奈緒子の紹介:2008年日本映画。原作・坂田信弘、作画・中原裕による同名漫画を上野樹里と三浦春馬のダブル主演で実写映画化した青春ドラマです。長崎県を舞台に、高校駅伝の天才ランナーと臨時マネージャーとなった女子、思い過去を持つ二人が確執を乗り越え、仲間たちと共に駅伝優勝を目指す姿を描きます。
監督:古厩智之 出演者:上野樹里(篠宮奈緒子)、三浦春馬(壱岐雄介)、綾野剛(黒田晋)、佐津川愛美(吉澤結希)、柄本時生(奥田公靖)、富川一人(宮崎親)、タモト清嵐(吉崎悟)、結城洋平(藤本卓治)、五十嵐山人(佐々木黙然)、佐藤タケシ(五島伸幸)、兼子舜(上原高次)、藤本七海(篠宮奈緒子(12歳時))、境大輝(壱岐雄介(10歳時))、嶋田久作(医師)、奥貫薫(壱岐和子)、嶋尾康史(壱岐健介)、山下容莉枝(篠宮加奈子)、光石研(篠宮隆文)、笑福亭鶴瓶(西浦天宣)ほか
映画「奈緒子」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「奈緒子」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
奈緒子の予告編 動画
映画「奈緒子」解説
この解説記事には映画「奈緒子」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
奈緒子のネタバレあらすじ:起
ここは長崎県、日本海に浮かぶ小さな島、波切島。12歳の少女・篠宮奈緒子(藤本七海)は喘息の療養のため、父・隆文(光石研)や母・加奈子(山下容莉枝)と共にこの島を訪れました。ある日、奈緒子は両親と伴に釣り船で沖に出た際、海沿いを元気よく走る一人の少年の姿を見ました。
少年の名は壱岐雄介(境大輝)、この時10歳でした。雄介はこの釣り船の船長・壱岐健介(嶋尾康史)の息子であり、健介はかつて“日本海の疾風(かぜ)”との異名を持つ元駅伝の選手でした。雄介もまた父親譲りの俊足の持ち主でした。
そんな時、奈緒子の帽子が風で飛ばされ、彼女は海に転落してしまいました。健介は海に飛び込んで奈緒子を助けましたが、その直後に船に頭をぶつけ、そのまま行方不明となってしまいました。
仲間の船が捜索するも結局健介は発見されず、健介は死亡したということになってしまいました。奈緒子は両親と共に健介の家に線香をあげに行きましたが、雄介は「父ちゃんを返せ!」と激しい怒りと憎しみ、そして哀しみを奈緒子にぶつけました―――。
奈緒子のネタバレあらすじ:承
―――それから6年後。成長した奈緒子(上野樹里)は東京の高校に通っていました。奈緒子は持病の喘息を克服しており、今では陸上部に入っていました。
そんなある日、奈緒子は陸上の選抜記録会の手伝いのため競技場を訪れ、受付を担当していました。しかし、参加者の中で長崎の波切島高校陸上部のある選手だけがまだ受付を終えておらず、奈緒子はそこの監督の西浦天宣(笑福亭鶴瓶)に頼まれて一緒にその選手を探すことになりました。
その選手こそがあの雄介(三浦春馬)でした。奈緒子は6年ぶりに雄介と対面すると、雄介は顔を強張らせながら「もう忘れた。誰も恨んじゃいねえ」と吐き捨てて去っていきました。
雄介はこの大会で一際注目されるランナーであり、マスコミも取材に訪れていました。100メートル走で優勝した雄介は、マスコミに「昔からずっとやりたかった」として短距離から駅伝への転向、そして九州オープン駅伝への挑戦を宣言しました。雄介の走りを見たいと思った奈緒子は九州へ向かいました。
九州オープン駅伝の当日。波切島高校は第1区を走る奥田公靖(柄本時生)が途中で転倒し、大きく出遅れてしまいました。奈緒子は補欠の吉崎悟(タモト清嵐)から、雄介が最終区間を走ることを知らされました。
奈緒子は吉崎から、人手が足りないので給水を手伝ってほしいと頼まれました。雄介は一気に8人を抜くなど猛烈な追い上げを見せましたが、給水ポイントに差し掛かった雄介は奈緒子がペットボトルを構えていることに驚き、水を受け取ることを拒否してしまいました。
その後、雄介はトップを走る諫早学院の黒田晋(綾野剛)とデッドヒートを繰り広げましたが、脱水症状を起こして倒れてしまいました。
奈緒子は雄介がまだ自分のことを許していないと悲しみ、雄介が搬送された病院へ向かいました。奈緒子は西浦に6年前にあったこと全てを話し、西浦は意識を取り戻した雄介に「彼女の水を拒否したってことは、みんなが繋いできたタスキをお前は拒否したんや」 と告げました。
西浦は奈緒子に、陸上部の夏休みの合宿を手伝ってほしいと頼みました。西浦は奈緒子の両親への手紙を彼女に託しました。手紙には、奈緒子と雄介との間の6年間にも棉って止まった時間を動かしてあげたいこと、そしてそのために奈緒子を自分に預けてほしいと書かれていました。
