美しい星の紹介:2016年日本映画。大杉重一郎は天気が当たらない事で有名な冴えない気象予報士。平凡な毎日を送っていた彼だが、ある日突然、重一郎と彼の息子と娘が宇宙人に覚醒し、奮闘する姿を描く。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」、日本アカデミー賞受賞作の「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が三島由紀夫のSF長編小説を映画化、2017年公開。原作と時代設定等を大幅に変更し、現代のテーマに合わせた新たな脚色が魅力。
監督:吉田大八 出演:リリー・フランキー(大杉重一郎)、亀梨和也(一雄)、橋本愛(暁子)、中島朋子(伊余子)、佐々木蔵之介(黒木克己)、羽場裕一(今野彰)、友利恵(中井玲奈)、春田純一(鷹森紀一郎)、若葉竜也(竹宮薫)ほか
映画「美しい星」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「美しい星」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
美しい星の予告編 動画
映画「美しい星」解説
この解説記事には映画「美しい星」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
美しい星のネタバレあらすじ:起
大杉重一郎(リリー・フランキー)は妻の伊余子(中島朋子)と息子の一雄(亀梨和也)と娘の暁子(橋本愛)と暮らしている平凡な家族です。今日は息子、一雄の誕生日なのでお洒落なレストランで食事をしています。しかし、一雄は仕事でうんざりした顔で遅れて顔を出します。
父、重一郎の職業は気象予報士です。ニュース番組で天気予想をしますが、キャスターの今野彰(羽場裕一)に今日も「天気が当たらない」と嫌味を言われます。それでも重一郎は真に受けず、いつもの様にダラダラと仕事を続けています。
ある日の夜、重一郎は肉体関係にある助手の中井玲奈(友利恵)と行為を済ませ、車を走らせていました。すると眩しい光に包まれて重一郎は意識を失います。目が覚めたら車は道路を走っていたのにも関わらず、田んぼの中で止まっていました。そして、隣に居たはずの中井玲奈の姿もありませんでした。
この出来事をオカルトマニアの後輩に相談すると、後輩は、UFOに誘拐されて身体を調べられたのだと言います。重一郎は中井玲奈にも昨日の出来事を話しますが、玲奈は全く覚えていない様子です。
一方、重一郎の息子の一雄は、自転車便のバイトの途中、黒塗りの車が衝突してきたので後を追います。するとその車に乗っていたのは大物政治家の鷹森紀一郎(春田純一)と秘書の黒木克己(佐々木蔵之介)でした。これをきっかけに雄一は彼らに雇われます。
一雄はその事をデート中、彼女に自慢します。しかし、プラネタリウムの上映中、一雄は彼女の身体を一方的に触り、彼女は怒って出て行ってしまいます。1人になった一雄がスクリーンを見上げると、水星がどんどん大きくなって一雄に迫ってきます。
娘の暁子は超美人大学生ですが、いつも1人で行動しています。講師からは美しさのあまり特別扱いされたり、ミスコンにしつこく誘われたりしてうんざりしています。暁子が夜の街をトボトボ歩いていると、ギターの音色と共にストリートミュージシャンの竹宮薫(若葉竜也)に出会います。暁子は「金星 タケミヤカオル」とプリントされた彼のCDを購入します。
妻の伊余子は孤独な専業主婦です。日中は家族が家にいない為、孤独な毎日を送っています。そんなある日、友人から「美しい水」を勧められ、大量の水を購入します。そして、水の勧誘活動にのめり込んでいきます。
美しい星のネタバレあらすじ:承
暁子は竹宮薫のCDを聴くと感銘を受け、彼のいる金沢へ向かいます。竹宮は再開した暁子に「僕たちは金星人だ」と告げます。海辺に来た2人は、空へ向かって手で様々なポーズをすると雲の向こうで2つの発光体が上下左右に動きます。暁子は自身が金星人だと確信します。
一方、一雄は鷹森と黒木との仕事中でエレベーターに乗っていると、男が入ってきて撃ち殺される未来が見えます。一雄はエレベーターに入ってきた男を蹴り飛ばしますが、男は銃を持っていない普通の人で、周囲から引かれてしまいます。
また一方、重一郎が自宅でくつろいでいると地鳴りと共に窓から不思議な光が差し込みます。この日を境に、重一郎は火星人、雄一は水星人、暁子は金星人に覚醒しますが、伊代子だけは地球人のままです。
重一郎は火星人としての任務を果たすべく、お天気コーナーにも関わらず地球温暖化の深刻さについて熱弁、「地球の皆さん!今すぐ行動を起こしてください!」と叫び、手を高く上げ、足をクロスさせた変わったポーズをとります。これが反響を呼び、視聴率がはね上がります。
その傍、暁子は金星人としての任務を果たすために、断り続けていたミスコンに参加し「美の基準を正す」と言い放ちます。一雄は黒木が金星人だといち早く気付き、黒木は「地球人が決められないことを、我々が代わりに決める」と語ります。宇宙人に覚醒しなかった伊余子は「美しい水」の勧誘活動で表彰され、ビジネスの中心人物として充実した生活を送ります。
美しい星のネタバレあらすじ:転
しかし、伊余子は暁子が妊娠している事に気付き、妊娠させた相手を聞こうとしますが、暁子は「キスすらしていない」、「私は処女のまま妊娠した」等、不可解な返事をします。
またある日、伊余子が「美しい水」の講師として教壇に立っていると、説明会に来た人の情報で水が詐欺の疑いがある事が発覚します。
一方、重一郎の地球人へのメッセージは一線を超え、自分の担当ではないコーナーに乱入して、ゲストの鷹森に暴言を吐いてしまいます。これをきっかけに重一郎は番組を降板させられた挙句、医師に末期ガンで余命1ヶ月だと告げられます。
家族で旅行に行きたいと思っていた伊余子は重一郎の為にUFOを見に行こうと雄一と暁子に切り出します。
美しい星の結末
伊余子、一雄、暁子は夜中に病院から重一郎を連れ出し、車に乗せます。車から外を見ていた重一郎は夜の街並みを見て「やっぱり綺麗だな」と言います。車は福島の原発近くの封鎖された山道を突っ切り、森の中へ入っていきます。
車を降りた彼らは、まともに歩けない重一郎を庇いながらUFOを目指します。途中で原発事故で放し飼いにされた牛を見つけ、その上に重一郎を乗せます。やがて不思議な光が見えてきて、重一郎は光に向かって必死に走っていきます。
気付いたら重一郎は白い部屋の中に居ました。どうやらここはUFOの中のようです。重一郎は窓の方へ駆け寄ります。船内のAIが重一郎に「忘れ物ですか?」と何度も問いかけます。それを無視して重一郎は窓から地球を見下ろします。
すると空を見上げている大杉一家が見えました。そして、青い地球が現れます。
以上、映画美しい星のあらすじと結末でした。
三島由紀夫の原作を吉田大八監督が実写化ということでなかなか独特な雰囲気のある映画になっています。リリー・フランキー、橋本愛、亀梨和也、中嶋朋子の家族と聞いただけでわくわくしますよね。小説とはラストが異なるので評価は分かれるかと思いますが、個人的には中嶋朋子の怪演が最高でした。