わたし出すわの紹介:2009年日本映画。監督・脚本は森田芳光で、彼にとって『わたし出すわ』は『(ハル)』(1996年)以来13年ぶりのオリジナル作品となる映画です。キャッチコピーは「独りじゃないから、きっと」で、“お金”の使い方を巡り、5人の高校時代の同級生の夢を叶えるために躊躇なく大金を出す主人公・摩耶を中心に、大金を手にした人間の本質を描いたヒューマン・ドラマ映画です。
監督:森田芳光 出演:小雪(山吹摩耶)、黒谷友香(魚住サキ)、井坂俊哉(道上保)、山中崇(川上孝)、小澤征悦(保利満)、ほか
映画「わたし出すわ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「わたし出すわ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
わたし出すわの予告編 動画
映画「わたし出すわ」解説
この解説記事には映画「わたし出すわ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
わたし出すわのネタバレあらすじ:1.プロローグ:お金に関する格言
「できるだけ儲けて、できるだけ貯めて、できるだけ与えなさい」ジョン・ウェスレーの言葉です。「富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど、のどが渇いてくる。」アルト・ショーペンハウアーの言葉です。北海道函館市、ニュースでは「1kgのゴールドバー(金塊)が郵便受けに投げ込まれ…同一人物の可能性が…」と報道されていました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:2.摩耶、故郷に帰る
東京に行っていた山吹摩耶が、故郷・北海道函館市に帰ってきました。摩耶は引っ越し業者の2人にお礼として各10万円の入ったポチ袋を渡しました。仕事を終え帰ろうとした引っ越し業者はポチ袋の中を見て、驚き、リーダーの1人が「こんなお金受け取れませんよ」と摩耶に返しに行きました。しかし、摩耶は「気持ちですから」と受け取りを拒否し、彼に「そのお金を有効に使って、いい思い出を作ってください」と言いました。二人は「いい思い出、作ろうな、お互いに」と言って、ポチ袋を貰って帰っていきました。摩耶は路面電車に乗りました。運転手は摩耶の同級生・道上保でした。摩耶は道上保に、同級生たちに連絡をとって欲しいとお願いします。道上は電話で連絡しました。魚住サキは「摩耶、東京で何やってるか訊いた?どんな格好してた?結婚してるって感じだった?会いたいけど…」と答えました。サキはきれいなドレスを着て、老人ホームに車を寄付する式典に出ていました。平場さくらは「それどころじゃないのよ。うちのマギー(犬)が僧帽弁閉鎖不全症にかかって…摩耶によろしく言っといて。私から連絡するわ」と答えました。獣医で、さくらは病気にかかったペットの犬は診察さえている姿を心配そうに見ていました。川上孝は「折角だけど、今、会える状態じゃないんだよ」と答えました。川上は実業団マラソンの選手で練習していましたが、途中で座り込んでしまいました。保利満は「なんでお前のところに連絡がくるんだよ。…摩耶に言っといてくれよ。俺に直接、連絡してくれって」と答えました。保利は研究所の前で二人の中国人と握手をしていました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:3.「マヤ、そんなの聴いて面白いのか」と声をかけてくれた道上くんへ
ある日の夜、レストランで道上は摩耶に「みんな、会いたがっていたよ」と報告し、「お母さんは?」と摩耶に訊きました。摩耶は「悪い状態のまま、変わらず」と言うと、彼は「たいへんだな。病院代もバカにならないだろ」と言いました。摩耶は話題を環境に優しい路面電車に変えました。「道上くん、世界の路面電車巡りしてみたいって言ってたよね」と摩耶は彼に言うと、彼は「もう十分だよ。…お金もないし」と答えました。摩耶は「そのお金、私が出してあげようか」と言いました。道上は高校時代、株価の変動のラジオ放送を聴いていた摩耶に「マヤ、そんなの聴いて面白いのか」と声をかけた人でした。