しゃべれども しゃべれどもの紹介:2007年日本映画。佐藤多佳子の同名小説が原作。国分太一は、第62回毎日映画コンクールで主演男優賞を受賞しています。うだつの上がらない二流の落語家三つ葉が、口下手な美女、関西弁の小学生、強面の元プロ野球選手に落語を教えます。素人の生徒3人と、様々な問題を乗り越えながら進むうちに、自分自身もいっそう落語が好きになり、一皮剥けて成長する物語です。
監督:平山秀幸 出演:国分太一(今昔亭三つ葉)、香里奈(十河五月)、松重豊(湯河原太一)、森永悠希(村林優)、八千草薫(外山春子)、伊東四朗(今昔亭小三文)、占部房子(実川郁子)
映画「しゃべれども しゃべれども」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「しゃべれども しゃべれども」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「しゃべれども しゃべれども」解説
この解説記事には映画「しゃべれども しゃべれども」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
しゃべれどもしゃべれどものネタバレあらすじ:1
18歳で弟子入りし、22歳で二つ目に昇進した落語家の今昔亭三つ葉(国分太一)。なかなか真打ちには昇格できず、いまひとつ人気も上がりません。師匠も、なかなか殻を破れない三つ葉にため息。師匠の猿真似ではだめなのです。付き人がおたふくかぜになったため、師匠のお供で出かける三つ葉。師匠は話し方教室の講師として招かれています。
皆が師匠の話術に夢中になる中、ひとり席を立った女性がいました。その女性を追いかけて「どこがつまらなかったのか」と尋ねる三つ葉に、「本気でしゃべっていない。客をナメている」と答える女性。頭にきた三つ葉は、去っていく女性の背中に向かって、自分の出演する落語会を伝え、聞きに来てみろ、と叫ぶのでした。
二つ目の落語の会。あの女性が最前列に座っています。びっくりした三つ葉は、落語の冒頭部分をすっ飛ばし、最後までボロボロ。「うまく出来なくていい気味だ」という女性、名前は十河五月(香里奈)といいます。彼女は、人とうまく話せないことにコンプレックスを抱いていました。
三つ葉は、幼い頃に両親をなくし、自宅で茶道教室をやっている祖母に育てられました。今も一緒に暮らしています。茶道教室の生徒である郁子(占部房子)から、「大阪から引っ越してきて学校に馴染めない甥に、落語を教えてやってほしい」と頼まれます。郁子に好意をもっていた三つ葉は、しぶしぶ承諾。十河五月と、郁子の甥の小学生村林優(森永悠希)の2人が、三つ葉の落語教室の生徒になったのです。
しゃべれどもしゃべれどものネタバレあらすじ:2
三つ葉の家で、第1回落語教室が開かれます。練習課題として落語を披露する三つ葉。クスリとも笑わない生徒2人。二人ともあまりやる気がないようです。第2回の教室では、課題「まんじゅうこわい」の台本を用意してあげた三つ葉。東京の言葉が苦手な優には関西弁バージョンのビデオを見せました。すると優は、その面白さに気づきました。五月は、台本を少し読んだだけで、スラスラと暗唱してみせました。素質があるようです。
サングラスとマスクの怪しい男が玄関先に。元プロ野球選手の湯河原(松重豊)です。野球解説が恐ろしく下手な湯河原は、話し方がうまくなりたくて落語教室を覗いていたのです。生徒が3人になりました。三つ葉は五月と浅草ほおずき市へ出かけることに。浴衣姿の五月の美しさに見とれる三つ葉。浅草寺でおみくじを引くも、2人とも凶。せっかく来たほおずき市では、ほおずきはいらないと言い、蕎麦屋に入っても蕎麦を食べない五月。機嫌が悪そうです。去年のほおずき市には男性と来て、その後フラれてしまったとのこと。五月は泣いていました。
線路沿いのクリーニング店で働いている五月。大吉のおみくじが巻き付けられた、ほおずきの鉢植えがこっそり置いてあります。ラジオからは、湯河原の下手すぎる野球解説が聞こえており、店主によってすぐにスイッチを切られてしまいました。湯河原は、三つ葉の落語教室に来ても態度が悪く、やる気がありません。
