愛なのにの紹介:2021年日本映画。今泉力哉と城定秀夫が互いに脚本を持ち寄りR15+指定のラブストーリーを制作するコラボレーション企画「L/R15」の一環として製作されたラブコメディです。古本屋の店主、店主に突然求婚する女子高生、店主の憧れながらも婚約者のいる女性が織りなす先の読めないラブコメディが描かれます。主演を瀬戸康史が務め、ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のメンバーであるさとうほなみらが脇を固めています。
監督:城定秀夫 出演者:瀬戸康史(多田浩司)、さとうほなみ(佐伯一花)、河合優実(矢野岬)、中島歩(亮介)、向里祐香(隈本美樹)、丈太郎(正雄)、毎熊克哉(広重)、オセロ(カンタ)ほか
映画「愛なのに」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛なのに」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「愛なのに」解説
この解説記事には映画「愛なのに」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛なのにのネタバレあらすじ:起
とある古本屋の店主、多田浩司(瀬戸康史)はまもなく31歳になる男です。店は決して客が多い方ではなく、多田は店番をしながらひっそり目立たず過ごしていました。
そんなある日、多田の店に来た女子高生の矢野岬(河合優実)が突然1冊の本を万引きして逃走しました。多田は逃げた岬を追いかけ、捕まえて店に連れ帰りました。多田から万引きについて問われた岬は自分の名前を覚えてほしかったと理由を語り、唐突に「前から多田さんが好きでした。私と結婚してください」と求婚してきました。
多田は苦笑いしながら、大人が高校生に手を出すのは道理に反することだと岬をなだめました。そして多田は岬に自分が読んでいた本を与えて帰ってもらいました。
多田はよく店にやってくる常連猫のカンタ(オセロ)をとても可愛がっていました。そこにまた岬が現れ、ラブレターを多田に渡してきました。多田は自分には好きな人がいることを明かして岬を振り払おうとしましたが、岬はお構いなく自分は高校卒業まで待つからと言い放ち、何度でも告白し続けると宣言しました。
自宅アパートに帰宅した多田は、岬からもらったラブレターを読んでから金属の缶に入れました。岬のラブレターは以前からかなり何通も溜まっていました。
多田が長年想いを寄せている女性は、学生時代にレンタルビデオ屋でバイトをしていた頃の同僚だった佐伯一花(さとうほなみ)でした。一花に一目惚れした多田は意を決して告白したもののフラれたというほろ苦い思い出があり、多田は未だに一花に対して未練を持っていました。
そんなある日、多田のもとに親友の広重(毎熊克哉)から電話がかかってきました。多田は広重から、一花が結婚することを知らされました。
愛なのにのネタバレあらすじ:承
一花は婚約者の亮介(中島歩)との結婚式の準備を進めていましたが、実は一花の知らないところで亮介はウェディングプランナーの隈本美樹(向里祐香)と浮気をしていました。
美樹は自分が亮介と関係を持つのはあくまでも亮介と一花が今後夫婦円満に過ごすためのオプションサービスだと位置づけており、決して本気になることなく亮介が結婚したらきっぱりと別れて二度と会わないと決めていました。亮介は美樹が別の新郎とも寝ているのかと気になりましたが、美樹ははぐらかして答えようとはしませんでした。
一方、多田は広重ら友人たちが一花の結婚式に招待されているのに、なぜ自分だけが招待されないのかと思い悩んでいました。そんな時、またしても岬が多田の店に現れ、同級生に告白されたと打ち明けてきました。
岬はあれこれと事情を質問してくる多田に、自分を好きでもないくせに心配する振りをするなと言い放ちました。多田はなぜ断られることが判っていながら何度も自分に告白してくるのか岬に質問すると、岬は拒否されている感じがしないからと答えました。
多田は、本当にどうでもいい相手ならば全く無関心の反応が返ってくるのだと思い、つまりどうでもよくない関係だと気まずい思いをするのだろうと思いを巡らせました。
一花は既に亮介と同居生活を送っていましたが、亮介はことあるごとに職場の飲み会があると口実をつけて帰宅が遅れることが多くなっていました。亮介は一花とはろくに言葉も交わさず、結婚式の準備にも協力しようとはしませんでした。一花は美樹が亮介の浮気相手であることを知らずに亮介のことを相談し、慰めてもらっていました。
その頃、岬は同級生の正雄(丈太郎)からまたしても告白されていましたが、きっぱりと断って多田の店に向かいました。諦めきれない正雄は岬の後をつけて多田の店に入り、多田に殴りかかってきました。岬は鼻血を出した多田にハンカチを差し出し、多田は洗って返すと言ったので、正雄は多田からハンカチを奪って去っていきました。
