スリの紹介:2000年日本映画。伝説のスリ師・海藤はアル中により右手が思うように動かせず、禁断症状にも悩まされています。海藤に拾われた若い娘レイは、彼を立ち直らせるため断酒会への参加を勧めますが…。「竜馬暗殺」「浪人街」の黒木和雄監督と俳優原田芳雄がタッグを組んだハードボイルド映画です。
監督:黒木和雄 出演者:原田芳雄(海藤正彦)、風吹ジュン(松浦鈴子)、真野きりな(レイ)、柏原収史(一樹)、香川照之(鴨井)、石橋蓮司(矢尾板徹)、平田満(渡辺)、ほか
映画「スリ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スリ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スリの予告編 動画
映画「スリ」解説
この解説記事には映画「スリ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スリのネタバレあらすじ:起
ある日の満員列車。車内で中年男が若い女スリのレイ(真野きりな)に痴漢行為を働いています。年老いたスリ・海藤(原田芳雄)はその隙に中年男の胸元から財布を抜き取ろうとしますが、手元が震えてうまくいきません。背後にぴったりと付いていた刑事・矢尾板(石橋蓮司)からやれよと煽られますが、海藤は手を引っ込めました。
別の日の列車内。今度はレイが単独でスリを働きますが、財布を抜き取ったところで若い刑事に取り押さえられます。レイは近くに立っていた不良少年・一樹(柏原収史)の上着のポケットに盗んだ財布を入れ、証拠不十分で釈放されました。
スリのネタバレあらすじ:承
海藤は電車でのスリを専門とする箱師です。かつては刑事の矢尾板を唸らせるほどの腕前を持っていましたが、現在はアル中を患い、右手が思うように動きません。レイにとって海藤はスリの師匠であり、父親のような存在です。海藤は両親のいなかったレイとレイの兄アキラを引き取り、二人を我が子同然に育ててきました。
海藤を嫌うようになったアキラは家を飛び出して集団スリの長となりましたが、レイは海藤に深い恩義を感じており、アル中の海藤の生活の面倒を一人で見てきました。
ある日、一樹がレイのもとを訪ね、スリになりたいと願い出ます。レイのスリの腕前にすっかり惚れ込んでしまったのだと言うのです。海藤は一樹を弟子にしてやってもいいと考えはじめますが、レイは一樹を仲間にすることに反対します。しかし海藤からスリの基本を叩き込きこまれた一樹は、みるみるうちにその才能を開花させていきます。
スリのネタバレあらすじ:転
海藤はレイの勧めで東京断酒再生会に参加することになりました。断酒会で海藤は自虐を交えながら自己紹介をしますが、断酒会の会長・松浦鈴子(風吹ジュン)はそんな海藤に嫌悪感を抱きます。自らも酒におぼれた経験を持つ鈴子はアル中患者の救済に情熱を注いでいました。
酒を断てない海藤は幻覚に悩まされるようになり、暴れる海藤を押さえ込むのは一樹の役目となりました。次第にレイは一樹を頼るようになり、二人はやがて恋仲になります。
ある日、女に振られた断酒会のメンバー鴨井(香川照之)が会でナイフを振り回して、暴れるという事件が起きます。鴨井を信頼してきた鈴子は心を痛め、心の安定を失っていきます。
ある日、レイは鈴子に落語好きの海藤を寄席に誘ってもらえないかとお願いします。さらに海藤のやってきた仕事がスリであることを明かします。鈴子は次第に海藤に関心を寄せるようになり、二人はデートをします。一方レイは一樹の子供を身ごもってしまいます。
スリの結末
ある日、一樹がアキラに拉致されるという事件が起きます。海藤は怯えるレイを励まし、一樹を助けるためアキラのもとに乗り込みます。しかしアキラらに激しい暴行を受け、海藤は右手を潰されてしまいました。命とも言える右手を負傷した海藤は生きる気力をなくし、部屋にひきこもります。
ある晩、鈴子が海藤を訪ねてきます。鈴子は孤独感に苛まれ、断ってきた酒に再び手を出していました。二人は互いの傷をなめ合うかのように、その夜関係を持ちました。翌朝、海藤は動かない右手を抱えるようにして駅に向かいます。そしてホームで電車を待つ男のそばに立つと、素早く財布を抜き取ります。右手に激しい痛みが走ったものの、海藤は久しぶりにスリを成功させました。
しかしその一部始終を反対側のホームに立っていた矢尾板に見られていました。矢尾板は満足げに頷き、海藤を捕えるため階段を駆け下りていきます。海藤も右手を庇いながら走り出すのでした。
以上、映画「スリ」のあらすじと結末でした。
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