日本沈没の紹介:2006年日本映画。1973年(昭和48年)刊行の小松左京によるSF小説を原作として製作された映画。キャッチコピーは「命よりも大切な人がいる。1億2000万人、すべての日本人に捧ぐ」で、1973年版の映画を「自分が映画制作を志すきっかけとなった作品」と語る樋口真嗣が、監督を務めた。
監督:樋口真嗣 原作:小松左京 出演:草なぎ剛(小野寺俊夫)、柴咲コウ(阿部玲子)、豊川悦司(田所雄介)、大地真央(鷹森沙織)、及川光博(結城慎司)、ほか
映画「日本沈没」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「日本沈没」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
日本沈没の予告編 動画
映画「日本沈没」解説
この解説記事には映画「日本沈没」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
日本沈没のネタバレあらすじ:1.プロローグ:破滅の予兆~東海大地震~
近い未来、それは明日かもしれません。静岡県駿河湾沖、深さ約30kmを震源とした地震が発生し、約2時間が経過していました。多数の民家等に被害が出て、あたりはその瓦礫と炎と煙で覆われていました。沼津市も同じような悲惨な状況でした。折しもこの日、雨が降っていました。その中を埃まみれでぐしょぐしょの少女が1人、家族とはぐれ歩いていました。ちょうどその時、地震で横転した車の中から這い上がった小野寺俊夫は、その少女がガソリンスタンドからガソリンが漏れている所を歩いている姿を見て、大声をあげて、助けに行こうとしました。その瞬間、火花を散らしながら電柱がガソリンスタンドに倒れ、爆発が起きました。絶体絶命の中、1機のヘリコプターが現れました。炎と煙の中、ヘリから1人のレスキュー隊員が、間一髪のところをその少女を抱き上げ、小野寺の方に倒れ込んで来ました。小野寺は来ていたジャケットを脱ぎ、その少女に着せてあげました。「ケガはありませんか?」と尋ねてきたレスキュー隊員は女性でした。
日本沈没のネタバレあらすじ:2.米国地震研究の予想
四季折々、風光明媚な景色をもつ島国日本、その日本の地下プレートが沈み込んで行き、あと約40年2か月で沈没するという悲劇的予測結果が、米国ユージン・コックス博士から政府首脳陣と地球科学博士たちに報告がありました。先日起きた東海大地震もその予兆ということでした。その予想を聞いていた東都大の地球科学博士・田所雄介は、早速、その予想を検証するため、深海調査に向かいました。まず、田所博士は、宮城県金華山沖の海底調査にとりかかりました。彼は日本で唯一、6500mの大深度まで潜れる深海調査艇“わだつみ6500”に乗り込みました。その操縦士は結城達也と小野寺俊夫で、世界でもトップクラスの操縦士でした。深度5830mの日本海溝、海底から突如、大量のガスが噴き出し始め、海底で火山が噴火したような光景を目にしました。辛くも脱出した調査艇の中で、田所博士は眉をひそめました。
日本沈没のネタバレあらすじ:3.再会
ある日、神奈川県横須賀市の国際海洋開発センターで、深海調査艇“わだつみ6500”の中で計器類の確認と操縦訓練をしていた小野寺に、1人の女性が会いに来ました。その女性は、東海大地震のときに少女と小野寺を救ってくれたレスキュー隊員・阿部玲子でした。彼女は小野寺が少女に咄嗟に着せてあげたジャケットを直して持ってきてくれたのでした。彼女は深海掘削船“ちきゅう”を見て、てっぺんまで登りたいと言い出しました。小野寺は彼女をてっぺんまで案内してあげると、彼女は祖父がとび職の棟梁でその影響で高い所が好きになり、レスキュー隊に入ったと言い、また彼女は祖父のような男に生まれたかったと言いました。