Love Letter(ラブレター)の紹介:1995年日本映画。岩井俊二監督の長編映画デビュー作となるのが本作です。婚約者を亡くした主人公が忘れられない気持ちが募り出した手紙。あるはずのない手紙の返事が返ってきて、それをきっかけに亡くなった彼と同姓同名の同級生と出会う事になります。中山美穂がひとり2役で演じています。第19回日本アカデミー賞にて、優秀作品賞を受賞。
監督:岩井俊二 出演:中山美穂(渡辺博子、藤井樹)、豊川悦司(秋葉茂)、酒井美紀(少女時代の藤井樹)、范文雀(藤井晶子)、中村久美(浜口先生)、加賀まりこ(藤井安代)、柏原崇(少年時代の藤井樹)ほか
映画「Love Letter」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「Love Letter」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
Love Letter(ラブレター)の予告編 動画
映画「Love Letter」解説
この解説記事には映画「Love Letter」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
Love Letter(ラブレター)のネタバレあらすじ:起
博子(中山美穂)は婚約者だった藤井樹を遭難事故で亡くし、それでも忘れられないまま3回忌を迎えようとしていました。博子は式の後、彼の母親から見せられた卒業アルバムから、彼が中学時代に過ごした北海道小樽の住所を見つけます。現在その住所には何もない事を知った博子は、亡き彼に宛てた手紙を書いて送ります。
そんな博子の元に届くはずのない手紙が届き、しかも返事が送られてきたのです。驚くべき事に、その手紙には「藤井樹より」との文字がありました。おかしいと思いながらも博子は返事を書きます。亡き藤井樹の親友だった秋葉茂(豊川悦司)にも相談し、手紙のやり取りを続けます。
最初はイタズラだと懐疑的だった秋葉も、やがて手紙の相手である藤井樹が気になるようになり、何者か確かめるために博子と共に小樽に向かうのでした。訪ねた住所には一軒家がありましたが、肝心の藤井樹は不在、仕方なく博子は手紙を残してその場を去るのでした。
Love Letter(ラブレター)のネタバレあらすじ:承
実は手紙を受け取った藤井樹(中山美穂・二役)は、亡き藤井樹と同姓同名で博子と瓜二つの人物だったのです。手紙を読み、博子の藤井への想いを知った樹は、同姓同名だった同級生の藤井樹の事を思い出しては手紙にして送ったのです。
手紙を受け取った博子はもう一度アルバムを確認し、もう一人の藤井樹を探し、自分にそっくりだった事にショックを受けます。写真の中の女子中学生にヤキモチを妬いている博子でしたが、もっと亡くなった彼の事を教えて欲しいと素直に思い、樹と手紙のやり取りを始めるのでした。
樹には藤井樹との思い出がそれ程多くありませんでした。名前が同じということで互いに意識してしまい、お互い避けるようになっていたのです。しかし博子と文通を続けている内に、藤井樹の事を思い出していきます。
博子に頼まれて母校に写真を撮りに向かうと、そこでかつての恩師から藤井樹がもう亡くなっている事を初めて知ります。また、現役の図書委員から「藤井樹ゲーム」が流行っていた事も知ります。藤井樹が貸出カードに残した名前を見つけては楽しんでいるようです。私ではないと否定する博子ですが女子生徒達は「その人、先輩の事好きだったんですね」と、さらに嬉しそうな姿を見せます。
Love Letter(ラブレター)のネタバレあらすじ:転
茂はどうにかして博子を元気づけようと、かつて藤井樹が遭難した山に博子を誘います。あの日から山には行っておらず、あまり気乗りのしない博子ですが、二人で山に向かいました。
山を目にした時茂は「博子ちゃんは貰ったで!」と叫びます。そして「言いたい事あるんなら全部言ってやれ」と博子の背中を押すのでした。博子は「お元気ですか?私は元気です」と何度も叫び、泣き崩れます。博子の叫び声はやまびことなり、響き渡りました。
Love Letter(ラブレター)の結末
樹は中3の時に病気で父親を亡くしていて、病院嫌いになっていました。そのため高熱が出ても病院に行かなかったため風邪を拗らせてしまい、病院に運ばれてしまいます。ようやく回復の兆しを見せた樹は、再び博子に手紙を書きます。
この時初めて父親の死に触れ、亡くなったショックで新学期になっても登校できずにいました。そこに藤井樹が訪ねてきて、借りていた本を返しておいて欲しいと頼むのでした。それが藤井樹との最後の思い出になってしまった事を綴ります。
