自虐の詩の紹介:2007年日本映画。業田良家のベストセラー漫画を映画化。笑いあり涙ありの感動エンターテインメント作品。夫に尽くす幸薄な幸江役に中谷美紀。元ヤクザの夫・イサオ役は阿部寛が演じる。豪快なイサオのちゃぶ台返しは必見! キャッチコピーは「伝説の4コマ漫画映画化!笑いあり、涙ありの怒涛のエンターテインメント!」で、舞台は原作の東京から大阪の下町になり、小さい頃から不幸の連続であった女性の半生を描きます。主演の中谷美紀はこの作品で第31回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞しました。
監督:堤幸彦 出演:中谷美紀(森田幸江)、阿部寛(葉山イサオ)、遠藤憲一(あさひ屋マスター)、カルーセル麻紀(福本小春)、ミスターちん(難波警部)、名取裕子(美和子)、西田敏行(森田家康)、ほか
映画「自虐の詩」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「自虐の詩」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
自虐の詩の予告編 動画
映画「自虐の詩」解説
この解説記事には映画「自虐の詩」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
自虐の詩のネタバレあらすじ:起
宮崎県の気仙沼で育った森田幸江(中谷美紀)は、新聞配達をしながら中学校に通っています。幼い頃から不幸続きの彼女が新聞配達を終えて港で休憩していると、自分の父親が新聞に載っていることに気が付きます。
走って家に帰ると、家の周りには人だかりができており、家の中から父親(西田敏行)と警察が出てきました。父親はパトカーに乗せられ、連行されていきます。父親が銀行強盗をして捕まってしまい、学校へ行くと同級生から避けられる幸江。「ささやかでもいいので、幸せを感じたい」と思う日々を過ごしていました。
そして大人になった幸江は、通天閣の見える大阪の古いアパートで暮らしています。食事を作りながら、同居している葉山イサオ(阿部寛)を待つ幸江。一方その頃、ゴミ置き場に倒れてピクリとも動かないイサオ。幸江は警察から連絡を受けて警察署に向かいました。
すると、ベッドに寝かされて全く動かないイサオを見た幸江は、彼が死んでいると思って「あんた、死なないでー」と叫びます。しかしイサオはただ酔っ払って寝ているだけです。実はカツアゲした金で豪遊し、酒を飲みすぎてそのまま寝てしまったイサオ。幸江は寝たままのイサオを担いで家に帰ろうとしますが、全く彼は起きずに連れて帰ることができません。
最終的には警察のパトカーで家まで送ってもらい、家に帰ってようやく目が覚めたイサオ。食事の用意をして一緒に食べかけたのですが、イサオがきゅうりの糠漬けに醤油をかけた瞬間、醤油のフタが取れてすべての醤油が出てしまいます。幸江は「あ…」と言葉を失います。そして次の瞬間、ちゃぶ台をひっくり返すイサオ。
中華料理屋のあさひ屋で働く幸江は、朝から晩まで一生懸命精を出します。そんな幸江に好意を抱いているあさひ屋の主人(遠藤憲一)。「自分にできることがあれば、なんでも言いや」とやさしく声をかけるあさひ屋の主人を放って、幸江はイサオのために家で夕飯を作ります。まともに働きもせず、パチンコ三昧のイサオ。
「今日はどうだった?」と幸江が声を掛けますが、イサオはただ黙っています。イサオがパチンコで負けたと分かると、「そんな日もあるわよね」となだめて「今度私も連れてって」と言う幸江。するとイサオは「パチンコは遊びじゃない」と言い出し、幸江はついつい口が滑って「仕事じゃないでしょ」と言ってしまいました。するといつものようにちゃぶ台をひっくり返すイサオ。
別の日、高価な寿司の出前をイサオのためにとったのですが、「4000円も高すぎる…」とちゃぶ台をひっくり返されました。いつもいつもちゃぶ台をひっくり返されて、幸江もストレスが溜まり、ちゃぶ台をひっくり返してみるのですが、結局片付けるのは自分でむなしくなる幸江。そして考えた幸江は、畳と机を固定することにしました。
ある日、割りばしがきれいに割れずに怒ったイサオはちゃぶ台をひっくり返そうとしますが、固定されているために動きません。幸江はホッとしていたのですが、畳ごとイサオはひっくり返してしまい、結局ざるうどんは飛び散ることとなりました。
自虐の詩のネタバレあらすじ:承
イサオに給料袋ごと持って行かれた幸江は、同じアパートに住むおばちゃん(カルーセル麻紀)に金を借ります。いつも幸江のことを娘のように心配してくれるおばちゃんは、「ひどい男や」と慰めます。しかし幸江は、「今日の競馬のレース次第です」と前向きです。おばちゃんは、いい加減目を覚ますよう言いますが、幸江は「イサオさんにもいいところがある」と言って聞きません。その間にもイサオはギャンブルに金をつぎ込みます。