小野寺はそう言う玲子に「あの時の僕たちを助けてくれた阿部さんは、男みたいにっていうか…男より格好良かったです」と感じたままを告げました。玲子は小野寺に“あの時の女の子”倉木美咲に会ってほしいと頼みました。美咲は、地震で父を亡くし、母は意識不明の重態となって落ち込んでいるのですが、小野寺のことだけは一生懸命、話をしようとするらしいのです。小野寺は美咲に会いに行くことにしました。美咲は、玲子の家でもある品川区の下町の“ひょっとこ”というもんじゃ焼きのお店に住んでいました。そのお店は、女将・田野倉珠江を慕い、常連客の寺島浩、安川翔太らが入り浸っていた明るく、にぎやかなお店でした。玲子も非番のときなどは厨房に入り、お店を手伝っていました。その時、急に地震が起きました。そんな大きな揺れではありませんでしたが、美咲は大地震のフラッシュバックからか荒い息をし、カウンターの下に蹲っていました。小野寺は彼女を優しく抱きしめてあげ「大丈夫」と言い、安心させてあげました。
日本沈没のネタバレあらすじ:4.日本沈没まであと338.54日
ある日、内閣総理大臣・山本尚之は、米国地震会の予想に対する早急な対応策準備をする必要があると考え、首相官邸に文部科学省大臣・鷹森沙織を呼び、彼女に危機管理担当大臣と兼任してほしいと頼みました。一度は断ろうとした鷹森でしたが、山本総理の「こうなってしまった今、何がいちばん大切だと思います? 私は心だと思っています。1人でも多くの人を助けたいと願う“思い”と言ってもいい。…あなたには、その“心”がある」という熱弁に負け、彼女は危機管理担当大臣と兼任することになりました。その頃、田所博士は高知県足摺岬沖で日本海溝での地殻変動の予想調査を、北海道の大雪山麓で人工地震による地下構造調査を、日本海溝の第一鹿島海山水深3803mで海底調査を、南太平洋クック諸島・マンガイア島で岩石調査など、各地を飛び回って色々な調査をしていました。彼は、それらを兵庫県播磨科学学園都市の放射光分析施設なども使い、最終的に各地での調査データを深海掘削船“ちきゅう”にある最新鋭の研究室のコンピュータを使って、総合的に演算、米国の日本沈没予想が正確なものかどうかを調べ直しました。暫くして、コンピュータは驚くべき日本沈没の予想結果をはじき出しました。それを見ていた田所博士は思わず、コンピュータの画面を殴り壊しました。コンピュータの出した日本沈没のシミュレーションは、338.54日だったのです。田所博士は、政府首脳陣と地球科学博士たちに、自身の調査結果を元にした日本沈没のシミュレーションモデルを自信をもって説明し、発表しました。その仮説ではあと338.54日、1年もありません。総理は愕然とし、首脳陣も驚きのあまり言葉を失ってしまいました。ただ、地球科学の山城教授だけは大笑いし、総理に「聞くに値しない妄言」と言い、田所博士の仮説を批判しました。それを聞いた田所博士は憤り、立ち上がって、「いいか、よく聞け! プレートの断裂は北海道の南部から始まる。九州の出水断層帯も危ない。阿蘇が噴火するだろう。…日本の活断層はそのエネルギーに耐えきれず、次々に割れていく。本州中央部…フォッサ・マグナが裂け始めたら、その時はもうおしまいだ。…日本は一気呵成に沈んでいくんだ」と、警備員をはねのけながら、山本総理の間近まで詰め寄り、声を荒らげて力説しました。深海掘削船“ちきゅう”の研究室に戻った田所博士のところに、元妻であった危機管理担当大臣の鷹森が訪ねてきました。鷹森は田所博士に、政府は研究チームD1を編成することになった事、“ちきゅう”の研究室もD1が使用する事を伝え、彼にもチームに参加するように要請しに来ました。しかし、田所博士は「1年もないのに、検証している場合か!」「この船や“わだつみ”には、まだやってもらわないといけない事がたくさんあるんだ」と駄々をこね、チームへの参加を拒否しました。呆れて帰っていく鷹森に、「そんな事より、1人でも多くの人間を逃がす方法でも考えるんだな!」と田所博士は言い放ちました。