博子はこの思い出は樹が持っておくべきだと、今まで藤井樹の思い出を書いた手紙を樹に返します。博子は貸出カードに書かれていた名前があなただったような気がしてならないと追記しますが、樹はピンときません。
ある日、母校で会った図書委員達が面白いものを見つけたと樹を訪ねてきました。それは一冊の本で、藤井樹が樹に返却をお願いした本だったのです。その貸出カードには藤井樹が書いたと思われる樹の似顔絵が描かれていました。樹は博子にこの事を伝えようと考えますが、なんだか照れくさくなり心の中に留めておくことに決めました。
以上、映画「Love Letter(ラブレター)」のあらすじと結末でした。
「Love Letter」感想・レビュー
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2度みたが、すじがまだのみこめません。ありえない筋書きなのと、二役で区別がつきにくいからでしょうか。でも、なき妻を強く思い出させてくれるいい映画なので、3度目に挑戦してします。中学生の生活が、50年前の我が高校時代をおもいださせます。
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この映画を見て、私が強く印象に残ったのは、二人の樹が最後に会うシーンでした。「本を返しておいてほしい」と頼む男の樹、なぜ自分で直接返さないのか、という問いにははっきりと答えません。「転校することになった」と伝えれば、当然相手の気を引くでしよう。しかしそのことは言わない。同じ男として、なんというカッコイイ男だと感じました。自分が同じ立場だったら、おそらく黙ったまま立ち去ることが、できないと思ったのです。考えようによっては、相手にそれだけ強い思いがあったからこそ、伝えなかったのかもしれませんね。
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素晴らしかった
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想いを寄せている人にこの映画を薦められて、観ました。趣味や志向の共通点が少なく、この映画の感想を共有できれば嬉しいなと思ってます。
2人の樹と、顔の似た女性2人が時と場所を経て、交わるようで、交わらない、もどかしさを感じました。
男の樹が女の樹に、告白出来なかったけど、色んな形で表現する場面が、一歩勇気の出ない自分と似ている気がしました。笑好きってなんなんでしょうね。
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この映画がずっと気になっていました。中学生の樹の気持ちが、純粋で懐かしく、数十年前の同じ時代にフラッシュバックして、涙で心洗われる気持ちになりました。
久しぶりに心に届く映画を観れて、よかったなーと思っています。 -
中山美穂さんの魅力ももちろんなのですが 二人の中学時代の日常の姿が
心に残ります。夕暮れの自転車置き場のシーンも好きです。自分でもつかみ切れない中学生の男の子の同姓同名のクラスメイトに対する恋心が切ないですね。
ラストの貸し出しカードの裏に描かれたデッサンを見せられる場面は小説を読んだ時も映画の時もちょっと涙が零れました。
私がこの映画の中で一番好きなシーンは、彼が本当に好きだったのは自分と顔がそっくりな女の人だったということに気がついた彼女が、彼が亡くなった山に行ったときのシーンです。白い雪が積もっているところで、山に向かって彼女が叫びます。”お元気ですか”、”お元気ですか”、”私は元気です”半分泣きながら叫ぶそのシーンで彼女が彼に’何とか言ってほしい’と叫んでるように聞こえました。聞きたいことがいっぱいあって、話したいことがこんなにあるのに、簡単な挨拶すらできないところに行ってしまった彼にその気持ちを叫んでるように見えました。誰よりも大事な存在であった彼が、本当に好きだった人は自分じゃないかもしれない、失恋したような気持ちになっているその気持ちを、挨拶を叫ぶことで表現してるように思いました。誰にでもある懐かしい思い出。その思い出が実は少し違う思い出だったかもしれない、私が覚えてることがすべてではないかもしれないということを、この映画が終わってしばらく考えました。映画が終わってもまるでその世界に自分がいたような不思議な感覚を残すほど世界観がすごい作品でした。