しゃべれどもしゃべれどものネタバレあらすじ:3
三つ葉は、思いを寄せる郁子と一緒に納涼歌舞伎に行くことになりました。少ない預金から、2人分のチケット代を引き出す三つ葉。公園で、郁子の作ってきた弁当を無理矢理飲み込みますが、どうも味が変です。その上、彼女はもうすぐ別の男性と結婚するのだと聞かされてしまいます。歌舞伎のチケットを、ご祝儀代わりにと郁子に渡した三つ葉。
その足で、師匠の高座を聞きに浅草の寄席へ向かいますが、食あたりを起こして倒れてしまいます。病院へ運ばれたどさくさに紛れ、一門の発表会で、師匠の十八番「火焔太鼓」をやりたいと申し出た三つ葉。兄弟子から嫌味を言われつつ、練習を開始します。三つ葉の落語教室の2人も、だいぶ上達し、ひとつの話を最後まで暗唱できるようになりました。
しゃべれどもしゃべれどものネタバレあらすじ:4
阪神タイガースの大ファンの優。クラスメイトで巨人ファンの宮田君と、今度野球で勝負することになります。湯河原から直接指導を受けて、自信をつけた優でした。五月も合流し、落語教室で発表会をしようという話も出ます。
一門会の稽古が佳境に入りますが、師匠にピシャリとダメ出しされる三つ葉。なかなか「火焔太鼓」を自分のものに出来ません。五月のクリーニング屋を訪れた三つ葉は、落語教室をしばらく休みたいと告げます。「自分たちも暇つぶしではない」と凄む五月に、やはり教室の発表会をやろうと決めました。
優の母からの電話。優が家に帰ってきていないとのこと。優は、湯河原の勤める居酒屋に置き手紙をしていました。宮田君との野球の勝負は、空振り三振の完敗だったのです。「この家の中にいるのでは?」との五月の言葉で、の三つ葉の家の中を探すと、押し入れの中に優の姿が。三つ葉は思わず平手打ち。優は泣きじゃくります。
屋台で酒を飲む三つ葉、五月、湯河原の3人。落語教室をやめるという三つ葉。五月は反対です。「お前は人に好かれようとしないから、一生そのままだ」「自分はどうなの?好き勝手ばかり言っている」二人は仲違いしてしまいました。
しゃべれどもしゃべれどもの結末
ひどい二日酔いで、昼近くまで寝過ごした三つ葉。今日は一門会の当日であることに気づき、会場へ猛ダッシュします。楽屋裏でも気分が悪そうな三つ葉に、更に一杯酒を飲ませ、高座をやり遂げられないほうにお金を賭ける師匠。ところが、高座は大成功。一皮剥けて、自分ならではの「火焔太鼓」を披露する三つ葉の姿がありました。客席にも大いに笑いが起きています。一番後ろには微笑む五月の姿がありました。
小学校の正門で優を待つ三つ葉。平手打ちしたことを優に謝ります。そして、発表会に宮田君らクラスメイトを呼んだらどうかと提案。優も了承して、学校でチラシを渡します。「まんじゅうこわい」の東西対決と銘打った発表会の当日。友達がたくさん集まりました。宮田君も来ています。優の落語を聞いて、みんなが笑い、ついに宮田君もつられて笑いました。結局途中で帰ってしまいましたが、優に一目置くようになったに違いありません。
三つ葉と言い争ったことで気まずい五月は、出番に遅れてやってきました。話し始めたのは、課題の「まんじゅうこわい」ではなく、なんと「火焔太鼓」。技術はまだまだですが、最後まで話し切りました。来年から2軍のコーチをするという湯河原。三つ葉の弟子になることを予約するという優。落語教室は閉講し、皆それぞれの道を歩き出します。
エンディングでは、隅田川を行く船の甲板に、三つ葉と五月。「ほおずき、嬉しかった」と自分の気持ちを話す五月。ぶっきらぼうな言葉ながら、五月が好きであることを打ち明ける三つ葉。二人は抱擁を交わし、笑顔になるのでした。
以上、映画「しゃべれどもしゃべれども」のあらすじと結末でした。
落語が大好きで観た作品です。人の好さそうな落語家、主人公の三つ葉はこれまた人の好い国分君が好演していました。不愛想で不器用で話下手の美女と学校に馴染めない関西弁の小学生が三つ葉との交流と落語を通じて、だんだんに話し方としても、人としても成長する姿が楽しめるコメディドラマになっています。不器用な三つ葉と美女の恋愛模様も見どころです。