日本沈没のネタバレあらすじ:5.小野寺と玲子
ある日、東京消防庁・第八消防方面本部のハイパーレスキュー隊員の玲子は、訓練中に左腕の骨を折ってしまい、当分、休暇をとることになりました。偶然、その日、小野寺は美咲を訪ねて、お店に来ていました。夕暮れ時、家の2階のベランダで、小野寺と玲子は語り合いました。玲子は、「ほんとは、私も美咲ちゃんと同じなんだ」と本当の過去を小野寺に語り始めました。彼女は阪神淡路大震災で両親を亡くし、それでここに来たのでした。それで、彼女は美咲の気持ちが痛いほど分かるのでした。彼女がレスキュー隊に入ったのも、自分のような子供を助けたいという強い気持ちが動機なのでした。彼女は地震が多い時期に、自分がケガして助けられないことを情けなく思っていました。それを聞いた小野寺は優しく「焦ることないと思う」と言って癒してあげました。そして、小野寺も自分が潜水艇の操縦士になった動機を語りました。彼は、幼いときから、とにかく海が好きで、深い深い海の底にいると、お母さんのお腹の中にいるような感じで安心するからでした。理科と数学が大嫌いだった玲子は、小野寺の話を聞いて、「小野寺さんが先生だったら、私、絶対、理科が好きになってた」と笑いました。
日本沈没のネタバレあらすじ:6.山本総理の決意
ある雨の日、国際海洋開発センターで、田所博士は小野寺と結城に、日本沈没はあと1年もないことを打ち明け、自分の研究チームは解散することになったことを告げました。そして、彼らに早く日本から脱出したほうがいいと言い、日本沈没までは1年ないことは極秘事項で他言しないように釘を差しました。数日後、羽田東京国際空港のVIPルームで、鷹森危機管理担当大臣は日本人の海外退避計画D2の骨子を、中国を訪問しようとしていた山本総理に渡しました。山本総理は、今回の事態について、各分野の研究者たちから意見を求めました。様々な意見が出たようですが、その中で山本という1人の人間としてしっくりきた特種な意見を、鷹森危機管理担当大臣に話しました。その意見とは「何もしないほうがいい」という意見でした。「愛するものと共に、この国と滅んだほうがいい、そういう考え方が出るというところが、日本人が他の民族と決定的に違うところなのかもしれません」と山本総理は総理としてではなく個人的に同調した気持ちを、鷹森大臣に打ち明けました。出発の時刻になり、山本総理は孫のことを思いつつ、鷹森大臣に「すべての日本人は人間として生まれてきたんだ!だから、みんな、生きる権利も希望をいだく権利もある!」と決意を決めたように言うと、彼女に「大変でしょうが、留守中、よろしく頼みます」と穏やかに言い、中国に向けて飛び立ちました。
日本沈没のネタバレあらすじ:7.山本総理の死~パニックに陥る日本~
北海道の大雪山系が噴火し、大地が割れ、大地震が発生しました。その一報を聞いた鷹森大臣は田所博士の仮説を思い出し、山本総理の乗っている政府チャーター機に至急連絡をとるように、防衛連絡調整官・中田真一郎に指示しました。その頃、政府チャーター機は九州の熊本の阿蘇山上空を飛んでいました。すると突然、阿蘇山が大噴火したのです。もうもうたる煙、飛び散る無数の火山弾、猛烈に吹き出す火砕流で、政府チャーター機は墜落炎上、熊本の阿蘇山付近は壊滅、人々は大混乱に陥りました。政府チャーター機に乗っていた山本総理以下主な政府首脳陣は命を落としました。それを知り、鷹森大臣は愕然としました。その後、田所博士の仮説通り、日本の各地で連続的に火山が噴火、大地震が起き始めました。次々と連続して怒る未曾有の自然災害で、各地は壊滅的被害を受け、国民はパニック状態になりました。