彼は笑いながら「ゴールドバーでも投げ込まれたのか?」と摩耶が知らないゴールドバー事件の話をしました。後日、道上の家に摩耶から宅急便で1000万と路面電車カタログが届きました。道上と妻・かえでは驚きました。ある日、駐車場で摩耶はサキと会いました。サキは「…会いたかったのよ」と言うと、摩耶の格好を見て「今は男いないでしょ。東京で嫌な事あったのね。…私のやってるレストランに行かない。…」と食事に誘いました。二人はレストランに行き、食事をしました。彼女は「だいたい、あなたがいけないのよ。高校の文化祭の美人コンテストでトップとるから。私が絶対トップだと思っていたのに。…凄い大きな事件よ。私には。だから、心の狭い女だと思われたくなかったから、あなたと友達になったの。…自分が今どれ位の価値ある女か、いつも考えてたわ。…この街ではあなたが東京に行ってからはトップ。…お陰で…玉の輿に乗ったの。…北産乳業の社長さんよ。…ちゃんと社会還元もしてるのよ。…こっちで落ち着きなさい」と摩耶に言いました。レストランを出て、サキは行きつけの高級ブティックに摩耶を連れて行きました。摩耶は「とりあえず、ジャージとか欲しかったな」と呟くと、サキは「そんなのいつでも買えるでしょ」と言って、水色の胸元の開いたドレスを1着買い、「相変わらず強引ね」と言う摩耶に「この瞬間が楽しければいいのよ」と言い、プレゼントしました。その帰り道、摩耶を待ち伏せしていた道上の妻・かえでが「お話があります」と言い、二人で喫茶店に入りました。かえでは摩耶に「主人がたいへん喜んでいました。あのお金、悪いお金ではないですよね。…何かあったんですか?主人と」と訊いてきたので、摩耶は悪いお金ではないこと、道上くんとは唯の高校時代の友人で、お世話になった人へのお礼としてお金を送ったことを告げました。それを聞いたかえでは「…世界中にはまともに食事が摂れない子供たちもたくさんいるし…そういう事に使う事が大事では?」と言うので、摩耶は「大事です。…相談して道上さんに理解してもらえれば?」と示唆すると、かえでは「私が困った人を助けられるわけ…」と答えました。かえでは家に帰り、摩耶のことを神様みたいな人と言い、サキが摩耶の為に買った水色のドレスを着て、札束を持って、「お金にいいも、悪いもないわ」と言って、はしゃぎました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:4.「マヤ、走ってみろよ。嫌なこと忘れるぜ」と言ってくれた川上くんへ
社長夫人・サキの目の前で、夫が横領疑惑でマスコミに取り囲まれる中、玄関先で急死してしまいました。そのお通夜で、道上、川上、保利、さくら、そして摩耶が集まりました。道上は「こんな時ぐらいだよな。こうしてみんな集まるのは」と言うと、さくらは「会う気になれば、どうにでもなるよ。狭い街に住んでるんだから」と言いました。摩耶は「サキは立ち直ると思う」と言うと、さくらは保利に「サキの再婚相手になれば?…」と冗談混じりに言いました。保利は「サキはな、わかりやすい価値のある男が好きなんだよ」と小声で答えました。お通夜の帰り、摩耶は川上に連れられて、川上の家に行きました。川上の母・たみは、久しぶりに会う摩耶を歓迎しました。摩耶は川上くんに「治療すれば、再起できるんでしょ。いくら位かかるの?」と訊くと、彼は「チームにも、会社にもそんなお金ないよ」と答えました。摩耶は「私が出してあげるから」と言いました。川上は高校時代、摩耶に「マヤ、走ってみろよ。嫌なこと忘れるぜ」と言ってくれた人でした。川上は笑って「どうしてそんなお金あるんだよ」と言っていると、たみが三平汁を作って持ってきました。摩耶は「懐かしい。おいしい」と言って食べていると、たみは「この子もね。調子のいい時は近所の人もマスコミも大騒ぎで応援してくれたけど、つまずくと誰も応援してくれないね」とこぼしました。摩耶は単身、川上の主治医に会い、彼の症状と治療の費用を訊きました。主治医の話では彼の心臓は長距離ランナーとしては凄い武器になる特殊な心臓で、その為、スピードを上げると脚が慢性的疲労骨折を起こすというものでした。それを治療できるのはアメリカ・シカゴだけでした。摩耶はその費用を出しました。後日、川上は摩耶に「本当にいいのか?」と訊いてきたので、摩耶は「走ってもらいたいから。自分の納得するところまで」と言うと、「…それで摩耶に何が残る?」と訊く川上に、摩耶は「私も走りたいから」と励ましました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:5.「マヤ、あなたは東京にむいている」と言ってくれたさくらへ
