺麗な海をずっと見せてやりたい」その思いだけで健司はサンゴを養殖し、海に移植するという前代未聞の大胆な計画を決心したのでした。周囲の者は唖然としますが、「そうだよね。あの海見て、黙ってられないよね。きっとできるよ」由莉だけは優しく微笑むのでした。
「今日もてぃだかんかんだね~」健司は早速、閉店したお店に幾つもの水槽を運び入れます。超デリケートな生き物であるサンゴを水槽である程度まで育て、それを海に植えるのです。これまで誰もやったことがありません。健司は友人たちと共にあれやこれやと試行錯誤を始めます。やがて順調にサンゴは水槽の中で成長します。次はいよいよ海への移植作業です。しかし、沖縄県庁から漁業組合の同意なしに勝手に植えてはいけないと待ったが入ります。
「美ら海はみんなの海」健司は組合長の比企連平を訪ねます。「サンゴが増えても儲からない」連平は健司を言い放ちます。「海人なら海の心配せ~よ。サンゴがこうなったのは、あんたら海人の責任もあるんじゃないんですか!サンゴは浅瀬に棲む生き物でしょ。汚泥や開発の影響をまともに受けてきた。エルニーニョなんかじゃないよ。人災だよ」切り捨てようとする連平に健司は熱く語ります。
てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~のネタバレあらすじ:ボクが産ませる!
しかしその数日後、何故か突然、連平は健司に協力することを約束します。数日後、健司の指示のもと、20人ほどのダイバーが集まり、沖縄の海にサンゴ移植が行われました。この前代未聞の試みは新聞記事となり、健司は一躍、時の人となります。これまで見向きもしなかった各企業が健司の試みに支援を名乗り出てきました。そんな中、健司は県庁から紹介された琉球国際大学の准教授・緑川靖治のもとを訪ねます。緑川は健司の功績を称え、海洋生物シンポジウムでの発表を勧めます。健司は勧められるまま、シンポジウムで発表しますが、専門用語などが理解できない健司は失笑をかいます。「データも不十分なのに、むやみに移植するのはかえって生態系を壊す危険がある。アマチュアが手を出すべきではない。専門家の意見を待つべきだ。ここはあなたの来るべき場所じゃない」参加した教授たちは健司をバカにし、見下し、嘲笑いました。
「ボクは自然に悪いことはしない。環境破壊は待ってくれない」逃げるように会場を出た健司は緑川に言います。「こんなとこ、二度と来ません」と悔しそうに言う健司に緑川は語ります。「奴らを見返す方法が…。サンゴの産卵です。植えただけなら海の飾りですよね。でも産卵すれば命が海に根付いたことが証明される」と。「移植して終わりじゃないんだ。ボクが産ませます」健司は新たな目標を見つけ、微笑みます。
てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~のネタバレあらすじ:嘘はつけない!
健司が挑戦しようとするサンゴの産卵は、これまで世界で誰も成功した者がいない試みでした。しかし、健司に逆風が吹きます。これまで支援に名乗りをあげていた支援者たちが、掌を返したように健司から離れていったのでした。原因は先のシンポジウムでした。「新聞の言っている事だけが正しいのか…。偉い大学の先生の言っている事だけが正しいのか…。今の世の中、力を持ってる人の言ってる事が正しいんだ…」「どうした!家の家系は元々、欠陥商品の家系なんだよ。偉い人に褒められるような人間は先祖代々、一人もいない!お前は偉い人に褒められたくてやったのか!一度ぐらいの失敗で!」落ち込む健司に母・花江は檄を飛ばします。
そんな健司の前に、突如、1人の支援者が現れます。健司は諸手をあげて喜び、不動産コンサルタントと名乗るその男に頼ります。しかし、その男は詐欺師でした。まんまと騙された健司は莫大な借金を背負わされます。苦悩する健司に更に追い打ちとなる事が起きます。最愛の妻・由莉が心労で倒れてしまったのです。涙にくれる健司に由莉は語りかけます。「家がなくなってもいい。お父ちゃんについていくよ」と。健司は家族の温かい決意を知り、立ち上がります。
健司は家を抵当に入れ、サンゴの産卵に挑みます。そんな健司になんと今度は10億円の助成金の話が舞い込みます。しかし、それは沖縄の海洋開発を推進することでした。これまでの健司の理念とは真逆の事でしたが、金銭的に苦しい家族の事に思いをはせ、健司は悩みます。「海に嘘はつけない」と思いつつも健司は苦悩の末、助成金を受け取る決断をし、由莉にその事を打ち明けました。「なんで、わざわざ普通になるの!」穏やかな由莉が烈火の如く怒り出しました。「なんもわかってない!みんな、あんたの夢信じてるのに、何で自分の事が信じられないの!もう、あんただけの夢じゃないのよ」由莉は健司を張り倒して、言いました。由莉の言う通り、健司の夢はもう、健司だけの夢でなく、由莉や家族、友人たち、組合長の連平たちの夢ともなっていました。「お金があるのが幸せなの?」という由莉の叫び、「貧乏でも海をピカピカにするお父さんがいい!」子供たちの声を聞き、健司は原点に立ち返ります。
てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~の結末:夢は始まった!
健司は正式に10億の助成金を断ります。そんな健司のもとに、友人たちやたくさんのダイバーたち、組合長の連平たちが集結します。再び、健司の夢が動き出しました。健司たちが大切に移植したサンゴは、美しい沖縄の海で順調に育っていきました。そして、1年後の初夏のある満月の夜、サンゴが産卵すると思われる日がやってきました。健司たちは期待と不安の中で海を見つめました。「やっぱり、今年は無理だ」「なんかサンゴの様子がおかしいよ。赤くなって…」「それは…卵や…産まれるよ」健司は海を見つめました。すると奇跡が起きました。健司が思った通り、成長したサンゴが一斉に産卵し始めたのです。「やったー!」サンゴの卵は輝きを放ちながら、まるで天の川のような風景を海面に描きました。健司と由莉はその美しい景色を見つめ、静かに微笑みました。
健司はサンゴの養殖と産卵の功績が認められ、第11回エコロジー大賞受賞をします。その祝賀会で健司は語ります。「そんな立派なことじゃないよ。…弱いボクは何度も負けそうなった。けど、サンゴのことを一番に考えてるのは、自分しかいないと思った。だから、諦めきれなかった。自分が間違っていないということをここまでやってきただけ。ボク一人じゃ、何もできなかった。サンゴが卵産んだだけ。海を上等にするのが、ボクの目的なわけ…。まだまだ、これからさ。ボクの夢は始まったばっかり。昔はもっと海が綺麗だった。…ボクはこの仕事を通じ、孫ができたら、絶対に言いたいと思います。昔はもっとサンゴは少なかったと…。ありがとうございました」健司は感謝の言葉を述べると拍手喝采を浴びました。
「絶対、人魚はいる。いつか、人魚と会わせてあげる」健司はこうして幼い頃、由莉と交わした約束を果たしたのでした。
(エンドロール)山下達郎の「希望という名の光」をバックに、沖縄の美しい海の景色が流れます。
以上、映画「てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~」のあらすじと結末でした。
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