鷹森大臣は直ぐさま、危機管理対策本部を設置、非常事態宣言を発令し、各地に自衛隊を派遣させましたが、連続する未曾有の自然災害に国民のパニック状態は激化し、株価は大暴落、銀行には預金の引き出しに人々が押し寄せ、スパーでは食料品など奪い合い、我先に脱出しようとする車で道路は渋滞、空港でも国際便は満席状態で離陸を待つ滑走路は多数の飛行機で渋滞するという悲惨な状況が起こり始めました。山本総理の死で総理代行となった内閣官房長官・野崎亨介は、これ以上国民をパニック状態に陥らせないように、あと5年で日本は沈没すると虚偽の発表をしようとしました。鷹森大臣はそんな対応に反発し、野崎臨時代行に日本人難民の受け入れ交渉に至急海外に行くように要請しますが、彼は「山本総理の二の舞はご免だよ」とあっさり却下しました。テレビで野崎臨時代行は、あと5年で日本は沈没すると虚偽の発表をし、政府は過去の有事の経験から安全に国民を海外に計画的に脱出させると発表し、政府の指示に従うように呼びかけました。各地では火山の噴火に伴う火山灰が舞い散る中、派遣された自衛隊の指示に従い、家族単位で海外避難の手続きが進行していました。羽田国際空港からも次々と避難民を乗せた旅客機が飛び立っていきました。政府の危機管理対策本部には各地の状況報告が続々と入ってきました。鷹森大臣は、日本人難民の受け入れに難色を示している海外各国に、ねばり強く受け入れ交渉をする事、難民を乗せる大型船を一隻でも多く調達する事を命じました。その頃、京都では野崎臨時代行の意向で、国宝を米国に引き渡す準備が自衛隊の手で着々と行われていました。鷹森大臣はそんな野崎臨時代行のやり方に反発し、国宝を運ぶ貨物船があるなら1人でも多くの国民を乗せるべきではないかと問いつめました。しかし、野崎臨時代行はそう主張する鷹森大臣に、現在の海外避難民数と犠牲者数のグラフと、今後のその予想グラフを見せ、「死んだ人間まで海外に避難させる必要はない」と言い放ち、米国に国宝をもち、交渉に行ってしまいました。
日本沈没のネタバレあらすじ:8.田所教授の日本沈没救済案
切羽詰まった鷹森大臣は、政府のチームを離れて東都大地震研究所の自室に籠もる元夫・田所に、たとえ1人でも多くの日本人を救済する案はないかと、訪ねていきました。そんな彼女を見て、田所博士はある一つの案を彼女に提示しました。それは日本を海底に沈没させようとしている地下プレートに、試作段階ではあるが核爆発に匹敵する強力なN2爆薬をしかけて、地下プレートを切断するという方法でした。しかし、それを実現させるためには、世界中の深海掘削船を集める必要がありました。それは難事業でしたが、鷹森大臣は、それ以外方法はないと決意しました。日本各地の自然災害は激化の一途をたどり、各地の都市機能は崩壊し、死亡者・負傷者・行方不明者の数も増加し続けました。その頃、深海調査艇の操縦士・結城は、海外にいち早く避難した妻と息子とネットで連絡を取り合っていました。結城は小野寺にイギリスから操縦士にならないかというオファーがあったことを告げ、一緒に行かないかと誘いました。しかし、結城は田所博士が考えた日本を救う方法の手助けをしたい、自分が子供の頃好きだった海をいつか息子に見せてやりたいと言い、断りました。数日後、美咲の母の意識が戻ったという吉報が舞い込みました。喜ぶ美咲と一緒にいた小野寺をバイクに乗せ、玲子は美咲の母の病院に急行しました。しかし、到着すると美咲の母は危篤状態でした。母は美咲の顔を一目見ると、「い…き…て…」と言い残して亡くなりました。母は一目でも娘の無事を確認したいという思いで、奇跡的に最期に意識を取り戻したのでした。家に帰り悲しむ美咲を、玲子は「お母さん、言ってくえたよね。美咲に『生きて』って」と言い、泣き出す美咲を泣きながら優しく抱きしめ、励ましました。小野寺は、そんな二人の姿に何も言えないもどかしさを感じながら、ただ見ているしかありませんでした。ある日の房総沖の太平洋上に、世界中の深海掘削船が集結していました。ヘリからその様子を見た田所は驚きました。それは鷹森が奔走した結果でした。今まで築き上げたキャリアを失う危険を犯してまで自分の計画に賛同してくれた鷹森に、田所は恥ずかしそうに「ありがとう」と言いました。早速、各深海掘削船はプレートに爆薬を仕掛ける作業にとりかかりました。
