モスラの紹介:1961年日本映画。台風で座礁した船からインファント島へたどり着いた乗組員たちが救助され、無人島であるはずの島に原住民がいた話をしたことから、調査団が訪れ、小美人を発見しました。この小美人で金儲けを企むネルソンらが日本へ連れ帰った為、モスラが現れ、小美人を助けに来て暴れるという内容の東宝怪獣映画です。ゴジラ、ラドンに次ぐ怪獣キャラクターもので、日米合作という事もあり、当時の製作費2億円という超大作に仕上がっています。
監督:本多猪四郎 (本編)、円谷英二 (特技) 出演者:フランキー堺(福田善一郎)、小泉博(中条信一)、香川京子(花村ミチ)、田山雅充(中条信二)、伊藤ユミ(小美人)、伊藤えみ(小美人)、上原謙(原田博士)、ジェリー伊藤(クラーク・ネルソン)ほか
映画「モスラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「モスラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
モスラの予告編 動画
映画「モスラ」解説
この解説記事には映画「モスラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
モスラのネタバレあらすじ:起
超大型台風により、水爆実験の行われる無人島のインファント島付近で座礁した第二玄洋丸の乗組員救助に向かった救助隊は、インファント島で乗組員を救助しました。放射能汚染されていなかった乗組員たちは、原住民に赤い飲み物を飲まされたと話しました。
古くから無人島と言われるインファント島に島民がいたことから、管理するロリシカ国と日本の合同調査隊がインファント島に向かう事になりました。日東新聞の福田と花村は、調査に向かう一員の言語学者の中条の家で取材していました。やがて出発が近づくと、特別参加のネルソンが、調査した内容の一括管理と報道陣の同乗を認めない方針を打ち出しました。中条は文句を言い、調査資料の一括管理は取りやめになりましたが、報道陣は乗せず出発しました。しかし福田は船員に扮して乗り込み、取材を続けていましたがネルソンに見つかり日本チームの警備員の役割で動向を認められました。
やがて調査団は上陸し、島の中間にあるジャングルに入りました。一人はぐれた中条が吸血植物に捕まり、警報を鳴らすと二人の小人美人を見つけました。やがて仲間に救助され、翌日、中条が、小人美人のいた場所に案内して警報を鳴らしました。すると小人美人が現れました。言語学者の中条は彼女らが水爆実験をやめてくれと言っているのがわかりました。その時、ネルソンらが小人美人を捕えて帰ろうとしますが、原住民に囲まれ、やむなく逃がしました。
モスラのネタバレあらすじ:承
帰ってきた一行は、報道陣に一部の情報しか流しませんでした。それは中条の提案で、この島はそっとしてあげようと言った事に皆同調したからでした。そして福田が小美人と名付けた二人の事も話しませんでした。ネルソンの事を調べていた福田と中条は、ネルソンが古美術品のブローカーだと知りました。各地で古美術を盗み、売ったり展示したりして金儲けをしていました。そして今回の調査費用を出したのもネルソンでした。中条はジャングルで見つけた碑文の写しを福田に見せ、モスラと書いていると話しました。
そのころネルソンらは、再びインファント島に上陸し、小美人を捕まえていました。そして原住民たちに取り囲まれると銃で射殺し、小美人を日本に連れ帰りました。インファント島では長老がモスラの名を呼び、助けを求めました。ネルソンは、小美人を見世物にし、満員の観衆の前にステージで歌を歌わせ、金を稼いでいました。小美人たちはモスラの唄を歌い続けました。ロリシカ島に抗議しますが、調査費用も出したネルソンをかばい、ロリシカ国の権利を主張したため、ネルソンには一切手出しできなくなりました。インファント島では残った原住民たちがモスラを呼ぶ唄と踊りを踊っていました。
モスラのネタバレあらすじ:転
中条と福田はネルソンに話し合いを申し込み、小美人たちと話をすることが出来ました。小美人たちは、自分たちはテレパシーが使え、この声はインファント島に飛んでいると言いました。そしてあなたたちには悪いが、私たちを助けにモスラがやって来て、大きな被害が出るでしょうと言いました。
