ペーパー・ムーンの紹介:1973年アメリカ映画。大恐慌時代のアメリカを舞台に、ノスタルジックなタッチで描かれる詐欺師と少女の珍道中。これが映画デビューとなるテイタム・オニールはいきなりアカデミー賞助演女優賞を受賞。
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ 出演:ライアン・オニール(モーゼ)、テイタム・オニール(アディ)、マデリーン・カーン(トリクシー)、ジョン・ヒラーマン(ハーディン保安官/ジェス・ハーディン)、P・J・ジョンソン(イモジン)、ほか
映画「ペーパー・ムーン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ペーパー・ムーン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ペーパー・ムーン」解説
この解説記事には映画「ペーパー・ムーン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ペーパームーンのネタバレあらすじ:1
町外れの墓地でわびしげな葬儀が行われています。そこへやってくる胡散臭い男。彼の名前はモーゼ。詐欺まがいで聖書を売りつけるセールスマンです。死んだのは彼が昔関係を持っていた酒場の女で、ちょっとした慈悲心で顔を見せたのです。ところがそこに彼女の娘である9歳のアディがいて、彼をその父親だと考えた牧師夫婦から、アディを叔母の家に届けるように頼まれてしまいます。嫌々ながら引き受けるモーゼ。しかし、死因が交通事故だと知ると、その加害者の兄の家に行き、慰謝料をまんまとせしめます。その金で新車を買ったと知ったアディはモーゼを非難。「慰謝料は私のものだ」と主張し、モーゼを苛立たせます。
ペーパームーンのネタバレあらすじ:2
やがて子連れ道中の開始。その途中でもモーゼは商売を怠りません。死亡記事を見てはその遺族のもとへゆき、亡くなられた人が生前予約したものだと嘘を言って聖書を売りつけます。アディはこのやり取りを見て、自分もその手伝いを始めます。演技力のあるアディはモーゼよりも巧みに客を騙し、売上は増加。モーゼもその小生意気な態度に腹を立てながらも、良いパートナーだと思い始めるのです。やがて懐の暖かくなったモーゼはストリッパーのトリクシーに入れあげ、彼女を旅の仲間にします。彼女を邪魔に感じたアディは、トリクシーのメイドである黒人の女性と協力して罠を仕掛け、トリクシーを浮気させます。幻滅したモーゼは彼女を棄て、まんまとアディの計算通りに。続いてまた一儲け企んだ2人は酒の密造者に目をつけ、大金を手にします。しかし好事魔多し。騙された保安官たちがモーゼを追いかけ、散々殴られた末に有り金をすべて巻き上げられます。
ペーパームーンの結末
もはや商売気もなくし、アディを叔母の家まで連れてゆくモーゼ。そのまま2人は別れることに。叔母たちは優しく、一旦はそのまま落ち着く気になるアディですが、道中でのスリルを思い出し、家を飛び出してしまいます。そして、モーゼが車を駐めた場所まで来て、「まだ借金を返してもらっていない」と告げるのです。勝手に走り出してしまった車を追って、2人は一緒に走り出します。その道は地平線まで続いていました。
以上、映画「ペーパー・ムーン」のあらすじと結末でした。
「ペーパー・ムーン」感想・レビュー
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あえての白黒映画にほっこりします。
テータム・オニールのあまりにも大人びた演技にびっくりしますが、実生活でのアル中の母や女好きの父ライアンとの関係などが、そういう子供に育ててしまったんだと知って悲しくなりました。
作品としてはとても温かみのある作品で大好きです。
他の映画にはない魅力があります。
個人的に一番好きな映画作品。父と娘の心の機微がコメディっぽく描かれながら、胸がせつなくなります。母を亡くした9歳のアディは仏頂面で可愛げがない女の子だけど、父だと信じたモーゼの気を引こうとおめかしして鏡の前に立ってみたりする。にぎやかなサーカス会場でペーパームーンをバックに父と記念撮影をしたかったのに、すっぽかされ、1人仏頂面で写真を撮る。BGMに流れる挿入歌の歌詞は
「そうよ、ただの紙のお月様
厚紙の海を帆走してゆく
でも、見せかけのものにはならないわ
あなたが私を信じてくれているなら」
本当の父かどうかは分からない。でも信じれば親子になれるかもしれない、幸せになれるかもしれないというアディの気持ちが痛いほど伝わってきます。
ちなみに「ペーパームーン」はこの映画の後、1976~1977年に発行された雑誌のタイトルで寺山修司氏が監修していました。数号で廃刊になった幻の雑誌ですが、世界観が大好きでした。