ある雨の日、さくらの車で摩耶は、ホームセンターに買い物に行きました。車中のラジオでゴールドバー事件が放送されていました。それを聞いた摩耶は彼女に「さくらなら、どうする?」と訊くと、彼女は笑いながら「迷惑というか、ラッキーというか…」と答えました。そんなさくらに摩耶は「私がゴールドバーあげようか」と言いました。さくらは高校時代、摩耶に「マヤ、あなたは東京にむいている」と言ってくれた人でした。ホームセンターで、さくらは「欲しい物って、あると言えばあるし、ないと言えばないし。…旦那も今の男でいいしさ。職業は嫌だけど。…消費者金融業。…5円、10円安い所に買い物に行く主婦が何で借金するかね?」と不思議そうに言い、彼女は摩耶に1万円の小型冷蔵庫を買ってもらいました。家に帰り、さくらは小型冷蔵庫に上機嫌です。その様子を見ながら、趣味の箱庭の手入れをしていた夫・平場まさるは、彼女に「お前の幸せは、俺の幸せだよな。…俺の幸せは、お前の幸せだよな」と訊いてきました。さくらは「そうだよ」と答えると、夫・まさるは「その人に言ってくれないか。この箱庭教会の会長がある金額で会長の権利を譲ってくれるらしいんだ。そのお金、出してくれないかな?」と彼女に頼みました。さくらは「自分の友達でもないのに。…会長になってどうするの?」と訊くと、まさるは「会長になれるんだぜ。“箱庭”でPC検索したら、俺の名前がトップに出てくるかもしれないぜ」と言いました。それを聞いたさくらは「あなたって、意外と名誉が好きなのね。…いいわよ。電話で頼んでみようか。そうすれば、もっとお金は要らないわよね。…人それぞれ、分があると思う。…分不相応は不幸を招く…」と言って、摩耶に頼みました。摩耶はそのお金を出してあげ、夫・まさるは、念願取り箱庭教会の会長に就任しました。まさるは就任挨拶で「…協会の会長職だけでは生活できないので、消費者金融で勤めています。お金に関する色々な事で心が荒む事が多々ありまして、そんな時こそ箱庭に没頭できるのです。箱庭は心の安らぎだけでなく、素晴らしい可能性があります。それは俯瞰の見方です。…最近、病んだ人たちには、この箱庭の世界にいらっしゃいと強く訴えたいと思います」とスピーチしました。その頃、川上はアメリカでの治療が終わり、順調に回復していると、母・たみとスカイプで連絡をしていました。摩耶は、母の病室に行き、植物人間状態の母に向かって、いろいろと語りかけ、そして、ひとり尻取りをしていました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:6.「マヤ、俺、魚の気持ちわかる男なんだ」と言ってくれた保利くんへ
摩耶は保利が働く養魚試験場に行きました。保利は摩耶を待っていたかのように「俺の所にはいつ来てくれるのかと思ってたよ」と言うと、摩耶は「危ない所には慎重にしないと」と言い返しました。保利の女好きは、高校時代と変わっていませんでした。保利は彼女の職業を聞きだそうとしますが、摩耶にはぐらかされてしまいます。突然、保利は彼女に「漁り火って、どう思う」と尋ねてきました。保利は「イカと光、そんな事を考えてるもんだよ。俺の研究は…」と自分の今の研究を説明し出しました。「海にも魚が反応する微妙な電波のようなものが流れていると俺は仮説している。もし、それを人為的に作り、仕掛けることができたら…」と言うと、摩耶は「国の漁業水域が無に等しくなるわね」と答えました。保利は摩耶に「こういう研究に金出すか?」と訊きました。摩耶は「出すわよ」と言いました。保利は高校時代、生物教室で摩耶に「マヤ、俺、魚の気持ちわかる男なんだ」と言った人でした。しかし、摩耶は「出す所はいっぱいあるわよ。…それに対してうまく対処できるかしら。免疫のない人だからね。心配だわ」言いました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:7.それぞれのお金。謎の男・溝口