日本沈没のネタバレあらすじ:9.玲子の気持ち「自分だけ幸せになんてなれない」
その頃、北海道函館に大津波が押し寄せ、函館を壊滅させました。フォッサ・マグナはまだ裂け始めていませんでしたが、富士山を残し、日本列島のほとんどの火山は噴火し、主な街は崩壊し、炎と煙で覆われていました。玲子の家でもある品川区の下町の“ひょっとこ”も自衛隊の指示に従い、避難が開始されました。生まれた土地から離れることを嫌がる祖母を強引に連れ、女将と常連客と美咲は、ケガも回復しレスキュー隊として残る玲子に一時の別れを言い、去っていきました。するとそこに小野寺が玲子を訪ねてきました。誰もいなくなったお店で、小野寺は玲子に「イギリスで、君と美咲ちゃんと三人で暮らしたい」と告白しました。思わぬ小野寺の告白に内心、玲子は喜びましたが、レスキュー隊の玲子は「美咲みたいな子供たちがまだたくさん救助を待っている。どうしても助けたいの」と言いました。そう言う玲子に小野寺は「時間がないんだ。…とにかく玲子と美咲を助けたい。…きれい事を言っても仕方ないだろ」と主張しますが、玲子は「じゃあ、他の人はどうするの?」と小野寺に問い質し、「きれい事なんかじゃない! 私は自分だけ幸せになんてなれない」と気持ちをぶつけ、泣きながら、店を出てレスキュー隊本部に行きました。
日本沈没のネタバレあらすじ:10.「命より大事な場合もあるの…人を好きだっていう気持ちは…」
航空自衛隊・入間基地では自衛隊の大型軍用機が、選ばれた人たちを乗せ、次々に日本を脱出していきました。九州では各地で溶岩が噴出し、行く手にあるものを悉く炎で焼き尽くしていきました。石川県七尾漁港では、自衛隊の指示のもとに住民たちが漁船などに乗り、脱出をしようとしていました。そして、韓国、北朝鮮などへの個人での渡航は不法入国となるため、禁止令を出していました。ただ、福島県会津地方、この地方だけはまだ被害は受けていませんでした。そこは小野寺の故郷でした。彼の実家は造り酒屋で、姉の小野寺香織が家業を継いでいました。小野寺は久しぶりに実家に帰り、姉や母・道子と話をしました。小野寺は母に海外へ避難するように勧めますが、母は、愛する父と子供たちと過ごした想い出がいっぱい詰まったこの家に残ると言い張りました。母は小野寺に「命より大事な場合もあるの…人を好きだっていう気持ちは…」とその理由を諭すように言いました。その頃、東京都調布飛行場では、大勢の避難民がフェンスに群がっていました。その飛行場の軍用機に政府要人関係の家族たちが優先的に乗り込んでいきました。海外では日本人難民の受け入れに不安を抱き、反対する集団も出てきました。海外に移転した日本企業の株価も大暴落し、米国は円と日本の国債をいきなり手放し始めました。1年は守ると約束を反故にされた鷹森大臣は憤り、「日本は米国に見捨てられた」と言いました。その時、危機管理対策本部に大量の火山灰の影響で、広島周辺の飛行場が今後使用不可能という凶報が入ってきました。各地で自衛隊が全力を尽くし、海上からの脱出民を1人でも多く救助するようになってきました。
日本沈没のネタバレあらすじ:11.巨大地震発生~残された人々~
