名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)の紹介:2023年日本映画。毎年一作品ずつ公開されている名探偵コナンの劇場版シリーズ第26弾。今回は『ゼロの執行人』の監督・立川譲と脚本・櫻井武晴が再びタッグを組み、黒ずくめの組織に追われる灰原哀を中心に赤井秀一や安室透も登場するファンにはたまらない豪華な展開となっている。ゲストに沢村一樹、さらに種崎敦美、諏訪部順一、神谷浩史、村瀬歩といった人気声優が脇を固め、どのキャラも犯人かと疑いたくなる楽しい混乱が生じている。ラストに流れる主題歌はスピッツの「美しい鰭」。
監督:立川譲 脚本:櫻井武晴 声優:高山みなみ(江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、小山力也(毛利小五郎)、林原めぐみ(灰原哀)、堀之紀(ジン)、立木文彦(ウォッカ)、小山茉美(ベルモット)、古谷徹(安室透/バーボン)、池田秀一(赤井秀一)、沢村一樹(牧野洋輔)、ほか
映画「名探偵コナン 黒鉄の魚影」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「名探偵コナン 黒鉄の魚影」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「名探偵コナン 黒鉄の魚影」解説
この解説記事には映画「名探偵コナン 黒鉄の魚影」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)のネタバレあらすじ:起
ドイツのユーロポール(欧州刑事警察機構)情報センターで働くニーナは黒ずくめの組織に追われています。追手であるキール(実はCIAの諜報員)は彼女を逃がそうとしますが背後からジンに肩を撃たれ、貫通したその弾が命中しニーナは死んでしまいます。
少年探偵団メンバーは八丈島ホエールウォッチングツアーが当たる福引に挑戦中。哀だけが、お気に入りのフサエブランドの新作ブローチ購入の整理券を手に入れるため皆から離れます。
何とか最後の1枚を手にしますが、後ろにいた和服の老婦人がひどく落胆してしまったので哀はその券を婦人に譲りました。福引は皆外れてしまいましたが、哀の行動に感心した園子の計らいで八丈島にある鈴木財閥のホテルに行けることになりました。
ホエールウォッチングに向かう途中で警視庁の白鳥警部を見かけたコナンは、阿笠博士に言い訳を頼みこっそりと船に乗り込みます。赤井(FBI捜査官/沖矢昴に変装中)からの電話でドイツの事件を知ったコナンは〝ピンガ〟というコードネームの人物がいると聞いていました。
思惑通り、八丈島の近海に作られた世界中の警察の防犯カメラとつながる海洋施設「パシフィック・ブイ」に到着した船。コナンはあっさりと黒田警視に見つかってしまいますが、ユーロポールとの初接続の時刻が迫っているため同行を許されます。
局長・牧野の案内でメインルームに着くと4人のエンジニアを紹介されます。フランス出身のグレース、ドイツ人のレオンハルト、インド系のエド、そして牧野とともに出迎えてくれたイタリア人の父を持つ直美・アルジェント。彼女が開発した「老若認証システム」は幼少期の写真から成長した姿を生成し、それを世界中の警察の防犯カメラにつなげることによって長期逃亡犯や誘拐事件の被害者などの捜索に役立つと期待されています。
そのころ、海中からベルモットとバーボン(実は潜入捜査中の公安警察・降谷零/別名・安室透)がパシフィック・ブイの内部へと侵入してきました。そして、ひとりでトイレに行った直美が彼らに拉致され潜水艦に連れ去られてしまいます。監視カメラの映像からそれに気づいたコナンたちですが、侵入には中からの情報が不可欠なことから内部に手引きした者がいることが明らかになります。
一方、連れ去られた直美が意識を失っている間にベルモットが彼女のUSBを発見し、その中に保存されていた灰原哀とシェリーらしき画像を見つけます。それを知ったウォッカはジンのために、少女として生きていると思われるシェリーをつかまえようと提案しますが、今回の目的はそれではない、予定外の行動はするべきでないとベルモットとバーボン、キールは相手にしません。ウォッカは組織№2のラムに仕えるピンガにやらせると言って忠告を聞きませんでした。
