ギルバート・グレイプの紹介：1993年アメリカ映画。18歳の誕生日を目前に控えた知的障害のアーニー。彼の世話をする兄ギルバートの周りの複雑な人間関係は、やがて事件の連鎖を起こしてゆく。若かりし頃のジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオ主演による青春映画。
監督：ラッセ・ハルストレム 出演：ジョニー・デップ（ギルバート）、ジュリエット・ルイス（ベッキー）、メアリー・スティーンバージェン（ベティ）、レオナルド・ディカプリオ（アーニー）ほか
映画「ギルバート・グレイプ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ギルバート・グレイプ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
作品紹介・キャスト
ギルバートグレイプの予告編 動画
映画「ギルバート・グレイプ」解説
この解説記事には映画「ギルバート・グレイプ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ギルバートグレイプのネタバレあらすじ：起・もうすぐ18歳になるアーニー
アイオワ州エンドーラ。ギルバート・グレイプ（ジョニー・デップ）は寂れた町の食料品店で働く青年。知的障害のアーニー（レオナルド・ディカプリオ）の面倒を見ていた。姉のエイミー（ローラ・ハリントン）が家事をし、妹のエレン（メアリー・ケイト・シェルハート）は高校生、母のボニーは父親の死後、家から一歩も出ず、昔は美人だったけれど、今は見る影も無いほどの肥満体で250kgもあり、動くのも困難だった。そんな母は、アーニーを私の太陽と言ってかわいがり、18歳の誕生日パーティーを楽しみにしていた。毎年トレーラーハウスが通り過ぎるのを見るギルバートとアーニー。そのうちの一台がエンストし、空き地に滞在していた。乗っていたのは祖母と旅をしているベッキー（ジュリエット・ルイス）。ギルバートはお客のカーヴァー夫人のベティ（メアリー・スティーンバージェン）と不倫関係。夫のカーヴァー氏は保険会社を経営しているセレブ。ギルバートは配達の時にアーニーを車に置いたまま情事にふけっていると、カーヴァー氏が帰宅、ばれる前に車に戻ろうとすると、ギルバートに大事な話があるからオフィス来るようにと言った。そして車にいるはずのアーニーは近くのガス塔に登っていて、警察が下りるよう説得を試みるものの聞かず、ギルバートがなんとか説得して、アーニーを降りさせた。保安官に何度怒られてもアーニーは懲りず、そんな騒ぎをベッキーが見ていた。巨体のギルバートの母を、怖いもの見たさの子供たちが時々見に来ては逃げていった。ギルバートはそんな子供たちを気に止めることも無く、アーニーのお風呂や寝かしつけまで世話をするのが日常だった。新しいハンバーガー屋の仕事をしようとしている大工の友達は、そんなギルバートをいさめることもあった。
ギルバートグレイプのネタバレあらすじ：承・ギルバートを巡る二人の女
ギルバートの働く店でカーヴァー夫人と、ベッキーが鉢合わせをした。カーヴァー夫人が帰ると、店長はベッキーのトレーラーハウスへの配達をギルバートに頼んだ。着々と進むパーティーの準備の事で些細な事から言い合いになり、ギルバートが床にこぼれた牛乳を拭いていると、母が座っているところの床が抜けそうになっていて、地下室の天井を角材で補強しないといけないと、友人を呼んだ。ギルバートはアーニーに手伝うように言うが嫌がり、高い所が好きなアーニーは木に登ったまま、父は地下室にいる！と繰り返した。彼はアーニーが誰にもいじめられないようにと誓う。トレーラーハウスを訪ねたギルバートは、ベッキーが、おばあさんを行った事の無い所に連れて行こうと旅をしている事を知る。そしてデートに連れ立ったギルバートとベッキーは、アイスクリーム店でカーヴァー夫人と子供たちに遭遇した。ベッキーと夕焼けの空を見ていたギルバートは、アーニーをお風呂に入れるために帰宅して、大人なのだから自分でお風呂に入れるように教えてから、ベッキーのところに戻ると日没は過ぎていた。ベッキーは両親が離婚していて、引っ越すことや旅をすることに慣れていた。ギルバートも引っ越したいけれど、母やアーニーがいるので出来なかった。翌朝、ギルバートが洗面所に行くと、湯船に浸かったままのアーニーが湯冷めして凍えていた。ギルバートは家族から、アーニーの世話をしなかったことを責められる。
ギルバートグレイプのネタバレあらすじ：転・ベッキーと急接近するギルバート