ある日の夜、小野寺は美咲ら“ひょっとこ”のメンバーの避難地に、実家からの土産を持ってやって来ました。常連客からイギリスに行くことになっていた小野寺は羨ましがられました。彼らは脱出の飛行機を待っていたそうですが、急に方針が変わり、もっと高い場所に移るように指示されたのでした。それでも常連客は冗談を言って、明るく振る舞っていました。玲子の育ての親である女将・珠江は、玲子から小野寺が一緒にイギリスに行こうと誘った事を聞いて知っていました。珠江は、玲子は小野寺が好きだから、誘われてうれしかっただろうと言いました。その時、珠江の若い頃の写真を小野寺は見つけました。その写真には玲子の祖父の姿も映っていました。小野寺は玲子から祖父はとび職の棟梁だったという事を言うと、珠江はその話は実は嘘だと告白しました。玲子は阪神淡路大震災後に東京に転校してきたときは、美咲と同じような感じでよく学校でいじめられていたそうでした。そこで珠江は玲子がいじめられないように、「私の祖父はとびの棟梁だ」と言うように教えていくうちに、玲子の心の中で、祖父は“本物のヒーロー”になってしまったようでした。ある日、東京で地鳴りが起き、大きな揺れが襲ってきました。危機管理対策本部に情報が入りました。静岡県天竜川河口、長野県諏訪湖、新潟県糸魚川の複数の断層を震源にして、同時に巨大地震が発生したとのことでした。シェルターとなっていた危機管理対策本部も、ガラス窓などが割れ停電し、自家発電に切り換えて、ようやく機能を回復させました。鷹森大臣は、田所博士の予想を思い出し、最終的に富士山噴火が引き金になって、本州が2つに裂けて日本が一気に沈み始めると思いました。彼女は即座に天皇をスイスに避難させるように指示し、対策本部も予備施設に移転することを決断します。東京を含む主要都市のビルや歴史的建造物は倒壊し、その上に大津波が押し寄せて、水没していきました。避難民の避難も困難を極めました。降り注ぐ火山灰、倒壊する瓦礫、ひび割れた地面をひたすら少しでも高い所を目指して、荷物を持ち歩くのです。避難民の疲れもピークにさしかかってきました。街でも多数の人々が死にましたが、その遺体はそのまま放置されていました。
日本沈没のネタバレあらすじ:12.結城達也の死と“わだつみ6500”の沈没
日本沈没をくい止めるために田所博士が考えた、強力なN2爆薬を投下してプレートを切断する作戦が、実行するときを迎えました。深海掘削船“ちきゅう”から、潜水艇操縦士の結城が深海調査艇“わだつみ6500”で深海に潜りますが、掘削孔付近の潮速が急激に上昇し、乱泥流が起こりました。結城はそれに巻き込まれ、N2爆薬を落としてしまいました。結城はそれを回収に向かいましたが、乱泥流に巻き込まれた影響で“わだつみ6500”の機能が全て故障してしまいました。結城は必死でコントロールをしようとしますが、“わだつみ6500”は深海へ沈むいっぽうでした。結城は、水圧に耐えきれず“わだつみ6500”の船体がきしむ音を耳にし、そこから漏れてくる海水を浴び、死を覚悟しました。妻と娘の写真を見ながら、結城は“わだつみ6500”と共に深海へ沈んでいきました。田所博士の計画は、結城の死と“わだつみ6500”の損失で失敗に終わり、もう打つ手はありませんでした。しかし、小野寺は旧式の潜水調査艇“わだつみ2000”を見て、ある決意をしました。
日本沈没のネタバレあらすじ:13.美咲たちの危機
その頃、火山灰が降る中を、美咲たち“ひょっとこ”のメンバーは次の避難地に向けて、ある山道をリアカーに美咲を乗せて引きながら、ひたすら歩いていました。自衛官も必死に避難民たちを元気づけながら、先導していました。山道の地割れに“ひょっとこ”のメンバーのリアカーが車輪をとられて動かなくなりました。それを見た自衛官は力を貸し、リアカーが動くように手伝いました。そして、“ひょっとこ”のメンバーがリアカー引き動こうとしたそのとき、崖崩れが起きました。山道も崩れ始め、“ひょっとこ”のメンバーはリアカーを必死に早く動かそうとしましたが、崖崩れに巻き込まれ、美咲を乗せたリアカーが崖に落ちそうになりました。珠江、寺島、安川らはリアカーを支え、落ちそうな美咲を安川が抱きかかえて、なんとか無事に助かりました。しかし、美咲たち5人の前の山道も崖崩れで寸断されてしまい、美咲たちはその場にいるしかありませんでした。日本本土はフォッサ・マグナで真っ二つになり、北海道、九州、四国はほとんどが海に沈んでいました。