パシフィック・ブイ内部ではハッキングのためのバックドアが見つかっており、先日のドイツでの事件は今日のためだったのだと判明。FBIは捜査官のジョデイらをドイツへ派遣し、警視庁からは目暮警部と佐藤警部補がパシフィック・ブイへとやってきました。システムを停止させようとする警察に対し局長の牧野は頑なに拒否します。
名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)のネタバレあらすじ:承
その夜、ホテルに戻ったコナンは博士にこっそりとパシフィック・ブイでの出来事を伝え、老若認証が哀にとって危険であり、夜が明けたらすぐ帰ってほしいと話します。それを聞いていた哀を不安にさせないよう、コナンは自分の眼鏡をお守りとして哀に渡し、予備を受け取ります。
深夜、哀は組織に見つかりウォッカとピンガによって車に乗せられてしまいます。それに気づいたコナンが阻止しようとしますが遠くからキャンティが狙撃してきて近寄れません。すると突然蘭が飛び出しピンガを空手の技で追い詰め首に一撃を食らわせますが、キャンティの弾から逃れるためコナンが蘭を突き飛ばした隙に逃げられてしまいます。
コナンは蘭に動かないよう指示し、博士の車で後を追います。途中から二手に分かれコナンはスケートボードで後を追いますが、組織の車は躊躇なく海に飛び込んでしまいます。あわてたコナンも海に入りますが、目にしたのは黒くて大きな潜水艦でした。いったんあきらめて陸に戻ったコナンは博士に哀の奪還を誓います。
一方、目覚めた哀の前には直美がいましが。彼女は哀が、宮野志保に似ていると言います。そこへウォッカとキールがやってきますが、哀はキールのフード部分に盗聴器を忍ばせ、縄も解きやすいように縛られます。キールはそのことに気づきますが何も言いません。
そのころコナンは赤井に協力を依頼する電話をし、そのあと安室から電話で、ジンが乗り込む際に潜水艦が浮上する、そのタイミングしか哀を救出するチャンスはない、と教えてもらいます。
再びパシフィック・ブイにやってきたコナンは、昨夜の出来事を証明するために八丈島の道路の監視カメラを確認するよう提案しますがそこには何も映っていませんでした。博士の車さえ映っていないということは誰かが映像を書き換えたということ、つまり犯人は内部の者ということになります。
直美は哀に、子どものころアメリカにいたときにいじめられていた自分を志保がかばってくれたと話します。代わりに志保がいじめられるようになってしまい何もできなかった自分を悔やんでいるとも。直美は父の影響もあり人種差別をなくし世界平和を実現したいと考えており、そのために老若認証を開発した、そして最初に探したのが志保のことだったと言います。
検索した結果、なぜか哀の画像がたくさんヒットし、哀が志保の娘なのではないかと思ったそうです。哀は一度もそれには答えませんでした。
名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)のネタバレあらすじ:転
ベルモットはひとりフィリピンにいました。そこで彼女はボスと思われる人物から〇〇をつぶせ、と命令を受けます。
パシフィック・ブイの中では、レオンハルトが犯人とおぼしき人物に接触し気絶させられてしまいます。そしてメインルームにはレオンハルトが罪を告白する手紙が残されており、モニターで彼を探すとカフェでコーヒーを飲んだ後倒れ込む姿が映し出されました。清掃中のため人気のなかったカフェで死んでいたレオンハルトの口からは、かすかにシンナーのようなにおいがしました。
潜水艦ではウォッカが直美に老若認証を組織のために使うよう迫っています。悪に断固拒否する直美に対し組織は彼女の父、EU議員であるマリオ・アルジェントを捜し出して狙撃する様子を見せつけます。次は母親だと言ってウォッカはその場を離れます。直美は絶望して泣き叫び、哀の言葉も届きません。
すると哀の仕掛けた盗聴器からキールの声が聞こえてきました。キールはわざと哀に聞かせるように、ウォッカに潜水艦の出入り方法をしゃべらせます。ジンが来る前になんとしても脱出しなければならない、と哀は直美を説得します。子どもに何ができる?と疑う直美でしたが、「子供の言葉や行動で、人生が変わることもある。私はそれを体験して変われた。だから私を信じて、直美!」と哀に言われて行動を共にします。
そんな中、ジンがヘリで潜水艦に到着します。コナンは博士とともに船で近づき、博士の開発した3機の水中スクーターで救出に向かいます。哀と直美は脱出口に入り注水を開始しますが、それに気づいたウォッカとジンに殺されそうになります。
