生きちゃったの紹介:2020年日本映画。映画製作の原点回帰をテーマにアジア各国の映画監督が集結したプロジェクト「原点回帰。至上の愛」の一環として制作された作品です。本作は「本心を伝えることの怖さ」をテーマに、高校時代からの友人である三人の男女がそれぞれの複雑な感情を隠した先に待ち受ける悲劇を描きます。
監督:石井裕也 出演者:仲野太賀(山田厚久)、大島優子(山田奈津美)、若葉竜也(武田)、パク・ジョンボク(山田透)、毎熊克哉(洋介)、太田結乃(山田鈴)、柳生みゆ(飯村早智子)、TOBI(レ・ロマネスク / 本人役)、MIYA(レ・ロマネスク / 本人役)、芹澤興人(刑事)、北村有起哉(人殺しの男)、原日出子(杉田美幸)、鶴見辰吾(田代)、伊佐山ひろ子(山田花子)、嶋田久作(山田十郎)ほか
映画「生きちゃった」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「生きちゃった」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
生きちゃったの予告編 動画
映画「生きちゃった」解説
この解説記事には映画「生きちゃった」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
生きちゃったのネタバレあらすじ:起
山田厚久(仲野太賀)と奈津美(大島優子)、武田(若葉竜也)は高校時代からの親友同士で、いつも一緒に過ごしていた存在でした。30歳になった今、厚久と奈津美は結婚して5歳になる娘・鈴(太田結乃)がいました。本の配送業者をしている厚久は、将来武田と共に起業する夢を抱いており、そのために英語や中国語のレッスンを受けていました。
平凡な男である厚久は元々自分の本心を伝えることが苦手であり、奈津美にすらも本心を打ち明けられず口数も多くありませんでした。奈津美はそんな厚久に不満を抱いており、厚久の祖父の墓参りのため彼の実家に帰省した時も、厚久の兄・透(パク・ジョンボク)が引きこもりの生活を送っていること、厚久の父・十郎(嶋田久作)や母・花子(伊佐山ひろ子)と折り合いが悪いことなどから、奈津美は厚久に「あっちゃん(厚久)の家族は壊れてる」と言い放ちました。厚久はそんな奈津美の不満に気付きながらも反論もせず、特に何も語ることはありませんでした。
その後、透の元を訪れた厚久は「あんなにお世話になったのに、じいちゃんが生きていた実感が湧かない」と本心を打ち明けました。透もまた厚久に何も語ることなく、親指だけを立てて立ち去りました。
そんなある日、厚久は仕事先で体調を崩して早退することにしました。ところが、帰宅した厚久が見たのは、自宅に洋介(毎熊克哉)という男と情事に耽る奈津美の姿でした。
生きちゃったのネタバレあらすじ:承
まさかの妻の不倫に気が動転してしまった厚久は、何事もなかったかのように幼稚園に鈴を迎えに行きました。帰宅後そのまま自宅で寝込み、目覚めた厚久は奈津美から「この5年間、愛情を感じなかった」と一方的に離婚を突きつけられました。厚久はどこか遠い目をしたまま「わかった」とだけ返答しました。
こうして厚久は奈津美と離婚、鈴の親権は奈津美に渡りました。厚久は奈津美や鈴と住んでた家を明け渡して出て行き、養育費だけを振り込むようになっていきました。
そんなある日、武田の元を奈津美が訪ねて来ました。武田は奈津美が突然厚久と離婚したことを責めました。実は奈津美が妊娠していた時、厚久が自宅に元恋人の飯村早智子(柳生みゆ)を連れ込んでいるのを目撃したのです。
早智子は丁重に奈津美に頭を下げたものの、奈津美は黙ったまま二人を見つめることしかできなかったのです。奈津美は高校時代から武田の事が好きだったと告白しましたが、武田はそんな奈津美を拒絶しました。
やがて厚久は、鈴の養育費を捻出するために英語と中国語のレッスンを辞めざるをえなくなりました。
ある時、厚久は武田の家に泊まった際、奈津美が忘れていったマフラーを見つけました。厚久は武田から奈津美がここに来たことを知らされますが、厚久はただ「そうか」としか答えず、武田から厚久の本心が見えないと責められました。かつて厚久と武田はプロのミュージシャンになる夢を抱いていたことから、武田は気分転換にと厚久を音楽のライブへ誘いました。
生きちゃったのネタバレあらすじ:転
その半年後、奈津美は鈴と共に洋介と同棲していました。ところが、洋介は全く働かず、奈津美のパートの収入だけが一家の支えとなっていました。洋介は奈津美に風俗嬢にでもなって働けと言い放ち、逆上した奈津美は洋介に「デリヘルでも何でもやる、あんたと別れる気持ちはない」と詰め寄りました。
奈津美は厚久にも生活費を払ってもらっていました。ある時、実家に帰省した厚久は離婚したことを両親と透に伝えました。両親は奈津美を非難しましたが、透だけはただ黙って厚久の話を聞いていました。その後、透は奈津美の住むアパートに向かいました。
この時は何とか職を得た洋介のお祝いをしているところであり、透は一旦は引き上げようとしましたが、洋介が一人で外に出た際に洋介に掴みかかってきました。洋介は透を殴って振りほどこうとしましたが、かねてから大麻中毒を患っている透は、洋介の頭を石で殴って殺してしまいました。
半年後、厚久は両親と共に、刑務所で服役している透に面会に行きました。そこで十郎は久しぶりに家族写真を撮ろうと提案しました。一方、洋介は生前に400万円もの借金をこさえており、奈津美の元には借金の取り立て人が押しかけるようになりました。
数日後、厚久は久しぶりに奈津美の元を訪れましたが、そこには奈津美と鈴の姿はありませんでした。実家に戻っていた奈津美は母・美幸(原日出子)に鈴を預け、自らは新宿・歌舞伎町でデリヘル嬢として働きはじめていました。
生きちゃったの結末
半年後、奈津美はデリヘル嬢を狙う殺人鬼(北村有起哉)に殺害されました。殺人鬼を追う刑事(芹澤興人)は厚久に奈津美の死を伝え、厚久は武田と共に奈津美の葬式に参列しようとしました。
ところが、厚久は美幸に追い返され、鈴は美幸が引き取って育てるということを告げられたあげくに「鈴のことは忘れてほしい」とまで言われてしまいました。
更に半年後、厚久は武田と共に奈津美の殺害現場であるホテルを訪れました。厚久は「奈津美が生きていた実感が湧かない」と呟きましたが、武田はそれでも「奈津美は生きていた」と伝えました。あの時、厚久が幸子を自宅に上げたのは、昔から大切な人に本心を伝えることが苦手だという厚久の悩みを相談してもらうためだったのです。
武田は厚久を車に乗せ、奈津美の実家に向かいました。厚久は庭で遊ぶ鈴を一目見て、そのまま帰ろうとしましたが、武田は涙を流しながら「今の気持ちを鈴に伝えろ」と諭しました。厚久は「俺には出来ないかもしれない」と言いながらも、車を降りて鈴の元へ走っていきました。
以上、映画「生きちゃった」のあらすじと結末でした。
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