真実の紹介:2019年日本,フランス映画。 『万引き家族』(2018年)でカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞した是枝裕和監督がフランスを代表する名女優カトリーヌ・ドヌーヴとタッグを組み、日仏合同で製作したヒューマンドラマです。国民的大女優が「真実」と題した自伝を出すことになりますが、このことをきっかけに自伝では語られなかった女優の娘との心の影が浮き彫りになっていきます。
監督:是枝裕和 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ(ファビエンヌ・ダジュヴィル)、ジュリエット・ビノシュ(リュミール)、イーサン・ホーク(ハンク・クーパー)、リュディヴィーヌ・サニエ(アンナ・ルロワ)、クレモンティーヌ・グルニエ(シャルロット)、マノン・クラヴェル(マノン・ルノワール)、アラン・リボル(リュック)、クリスチャン・クラエ(ジャック)、ロジァー・ヴァン・フール(ピエール)、ローラン・カペリュート(記者)ほか
映画「真実」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「真実」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
真実の予告編 動画
映画「真実」解説
この解説記事には映画「真実」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
真実のネタバレあらすじ:起
フランス映画界を代表する大女優ファビエンヌ・ダジュヴィル(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、その長きに渡るキャリアを振り返った自伝を出版することになりました。タイトルは『真実』。
その出版祝いに、ニューヨークで脚本家として活躍している一人娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)が夫で俳優のハンク(イーサン・ホーク)と幼い娘のシャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)と共にファビエンヌの元を訪れてきました。元来わがままな性格のファビエンヌは仕事を優先するあまり家庭を顧みてこなかったため、リュミールとの関係は決して良好とはいえないものでした。リュミールは出版前に原稿を見せてもらう約束をしたにも関わらず反故にされ、自伝はそのまま出版されることに。
早速『真実』を一晩かけて読み込んだリュミールでしたが、そのあまりにも事実とはかけ離れた内容に憤りを露わにしました。しかし、ファビエンヌは全く意に介さず「私は女優だから本当のことは言わない」とのたまうのみでした。
さらにリュミールを驚愕させたのは、かつてファビエンヌと同じく女優への道を歩みながらも40年程前に早世した叔母のサラについて全く触れられていないことでした。リュミールは幼い頃母よりもサラによく面倒を見てもらったのです。リュミールはこの件についてファビエンヌの秘書リュック(アラン・リボル)に尋ねてみたところ、ファビエンヌが最近出演を決めた低予算SF映画『母の記憶に』に“サラの再来”と呼ばれる新進女優マノン・ルノワール(マノン・クラヴェル)が主演するからだと聞かされました。
真実のネタバレあらすじ:承
リュミールはリュックの勧めでファビエンヌの撮影現場に足を運ぶことにしました。リュミールはサラの面影を連想させるマノンに目をつけますが、突然リュックが自分が自伝に1行も出ていないことを理由に退職を申し出てきました。存在を否定されたというリュックはリュミールの慰留を拒み、仕方なくリュミールが一時的にファビエンヌの付き人をすることになりました。
その翌日、ファビエンヌの元夫ピエール(ロジァー・ヴァン・フール)が彼女の元を久しぶりに訪ねてきました。ところが、『真実』の中ではピエールはとっくに死んだことになっており、しかもファビエンヌ邸で飼われている亀には同じくピエールと名付けられていました。シャルロットはかつてファビエンヌが映画『ヴァセンヌの森の王女』で演じた魔女が魔法で人間を亀に変えたのだと思い込みました。
ファビエンヌとリュミールは仕事場でもぎこちなく噛み合いませんでしたが、リュミールはマノンから母が「娘が髪を触らせなかった」と話していたこと、その様子が寂しそうだったことを打ち明けられました。
真実のネタバレあらすじ:転
その夜、ファビエンヌはリュミール一家やピエール、現パートナーのジャック(クリスチャン・クラエ)と共に食事をしていましたが、些細な事で言い争いとなってしまい、挙句の果てにはサラの死因がかつてファビエンヌと役を巡って口論となり、酔ったサラが海に入ってそのまま帰らぬ人となったことを持ち出したリュミールは「私はママを絶対に許さない」とまで言い放ってしまいました。
『母の記憶に』の内容は、マノンが演じる不治の病を患った母親が宇宙での治療を選択し、7年おきに地球に残してきた娘と再会するというもので、母は年を取らない代わりに娘が年老いていくというものでした。そして年老いた娘をファビエンヌが演じているのです。
マノンとの演技が中々噛み合わないファビエンヌはリュックがいないことを嘆き、リュミールに「彼に謝るため」の脚本を書いてくれと依頼しました。ファビエンヌの本心を悟ったリュックは彼女の一家を自身の家族会に招き、ファビエンヌに「お話があるのでは?」と切り出しました。
真実の結末
翌日、あらかじめ録音しておいた台本を忘れてしまったファビエンヌはリュミールに助けを求め、リュミールはこの時母が胃腸薬が手放せないほど酒に溺れていたことに気付きました。リュミールはその後も撮影から逃げようとするファビエンヌに「サラから逃げるのか」と叱咤、娘の励ましもあってファビエンヌはようやくマノンとの共演シーンを撮り終えることができました。その後、ファビエンヌはマノンが“サラの再来”と言われ続けることにプレッシャーを感じていたことを知り、彼女を自宅に招くとサラの形見のワンピースを彼女にプレゼントして励ましました。
その後、ファビエンヌとリュミールは二人きりで会話する機会を得ました。ファビエンヌはそこで、実は密かにリュミールの芝居を見に行っていたこと、そして『ヴァセンヌの森の王女』に出演を決めたのは原作の絵本が大好きだったリュミールのためだったことを打ち明けました。こうして二人は長年の溝を少しずつ埋め合っていきました。
そして『真実』出版記念パーティーの日。シャルロットは祖母の秘書に復帰したリュックに手作りのメダルをプレゼントしました。リュミールは母の撮影が終わるのを待ってニューヨークに戻ることにし、ファビエンヌたちは穏やかな気持ちで記者会見場所へと向かっていきました。
以上、映画「真実」のあらすじと結末でした。
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