そんな時、あさひ屋に来ていたチンピラの客が「料理にゴキブリが入ってた!」といちゃもんをつけて、金を出すよう脅してきます。そこへパチンコで全財産すったイサオが店に入ってきて、幸江に「金…」と言います。チンピラはイサオを睨みつけますが、秒でチンピラを頭突きで倒してしまうイサオ。イサオはレジの金をかっさらって、再びパチンコへ戻って行きました。
パチンコ以外では、時間つぶしで喫茶にいるイサオ。ふと窓の外を見ると、幸江が寒い日も雨の日も出前をする姿を見つけます。そしてある日、「明日から仕事に行くので、弁当を作ってくれ」と言うイサオ。翌日仕事に出たイサオですが、交通整備の仕事をしていると、東京にいた時に同じヤクザの組にいた二人の男たちとばったり出くわしてしまいます。
「不細工な女のために、ヤクザを辞めたって本当か?」と言われ、キレたイサオは男たちを殴ってしまい、警察に連れて行かれました。喧嘩をした理由を決して話そうとしないイサオに、幸江は「少しは辛抱してくれないと…」と言います。するとイサオは一人どこかへ行ってしまい、その日は家に帰ってきませんでした。
次の日、イサオはヤクザの組長に呼び出されて、自分の組に入るよう勧められます。一方、幸江は、あさひ屋の主人からプロポーズされていました。そしていきなりキスをされそうになり、急いで逃げ出す幸江。主人はプロポーズを断られて、ショックで行きつけの風俗へ行きます。そこで、刑務所帰りの幸江の父親と偶然出くわしました。翌日、あさひ屋で久しぶりに父親と再会を果たした幸江。
自虐の詩のネタバレあらすじ:転
父親との再会と同時に、幸江の妊娠も発覚します。その日はパチンコで大当たりしたイサオが店に来て、店にあるメニューを全部出せと無茶を言います。店には幸江の父親もいて、幸江はイサオと父親に子供ができたことを報告しました。子供ができたと知ったイサオが少しは喜ぶと思ったのですが、彼は何も言わずに店を出て行きます。幸江の父親は、イサオと一緒になることを反対し、幸江もショックで落ち込んでしまいました。
翌日、イサオは組長に会って、組に入りヤクザに戻ることを伝えます。家に帰ると幸江はいつものように食事を作っています。そしてふとイサオは、妊娠についての本に目が留まります。そこには「父親の役割」と書いてあり、幸江に「出て行け!」と言うイサオ。失意のどん底にいた幸江は、出前の途中で誤って歩道橋から落ちてしまい、病院へ運ばれます。幸江が重体だと知って、病院へ走るイサオ。
緊急手術を受けていた幸江は、中学時代に貧乏だといじめられた記憶や、父親が再婚相手を連れてきたことなどを思い出していました。再婚相手の女性のために銀行強盗をした父親。このことで、これまで以上に学校で孤立してしまった幸江ですが、唯一友達でいてくれる女の子・熊本さんがいました。彼女も貧乏で、一時は幸江が熊本さんを裏切ってしまい仲たがいしたこともありましたが、仲直りした二人はずっと友達だと約束します。そして幸せになるために、育った気仙沼を出て東京へ来ることを決心した幸江。電車に乗って東京へ行く幸江に、熊本さんは弁当とせんべつを持ってきてくれました。
自虐の詩の結末
気仙沼から東京へ出てきた幸江は、シャブ中毒になっていました。金を稼ぐために、一万円で体を売る幸江。そんな時に出会ったのがイサオでした。イサオは幸江に「愛している」と告白しますが、全く相手にしない幸江。その後も何度もイサオは幸江にアタックし続けました。その後、シャブのやりすぎで幻覚が見えるようになった幸江は自殺を図ります。イサオのおかげで一命をとりとめた幸江は、退院するとイサオが迎えに来てくれました。しかも、幸江のためにヤクザから足を洗ったイサオ。こうして二人は、東京から大阪に来たのでした。
手術が終わりベッドで幸江が目を覚ますと、目の前にはあさひ屋の主人や父親、おばちゃんがいました。長い夢を見ていた幸江。夢の中には自分を幼い頃に捨てた母親も出てきました。病室に入ってきたイサオは、「大阪に来る前に昔二人で行った海に、子供が産まれたら三人で行こう」と約束するのでした。
病院を退院した幸江のお腹は、どんどん大きくなります。イサオはヤクザの組長に組を抜けることを伝え、仕事をするようになりました。幸江が小さな幸せを感じていたある日、中学時代の同級生・熊本さんから電話がかかってきます。彼女は夫とドバイから帰ってきたところで、二人は空港で久しぶりに会うことにしました。
幸江は熊本さんのために弁当を持ち、せんべつをもって空港に向かいます。そして、数十年ぶりに再会を果たした幸江と熊本さんでした。
以上、『自虐の詩』のネタバレあらすじと結末でした。
詳細あらすじ解説
続いて「自虐の詩」の、より詳細なネタバレあらすじを解説します。
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