四十七人の刺客の紹介:1994年日本映画。池宮彰一郎の同名小説を原作に「日本映画誕生100周年記念作品」として製作された。従来の忠臣蔵に比べて浅野内匠頭の刃傷や切腹の描写を大幅にカットして、内蔵助と米沢藩江戸家老、色部又四郎との駆け引きを物語の中心に描き、そこに内蔵助に想いを寄せる女達が花を添える。この作品で色部を演じた中井貴一が第18回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞している。
監督:市川崑 出演:高倉健(大石内蔵助)、中井貴一(色部又四郎)、森繁久弥(千坂兵部)、石坂浩二(柳沢吉保)、岩城滉一(不破数右衛門)、宇崎竜童(堀部安兵衛)、井川比佐志(奥田孫太夫)、浅丘ルリ子(りく)、黒木瞳(きよ)、清水美砂(ほり)、宮沢りえ(かる)、古手川祐子(瑤泉院)、今井雅之(高田群兵衛)、石橋蓮司(小林平八郎)、ほか
映画「四十七人の刺客」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「四十七人の刺客」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
四十七人の刺客の予告編 動画
映画「四十七人の刺客」解説
この解説記事には映画「四十七人の刺客」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
四十七人の刺客のネタバレあらすじ:起
元禄15年10月、元赤穂藩国家老、大石内蔵助(高倉健)の一派は藤沢の宿を出て江戸へと向かっていました。元藩士の未亡人が営む鎌倉の料理茶屋で、仲間と落ち合い旅を続ける大石。
武器を調達し、身分を隠しながら旅を続ける大石達の旅は、主君の敵、吉良上野介(西村晃)を討つべく江戸への旅です。投宿した屋敷で浪士達と盛んに議論を交わす合い間、竹林で子供達と竹を削って討ち入りの際に合図として使う笛を作る大石。
時は遡って元禄14年3月14日、江戸城柳の間で赤穂藩主、浅野内匠頭(橋爪淳)が吉良上野介を切りつけた事件、いわゆる「松之廊下刃傷事件」により内匠頭は切腹。赤穂藩は取り潰されました。
内匠頭が腹を切った一方で、吉良に下った裁決は「お咎め無し」。“喧嘩両成敗”の原則を破るこの幕府の裁断は、時の老中・柳沢吉保(石坂浩二)と、吉良の息子が藩主として養子に入っている米沢藩の江戸家老、色部又四郎(中井貴一)との謀略によるものでした。
赤穂で妻子と共に穏やかに暮らしていた家老、大石内蔵助にもこの知らせが届きます。
開城か籠城かで揉める藩士達を制し、城を明け渡す決断をした大石には、実は吉良を成敗する決意と一方的な裁断を下した幕府への復讐心に燃えていました。
四十七人の刺客のネタバレあらすじ:承
開城を宣言した日の夜、赤穂藩の塩田に不破数右衛門(岩城滉一)ら腹心の部下を呼びつけ、その想いを打ち明けた大石。一同は武門の意地を通し吉良を殺害することを誓い合います。
不破を大阪へ送り出し、赤穂の名産品である塩の相場をいち早く操作し、その塩の売上によって潤沢な軍資金を調達することに成功した大石。
素知らぬ顔で大石は家族と共に山科へ隠遁。つかの間、平和に暮らしながらも密かに軍備を整え、緻密に計画を練っていました。吉良のいる江戸にも部下達を送り込み、「内匠頭が吉良に切りつけたのは上野介が金に汚く、内匠頭にしつこく賄賂を要求したせいだ」という噂を流します。
内匠頭に同情的になった江戸の世論は浅野の味方に傾き、吉良の評判は地に落ちました。身に覚えの無い上野介は降って沸いたような人々の非難の声に困惑しますが、本当に命を狙われているという危機感は薄く、色部をやきもきさせます。
四十七人の刺客のネタバレあらすじ:転
大石達は更に「赤穂浪士が吉良邸に討ち入る」という噂を流して吉良邸の周囲に屋敷を構える他の大名達の不安を煽ります。遂に柳沢の決定によって、吉良の屋敷は討ち入りの難しい江戸城御府内からの転出を余儀なくされました。
これまで浅野との一件について、幕府からお咎め無しとされて守られてきた吉良は、幕府の庇護を失ったのです。それは柳沢の権勢と、藩主の実父を守るために働いていた色部も、柳沢に見捨てられるような形になったということ。“当代一の切れ者”と言われた色部は、いよいよ意地でも吉良を守るという決意を固めました。赤穂浪士を迎え討つべく強固な要塞のように吉良の屋敷が整えられました。
色部は一部の赤穂の浪士達に仕官の口などを持ちかけ、一団の内部からの切り崩しに取りかかります。一年以上におよぶ浪人生活への不安や、親族への義理立てから幾人かの仲間は隊を離れて行きました。その裏で、色部は渋る上野介に隠居を迫ります。
一方、京都に隠れ住みながら着々と江戸での討ち入り準備を勧めていた内蔵助は、可憐な町娘、一文字屋のおかる(宮沢りえ)と知り合って惹かれ合い、やがておかるは大石の子を宿しました。そしてついに大石が江戸に向けて旅立つ時。ただの仕事だと信じて大石を送り出したおかるは、二度と大石に会うことはありませんでした。
四十七人の刺客の結末
色部は何とか上野介に米沢への隠遁を承諾させました。しかし色部の心配をよそに上野介は米沢行きの前に江戸で盛大な茶会を催す事を決めます。色部は茶会の候補日を3日決めておき、実際の茶会の日はギリギリまで明かさないという作戦で浪士達を撹乱しようとします。しかし大石達は12月14日が本当の茶会の日であることを突き止め、その日の深夜大石以下47人の刺客が吉良邸になだれ込みました。
水壕が走り、迷路のように入り組んだ吉良の屋敷に苦戦しながらも奮戦の末、浪士達は吉良上野介を捕らえます。寝間着で雪の上に引きずり出され、取り乱し命乞いをする上野介。「内匠頭が刃傷に及んだ理由を知りたくないか」と言う上野介に、ただ一言「知りとうない」と答え、内蔵助は上野介を斬り殺しました。
自邸で討ち入りの報を聞いた色部は半狂乱になって吉良邸へ駆けつけようとして家臣達に押し止められます。当代一の切れ者、色部又四郎はついに知略において大石内蔵助に負けたのでした。
数日後、京都にいる身重のおかるのもとへ、討ち入り前日に大石から意を含められた瀨尾孫左衛門が訪ねて来ます。瀨尾日気がついたおかるは、大石からの知らせかと嬉しげに駆け寄るのでした。
以上、映画「四十七人の刺客」のあらすじと結末でした。
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