カナリアの紹介:2004年日本映画。元カルト教信者の少年が偶然出会った少女と共に旅をするロードムービー。オウム真理教事件から10年の節目になる2005年に公開された作品。
監督:塩田明彦 出演:石田法嗣(岩瀬光一)、谷村美月(新名由希)、西島秀俊(伊沢彰)、りょう(咲樹)、つぐみ(梢)、甲田益也子(岩瀬道子)、水橋研二(ジュナーナ)、戸田昌宏(吉岡)、品川徹(光一の祖父)、井上雪子(老婆)、ほか
映画「カナリア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「カナリア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
カナリアの予告編 動画
映画「カナリア」解説
この解説記事には映画「カナリア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
カナリアのネタバレあらすじ:起
その年、ニルヴァーナというカルト教団が無差別テロを起こしました。強制捜査の末、数十名の子供たちが関西の児童相談所に送られました。その中に12歳の岩瀬光一もいました。最初は狂暴だった子供たちも徐々に教団の教えから解放されていきましたが、光一の態度だけは変わりませんでした。そんな光一を見た祖父は、引き取りを拒否し8歳の妹の朝子だけを連れていきました。光一は児相を脱走することを決意します。ひたすら走り続け、廃校で手に入れた運動靴とドライバーを持って再び走り続けます。その時、突然飛び出した光一を避けようとして車が田んぼに転落します。中から女の子が出てきました。その女の子の新名由希はわいせつ目的で男に誘拐されかけていましたが、男は動かなくなっていました。別の車がやって来て二人は慌てて逃げだします。山道を行きながら、由希は「あんたニルヴァーナの子やろ。児相で見たわ。」、「助けてくれた恩返しがしたい」と話します。「東京にいる祖父から妹を取り返す」と話す光一に東京行きの金は自分が用意したるといいます。由希は顔見知りの体が不自由な老人に自分の裸を見せることで金を手に入れ、光一に渡します。金はいつか絶対返すからと約束する光一に由希は「うちもあんたと一緒に行きたい。もうこんな町におりたない」と話します。好きにすればいいと言う光一でした。こうして二人の旅が始まりました。
カナリアのネタバレあらすじ:承
二人は電車とバスを使いつつ、ひたすら歩き続けました。今だに教団の教えに支配されている光一と由希はしばしば対立します。その途中のキャンプ場でレズのカップルと出会い二人は久しぶりに温かい食事と寝床を手にします。夜中に由希は自分の過去を話しました。夢の中で光一は自分がニルヴァーナに入信した時のことを思い出していました。
カップルからもらった1万円を手に二人は新幹線で東京にたどり着きました。そこで光一の母親が指名手配されていることを知ります。祖父の家にやってきた光一と由希でしたが、無人の家は落書きだらけでガラスも割られていてひどい有様でした。行く当てもなく、無一文になった二人は援交か万引きかでもめてしまいます。ケンカ別れした由希は見知らぬ男の車に乗り込んでしまいます。光一は車を追いかけ、バットでフロントガラスをたたき割ります。由希を救出した光一は手を取ってその場から逃げ出します。「銀色の道を」歌いながら、二人は商店街を彷徨います。
カナリアのネタバレあらすじ:転
そんな二人に「ラヴァナ」と教団での名前を呼ぶ男がいました。それはかつて教団にいた伊沢でした。現在伊沢は元信者の仲間たちと共同生活を送りながら、リサイクル業を営んでいました。伊沢は二人を温かく迎え入れながら、祖父の居所を探させると約束してくれました。光一は仕事を手伝い、由希は盲目の老婆の身の周りの世話をしました。伊沢は光一に、この家が教団にお布施される予定だったことや老婆が教団に財産を巻き上げられたことを話します。伊沢は自分たちがやっていたことは一体何だったのかと苦悩していました。その間に由希は老婆に母との思い出だった折り鶴を折ってもらいました。二人は久しぶりに落ち着いた時間を過ごすことができました。ほどなくして祖父の居所が分かりました。伊沢は由希にワンピースと光一に餞別の金を渡しました。伊沢からの言葉を胸に二人は祖父の家を目指します。
カナリアの結末
途中で寄った食堂のテレビで指名手配中の光一の母が自殺したニュースが流れました。光一はテレビを蹴飛ばし、豪雨の外へ飛び出します。由希はが慌てて追いかけると、光一はドライバーを自分の首元に突き刺そうとしていました。由希は「あんたが死んだら、あんたの妹はどうなるん」とドライバーを光一から取り上げました。由希は自分が妹を連れてくることを約束し、光一を置いて歩き始めました。夜中になって、由希は祖父が隠れ住んでいるロッジにたどり着きました。鍵がかかっていなかったのでそっと家に入るとベッドに祖母が寝たきりになっていました。手を握って話しかけても無反応でした。その様子を陰から見ていた祖父が現れます。光一の妹を連れ戻しに来たと話す由希に、祖父は朝子は渡せないと突っぱねました。娘と同類の光一に渡してはまた失敗する。今度は失敗しないと身勝手なことを言い放ちます。由希は「そんなん理由になるかい。あんたはうちの父親と同じクズだ」といってドライバーを振り下ろします。その手を止めたのは、髪が真っ白になった光一でした。怯える祖父を後目に、妹の朝子が光一を見つけ思わず抱き着きます。朝子は由希と光一の手を取って歩き始めました。「これからどうするん」「生きてく」と会話を交わしながら3人は歩いてゆくところでこの物語は終わります。
この映画の感想を投稿する