凍える鏡の紹介:2007年日本映画。自分の絵を売って生活する人格障害の青年・瞬と、童話作家の香澄が出会い奇妙な生活を始めます。親子ほど歳の離れた二人に、香澄の娘で病床心理士の由里子が入って来ます。プライドが高く切れやすい瞬を中心に、香澄と由里子の親子の葛藤を描いたヒューマンドラマです。
監督:大嶋拓 出演者:田中圭(岡野 瞬)、冨樫真(矢崎由里子)、渡辺美佐子(矢崎香澄)、増沢望(秋沢清司)、川口節子(武田真知子)、下條アトム(吉村)、菊池隆則(後藤達夫)ほか
映画「凍える鏡」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「凍える鏡」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「凍える鏡」解説
この解説記事には映画「凍える鏡」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
凍える鏡のネタバレあらすじ:起
童話を読んで聞かせる矢崎香澄は、有名な童話作家です。久しぶりに東京での出演に、昔からの作家友達の武田真知子に会います。香澄が二人で真知子のマンションに帰っている時、公園で自分の描いた絵を売る岡野瞬の絵を見て立ち止まります。「ひやかしか?」とぶっきらぼうに言う俊に、「この絵買うわ」と言って香澄が買っていきます。
「今夜夕食でもどう?」と何か話をしたそうな真知子の誘いでしたが、香澄は「娘の由里子と食事するのよ」と言って断ります。娘の由里子は病床心理士で、香澄に「今後独立したくて本を書くの、お母さんの口添えで出版社を紹介してよ」と頼みます。
公園の瞬は、前でアクセサリーを売る女性の顔を描いています。それに気付いた女性が話しかけると、瞬は「もっと上手く描いてやろう」と言って部屋に呼びます。そこで瞬は、女性を縛り上げ、その様子を絵に描いたのでした。
童話作家の真知子が自殺します。落ち込む香澄が公園に寄ると、瞬が一人で絵を売っています。話をしていると、市の職員がやって来て、無許可営業を理由に瞬を連れていきます。身元引受人となった香澄は、瞬を真知子のマンションに呼び、アルバイトとして遺品整理を手伝わせます。その時、瞬が少年時代に見たことのある童話を見つけます。香澄は「それ私が書いたのよ」と教えます。瞬は「すげえ!おばさんが書いたの」と言いながら童話を読みます。
その後、知り合いの画廊でオーナーの吉村に瞬の絵を見せた香澄でしたが、吉村が瞬の絵を酷評したことから、瞬が突然切れて暴言を吐き出て行きます。
凍える鏡のネタバレあらすじ:承
由里子が務めいている病院の先生の秋沢に、途中まで書いた本の原稿を呼んでもらいます。秋沢はバーに誘い酒を飲みながら話をします。しかし秋沢の目的は由里子の体で、誘われた由里子は「そっちは別の人とやってください」ときっぱり断ります。
そんな由里子に香澄が、瞬のカウンセリングを頼みます。由里子は、異様に高いプライドと、少しでもけなされると暴れ出す狂暴な性格の瞬のカウンセリングを始めます。話をした由里子は瞬を自己愛性人格障害と判断し秋沢に相談します。秋沢は誘いを断られた由里子に「自分で考えてやれ」と冷たく言います。
週に1回のカウンセリングで、由里子は瞬に「切れそうになったらこのカウンターを1回押して!、そして来週、何回押して、どんな時だったか教えて」と言います。すると瞬が「僕も頼みがある、モデルになって」と言います。由里子が断ると、「美人だから誘っているんじゃないぞ、うぬぼれるな」と言います。
カウンターを押すことで自分の感情が少し抑えられるようになった瞬は、次の由里子とのカウンセリングに向います。「43回か、思ったより少ないね」と言いながら、少しずつ変わっていく瞬を見つめます。由里子は瞬とのカウンセリングも本に書き足し、出版社に見せます。出版社側は「この患者が普通の生活に戻るまでの内容も書いてください」と言います。
香澄が瞬の絵を見て「何か物足りない」と言っても、瞬は怒らなくなります。カウンセリングでは由里子が「私は今の絵の方が好きよ」と言います。突然、瞬が涙を流しながら「オレはもっと自由に絵を描きたいんだ、あいつがオレをこんなにしたんだ。入選すると褒めるが、後はダメだ、クズとか言ったんだ」と言って由里子に抱き着きます。驚いた由里子がそのまま倒れ込むと、録音していたレコーダーが落ちてしまいます。それを見た瞬は「カウンセリングに録音なんて必要ないだろう」と怒って出て行きます。