実は西浦は亡き健介とは同じ学校の陸上部で一緒に走った仲であり、奈緒子の昔のことも覚えていました。奈緒子の両親は西浦の申し出に反対しましたが、奈緒子は反対を振り切って波切島へ向かいました。加奈子は西浦に電話をかけ、娘のためにどうしてここまでするのかと訊くと、西浦は「この夏は特別なものにせないかんのです」と答えました。
奈緒子のネタバレあらすじ:転
波切島高校陸上部は9月の高校駅伝長崎県予選大会に向け、3週間の合宿に入りました。臨時マネージャーを務めることになった奈緒子は西浦の家に居候することになり、陸上部マネージャーの吉澤結希(佐津川愛美)やキャプテンの宮崎親(富川一人)ら部員たちに挨拶しました。
西浦は初日から部員たちに厳しいトレーニングメニューを与え、鬼となって猛特訓を貸していきました。ある時、ペースメーカーとなった雄介はどうしてもついてこられない吉崎を心配して合わせようとしたところ、西浦は手加減 するなと雄介を叱り、「吉崎は走れると信じてないからだ。駅伝は仲間を信じることから始まるんだ」と注意しました。
早朝のこと。耐えられなくなった吉崎は一人合宿から逃げ出そうとしていました。それを見つけた雄介は吉崎を引き留めやうとしましたが、他の部員たちは「行かせてやれ」と言い、雄介には走れない吉崎の気持ちなど分からないと批判しました。そこに西浦が現れ、結局吉崎は逃げられませんでした。
その日の練習も西浦は情け容赦なく部員たちをしごき、さすがの雄介も「何でここまできつくできるんだよ」と反発しました。西浦は雄介らはもっと走れると信じているからだと返し、信じることのできない雄介は甘すぎると告げました。
とうとう雄介は練習を放棄し、どこかへ走り去ってしまいました。奈緒子は西浦の「追うな!」との命令を振り切って雄介の後を追いました。雄介はこれからフェリーを見に行くと告げて走り去ろうとしましたが、奈緒子は雄介に追い付こうと必死で走りました。
さすがの雄介も奈緒子の頑張りを認め、励ます言葉を彼女にかけました。そして二人は何とかフェリーの出港に間に合い、奈緒子は 「ありがとう。私が走れるって信じてくれた」と雄介に伝えました。
奈緒子は雄介と共に西浦の家に戻ると、そこで西浦が倒れていました。二人は西浦を病院に運んだところ、西浦は末期のすい臓ガンに冒されていることが判明しました。そのことを知った雄介は西浦のために走り抜くと固く決意し、翌日から一切手を抜くことなく練習に精を出しました。雄介は西浦に代わって部員たちに指導しましたが、部員たちは雄介に猛反発して一触即発の事態となりました。
翌日、西浦は病をおして合宿に復帰しました。西浦は今度の大会は全員で走るものであり、自分のことは考えるなと限定しましたが、雄介は「監督が何と言おうと、俺は監督のために走る」と力強く宣言しました。
奈緒子の結末
そして遂に駅伝大会当日となりました。第1区は上り坂の多い難所でしたが、波切島高校はあえて補欠だった吉崎をこの区間に投入しました。
他の高校が実力者ばかりを投入するなか、吉崎は一度は先頭集団から離されましたが、それでも雄介や仲間たちと共に切磋琢磨した経験を胸に必死に食らいついていきました。奥田は吉崎の走りを見て「第1区間は何で俺や宮崎じゃないんだと思ったけど、これを見てわかった」と西浦の真意に気付きました。
続いてタスキを受けたのは奥田でした。奥田は最初のうちは年下の雄介からのアドバイスに反発していましたが、今では素直に受け入れてを軽やかに走ることができるようになっていました。奥田は更にペースを上げていきましたが、またもや転倒してしまいました。右肩を痛めた奥田はそれでも必死に次のランナーにタスキを繋げました。
仲間たちは懸命にタスキを繋いでいき、そしていよいよ最終走者の雄介にまでタスキが廻ってきました。雄介は西浦や仲間たちの思いを受け止めて懸命の走りを見せ、かつて敗北を喫し今大会でもトップをひた走る黒田との差を一気に縮めていきました。
そして雄介は遂に黒田と並びましたが、まだまだ体力的に余裕のある黒田は再び雄介との差を引き離しにかかりました。雄介はかなり体力を消耗しながらも、仲間たち、そして奈緒子の応援を受けて奮起し、ゴール直前で再び黒田に並ぶとほんのわずかの差で1位のゴールインを果たしました。
ゴールで待っていた西浦や奈緒子は喜びを爆発させました。もはや雄介と奈緒子の過去の因縁は完全に消え去っていました。
2ヶ月後、西浦はもうこの世にはいませんでした。奈緒子は仲間全員で撮った記念写真を見つめると、仲間たちと共に練習に励む雄介の元に駆け寄っていきました。
以上、映画「奈緒子」のあらすじと結末でした。
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