ある日、道上の妻・かえでは、夫・道上に「思ってたより車の保険でお金がかかるの…少しあのお金、借りてもいい?」と訊きました。道上は「すぐ返せばいいよ」と答えました。会社で道上は、上司から本来なら自費で行く道上に命令できない視察レポートを書いて、会社に提出して欲しいと頼まれました。道上は始めからそのつもりだったので、その依頼を快諾しました。そして、いつものように路面電車を運転していました。帰国した川上は、神社で摩耶と待ち合わせをしていました。神社の階段を駆け上がってくる川上は順調に回復していました。摩耶は彼に「ここで初詣したね。…縁起物を一番買ったのが川上くんだった」と高校時代の話をすると、彼は「あの年、高校新記録出したんだぜ」と言いました。摩耶は「それは川上くんの実力よ」と言うと、二人でお参りをしました。その夜、あるホテルのロビーに1人の中国の美女が座っていました。そこに保利が現れました。保利はその女性を連れて、ホテルの部屋に行こうとしたとき、摩耶が現れました。保利は彼女を中国語会話の先生と紹介しますが、摩耶はその女性に「キャンセルされたと、あなたのボスにそう伝えなさい」と言って、追い返しました。摩耶は保利に「危ないところだったわね。…もっと自分の仕事の重要性を理解しないと」と言い、彼を部屋に連れて行き、「あなたの為に男の人を用意したわ」と言って、1人の青年を紹介しました。保利は「そんな趣味はないよ」と言うと、その青年は「よろしく。ジョーです。オールナイトで派遣されました」と挨拶すると、鮮やかな手つきでカードマジックを披露しました。摩耶は二人に「楽しい夜を」と言い残して部屋を去りました。ロビーに降りると、1人の男性が摩耶を待っていました。彼は「うちの女性がキャンセルされたようですね」と言い、名刺を出しました。彼は溝口雅也という人物でした。摩耶も自分の名刺を彼に渡しました。彼は「保利さんを中国人にしたいだけです。僕は才能ある人とそれを欲しがっている人との仲人です。…邪魔をしたら、恐いことになると一言言っておきたかっただけです」と摩耶に脅しをかけてきましたが、摩耶は動ぜず「ご忠告、ありがとう」と言って、その場を立ち去りました。翌日、摩耶はさくらの車に乗って、いつものホームセンターに買い物に行きました。さくらの夫は、会長の肩書きが仕事の役に立って、借金の取り立ても物腰がよくなったと評判になっているそうでした。その頃、保利はジョーから教えてもらったカードマジックを研究所の同僚たちに披露し、楽しんでました。川上はトレーニングの真っ最中で、コーチはマスコミの記者に多額の治療費を誰が出したのか質問攻めにあっていました。摩耶は母の病室に行きました。植物人間状態の母に語りかけ、ひとり、尻取りをしました。その病院の帰り、溝口が待っていました。溝口は、「ここにはいい先生がたくさんいますからね」と言って去ろうとする摩耶に「あなたを調べさせてもらいました。…あなたはたいへん親孝行だ。親孝行にこんなにお金をかけている人を見たことがない!」と言いました。サキは、急死した夫の借金返済の為、財産を全部売却していました。当然、彼女が今まで買った高級な衣服も全て売却しました。ホステスに戻っていました。ある夜、元お客さんだった住職の相手をしました。住職は復帰したサキのために、ピンクのドンペリを頼んでくれました。サキは、明るい声で注文をすると、住職は「その調子…お金は元気ある者についてくるんだ。がんばれよ」とサキを励ましました。その頃、道上の妻・かえでは、ホストのマックスに首ったけになって、お金を使い込んでいました。その情報は、さくらの夫・まさるの知るところとなりました。まさるは、さくらに道上の奥さんが300万を超える借金をしていることを知らせます。さくらは信じられないようでした。
