東京家族の紹介:2012年日本映画。1953年の小津安次郎監督の名作「東京物語」を山田洋次監督が現代風にアレンジをしてリメイクした作品になります。普段当たり前に存在する家族の大切さを本編の主人公達を通じ改めて再認識させられる作品になっています。
監督:山田洋次 出演者:橋爪功 ( 平山周吉:父 )、 吉行和子平山とみこ:母( 平山とみこ:母 )、西村雅彦( 平山幸一:長男 )、 中嶋朋子 ( 金井滋子:娘 )、妻夫木聡 ( 平山昌次:末っ子 )、蒼井優( 間宮紀子 ) ほか
映画「東京家族」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京家族」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
東京家族の予告編 動画
映画「東京家族」解説
この解説記事には映画「東京家族」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京家族のネタバレあらすじ:起
広島に住んでいる平山周吉(橋爪功)と妻・とみこ(吉行和子)の間には、三人の子どもがいます。長男の幸一(西村雅彦)は医者をしており、長女の滋子(中島朋子)は美容室を経営。次男・昌次(妻夫木聡)は定職につかずフリーターをしています。子どもたちは三人とも東京に住んでおり、ある日、周吉ととみこは広島から子どもたちに会うために上京してきました。
幸一の家では、周吉ととみこを迎えるための準備が着々とすすめられています。幸一の妻である文子(夏川結衣)が掃除をしていると、長男が帰ってきました。自分の部屋を祖父母が使うことを知り、迷惑そうにする長男。そんな彼を文子が叱りつけます。
そこへ、滋子がやってきました。すると昌次から電話がかかってきます。彼は両親を迎えに東京駅に行ったのですが、周吉たちが見当たらないと言うのです。すると滋子が「お父さんたちが降りる駅は品川!」と呆れたように伝え、それを聞いた昌次は急いで品川駅に向かうことにしました。
そのころ、品川駅にいた周吉は、昌次がどこにいるのかとずっと探しています。滋子から連絡を受けた周吉は、昌次が間違えて東京駅にいることを知ります。品川に向かっている昌次を待ちきれないと、周吉たちはタクシーで幸一の家に向かうことにしました。
夕方になりようやく幸一の家についた周吉ととみこは、久々に会った孫達の成長に驚きます。しばらくすると昌次も到着し、この日は家族団らんでスキヤキを食べることにしました。
翌日、両親を連れて観光に行く予定だった幸一ですが、急患の連絡が入り予定を中止。みんなで出掛けられると楽しみにしていた幸一の小学生の次男・勇(丸山歩夢)はふてくされます。そこでとみこが勇を外へ連れ出すことにしました。
その後、周吉ととみこは滞在場所を滋子の元へと移します。雨が多く続いたこともあり、まだどこへも出かける事が出来ないでいる周吉たち。見かねた滋子の夫・庫造(林家正蔵)が、周吉を駅前の温泉に連れ出してくれました。仕事が忙しい滋子は昌次に連絡し、両親を東京見物に連れ出すよう頼みます。
東京家族のネタバレあらすじ:承
天気のいい日、昌次の案内で東京見物をすることにした周吉ととみこ。バスに乗って都会の風景を堪能します。一方、前日も夜遅くまで仕事をしていた昌次は、疲れ果ててバスで眠っています。
昼食時、周吉からどんな仕事をしているのか聞かれた昌次は、舞台の裏方をしていると伝えました。すると「それで食うて行けるんか?」と咎められ、昌次はついカッとなって言い返してしまいます。昌次は、子供の頃から自分には厳しい態度をとる周吉と折り合いが悪く、父親は自分の事を嫌っていると思っていました。
両親が東京見物をしている間、幸一が滋子の家に来ていました。二人は両親がいつまで東京にいるつもりか気になっています。商店街の祭りがあり忙しい滋子は、「お金を出しあって、お父さんたちには横浜の高級ホテルに泊まって貰わない?」と幸一に提案。幸一も快諾し、周吉ととみこにはホテルに泊まってもらうことにしました。
滋も幸一も良かれと思ってホテル宿泊をすすめたのですが、抜群の景色も快適な部屋も周吉たちには全てが初めての事。慣れない環境に加えて、うるさい観光客の声で周吉たちは落ち着いて眠れませんでした。
翌朝、横浜の海を見ながら周吉はとみこに部屋を出ようと告げます。ホテルに戻るために立ち上がったとみこですが、ふらついてその場にしゃがみ込んでしまいます。そんな妻を見て不安になる周吉ですが、とみこは「たまにこういうことがあるけど大丈夫」と言い、旅の疲れが出ているのだろうと、この時は深くは考えていませんでした。