凍える鏡のネタバレあらすじ:転
真知子の部屋の片づけが終わると、香澄が「長野の黒姫に戻る」と言います。瞬もついて行き、雪深い山奥の一軒家で二人の生活が始まります。香澄は新作のリスの話を読ませ「この話の挿絵を描いてくれない?」と瞬に頼みます。瞬はリスの絵を描き、合間に雪かきをする毎日でした。
香澄と瞬は町の保育園で童話を呼んで園児達に聞かせます。遅くまで迎えに来ないアヤノという女の子が、瞬の顔の絵を描いて渡し、瞬が戸惑います。夜になり父親が迎えに来ると、アヤノが「お兄ちゃん今度いつ来るの?」と聞きます。
深夜、香澄が心臓発作で苦しみだします。薬が切れていたため、瞬が一晩中看病します。そして「そんなに苦しいんだったら一緒に死んでやってもいいよ」と言います。
翌朝、由里子がやって来ます。由里子は録音の事を謝り「私はあなたを診る資格がないから、いい先生を紹介する」と言いますが、、瞬は「もういいよ」と言います。「まさかここでお母さんと暮らすんじゃないでしょうね」と聞く由里子に「それもいいかもしれない」と答えます。瞬が再び由里子に「モデルになってくれ」と頼みます。由里子は「ダメ、もう帰るから」と言います。瞬はそのまま飛び出していきます。
行方を探す香澄と由里子でしたが、瞬は風俗嬢をホテルに呼び、体を縛って絵を描いていました。その後SEXをしようとしますができませんでした。風俗嬢は「若いのにできない体なの、かわいそうに」と馬鹿にします。切れた瞬は「さっさと帰れ」と怒鳴ります。
描いた絵を道路で燃やしていた瞬が警察に捕まってしまいます。取り調べに来た刑事はアヤノの父・後藤でした。「この近くで連続放火事件が起こっているんだ、話してくれ」と聞きます。瞬は「娘を早く迎えに行ってやれよ」と逆に言い返します。一向にしゃべらない瞬は留置場で泊まることになります。翌朝、瞬を迎えに行った由里子が「どうして町にでたの?」と聞きます。瞬は「誰のせいだと思ってるんだ」と言います。
凍える鏡の結末
「帰る」という由里子を呼び止め、香澄が話しはじめます。「70歳を過ぎた。あなたに介護をしてもらおうとは思わない。財産は全あげる、瞬を養子にしてこの家を渡す」と言ったのです。由里子は怒って「私はあなたの子供よ、何言ってるの」と怒鳴ります。由里子は「岡野君はどうなのよ」と瞬に聞きます。「ぼくはどうでもいい」と言っていなくなります。
庭に作ったかまくらで絵を燃やす瞬を見つけ「母は優しいおばさんじゃない」と昔の事を話はじめます。そして由里子の部屋で瞬が「昔の話が出来るだけでもいいよ、僕なんか話せないよ。今でも夢に出てくる」と母から虐待され続けた話をします。聞き終った由利子が「あなたが女性に拒否反応をもっているのはわかっている、私に任せて」と瞬をSEXに誘います。
そこへ香澄がやって来ます。むくれる香澄に、由里子は今までの溜まっていたことを話しはじめます。優しかった父が早く死んで、自分には何もしてくれなかったことなどをぶちまけます。散々言い争いをした香澄は「仕方ないわ、瞬はここにいるんでしょう」と言います。瞬は「警察に行く、4件の放火はオレだ、あんたら最低の親子だ」と言って出て行きます。
香澄が「あんたも出て行って、どうせまた一人になるだけだから」と由里子に言います。由里子は「お父さんとお母さんがいて私がいる昔に戻りたい」と言って泣きだします。その時、香澄が倒れます。動かない香澄を見た由里子が大声で瞬を呼びます。
病院に運ばれた香澄の意識は戻りません。瞬が雪かきをしている時、連続放火犯が捕まったとニュースに流れます。瞬が犯人ではなかったのです。瞬が病室に入ると、由里子が「なんで嘘をついたの?」と聞きます。「二人の喧嘩を見ていると、僕の居場所がないと思ったから。喧嘩できるだけでもいいよ」と言います。由里子は「今だったらお母さんと喧嘩できるんじゃない」と言いますが、「東京に出て来る前に死んだんだ」と瞬が言います。
由里子が看病疲れでベッドに寄りかかったまま寝てしまいます。瞬はそんな二人を描きはじめます。しばらくして香澄の意識が戻ります。瞬が香澄に絵を見せます。それは一緒に寝るリスの親子の絵でした。
以上、映画「凍える鏡」のあらすじと結末でした。
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