明日の空の向こうにの紹介:2010年ポーランド,日本映画。貧しいロシアの町から国境を越えて新天地に向かう三人のストリートチルドレン。果たして大人達は彼らをどう迎えるのか。幼くして過酷な日々をおくる少年たちの姿に胸が締め付けられる。
監督ドロタ・ケンジェジャフスカ 出演:オレグ・ルィバ(ペチャ)、エウゲヌィ・ルィバ(ヴァーシャ)、アフメド・サルダロフ(リャパ)、ほか
映画「明日の空の向こうに」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「明日の空の向こうに」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
明日の空の向こうに の予告編 動画
映画「明日の空の向こうに」解説
この解説記事には映画「明日の空の向こうに」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
明日の空の向こうに のネタバレあらすじ:起・道に住まう子供
ロシアのとある駅で寝泊まりをしている、ヴァーシャとペチャ兄弟とリャパの三人の子供。ある日、年長のリャパとヴァーシャは地図のようなものを見てどこかへ行く計画を立てていた。警備隊の目を盗み、貨物列車に乗り込んだ三人は、町に出るまでその列車に乗った。途中、ペチャは夜の窓辺で赤ん坊を抱く母親を羨ましそうに見つめた。
街の市場でリャパとヴァーシャは水汲み用のペットボトルを調達し、ペチャは物乞いをしてチーズとパンを行商の女性から恵んでもらった。食べ物を分けながら、ペチャがこれからどこに行くのか尋ねても、兄たちは教えてはくれず、さっさと線路に沿って行ってしまう二人をペチャは追いかけた。
トンネルで休んでいるうちに、兄たちに黙って市場で盗ったチョコレートを食べていると、独り占めしようとしていた事を咎められた。チョコレートを二人に取られたリャパは市場で盗んだ小さなテディベアを大事に服の中に隠して兄たちの後を再び追った。
明日の空の向こうに のネタバレあらすじ:承・つかの間の休息とこれから
途中、リャパの祖父の家で泊まらせてもらったヴァーシャとペチャ。祖父は自分が読み書きや計算を教えるからペチャはここに置いて行きなさいと二人を説き伏せようとした。けれど、兄たちについていきたいペチャは、置いて行かれないように縄で身体を兄に繋いで眠りについた。
翌朝、お祈りをしていた祖父は、薪を乗せて運んできたトラックが三人を乗せて行くのを見届けると、地獄に落ちればいいと呟いた。途中の検問でトラックは荷台を改められたが、子供達はすでに降りていて、結婚式の車列に紛れ込み、幸せにお裾分けと称してお菓子やパンを貰い、年長の二人はお酒もふるまわれた。幼いペチャは、花嫁からスカートの下に忍ばせていたコインを貰った。そして、三人は線路に沿って歩き出した。
明日の空の向こうに のネタバレあらすじ:転・新しい空を目指して
途中で彼らは訓練ごっこと称して、低く張ったロープの下をくぐる練習をした。そこは国境警備隊の通る道のすぐそばで、恋人達の乗るバイクにも警戒した。道を剃れ森の中の口掛けた列車の中で雨をしのぐ三人は、警備の犬の声に身を隠しながら、国境を越えられますようにとそれぞれ祈った。
夜、国境を監視する櫓を見つけた三人は、身体が入る分だけ有刺鉄線の下を掘り線に触れないようにして無事にくぐり、国境を越えロシアからポーランドへ入った。
空は変わらないと言うペチャに、リャパは全然違うこれからは自分達の空だと言った。ポーランド語で話をしたらロシア語を忘れてしまわないかと心配するペチャに、いつか王様になって戻るのだと語った。草原を村へ向かって走る少年たちの向こうには「平和」と書かれたアーチがあった。水浴びをし、村の子供達に警察署の在処を聞くと、ロシアの間抜けとののしられた。
明日の空の向こうに の結末:国境を越えた村で
警察署で三人は名前と年齢を聞かれたが、親のいないヴァシリ(ヴァーシャ)とペチャには、苗字も住所もなく、ロシアからやって来た浮浪児として扱われ、スープを出された。ロシアでは煙草を吸っていたリャパとヴァーシャは、煙草を吸うかという問いに孤児院の審査で弾かれないために首を振った。
上司に電話をかけた警察官は、三人が亡命だと申告していないことを挙げ、警察はシェルターじゃないと面倒がった。ペチャが花嫁にもらったコインやテディベアをあげるからここにいさせてと頼んでも、ダメだと返され、引き取りに来いとだけ告げて電話を切った。
家へ帰るんだよ。
受付の女性に連れられて三人はシャワー室へ連れられて行かれ、身体を洗い終わったら、また国に返されてしまうと直感した彼らはは、女性が携帯電話で話している間にシャワー室から逃げ出した。子供たちが逃げ出した事に気づいた職員は、浴室に忘れられたテディベアを捨てた。軍が引き取りに来た事よりもテディベアが手元に無い事を怒ったペチャは、亡命したいと言いさえすればこちらに残れる伝えようと窓から覗いた警察官に、中指を立てて彼を怒らせてしまった。
三人は車に乗せられ、国境を越えロシアに戻された。
以上、映画「明日の空の向こうに」のあらすじと結末でした。
明日の空の向こうに のレビュー・考察:遠くは無い話
ロシアの児童問題はけして「昔の話」ではない。ペットボトル、携帯電話などから察するに、2000年代以降、現在も続いているかもしれない。この話のキーになっているテディベアは元々市場での盗品だった。けれど、それを大切にジャケットの内側にしまい込んでいたペチャは、貨物列車から見た母親に抱かれた赤ん坊を重ねていたかもしれない。兄たちから守られる立場自分にもまた、守る物があるのだと。そしてそれが失われた時の絶望は、何者にも庇護されない境遇として改めて突きつけられる。
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