同じ頃、一花は亮介のスーツの中からラブホテルのライターを見つけ、亮介が浮気をしていたことに気付きました。一花に問い詰められた亮介は浮気の事実は認めたものの、相手は前の職場の子だと嘘をつきました。亮介は何とか相手が美樹であることを隠し通しましたが、一花は亮介の裏切りに怒りを覚えました。
愛なのにのネタバレあらすじ:転
多田の店にいつものように岬がやってきましたが、岬は今日を最後に多田に告白するのをやめると告げてきました。岬は正雄と付き合うことにしたと語り、多田はそれは自分自身のためなのか正雄のためなのかと尋ねました。岬は多田のためだと答え、多田は「だったらやめなよ」と諭しました。
その頃、一花は居酒屋で一人きりで飲んでいました。一花は客の男にナンパされ、自分は「結婚しているから」と断りました。しかし、男は「俺も結婚してるから大丈夫」と言ってきたので、一花はなぜ結婚していれば大丈夫なのか理解できないまま店を後にしました。
帰宅した一花は、亮介に自分も浮気していいか問いかけました。一花は亮介が「自分のことを好きだった相手」と寝たことを発言したことから、かつて自分に告白した多田に電話をかけてホテルに呼び出しました。
憧れの存在だった一花に呼び出されたものの、多田はどうしていいかわからず一花を説得して帰ってもらおうとしました。しかし、一花は「これは必要なことなの。好きならしてほしい」と多田に迫り、嫌なら他の男に頼むと言ってきたので、多田は「俺、嬉しくないからね。最悪だ」と言いつつも一花とセックスしました。
一花は放心状態のまま帰宅しました。その後、一花は教会に向かい、神父に懺悔を始めました。それから一花は多田にまた会いたいと連絡し、多田の部屋に招かれました。一花はとんでもないことを頼んだことを謝りたいと語ると、多田とのセックスは亮介よりも気持ちよかったと伝えました。多田は再び一花と身体を重ねました。
一花が神父に懺悔したのは、結婚相手以外の男と寝たことではなく、その男とのセックスに快感を覚えたためでした。亮介とのセックスでは満足できないという一花はどうすればいいのかと神父に尋ねると、神父は神の御心のままに従いなさいと助言しました。そこで一花は御心のままに動くべく、自分を満足させてくれた多田のもとに向かったのです。
セックスを終えた多田は一花に真意を尋ねました。多田は神父が話した御心というのは「神の意志」のことだと話し、キリスト教は姦淫を禁止していると語りました。御心は自分自身の心のことだと思っていた一花は多田の言葉に笑い、そういえば自分は神様なんて信じていないと語りました。
同じ頃、亮介は美樹と寝ていました。亮介は美樹に今日で最後にしたいと告げましたが、美樹は自分に全く未練がなさそうな態度を取ったことに不満を覚えました。美樹は正直に、亮介はセックスが下手だとはっきり言い放ちました。
美樹は学生時代から学費を稼ぐために風俗で働いており、男性経験が豊富だったのです。美樹が今まで寝てきた男の中でも亮介は群を抜いて下手だといい、一花が何も言わないのは彼女が他の男性を知らないのではないかと指摘しました。男のプライドをズタズタに打ち砕かれた亮介はどうすれば上手くなるのか美樹に問うと、美樹は風俗に通ってみればとアドバイスしました。
その頃、一花は結婚後も多田との関係を続けたいと言い出していました。多田は自分との関係も結婚もやめたほうがいいと助言し、一花の相手は自分でも亮介でもないと言いました。
愛なのにの結末
一花への想いに踏ん切りがついた多田は岬に手紙を書きました。岬は多田の店に手紙を受け取りに現れ、正雄とは付き合ってみたもののすぐに別れたことを伝えました。岬はその場で多田が書いた手紙を読みました。
手紙の内容は、これからも自分に手紙を書いてほしいこと、そして今すぐは無理だけれどもいつか自分はきっと岬のことを好きになるだろうと綴られていました。岬は手紙の内容に満足し、多田に「絶対結婚しようね」と告げました。
それから程なくして、多田のもとに一花から招待状が送られてきました。一花は予定通り亮介と結婚することにしたのです。その後、多田のアパートになんと岬の両親が押しかけてきました。
岬の両親は多田の手紙を読んでしまっており、警察に通報までしてしまっていました。多田は岬の両親は彼女の言い分も聞かずに一方的な怒りを抱いているのだと気付き、「愛を否定するな!」と一喝しました。
その後、岬は度々多田の店を訪れては一緒に過ごしていました。一花の披露宴に出席した広重は多田のもとを訪れ、引き出物を持ってきました。広重は多田に岬のことを尋ねると、岬は「“ただ”の常連です」と、「只の常連」とも「多田の常連」とも取れる言葉を語りました。
引き出物の中身は夫婦茶碗でした。多田は赤い茶碗を岬にプレゼントしました。
以上、映画「愛なのに」のあらすじと結末でした。
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