二泊三日でホテルを予約していたにもかかわらず、一泊だけで戻ってきた両親に滋子は驚きを隠せません。自分たちを煙たがるかのような滋子の言動に、周吉は友人の沼田の元に行くことにしました。とみこは昌次の元に行くことにして、二人はこの日は別行動をとることに。
東京家族のネタバレあらすじ:転
周吉は友人の沼田(小林稔侍)に頼んで、亡くなった友人宅へ案内してもらい、線香をあげることができました。一方とみこは、昌次の身の回りの世話をしてやります。久しぶりの母親の手料理に上機嫌な昌次。すると恋人の間宮紀子(蒼井優)がやって来ます。紀子を一目見たとみこは、「あなたは感じがいい人ね」と気に入った様子です。
昌次と紀子の出会いは福島のボランティアがきっかけでした。昌次は彼女にプロポーズしたことをとみこに打ち明けます。それを知ったとみこは、とてもうれしそうに微笑むのでした。
翌日の朝、紀子が朝食を持ってきてくれます。この時にはもうすでに昌次は仕事で家を出ており、家にはとみこしかいませんでした。帰ろうとする紀子にとみこがお金を渡します。「何かあった時のためにこれを預けとく」と言われ、紀子はすんなりお金を預かるのでした。
一方、沼田と久しぶりに会った周吉は、やめていた酒をすすめられてついつい飲みすぎてしまいます。沼田の家に泊めてもらう予定だったのですが、「息子の嫁が嫌な顔をするので、泊めることはできない。すまない」と言われ、当てが外れてしまいました。結局、周吉は滋子の家に戻ることにします。
飲み過ぎた周吉は大暴れして嘔吐するなどし、滋子と大喧嘩になりました。怒った周吉は朝早くに幸一の家へと向かい、文子が二日酔いの周吉の面倒を見ます。
そこへ、上機嫌なとみこがやって来ました。周吉に「昌次はちゃんとしてましたよ。東京へ来て本当に良かった!」とうれしそうに二階へ上がるとみこ。しかし途中で倒れて意識不明のまま搬送されてしまいます。
ベッドで横たわる意識のないとみこに、「もうすぐみんなが来るから大丈夫。」と声を掛け続ける周吉。夜になり、仕事を終えた幸一と滋子がやってきます。翌朝まで持つかどうかと医師に言われ、覚悟を決める三人。
深夜になり、ようやく昌次が到着。事情を聞きつけた紀子も一緒に駆けつけていました。状況を把握した昌次は涙が止まらず、その後とみこはみんなに見守られながら息を引き取ってしまいました。
東京家族の結末
火葬を済ませると、周吉は広島へと戻ってきます。周吉のことが心配で、昌次と紀子も一緒に戻っていました。紀子は周吉の身の周りの世話をしてやりますが、周吉は何もしゃべらず、紀子は自分は嫌われているのではないかと来たことを後悔していました。
葬儀が終わると、滋子がとみこの形見分けを始めます。すると「母さんが亡くなったところなのにそんな話をするなよ!」と、怒り出す昌次。口論となる滋子と昌次に、周吉は「母さんが見てる前でやめなさい。」と二人を叱りました。
幸一は、周吉に東京で一緒に住むことをすすめます。しかし「二度と東京には行きたくない!」と断る周吉。このまま広島にいるとみんなに言い切ります。「子どもたちの世話にはならん!」と言われ、幸一たちは何も言えなくなりました。
幸一と滋子は、仕事があるためにその日のうちに東京へと帰ってしまいます。残った昌次と紀子が、周吉の世話をするためにしばらく島に滞在する事になりました。東京に帰る日、紀子は周吉から「あんたは良い人だね。」と言われます。とみこも同じことを言いました。
周吉はとみこが大切にしていた腕時計を渡します。「ダメです、そんな大事な物…」と紀子は断りますが、周吉は「もらってください」と渡しました。これまで昌次に厳しく接してきた周吉。しかし心の底では、妻に似て心の優しい昌次のことを認めていました。「昌次をよろしく頼みます」と言われ、紀子は感動のあまり泣き出してしまいます。
帰りのフェリーで、紀子は昌次に周吉からもらったとみこの時計を見せます。「お父さんから息子を頼みますって言われたのよ」と話す紀子。昌次は意外な周吉の態度に嬉しそうな表情をうかべるのでした。
子ども達が皆東京に帰ってしまい、一気に寂しくなった周吉。ですがそんな彼のことを気にかけてくれる近所の娘・ユキ(荒川ちか)がいました。犬の散歩もしてくれる、元気で優しいユキに「ユキちゃんはええ子やね」と声を掛ける周吉。遠くでは瀬戸内海の海がいつものように美しくキラキラ光っていました。
以上、映画「東京家族」のあらすじと結末でした。
なかなか良いドラマ、昭和が良くにじみ出て、懐かしい気持ちにさせられます。時代に会った家族愛で[東京物語]とは異なる情景でも家族愛物語は良いものです❗