日本沈没のネタバレあらすじ:14.小野寺と玲子、最後の一夜
ある日の夜、小野寺は玲子に会うために、彼女が所属するハイパーレスキュー隊が駐屯している場所に行きました。そして、小野寺は玲子に会い、「明日、イギリスに出発することにした。だから、どうしても君に会いたかった」と言いました。玲子は小野寺に「こんな所まで私なんかのために、ご苦労さまでした」と答えました。その言葉を聞いた小野寺は、ちゃかすようにごまかす玲子に怒りました。玲子は小野寺に本心を告白しました。彼女は、小学校のとき阪神淡路大震災で愛する人たちを失った悲しみを二度と体験したくないために、「私はもう誰のことも好きにならない」と誓っていましたが、小野寺と出会い、好きになってしまい、その気持ちをどう表現すればいいか分からなくなっていたのでした。小野寺は玲子にキスをしました。そして、二人は玲子のテントの中で抱きしめ合い、玲子は小野寺に「抱いて」とお願いします。しかし、小野寺はすすり泣きながら、玲子から離れ、「今は…できない。…だって、約束しただろ、君がおばさんや美咲ちゃんを救出して、必ずイギリスに来てくれるって、そしたら3人で幸せになろう。…そうしたいんだ」と優しく語りかけました。夜が明け始め、小野寺は自分の膝の上で安心して眠る玲子を見て、そっと立ち去りました。暫くして、玲子が目を覚ますと、小野寺はおらず、置き手紙がありました。それを読んだ玲子は、小野寺を探しまわり、バイクで小野寺の所まで追いかけました。
日本沈没のネタバレあらすじ:15.小野寺の決意
小野寺は玲子に会う前に、国際海洋開発センターで、旧式の潜水調査艇“わだつみ2000”の整備をしました。小野寺は設計限界深度2000mまでの“わだつみ2000”で潜り、田所博士の計画を成功させようと決意したのでした。それは死にに行くようなものでした。田所博士は「この状況下で爆薬を起動させることは奇跡に等しいんだよ。…お前まで死なすわけにはいかねえ」と反対しましたが、小野寺の決意は固く、田所博士に「俺、結城の気持ちが今は、よく分かります。俺にも守りたい人がいるんです。奇跡は起きます。起こしてみせます!」と断言しました。小野寺は決死の計画に行く前に、玲子に一目でも会い、気持ちを確かめ合いたかったのでした。置き手紙にはこう書いてありました。「君に謝らなければならないことがある。イギリスに行くというのは嘘なんだ。…君が命がけで君の使命を果たすように、僕も自分の使命を見つけることができた。僕は君の最後の1人まで助けたいという思いを叶えるため、深い深い海の底に潜る。僕は今まで、やりたいことだけをやって生きてきた。けど、やらなければ、ならないことがあるということを、知ったんだ。短い間だったけど、君と一緒にいれて幸せだった。君と美咲ちゃんが幸せに暮らせる日が必ず来ると信じている。…君に会えてよかった。ありがとう」と。
日本沈没のネタバレあらすじ:16.奇跡
小野寺は、田所博士と鷹森大臣に案内され、ヘリに乗り、計画遂行のために旅立とうとしていました。その時、1台のバイクが走ってきました。玲子でした。小野寺は玲子の姿を見て、駆け寄りました。玲子もバイクを乗り捨て、小野寺に駆け寄りました。火山灰がはかない雪のように降る中、二人は最後に愛を確かめ合うように、固く抱き合いました。そして、小野寺はヘリに乗り、玲子はバイクに乗り、自分の使命を果たすために別れました。小野寺は田所博士からレクチャーを受け、“わだつみ2000”に乗り込みました。船員たちは、潜っていく“わだつみ2000”に希望を託すように、見送りました。“わだつみ2000”は瓦礫が浮かぶ海の中を順調に潜っていきました。