バーバー吉野の紹介:2003年日本映画。監督は、本作で長篇デビューを飾った荻上直子。町に住む少年は、皆同じ髪型にしている。これは町に伝わる古くからの掟で、この伝統を守るため今日も良子はせっせと子どもたちの髪を切っている。そんなある日…。
監督:荻上直子 出演者: 米田良(吉野慶太)、もたいまさこ(吉野良子)、村松諒(カワチン)、大川翔太(ヤジ)、宮野真之介(グッチ)、ほか
映画「バーバー吉野」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バーバー吉野」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「バーバー吉野」解説
この解説記事には映画「バーバー吉野」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バーバー吉野のネタバレあらすじ:起
町の少年たちは皆、同じ髪形をしています。この町の少年は、「吉野ガリ」と呼ばれるマッシュルームカットにするのが、昔からのしきたりでした。
町には唯一の床屋「バーバー吉野」があります。100年以上前から町の人々の髪を切ってきた伝統ある店です。店のおばちゃん・吉野良子(もたいまさこ)には、夫と娘と小学生の息子・慶太(米田良)がいます。
慶太のクラスにある日、東京から転校生の坂上がやって来ました。髪を茶色に染めて、毛先を遊ばせている坂上に、クラスの女子は夢中になります。その中に慶太が思いを寄せる上杉がいました。坂上と楽しそうにおしゃべりをする上杉。慶太は上杉の様子が気になります。
帰り際、慶太は担任から坂上に村を案内するよう言われます。慶太が家の近くを案内していると、良子が現れました。ちょうど店に客がいないので、髪を切ってやると坂上に言う良子。そこへクラスの女子がやってきます。坂上は、女子たちに連れられどこかへ行ってしまいました。
バーバー吉野のネタバレあらすじ:承
後日坂上が担任から呼び出され、髪を切るよう言われます。坂上は断固として拒否しました。
どうして同じ髪形にしなければいけないのか、詳しい理由を知らなかった慶太。店の常連客に尋ねることにしました。町には古い言い伝えがあり、山には神に仕える天狗がいます。子どもをさらいに来る天狗の目をごまかすために、少年の髪形を同じにするようになったのだと説明する常連客。
次の日、坂上が学校を欠席します。慶太は、坂上の家へ手紙を届けることになりました。その翌日からも、坂上は学校に来ません。慶太は、坂上が学校を休む理由が、吉野ガリにあるのではないかと気になります。
慶太は、学校に来ない理由を坂上に尋ねます。すると坂上が、吉野ガリが嫌だからだと答えました。同じ髪形にしないといけないルールはおかしいと言い張る坂上。表現の自由をしきたりによって侵されていると主張します。吉野ガリが当たり前だと思っていた慶太は、坂上の話すことがよく理解できません。
その後、エロ本を通して慶太は坂上と仲良くなります。慶太は仲間たちと一緒に坂上を秘密基地に案内しました。慶太たちと仲良くなった坂上は、再び学校へ来るようになります。
バーバー吉野のネタバレあらすじ:転
慶太の仲間の一人・グッチ(宮野真之介)が、学校にエロ本を持ってきたことがばれてしまいます。家に帰った慶太は、良子にきつく叱られました。
慶太は、これまで何とも思わなかったことに、だんだんと疑問が湧いてきます。なぜ吉野ガリをしなくてはいけないのか。山の日にハレルヤを歌うことも奇妙です。そもそも吉野ガリの名前の由来が謎で、「バーバー吉野」の陰謀かもしれないと思うようになります。
吉野ガリをやめれば、坂上のように女子にモテるのかと考えた慶太たちは、バスに乗って隣町へやってきました。美容室で髪を切る予定でしたが、3000円もするとわかり諦めざるをえません。しかし何かできることがあるのではないかと考えた慶太たちは、自分たちでカットすることにしました。夜中に「バーバー吉野」に忍び込み、髪を切ることにした慶太たち。しかしすぐに良子にばれてしまいます。
翌日、小学校の正門には良子の姿がありました。一人ひとりの髪形をチェックし、髪が長ければその場で切っていきます。そこへ坂上が登校してきました。良子に捕まった坂上は、吉野ガリにあってしまいました。
バーバー吉野の結末
ショックで泣き出す坂上。慶太は横暴な良子のやり方に腹を立て、かっこいい髪形にするまでは絶対に家に戻らないと決めます。途中、慶太は川で釣りをしている父親の武雄を見つけました。武雄は会社をクビになっていましたが、このことを家族の誰にも打ち明けられていません。慶太は、大人になるとはどういうことか武雄に尋ねます。しばらく考えた武雄は、「人にやさしくできることだ」と言いました。
慶太が家に帰って来ないため、良子はあちこちに電話を掛けます。武雄が「慶太はもう子どもじゃないから大丈夫」と言いますが、良子は心配で泣き出してしまいます。
「吉野ガリがそんなに大事かね?」と尋ねる武雄。伝統やしきたりに縛られすぎではないかと、武雄が良子に尋ねます。これまでずっと続けてきた吉野ガリに誇りを持っている良子は、武雄の言葉に腹を立てます。
翌日は祭りの日で、準備がちゃくちゃくと進んでいました。夜になり、祭りが始まりました。そこへ髪を染め、吉野ガリをやめた慶太たちが現れます。絶句する大人たち。良子はカンカンになって怒っています。慶太は、髪形は自由であるべきで伝統に縛られるのはまっぴらだと叫びます。すると他の子どもたちが口々に「僕もずっと嫌だった!」と言い出しました。
吉野ガリに反対の慶太。しかし良子がみんなの敵になるのは嫌だと涙を流します。それを見て、同じく涙を流す良子。
翌日、慶太たちは体育館に集められました。良子の手により、慶太の頭にバリカンが入ります。
夏になりました。武雄は就職先がまだ見つかっていません。教室に忘れ物をした慶太は、上杉のリコーダーを見つけて吹こうとします。そこへ担任がやってきました。「早く帰れよ」とにらまれる慶太。
良子は、亡くなった祖父や父親のことを考えると、吉野ガリをなくすことに抵抗がありました。しかし時代の流れには逆らえません。伝統はいつしか伝説になります。
吉野ガリがなくなっても、良子の店に髪を切りに子どもたちがやってきます。いつもと変わらぬ風景がそこにはあるのでした。
以上、映画「バーバー吉野」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する