共喰いの紹介:2013年日本映画。田中慎弥の芥川賞受賞作を菅田将暉主演で映画化した作品です。昭和時代末期の山口県下関の小さな町を舞台に、性と暴力に狂う父と同じ血を持つことに葛藤する高校生の姿を描きます。
監督:青山真治 出演者:菅田将暉(篠垣遠馬)、木下美咲(会田千種)、光石研(篠垣円)、篠原友希子(琴子)、田中裕子(篠垣仁子)、岸部一徳(刑事)、淵上泰史(若い刑事)、宍倉暁子(アパートの女)ほか
映画「共喰い」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「共喰い」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
共喰いの予告編 動画
映画「共喰い」解説
この解説記事には映画「共喰い」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
共喰いのネタバレあらすじ:起
昭和63年の夏。篠垣遠馬(菅田将暉)は山口県下関市の川沿いの小さな町に暮らす高校生です。遠馬は父・円(光石研)とその愛人・琴子(篠原友希子)と暮らしており、母・仁子(田中裕子)は家を出て魚屋で働いていました。太平洋戦争時の空襲で左手を失い、義手を着けている仁子は両親の死後、川辺に暮らし始めましたが、ある夏祭りの日に年下の円と出会いそのまま結婚に至ったのです。ところが、円は非常に女癖が悪いうえに、行為の最中に酷い暴力を振るうDV男だったのです。仁子は遠馬を出産するも、第2子は堕ろしてしまい、篠垣の籍は残したまま家を出てしまったのです。そして琴子の顔や体じゅうにもDVの跡らしき痣があったのです。
遠馬の17歳の誕生日、遠馬は彼女の恋人の会田千種(木下美咲)と神社の中で行為に及びました。元々千種は初体験は遠馬の誕生日まで取っておこうとしたのですが、遠馬は欲情のあまり約束を破り、自分も父と同じくセックスをしたい欲望に満ち溢れているのではないかと苛立ちを覚えました。
共喰いのネタバレあらすじ:承
家に戻った遠馬を琴子がケーキを用意して祝ってくれました。その夜、遠馬はふと目を覚ますと、別室で円と琴子が行為に及んでいました。円は琴子を殴りつけては首を絞めるなどのDV行為をしていました。しかし、琴子はそんな円から離れられず、遠馬もまた琴子への欲情を抱く自分自身と父を重ねて嫌悪に陥っていました。
遠馬はその後も千種と何度か行為を重ねましたが、千種は未だに痛いと言うので、遠馬は自分がまだ下手なのかと思うと同時に、いつか父のように彼女に暴力を振るってしまうのではないかと恐れを抱いていました。
夏休みが近づいたある日、遠馬は円と鰻釣りに行く予定でしたが不在であり、一人で仁子のもとで釣りをすることになりました。仁子の義手はもはやボロボロであり、彼女は遠馬に魚屋を継がせることを考えていました。
琴子は遠馬に、円との子を身籠もっていると明かしました。それを聞いた遠馬は激しく動揺し、千種を呼び出すと避妊具無しの行為を強要しようとしますが、思わず彼女の首を絞めそうになってしまい、千種は遠馬を振り払って去って行きました。
遠馬は仁子に捌いてもらった鰻を受け取りに魚屋へ行き、琴子の妊娠を告げると、仁子は遠馬に「あの男(円)の血を引くのはあんただけで十分だ」と嘆きました。
遠馬は千種に電話で謝るも聞き入れられず、仁子はそんな息子を心配になり、もし千種に暴力を振るうのなら覚悟しなさいと強く迫りました。
共喰いのネタバレあらすじ:転
遠馬が帰宅すると、琴子は円に内緒でここから出て行こうとしていました。円のことを非難する遠馬に対し、琴子は決して親のことをバカと言ってはならないとたしなめました。
夏祭りの直前、千種は遠馬のもとを訪れますが、遠馬は自分に流れる円の血を恐れて追い返そうとし、千種は祭りの日に神社で待っていると告げて去って行きました。
夏祭り当日。祭りは台風で中止となり、遠馬から琴子が出て行ったことを聞いた円は雨の中へと走り出して行きました。
その後、近所の子供たちが遠馬の家に駆け込んできました。千種の言葉を思い出した遠馬が急いで神社へ向かうと、なんと千種は神社で円にレイプされてしまっていました。円への殺意を抱いた遠馬は千種を仁子の魚屋へ匿うと、事情を察した仁子は遠馬に千種を守るよう告げると台所から包丁を取り出し、円を河原まで追い詰めて刺殺しました。間もなくして、仁子は警察に逮捕されました。
共喰いの結末
面会に訪れた遠馬を前に、仁子はすっきりとした表情を見せていました。仁子は新聞の一面で見たという昭和天皇の重篤の話をし、あの人(天皇)が起こした戦争で人生を滅茶苦茶にされたとして“恩赦”でのケジメを求め、自分の判決が下るまではあの人に生きていてほしいと語りました。
遠馬はフェリーに乗り、琴子のもとを訪れました。その夜、遠馬がベッドに横たわっていると、琴子は服を脱いで誘ってきました。ずっとセックスしたかったのかと琴子から問われた遠馬は、お腹の中のまだ性別もわからない赤ん坊を突くことを嫌がりました。琴子はお腹の赤ん坊は円の子供ではないことを打ち明け、「お腹の中の子供が動いた」と言われた遠馬は怖じ気づきました。
仁子の魚屋は千種が切り盛りしていました。その夜、遠馬は千種の首に手をかけようとすると、千種は「その手は私を傷つけるためにあるのか、それとも可愛がるためにあるのか」と遠馬に問いかけました。そして千種は遠馬の手を縛り、騎乗位に跨がって行為を始めました。千種は「もう痛くない」と言いました。そして昭和64年1月7日、昭和の時代が終わりました。
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