道上は、摩耶から貰った大切なお金が無くなっているので、このところの妻・かえでの金遣いに怒り、彼女を責めます。しかし、かえでは「覚えちゃったんだもの、しょうがないでしょ。今まで知らなかった楽しいことをよ」と言い、「ここにお金があったのがいけなかったのよ」と開き直り出しました。道上はこの事を摩耶に告白して、謝ります。摩耶はお金を彼にまたあげようとしましたが、彼は、「好意を無駄にしてしまった…こうなって益々、行きたくなった。自分のやりたい事、やらなくてはならない事に気付かされた。…ありがとう」と言って、摩耶からのお金の受け取りは拒否しました。ある日、さくらのペットの犬が病気で亡くなりました。落ち込むさくらと車で、いつものホームセンターに摩耶は買い物に行き、彼女ととりとめのない会話をしながら、彼女を慰めました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:8.「マヤをライバルと思っていい?」と言ってくれたサキへ
後日、摩耶が車で母の入院している病院に行こうとしていると、1台の車が追ってきました。途中で気付いた摩耶は車を止めると、その車からサキが出てきました。サキは、摩耶に「気になるのよ。摩耶が。…何で私の所に来なかったのよ」と言い出しました。摩耶は素直に「今のあなたの気持ちは理解できなかったから…」と答えました。サキは「どうしてそんなにお金があるの?…誰がスポンサーなの?」と訊きました。摩耶は「アラブの石油王よ。…サキ、東京行ってみる?」と答えました。サキは高校時代、摩耶に「マヤをライバルと思っていい?」と言ってくれた人でした。摩耶はサキを自分のアパートに案内します。摩耶の部屋にはテレビもなく、生活感のない部屋で、サキは驚きました。摩耶は「贅沢が好きじゃないの。サキとは価値観が違うからね。…」と言うと、押し入れを開けて、バケツの中から金塊5kg(約1500万以上)を出し、サキに渡しました。サキが「重い」と言うと、摩耶は「もう私の全財産。サキに残しておいたの。…それが私の愛の重さよ」と言いました。サキは喜びました。その日の夕方、摩耶は母の病室にいました。そして、母に語りかけるように、ひとりで尻取りをして、リンゴの皮を向き、食べました。その日の夕焼けはとてもきれいでした。摩耶は突然、寂しくなり、川上くんの家に行きました。川上くんの母・たみは、摩耶を歓迎して、カニ焼売を作りました。たみは「孝、もうすぐ帰ってくると思うけど。…この頃、マスコミの取材が増えてね。…」と言いながら、鹿児島の幻の芋焼酎を出してきました。摩耶とたみが、それを飲みだしたときに、川上くんが帰ってきました。そして、3人で食べて、飲みました。摩耶は酔ってしまって、そのまま一晩寝てしまいました。
翌朝、摩耶が目覚めると、川上くんは既に練習に行ってしまい、母・たみがラジオで株価の放送を聴きながら、パソコンで株を売買しているようでした。摩耶は驚いて、たみに尋ねるとたみは「うん、ちょっとね。…自分のへそくりでね。好きな会社の株、買ってます。社長さんが男前でスポーツマンだとか…」と笑って答えました。実は、摩耶は株の売買を見極める才能があり、大金は株の売買で稼いだものでした。摩耶はその事は隠して、たみに「すぐ上がる株、教えてあげます」と言って、教えてあげました。その頃、サキは摩耶から貰った金塊を、全部お金に換金して、行きつけの高級ブティックに行き、新しいドレスを買いました。その夜、サキはその新しいドレスを着て、お店に出ると、隣のお客さんは、スタンレー・アラビアンの支社長・天草大二郎という人物でした。彼は明日、千歳に牧場巡りに行くと言うので、サキは、本物なら今夜中に彼をものにしようと思い、確認のために摩耶に電話をしました。摩耶は彼の特徴のほくろを言い、その人は偽物かもしれないので、すぐに自分がお店に行くと言いましたが、サキはそれを断りました。サキの頭の中は、もう彼をどうやってものにするかということでいっぱいでした。
わたし出すわのネタバレあらすじ:9.サキの悲劇