しかしそれを言葉巧みに止めたのはキールでした。無事脱出できたふたりを迎えに来たのはコナンです。彼は1機を囮にして潜水艦の注意を引きつけ、身を潜めて安全を確認したあと船へと戻りました。心配して待っていた蘭は泣きながら哀を抱きしめました。
ふたりに逃げられた潜水艦では、老若認証システムにシェリーと似たような顔が世界中あちこちで発見され始めたため、精度の低い使えないシステムだと判断したラムからの指示でこれ以上直美を追うことをやめました。
パシフィック・ブイに戻ったコナンは医務室でコーヒーを飲む直美のしぐさを見て何かを思い出します。そしてメインルームに向かい、眠りの小五郎推理ショーの始まりです。犯人はこの中にいると言い、レオンハルトの死を映した画面はフェイクだと断言します。
そしてコーヒーを飲む前のカップの縁をぬぐうしぐさ、女性が口紅のあとを気にする際に行うその行動こそ、犯人が常に女性であろうとするためについたクセなのだと見抜いたのです。犯人はグレースでした。スカーフで隠された喉仏、そして蘭によってつけられた首のアザがなによりの証拠です。グレースこそがピンガでした。そして彼はコナンたちを振り切って脱出してしまいました。
名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)の結末
組織の狙いはパシフィック・ブイの破壊へと絞られました。ピンガは潜水艦に戻るべく動き出し、ジンたちは魚雷を発射します。パシフィック・ブイにはデコイの装備があり、魚雷を誘導し爆発させることに成功します。しかし魚雷は次々に発射されます。
このままではパシフィック・ブイが沈められてしまうと危惧したコナンは、前もって話をしていた赤井から潜水艦を破壊できる米軍の武器の準備ができていると聞きます。安室とも通話していたコナンはふたりの通話をつなぎ、日本国内で米軍の武器を使うことに難色を示す安室を赤井が説得します。
ブイでは人々を避難させつつデコイで対抗していましたが、エドがハッキングされていることに気づきデコイの放出ができなくなってしまいます。これは海外からベルモットが操作しているせいでした。牧野は苦渋の決断で退避し、人命は助かりましたがパシフィック・ブイは壊滅的な被害を受けてしまいます。
これ以上の損害を防ぐため、コナンは赤井が潜水艦を上空から攻撃できるよう誘導します。しかしエリアが広くなかなか赤井側からは特定できません。コナンは潜水艦を見つけますが、そのスクリューの水流に飲まれそうになり水中スクーターを失ってしまいます。
それでも最後の力を振り絞って花火ボールを繰り出し、海中で爆発した色とりどりの花火によって潜水艦の艦影がくっきりと浮かび上がり、そこを赤井が狙い撃つのでした。攻撃された潜水艦内部ではパニックになりながらも潜水艇で離脱し組織の人間は無事でした。しかしジンが悪意をもって連絡しなかったピンガだけは証拠隠滅のための自爆に巻き込まれてしまったようです。
コナンの身を案じた哀は、博士の制止を振り切り水中スクーターで救出に向かいます。マスクもなく海中を漂っていたコナンを抱きとめ人工呼吸をする哀。ようやく意識を取りもどしたコナンと哀はゆっくりと浮上します。そして哀は、自分の素性が組織にばれてしまった以上もうコナンたちといっしょにはいられないと覚悟しつつ、コナンにしたキス(人工呼吸)のことを考えていました。
パシフィック・ブイに戻ってきたふたり。爆発の影響で押し寄せる波を、コナンはキック力増強シューズを打ち込むことで相殺し打ち砕きました。しかしふと見ると哀が倒れています。駆け寄って人工呼吸をしようと逡巡しているとなぜか意識のないはずの哀がそれを拒否し、そこへやってきた蘭に自らキスをしました。「唇は返したわよ」と言う哀。
後日。パシフィック・ブイは放棄され、別の国で作り直されることになりました。出国する直美を哀が空港で見送ります。狙撃された直美の父は一命をとりとめ彼女の顔も晴れやかです。直美は哀の言葉で変われたと感謝を伝え、〝志保〟と呼び去っていきました。
その姿を見つめていたのは哀からブローチの整理券を譲ってもらった老婦人です。実はこの老婦人、ベルモットが変装した姿でした。ベルモットはシェリーに変装して世界中で監視カメラに映り込み、老若認証システムを組織に使わせないよう暗躍していたのです。
手に入れたブローチをつけた彼女は、なぜ自分がそんな行動をとるのか解き明かしてみなさい、とコナンに対して心の中で問いかけるのでした。
以上、映画「名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する