カーヴァー夫人のイタズラで、カーヴァー氏のオフィスに呼び出されたギルバートは、大事な話と称して保険の勧誘を受けた。そこへ夫人から電話がかかってくる。急いで自宅に向かうとキッチンから煙が出ていて、クッキーを焦がしてしまったと、うなだれるカーヴァー夫人は情緒不安定で、自分はどんな男でも選べたけど、この町から出て行かないギルバートを選んだと言った。お風呂事件以来、お風呂を嫌うアーニーと押し問答をしていると、カーヴァー氏の訃報が届く。プールに首を入れて溺死したので友人の間では殺人ではないかと噂になった。ギルバートがベッキーのトレーラーハウスで、車の修理を手伝っていると、池で泳ぐベッキーはアーニーに入るように呼んだが、アーニーは入ろうとしなかった。それを見ていたギルバートは挑発されて、池に入った。ベッキーに、未来の願い事が他者に対するものだけだと言うことを指摘されると、ギルバートはいい人間になりたいと話した。その隙に再びガスタンクに登ったアーニーは許してもらえずに、拘留される。それを知った母は、直談判をするために、肥満体になってから初めて家を出た。釈放されたアーニーと母を町の人々は笑った。しかしベッキーだけは、母のことを勇気のある人だと誉め、会わせて欲しいと頼んだ。カーヴァー氏の葬儀を終えると、夫人は自分が殺したと噂が立っているので引っ越すと、ギルバートの店を訪れて伝え、そこにいたベッキーにギルバートを譲ると言って去って行った。そして、トレーラーハウスの車も直り、ベッキーも旅立つことに。
ギルバートグレイプの結末：ギルバートが決めたこと
ギルバートがバーガー・バーンの開店祝いに訪れると、明日出発するとベッキーが告げに来た。彼女は引きとめてくれないギルバートに悲しい顔をした。その夜、誕生日の前日こそお風呂に入れようとするとアーニーは抵抗し家の中を駆け回り、姉が作ったケーキを壊してしまった。そこで大型スーパーで新しくケーキを買ったが、準備をしているとアーニーはそれを勝手に食べていた。怒ったギルバートはお風呂場に連れて行き、抵抗するアーニーのほっぺたを叩いてしまい、ギルバートは家を飛び出して町の外へと車を走らせた。しかし思いなおして引き返した。同じく家を飛び出したアーニーはベッキーの所を訪れ、池に入って身ぎれいにした。そこへ家から迎えが来る。ギルバートはそれをずっと木の陰から見ていた。そんなギルバートを見つけたベッキーと焚き火を囲み「父親は無表情で死んでいるようだった。ある日、地下室で首を吊っていた」と告白した。翌朝、ギルバートはアーニーの誕生日だからと帰宅した。町の人とガーデンパーティーをしている家族はギルバートに、アーニーと直接話せと言った。アーニーはいつも通りで、母親はギルバートを酷い子だとなじりながらも戻ってきてくれたことを喜んだ。お別れを言いに来たベッキーが、アーニーにプレゼントを渡すと、ギルバートは母に会わせ、そしてお別れをした。その後、母は自分のベッドに戻りギルバートたちが見守る中、眠りに付いた。しかし、アーニーが母の死に気づき、ギルバートたちはアーニーの異変で気がついた。母の死に、見物人が葬式に訪れるのではと怯える姉妹。ギルバートは笑い者にはさせないと決め、家財道具を外に出して、母と一緒に家を燃やした。それから一年後、エイミーはパン屋の店長に、エレンは転校、アーニーはギルバートと今年もトレーラーハウスが来るのを待つのだった。
以上、映画ギルバートグレイプのあらすじと結末でした。
「ギルバート・グレイプ」感想・レビュー
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ジュリエット•ルイスはナチュラル•ボーン•キラーズでも個性的なヒロイン役が際立っていたけどこの作品の時が一番可愛い。ジョニー•デップの自然な演技もいいけどまだ少年だったレオナルド•ディカプリオの本当に自閉症なのかと見紛うほどのリアリティある演技が素晴らしくも一番心に残った。
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クライマックスに、自分たちの住んでいる家に火を点けて、燃やすシーンの迫力は、鬼気迫るものがあった。
お母さんを弔うためではあるが、それは同時に、家族みんなを縛り付けていた『家族という名の呪縛からの解放』のための儀式であったと思う。
介護などで疲れている人、人生を変えたい人、おススメです。
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とにかく大好きな映画！！
イビツだからこそ心打たれる家族愛が見事に描かれている。
青年ギルバートが持つその純粋さが堪らなく好きだ。
ショートカットの魅力的な女の子ベッキーの存在も大きく
そのファッションや存在感はいつ見ても憧れ。
あまりに素敵なので、マネしてショートカットにしてしまったくらい。。笑
美しく切なく、優しい。そんな心温まる映画。
一人で何度も見てきた映画なので、今度見る時は大切な人と一緒に見たい。 -
ラッセ・ハルストレム監督の作品は、どうも私には合わないようです。
ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが共演しているのが、今から見るととても貴重ですよね。ディカプリオは子役のころから有名でしたが、驕ることなく、大人になってからも代表作があるところが、すごいですよね。
冒頭、家族紹介において、ギルバートが次男であることがわかる。長男は家を出ているので、必然的に家族の中で唯一の男手として彼が重責を背負い込むことになっている。彼も家を出る願望が少なからずあるというのはベッキーとの会話からわかるものの彼はそれよりも家族を優先し、いい人間でありたいという所に帰着する。自分の我は通さず、どこか自分の事は二の次で諦めているようにさえ見える。唯一ギルバートが感情を露わにするのはアーニーをたたいてしまった時だけ。その時でさえ彼は後悔し、家を飛び出てしまう。
ラストで家を焼くシーンは、そんな彼を解放する象徴のように見える。