その翌朝、函館市の牧場で、絞め殺された魚住サキの遺体が発見されたというニュースが、流れました。警察の調べでは、犯人は天草大二郎ではありませんでした。摩耶は母の病室で、母に向かって「信じられないよ」と嘆きました。サキのお葬式の後、道上くん、川上くん、保利くん、さくら、そして摩耶の5人が集まり、彼女の思い出話をしながら、彼女の死に落ち込み、悲しみました。その中でも一番落ち込んでいたのは、摩耶でした。摩耶は保利と一緒に歩いて帰りました。保利はサキに「俺さ、お金いらなくなった。返すよ。…どう考えても、やばいんだよ、俺の研究は。自然に逆らってるしさ」と言い出しました。摩耶は「一度あげたお金、返すなんて、いらないわ」と言うと、保利は「サキの犯人逮捕を円滑にする為にも、警察にでも寄付するかな~」と冗談交じりで言いました。摩耶が家に帰ると、刑事が2人、サキが換金した金塊のロットナンバーから摩耶の存在を知り、捜査にやって来ました。2人は摩耶の部屋に入ると、色々家捜しをしました。するとまたプッシュホンが鳴り、摩耶が出てみると、道上の妻・かえでが入ってきました。かえでは包丁を持って、摩耶に「あんたが全部、悪いのよ」と叫んで、刺そうとして飛びかかってきました。危うく2人の刑事がかえでを取り押さえたので、摩耶は無事でした。刑事はかえでを連行して行きました。
わたし出すわのネタバレあらすじ:10.摩耶、東京に帰る
摩耶は東京に帰ることにしました。そして、まず川上くんに会いました。摩耶は彼に「走れなくなっても何も心配することないからね。いくらでも川上くんの働くところ紹介できるから」と言うと、川上は「そうならないよう、努力するよ」と言って、走り出しました。次に摩耶は、夢だった世界の路面電車巡りの旅に行く道上くんを、空港まで車で送りました。駐車場で、摩耶は彼と握手をして別れました。そして、摩耶は、気がついたように、川上くんのお母さんに電話して、すぐに上がりそうな会社の株を教えてあげました。電話を切ると、溝口が現れました。彼は摩耶に「今は急用ではなかったのですか?…保利さんの事はもういいじゃないですか。…山吹摩耶さん、僕と組みませんか?社会貢献する仕事をしましょう」と言って誘ってきました。摩耶は全くその気がなかったので、帰ろうとすると、溝口は「お金は有効に使いましょうね」と言って去っていきました。最後に摩耶はさくらの家に行きました。さくらは摩耶が東京に帰ることを寂しがりました。そして、彼女は摩耶に「摩耶は自分のためにお金使ってるの?」と訊いてきたので、摩耶は「何でも、自分のためだよ」と答えました。さくらは摩耶を座らせて、最近起きているゴールドバー事件は自分がやったことを告白しました。さくらは市場で偶然、福引きであたった宝くじが、これまた偶然、当たり1億円を手にしたのでした。さくらは、これは「人生の罠」だと思って、処分に困り、散歩コースの途中の適当な家にゴールドバーを入れていたのでした。さくらは摩耶に「摩耶の1万円のほうが、宝くじの1億円より、嬉しいよ」と言いました。ちょうどその時、TVニュースでサキの殺人犯逮捕が放送されました。犯人は道上の妻・かえでが貢いでいたホストのマックスでした。摩耶は家のものを段ボールに詰めて、東京に帰る準備をしました。そこに、かつて摩耶が故郷に帰るとき、十万円をあげた引っ越し業者の人が見積もりに来ました。彼は摩耶に「あの十万でタイに旅行に行き、そこで素敵なタイ美人と出会い、結婚してから、仕事も順調で」所長にまでなったことを告げました。そして、感謝の意味も込めて、今回は「ただでいいです」と言って出ていきました。最後に摩耶は保利くんに会いました。自分の研究している事の大切さを知った保利は、東京の太平洋フーズで研究することにしました。そんな保利に摩耶は、「高校時代、1つの言葉を選ぶだけで、すごい時間がかかる私だった。だから、みんながいきなり声をかけてくれたのが、とても嬉しかった」と告白しました。保利が高校の生物教室で摩耶に言った言葉を思い出し、2人は笑って別れました。
わたし出すわの結末:エピローグ:起こった奇跡。「ありがとう、マヤ」
摩耶は東京に行く前に、母にお別れを言うために病室へ行きました。植物人間状態の母に、摩耶は東京に帰ることを告げました。すると、母がかすかに声を出しました。驚いた摩耶は、母に「尻取りできる?」と尋ねました。摩耶が「くも」を言うと、母はかすかですが、尻取りを始めました。摩耶は医師を呼びました。たくさんの医師が病室に入って、摩耶と母の尻取りの様子を見ていました。母が奇跡的に蘇ったのです。青空の下、車椅子に母を乗せて退院する摩耶に、母は言いました。「ありがとう、マヤ」と。
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