海猫の紹介:2004年日本映画。『失楽園』を世に送り出した森田芳光監督がおくる、極限の愛の物語。主人公を演じるのは伊東美咲。2人からの愛に苦悩する主人公の薫を演じる。そして薫の夫役は、佐藤浩市。彼の弟で義姉に恋心を抱く広次は仲村トオルが演じる。
監督:森田芳光 出演:伊東美咲(野田薫)、佐藤浩市(赤木邦一)、 仲村トオル(赤木広次)、 ミムラ(野田美輝)、 蒼井優(野田美哉)、 三田佳子(野田タミ)、 白石加代子、 小島聖(啓子)、鳥羽潤(修介)、ほか
映画「海猫」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海猫」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「海猫」解説
この解説記事には映画「海猫」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海猫のネタバレあらすじ:起
東京で暮らす野田美輝(ミムラ)は、婚約者の修介(鳥羽潤)から突然別れを告げられます。そのショックで声が出なくなった美輝は、故郷・函館の病院に入院することになりました。
祖母のタミ(三田佳子)が見舞いに訪れると、美輝は紙に『お母に何があったの?どうして死んだの?』と書きて尋ねます。タミは話すべきか悩むましたが、美輝の母・薫(伊東美咲)の身に起きた20年前の出来事を話すことにしました。
信用組合の窓口業務をしていた薫は、母と弟の孝志との三人で暮らしています。ある日、客に言いがかりをつけられ困っていた薫を赤木邦一(佐藤浩市)が助けます。このことがきっかけで、邦一のところへ嫁ぐことにした薫。邦一は漁師をしており、薫は夫の仕事を手伝い、海の女になるために日々奮闘していました。
邦一には弟の広次(仲村トオル)がいました。彼は、函館にある鉄工所につとめています。薫の弟・孝志はやさしい広次と親交を深め、広次も孝志のことを本当の弟のように可愛がっていました。
ある日広次の家に遊びに行った孝志は、彼の家に書きかけの絵があるのを見つけます。そこに描かれているマリアの絵が薫とよく似ており、孝志は不思議に思うのでした。
海猫のネタバレあらすじ:承
昆布漁が解禁になり、薫も毎日のように船に乗って漁に出ることになります。しかしなかなか船になれず、苦労する薫。そんな時に姉を心配した孝志が手伝いに来てくれました。
薫の代わりに漁に出ると孝志が言いますが、「昆布漁は夫婦でやるもんだと決まっている!」と言って、邦一は孝志を船に乗せることはしません。姉をこき使い、横柄な態度をとる邦一とはそりが合わず、孝志はしばらくして帰ってしまいました。
後日、珍しく広次が実家に顔を出します。広次は薫に海猫のペンダントをプレゼントしました。「工場の仕事が落ち着いて、ボーナスが出たから…」と言われた薫ですが、どうして広次が自分にプレゼントしてくれるのか気になります。
実は薫に一目ぼれをしていた広次。「兄さんにはあんたのことは守れない!」と言われた薫は、気まずくなってその場から離れようとします。しかし広次に手を握られた薫は、急に倒れ込んでしまうのでした。
妊娠した薫にタミから荷物と手紙が届きます。段ボールの中にはたくさんのおもちゃなどが入っており、薫はうれしそうに一つ一つを手に取ってみていました。そしてついに産気づいた薫。その妻をほったらかしにして、邦一は敵対している漁師の元へ向かいます。
取っ組み合いの喧嘩になった邦一は、足を怪我してその後入院することとなりました。一方薫は、無事に元気な女の赤ちゃんを出産します。女の子の名は美輝。邦一が決めました。
薫と共に邦一の見舞いに行った広次は、産気づいた妻をほって出て行った兄を許せず、その話をぶり返そうとします。しかし薫が「もういいの…」と広次を止め、何とかその場をおさめるのでした。
海猫のネタバレあらすじ:転
見舞いに行った帰り、薫と広次は二人で教会に行きました。広次はやさしく後ろから薫を抱きしめます。しかしその日の夜、広次はもう二度と実家には戻らないと決めて、家を出て行きます。邦一と薫が一緒にいる姿を見るのが耐えられなくなったからです。
邦一は、入院していた時に世話をしてくれた看護師の啓子(小島聖)と不倫関係にありました。頻繁に邦一が函館に行くようになったことで、邦一の母親は息子が浮気をしていることに薄々勘付いています。それは薫も同じですが、彼女は何も邦一に言いません。
そんなある日、薫は「実家の母親に会いに行っていいですか?」と嘘をついて、広次に会いに行くことにします。二人はついに男女の関係となってしまい、結ばれることができました。しかし薫は逃げるように広次の元を去ります。そののち、薫は二人目の女の子・美哉を出産しました。
美哉が生まれてからも啓子とはまだ関係を続けている邦一。啓子から、薫がわざわざ広次の家の近くの産婦人科へ通っていたことを聞かされ、邦一は広次と薫の関係を疑います。家に帰った邦一は、体調が悪く寝ている薫に、冷たい言葉をなげかけます。
そして、「美哉は誰の子だ?」と、嫌がる薫に無理に覆いかぶさる邦一。耐え切れなくなった薫は、長女を連れて実家に帰ろうとします。しかし邦一の母親に止められ、困った薫は弟・孝志に手紙を出して助けを乞いました。孝志はその手紙をもって広次のところへ行きます。
事の真相を知った広次は、薫を助けるために久しぶりに実家に戻ることにしました。すると、家の中に足をロープでつながれて逃げられなくなった薫がいました。
海猫の結末
広次は、薫と二人の子供を連れて逃げようとします。すると邦一が追いかけてきました。姉を心配して迎えに来ていた孝志の車に乗り込んだ薫たちですが、広次が邦一と話をつけるために車から降りてしまいます。言い争う二人を見ていた薫は車から降り、崖から落ちて死ぬことを選びました。そして薫を助けようと、広次も崖から飛び降ります。
祖母のタミから話を聞いた美輝と美哉は、複雑な胸中になります。そんな二人をタミは教会に連れて行きました。教会には、広次が描いたマリアの絵が飾られています。薫をモデルにしたもので、「薫は愛されていた。みんなから愛され過ぎて、誰の愛も叶わなかったのかもしれないね…」とタミは話しました。
美輝は自分の父親に会いに行くことにします。邦一が住んでいた家を訪ねると、廃墟と化していました。実は薫と広次が亡くなり、村の連中から嫌がらせを受けるようになった邦一。美輝が海へ行くと、『美輝丸』と書かれたで船の前で作業をする老夫婦がいました。
邦一は美輝のことを一目見て、自分の娘だとわかり声を掛けます。邦一は美輝を船に乗せて、海に出ました。母親のことを恨んでいるかと聞かれた邦一は、「遭難した時に海猫の声が聞こえたんだ。その声が薫の声に聞こえた。薫に救われた。会いに来てくれてありがとう。」と、邦一は美輝に礼を言うのでした。
一方美哉は、薫と広次の墓参りに行きました。タミは、二人の娘が素直に育ってくれたと天国の娘・薫に手紙を書くのでした。
以上、映画「海猫」のあらすじと結末でした。
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