とんびの紹介:2021年日本映画。直木賞作家・重松清の小説で、2012年と2013年にテレビドラマ化された作品を監督・瀬々敬久、主演・阿部寛のタッグで映画化したヒューマンドラマです。高度経済成長期の広島を舞台に、妻に先立たれた不器用な男が息子を男手ひとつで育て上げる姿を描いていきます。
監督:瀬々敬久 出演者:阿部寛(市川安男(ヤス))、北村匠海(市川旭(アキラ))、杏(由美)、安田顕(照雲)、大島優子(幸恵)、濱田岳(広沢)、 宇梶剛士(尾藤社長)、尾美としのり(萩本課長)、吉岡睦雄(葛原)、宇野祥平(トクさん)、木竜麻生(泰子)、井之脇海(健介)、田辺桃子(美月)、田中哲司(島野昭之)、豊原功補(編集長)、嶋田久作(出版社守衛)、村上淳(村田)、麿赤兒(海雲)、麻生久美子(市川美佐子)、薬師丸ひろ子(たえ子)ほか
映画「とんび」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「とんび」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「とんび」解説
この解説記事には映画「とんび」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
とんびのネタバレあらすじ:起
1962年(昭和37年)、瀬戸内海に面した広島県備後市。日本一不器用な男、“ヤス”こと市川安男と妻・美佐子との間に息子・旭(アキラ)が産まれました。幼い頃に両親と離別したヤスにとって新たな家族の誕生は何よりも待ち望んだことでした。
ところが、幸せな日々も長くは続きませんでした。アキラが3歳になった頃、美佐子はアキラを連れてヤスが働く瀬戸内通運の仕事場を訪れましたが、アキラと美佐子の頭上から大量の荷物が落ちてきました。美佐子はアキラを庇って荷物の下敷きになり、そのまま命を落としてしまいました。
突然愛妻に先立たれたヤスは男手ひとつでアキラを育てていかねばなりませんでした。それでもヤスには助けてくれる近所の人々や友人、職場の人々たちがいました。ヤスの幼馴染で町の寺・薬師院の住職・照雲とその妻・幸恵、照雲の父・海雲和尚、行きつけの近所の小料理屋「夕なぎ」の女将・たえ子などでした。
とんびのネタバレあらすじ:承
アキラは保育園、小学生と成長していきましたが、母を失った痛手は未だに残ったままでした。ヤスはあえて美佐子の死の真相について触れようとはしませんでした。
そんなある日、たえ子の娘・泰子がヤスの職場にやってきました。たえ子は泰子が幼い頃に生き別れていたのですが、この度結婚することになったので密かにたえ子のもとを訪れることにしたのです。久しぶりに泰子と対面したたえ子はあえて母とは名乗らず、黙って料理を泰子に振る舞いました。
ヤスは意を決してアキラに美佐子の死の真相を語ることにしましたが、あえてアキラを庇って死んだとは伝えず、自分を庇って死んだのだと嘘をつきました。
やがてヤスは中学生となり、野球部に入りました。そんなある日、アキラが自分が三振したことを笑った後輩の尻をバットで殴るという事件が発生しました。ヤスはアキラを問い質しましたが、アキラはみんなやっているからと反省する素振りをみせませんでした。
ヤスとアキラは喧嘩となり、アキラはつい母の代わりにヤスが死ねばよかったと言い放ってしまいました。ヤスはアキラに謝罪し、アキラも後輩の家に謝罪に行きました。和解したヤスとアキラは臨終を迎えようとしていた海雲和尚と最後の対面を果たしました。
とんびのネタバレあらすじ:転
高校生になったアキラは東京の大学へ進学したいと考えるようになりましたが、仕事の忙しいヤスはアキラの話を聞こうとせず、些細なことで衝突するようになっていきました。
やがてアキラは早稲田大学に合格し、東京に旅立つ日がやってきました。ヤスはアキラを見送ろうとはしませんでしたが、アキラがヤスに宛てた手紙が置いてありました。手紙には東京に行かせてくれたことへの感謝が綴られていました。ヤスは急いでアキラの後を追いかけ、アキラに「頑張ってこいよ!」とエールを贈りました。
昭和も終わりに近づいた頃、やがてアキラは大学を卒業して出版社で働きはじめました。その頃、ヤスは自分と実母を捨てた実父が余命幾ばくもないことを知りました。後妻の連れ子である島野昭之から父はいつもヤスのことを気にかけていたことを知らされたヤスは父の入院している東京の病院に向かい、病床の父の手を握って感謝の意を伝えました。
ヤスはその足でアキラの勤め先の出版社に向かいました。ヤスは編集長からアキラが入社試験で書いたという作文の写しを見せてもらいました。そこにはアキラは照雲から母の死の真相を知らされたこと、ヤスの嘘を許してやってほしいと言われたことなどが記されていました。
とんびの結末
ヤスは同僚の広沢と共にアキラに会いました。アキラは会ってほしい人がいるとして職場の同僚で交際相手の由美を紹介しました。由美はアキラよりも年上で、離婚した前夫との間に幼い息子・健介がいるシングルマザーでした。アキラは由美と結婚したいと言い出し、ヤスを驚かせました。
後日、アキラは由美と健介を伴って故郷・備後市に帰省し、改めてヤスに由美と結婚する意志を伝えました。それでもなかなか由美を受け入れることのできないヤスのために、照雲と幸恵たちは一芝居を打つことにし、わざと由美のような女でいいのかと挑発する一言を言い放ちました。
激昂したヤスは照雲に掴みかかり、アキラの選んだ女は自分の娘だと叫びました。その場は収まり、照雲は「とんびがタカを産んだのではない。タカ親子だ」とヤスとアキラを評しました。由美のお腹には既にアキラとの子が宿っていました・・・。
・・・時が流れて令和。ヤスは既にこの世を去っていました。アキラは直木賞作家として大成していました。備後市に帰省したアキラは成人した健介、自分と由美との娘である美月と共にヤスの遺影写真を選んでいました。美月はヤスは幸せだったのかなと尋ねると、アキラは自分もあの世に行ったら聞いてみると答えました。
以上、映画「とんび」のあらすじと結末でした。
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