その言葉通り、インファント島では卵からモスラの幼虫が生まれ、太平洋を泳ぎ日本へ向かっていました。そして豪華客船オリオン号を沈没させました。自衛隊航空部隊はモスラに総攻撃を加え、モスラは見えなくなりました。死んだと思ったモスラはダム湖に現れ、ダムを破壊し、横田基地を通り、東京を目指し始めました。中条の弟が、モスラが来るのは小美人を帰さないからだと、ネルソンの事務所に潜り込み、助けようとしますが、部下たちに見つかり拘束されました。
やがてモスラは東京に上陸し、破壊しながら東京タワーに上り、折り曲げました。そして折れた東京タワーに寄りかかり、繭を作りはじめました。完成した繭をロリシカ軍の協力を得て、原子熱線砲を浴びせました。繭が燃え始めモスラを倒したと喜びました。
モスラの結末
ネルソンらは小美人を持って空港に向かい、ロリシカ国へ逃亡しました。そしてもう安心だと小美人をケースから出すと、二人はモスラの唄を歌い始めました。すると東京タワーの繭が突然壊れ、成虫になったモスラが現れました。モスラはロリシカ国へ向け飛び立ちました。
ロリシカ軍がモスラに全滅させられたという情報が入って来ました。ロリシカ国は小美人と話が出来る中条や福田らをロリシカ国へ呼びました。そのころ、ロリシカ国民はネルソンが小美人を帰さないからだと抗議活動を始めていました。中条の提案で、空港に大きな碑文のマークを書かせ、一斉に街の鐘を鳴らすように指示しました。中条の計画ではこれでモスラが空港に降り立つはずだというのでした。ネルソンは車で移動中、市民たちに囲まれ講義を受けました。怒ったネルソンが銃を取り出し発砲すると、逆に警官らに射殺されました。
解放された小美人を連れ、中条らは空港に向かいました。そして3時になって一斉に鐘が鳴ると、モスラが空港に降り立ちました。中条や福田らが小美人をモスラの前で解放しました。小美人はモスラに乗り、インファント島へと飛び立ちました。インファント島には昔のような平和が訪れました。
以上、映画「モスラ」のあらすじと結末でした。
「モスラ」感想・レビュー
-
音楽、美術、俳優、脚本、全てにおいて東宝特撮映画の中で最高傑作ではないでしょうか。私的には、導入からラストシーンまで、うっとりするほど美しいし、よく、こんな素晴らしい映画がつくれたもんだ。全体的にファンタジーなのに、特撮映画特有の大迫力なシーンありで楽しめる。なのに真面目な作り方になっていると思います。東宝特撮映画の第2位は妖星ゴラス、3位はゴジラ。この座は揺るぎません。
-
1961年度版の「モスラ」は、美しい映画だ。
“アメリカの核実験、アメリカ大国主義批判”と見る向きもあり、もちろん、その意見も否定しないけれど、それよりも”大自然を荒らす人間のわがままに対する自然の復讐”というのが、根底にある思想だろう。
小美人を捕まえたネルソンを批判しながらも、ネルソンの小美人興行は連日超満員。
捕まえたネルソンも悪いが、見方によっては、それを面白がって見にくる日本人も同じ穴のムジナだ。そして、ニューカーク市に逃げたネルソンをリンチ寸前まで追い詰めるロリシカ人たち。
彼らがネルソンを追い詰めるのは、ネルソンが小美人を捕まえたからではない。
モスラがニューカーク市を襲うからだ。人間というのは、つくづく手前勝手なものだなと、改めて思う。
それに比べて、「モスラに善悪はわかりません。ただ私達を助けにくる本能があるだけ」という、モスラの方がよっぽど純粋だ。人間の振りかざす、一見正義に見えるものが、実は人間のエゴの一つの形でしかない。
それをザ・ピーナッツの小美人、モスラという極彩色の彩りを持った、美しい怪獣を使って表現した怪獣映画の傑作だ。怪獣というと、昔の恐竜のイメージから来ているので、どうしても、単色の色的には美しくない生き物になりがちだ。
それを蛾の怪獣という、カラフルな生き物を起用し、また卵、幼虫、繭、成虫と変化し、形的にも飽きがこない。幼虫のモスラがダムを襲い、避難する親子が落とした赤ちゃんの籠を、今にも流されんとする橋から、フランキー堺が救出するシーンの息詰まること!!
フランキー堺に降りかかる水しぶきが、サスペンスを盛り上げる。
また、幼虫による東京破壊、続く東京タワーに作った繭のシーン。
特に東京タワーの繭の中で動くモスラ、それを手前で見る群衆のシーンは、あまりの美しさに溜め息が出た。
これは、特撮史上の名カットだと思う。とにかくこの作品は、第1作目の「ゴジラ」と並ぶ、怪獣映画の傑作だ。
感想ではないが誰か知らないかな?
インファント島でモスラの卵が孵る手前で『モスラよ…』って天の声みたいなのが流れるんだけどあの声は銀河万丈(田中崇)さんなのでは?
オープニングのクレジットにもwikiに載ってるノンクレジットにも名前は無いんだが声質がそっくりなんだよなぁ。