恋人たちの紹介:2015年日本映画。通り魔殺人事件で妻を失った篠塚、夫と姑と暮らす瞳子、仕事ができると自負している弁護士の四ノ宮。三人の男女がそれぞれに恋を失い人生のどん底に落ちて、それぞれに再生していく。キネマ旬報日本映画ベスト・テン 第1位等、数多くの賞を受賞した。
監督:橋口亮輔 出演者:篠原篤(篠塚アツシ)、成嶋瞳子(高橋瞳子)、池田良(四ノ宮)、安藤玉恵(吉田晴美)、黒田大輔(黒田大輔)、木野花(瞳子の姑・敬子)、光石研(藤田 弘)、リリー・フランキー(アツシの先輩)ほか
映画「恋人たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恋人たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
恋人たちの予告編 動画
映画「恋人たち」解説
この解説記事には映画「恋人たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恋人たちのネタバレあらすじ:起
アツシは3年前の通り魔殺人事件によって、いっしょに人生を築こうとしていた妻を亡くした。喪失感で仕事のできない日々を過ごし、犯人を訴えるために相談した弁護士たちから相談料をふんだくられた。今は都内の橋梁点検の会社で働いている。ハンマーで叩いた音で橋梁の奥の破損の有無がわかる才能は頼りにされているが、今も健康保険の保険料の支払いに苦しむ困窮を続けていて、気持ちはすさむばかりだった。ある日、若い社員が会社に美女水というあやしいラベルのペットボトルの水をもってきて女子社員に紹介している。インチキだと教える同僚に対して若い社員は、美女水を売った女性と結婚すると言ってきかない。
郊外の弁当屋でパートとして働く瞳子は職場では経営者夫婦の妻の方から仕事ぶりを嫌われ、家に帰ると小さな平屋に同居するケチな姑にけちを付けられることが多い。夫は気が向くとセックスを要求し二人は漫然と体を交わす。子供はいない。皇太子妃雅子様のファンである彼女の息抜きは、雅子様のお出ましをパート仲間と見に行った時に撮影されたビデオを見ること。そして密かに漫画と小説も書いていた。ある日の仕事帰り、弁当屋の取引先の肉屋で働く弘が強引に彼女の自転車の後ろの荷台に座る。自転車で鶏を追いかけるためだが、瞳子にとってめったにない心ときめく体験だ。鶏をつかまえた礼に、晴美の経営するアムールというスナックでビールをおごられるが、晴海に美女水という名のぼったくり価格のペットボトルの水を、水割りがおいしくなる、肌につけると美容に良いと売りつけられる。
弁護士の四ノ宮は所属する弁護士事務所のオフィスで、貧乏なのを隠して自分と結婚して成田別居の夫と離婚すると言う女性の訴えを聴く。嘘をついて女子アナの私を得たのだから結婚詐欺だと言う女。その後、外で同僚と話しながら歩いていると、何者かに背中を押され、階段を転げ落ちて足を骨折する。入院した四ノ宮を学生時代からの、四ノ宮がゲイであることを知っても変わることのない親友の聡が、妻と幼い息子を連れて見舞う。弁護士になった祝いに聡にもらったモンブランの万年筆でギプスに見舞いのことばを書いてもらう四ノ宮。だが、聡の息子の耳を触って「パパと耳の形そっくりだな」という四ノ宮について聡の妻は不審の表情を顔に浮かべる。そこに四ノ宮と同居している若い同性のパートナーが見舞いに来る。
恋人たちのネタバレあらすじ:承
美女水を瞳子の家にもってきた弘。瞳子の描く漫画や小説に気が付く。恥ずかしがる瞳子。そんなことをしているうちにその日のうちに二人は肉体関係をもってしまう。後日、弘は瞳子を養鶏場へ連れて行く。瞳子に夢はあるかとたずねる弘。彼は養鶏場を買うための出資を瞳子にもちかける。
アツシたちが昼食をしている時、テレビが通り魔殺人事件の容疑者が精神鑑定の末に措置入院となったことを報じる。会社の同僚には暗い奴と思われ心配される
四ノ宮は退院する。ギプスをつけたままなのでパートナーの世話にならなければならないが、パートナーに対し自分が優位にあることを疑わず威圧的な態度を取る四ノ宮は、同性愛者の友人たちの前でひどい「嫁」をからかい続ける。パートナーは帰宅後四ノ宮に「尊敬できない」と言って別れを告げる。独立を考えている四ノ宮は、弁護士事務所に向きそうな物件を不動産業者である聡に紹介してもらう。しかし、聡のよそよそしい態度、聡の家に電話した時の妻の妙な態度が気になる。息子に四ノ宮がいたずらしたという疑いがかかっていることがわかる。
恋人たちのネタバレあらすじ:転
アツシは、損害賠償の訴訟を起こそうと着手金をもって久しぶりに弁護士――四ノ宮――に会う。だが、四ノ宮は勝ち目の薄い裁判で負けて自分が傷つかないように、訴訟を担当することを断る。欠勤の続くアツシを心配した会社の先輩の黒田が、前々から頼まれていた前借金と差し入れの弁当(瞳子の勤める弁当屋の製品)をもってくる。妻を殺した男への殺意を隠さないアツシに黒田は、殺したらこうして話せない、アツシともっと話したいと言う。でも自暴自棄のアツシは街で覚醒剤を買って、後でそれが実はカルキだと教えられる。またも騙され絶望を深めたアツシは風呂場で手首を切ろうとするがそれもできない。妻の位牌の前に座り、妻に向かってごめんなと言って涙を流す。
瞳子は美女水を顔につけ、めかしこんでカバンに荷物を詰めて弘の家へ行ったが、そこで見たものは、注射器を腕に打つために腕を縛ろうにもうまくできない、情けない薬物依存者という弘の素顔だった。ちょうど荷物を取りに来た晴美から瞳子は、鶏を見に連れて行かれたでしょと言われる。養鶏を始める話も嘘だった。注射を打って朦朧とする弘の前で瞳子は、全く仕事のできない派遣社員だった瞳子の上司――今の夫――の奇妙な口説き文句の話をする。そして彼女の夢について…。
やっとギプスのとれた四ノ宮は聡に携帯から電話をかける。聡の息子にいたずらしたという疑惑は妻の妄想によることを四ノ宮は知る。彼はそんなことで友情を失いたくなかったが、聡にすぐ電話を切られてしまう。四ノ宮は、もう声の届かない聡に向かってずっと彼を好きだったことを初めて告げる。
恋人たちの結末
切らしたコンドームを買いに行くと言う瞳子に夫は、夫婦なのだから子供ができてもいいと言う。その後、晴美が皇族のようにみせかけて披露宴をあげて招待客から祝儀を集めて逮捕されたことをテレビで瞳子は知る。
女子アナウンサーが弁護士事務所を再び訪れた。離れてみて彼女は夫への愛情に気づいた。テーブル上の聡から贈られた万年筆に目が留まって四ノ宮が涙を流すのを見て相談者は、自分に同情していると勘違いして感激する。離婚は止すと言う。
アツシは職場に復帰する。美女水の女と結婚すると言っていた同僚も夢から覚めていた。ボートで同僚たちと橋梁点検へ向かい、点検後にいつものように「右よし、左よし」と言った後、空を見て青空に向かってもう一度「よし」と言う。
以上、映画「恋人たち」のあらすじと結末でした。
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