シェーンの紹介:1953年アメリカ映画。西部劇の歴史的名作。「シェーン、カムバック」とジョーイ少年が叫ぶ場面は、「第三の男」、「モダン・タイムス」と並ぶ名ラストシーンのひとつ。ヴィクター・ヤング作曲の主題曲「遙かなる山の呼び声」も有名。
監督:ジョージ・スティーヴンス 出演:アラン・ラッド(シェーン)、ヴァン・ヘフリン(ジョー・スターレット)、ジーン・アーサー(マリアン・スターレット)、ブランドン・デ・ワイルド(ジョーイ・スターレット)、ほか
映画「シェーン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シェーン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「シェーン」解説
この解説記事には映画「シェーン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シェーンのネタバレあらすじ:1
一人の男が馬に乗って山の斜面を降りてきます。彼の名前はシェーン。流れ者でした。やがて鹿を撃とうとしていた少年ジョーイの前に来るシェーン。そこはポツンと1軒だけ建つ開拓者家族の小屋です。ジョーとマリアンのスターレット一家で、ジョーイはその一人息子。シェーンはそこで水をもらいます。やがて、牧畜業者ライカーとその配下の人間がやってきて、また土地の権利について文句をつけます。いくらジョーが法律の事を持ち出しても、ライカーは聞く耳を持ちません。やがて彼らは立ち去りますが、男手が欲しいジョーはシェーンにしばらくここに逗留することを提案。シェーンもそれを受け入れます。一緒に大樹の根を掘り起こし、開墾作業をする2人。真面目そうなシェーンに家族はすっかり気を許します。
シェーンのネタバレあらすじ:2
シェーンはジョーたちと一緒に近くの町で日用品を買ったりしますが、そこは牧畜業者と開拓農民のいさかいの場所でもあります。ライカーたちに絡まれたシェーンは彼らと殴り合いになり、そこにジョーも参加。乱闘となり、シェーンとジョーは傷を負います。シェーンに憧れを抱き始めたジョーイに対し、シェーンは銃の使い方を教えようとしますが、それには母親のマリアンがいい顔をしません。
シェーンの結末
やがてライカーのもとに黒いチョッキを着た男がやってきます。ウィルスンという名前の殺し屋です。不気味な彼を連れて、ジョーの家にやってくるライカー。土地を明け渡せというのです。開拓農民仲間のトリーが文句を言いにゆきますが、ウィルスンに撃たれてしまいます。その後も農民たちの家が焼き討ちにあったりして、腹に据えかねたジョーは一人でライカーたちのいる酒場に乗り込もうとしますが、シェーンは彼を殴り倒して自分が代わりに町に向います。それを追いかけて自分もこっそり酒場に潜り込むジョーイ。挑発してくるウィルスンたちに対し、シェーンは抜く手も見せぬ早撃ちを見せ、ウィルスンやライカーたちを撃ち殺します。ジョーイに声をかけて去ってゆくシェーン。「帰ってきて、シェーン!」。ジョーイの声が山にこだまします。
「シェーン」感想・レビュー
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懐かしいですね!ラストシーンの、シェーン、カムバック、カムバックシェーン!子どもの声が忘れられないです!
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「シェーン、カムバック!」——谷間にこだまする少年の声が、いつまでも私の耳に残ります。
ふらりと現われた流れ者のシェーンが、善良な開拓者たちを苦しめる悪漢どもをやっつけて、またいずこへともなく去ってゆく——という典型的な西部劇です。
だが、この作品は、西部劇というジャンルを超えた感動を私に与えてくれるのです。その謎をとく鍵は少年ジョーイ。
少年の目を通して描いたことにより、シェーンという男は、シンボリックなヒーローとなり、西部劇という枠を超えさせたのだと思います。加えて、ワイオミングの美しい自然が豊かな抒情性となって、私の心を潤してゆくのです。
少年の視線で物語を追っている中で、シェーンと少年の母との秘められた慕情が、そこはかとなく描かれていて、その切ない淡さも、実にいいんですね。
この不朽の名作「シェーン」は、時代を超えて生き残る、まさに感動の一篇だと思います。
中学生の頃はマカロニ・ウエスタンが好きだった。クリント・イーストウッドの活躍に代表される、いわゆるイタリア製西部劇である。
高校生の頃は「大いなる西部」という西部劇に心底感動した。ウィリアム・ワイラー監督(ローマの休日などの監督)の名作である。
しかし、この「シェーン」の主役のアラン・ラッドは、そのどちらの主役たちとも全くタイプが異なる。
マカロニ・ウエスタンの主役たちは、いわゆるスーパーマン的なところがあって、結局のところ向かうところ敵なしのヒーローである。
「大いなる西部」の主役たちは、スーパーマン的に強いわけではないが、グレゴリー・ペックやチャールトン・ヘストンといった、背が高くて体格がよく、いわゆる男らしい一流の俳優が演じている。
しかしこの「シェーン」のアラン・ラッドはどうだろう。ハンサムだが、決して大物俳優ではないし、バッタバッタと敵をなぎ倒すスーパーヒーローでもない。
にもかかわらず、この作品は随分長く人々に愛され、名作とされてきた。
ひとつにそれは、シェーンを受け入れたジョーイ少年の家族との細やかな心の交流が描かれている点にあると思う。
そして肝心なのが、このシェーンは特別ケンカに強いわけでも、バンバン相手をなぎ倒すスーパーマンでもないという点だ。
いよいよのジャック・パランスとの対決も、勝つか、負けるか、あっ、勝って良かったと思わせるような展開である。
大人になって、さすがにマカロニ・ウエスタンは見たいと思わなくなったが、シェーンという流れ者の、リアリティ溢れる早撃ちは、何度でも見たいと思ったものだ。
先程も書いたが、私は「大いなる西部」という作品がとても好きで、西部劇の最高傑作と勝手に思っているが、「シェーン」は、 また違った意味で、いつまでもしみじみと心に残っている。
世間ではもうとっくに忘れ去られてしまったのがとても残念だ。