“わだつみ2000”の設計限界深度を超えたとき、船体がへこむ音がしました。艇内ではエアーが噴き出し、エアーの流量調整が不可能になりました。田所博士はその船体ダメージを聞き、頭を抱えたとき、小野寺は結城が落としたN2爆薬を発見しました。小野寺は慎重にN2爆薬をつかもうとしたとき、地震が起き、N2爆薬は海底に落ちていきました。小野寺は“わだつみ2000”を必死に操縦して、N2爆薬を拾うことに成功しました。しかし、“わだつみ2000”のダメージはひどく、あと15秒しか動かせない状態に陥ってしまいました。田所博士は小野寺に「たった15秒で、何ができる!」と言いましたが、小野寺は「チャンスは一度だけです。やらせてください!」と言ってきました。田所博士は目に涙を浮かべ、一言「頼む…」とだけ答えました。小野寺は“わだつみ2000”のバラストを投棄すると、浮かんでいく“わだつみ2000”の操縦に全神経を集中し、“わだつみ2000”を起動装置にぶつけました。そして、小野寺は消えかかるカメラを見ながら、N2爆薬を起動装置の信管に入れるという最後の作業に、全身全霊を込めて“わだつみ2000”を操作し、N2爆薬を起動装置の信管に入れることに成功しました。“わだつみ2000”の全機能は停止しました。艇内で小野寺は、玲子が直してくれたジャケットに手を当て、玲子のことを思いました。その頃、玲子はレスキュー活動をしていましたが、ふと小野寺のことを思いました。
日本沈没のネタバレあらすじ:17.政府声明の発表
小野寺の決死の行動が功を奏し、N2爆薬は起動し、海底プレートに仕込まれた爆薬は、連鎖的に爆発しました。その強烈な爆発で田所博士の計算通りに、日本列島を引きずり込もうとしていたプレートは断列しました。それに伴い、地下のマグマも下降し始め、富士山の大噴火も回避されました。田所博士の計画は成功し、日本列島の沈没はこれで収束させることができました。鷹森危機管理担当大臣と日本で最後まで彼女と共に闘いぬいた政府首脳陣は、ヘリで海上自衛隊輸送艦“しもきた”に設置されていた臨時政府に戻りました。計画の成功を国民に伝えるため、これから政府声明の発表をしなければいけませんでした。鷹森大臣は「野崎臨時代行に、至急、帰国してもらってください」と指示しましたが、一緒にいた政府首脳陣は声明を読むのは鷹森大臣しかいないと言い、彼女が声明を発表することになりました。鷹森大臣は政府声明をこう発表しました。「異常な動きを続け、我が国を海底に沈めようとしていた地殻の変動は、収束に向かっていることが観測されました。今回の未曾有の災害によって、多くの尊い命が奪われました。…心からご冥福をお祈りいたします。我々日本国民は、この試練を乗り越え、心を一つにして、日本の再建に取り組まなければなりません。……最後に…日本を沈没から救うために、命を懸けて戦い抜いた潜水艇のパイロット、小野寺俊夫、結城達也、両名に深い感謝と哀悼の意を述べさせていただきます」と。
日本沈没の結末:復活の日
福島県会津の小野寺の実家にいた母・道子は、ツバメの鳴き声を耳にしました。ふと、軒下のツバメの巣を見ると、ここ2、3年戻って来なかったツバメが戻ってきていました。母・道子は息子が帰ってきたかのように思いました。一方、山道で足止めをくらわされた美咲たち一行は、白い火山灰が吹く中でじっと蹲って、救助を待っていました。すると、美咲は何か微かな音に気がつき、立ち上がると、ヘリコプターの音が聞こえてきました。レスキュー隊のヘリコプターでした。そこから1人のレスキュー隊員が降りてきました。玲子でした。美咲は玲子に抱きついてきました。美咲は、珠江おばさん、常連客たちを無事、救出しました。太陽がきれいな夕焼けをつくり、玲子たちを照らしました。
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